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終章:師匠との恋
男装令嬢、騎士団に潜入!?
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スノーランドの国王と王妃とその後食事することとなり、ミリアとランドルフは晩餐会場へと進んだ。
「あたたたちのお母さんが、他国の平民と結婚すると告げたときには、それはもう猛反発したわ。少し冷静になれば落ち着くと思っていたのに、駆け落ちまでしてしまって・・・私たちはもっと彼女の声を聞いてあげれば良かったって、後悔してるのよ」
ミリアの祖母であるスノーランド王妃が涙を拭う。
「それがもう会えなくなってしまうなんて・・・」
「我たちは娘を二人も失ってしまった・・・」
娘が駆け落ちして、国王は荒れてしまった時期があった。戦争を仕掛けるなどで気を紛らわしていたのだ。戦争に負け、フェリス国との同盟を強めるためにスノーランドの第二王女であったグレイス王女をフェリス国の貴族と婚約させた。ミリアの母のこともあったので貴族と結婚できるのだから幸せだろうと思っていた。あんな悲劇を生むとは思っていなかったのだ。
しばらく食事はしんみりとしてしまったが、ミリアとエドアルドの幼少期の話やスノーランドはどういう場所か色々聞いたりと会話が弾んだ。
「一面氷で覆われている湖、そこに映る月・・・幻想的な場所ね」
「うん、行ってみたいね」
ミリアとエドアルドは祖父母にスノーランドで住まないかと誘われたが、お断りした。もう二人はフェリス国の住民で、生活もフェリス国にある。しかし必ずやスノーランドへ遊びにいくことをミリアとエドアルドは祖父母に約束した。
「本当に良かったの?ミリア・・・私はあなたがこの国に残ってくれて嬉しいけれど・・・」
「ええ、良いんです。でももうシャーロット様の側で働けなくなりますね。寂しいです」
「私も寂しいわ・・・でもミリアは私の友達になってくれるでしょ?いつでも遊びに来て」
スノーランドの王族と公表してしまったので、ミリアはさすがに召し使いのような侍女としては働けなくなってしまった。エドアルドはスノーランドとフェリス国の架け橋となるよう、王都にあるスノーランド大使館の大使として働くこととなった。大出世だ。
(う~ん、これからどうしよう)
やはり女性であり、身分もあるミリアが働くことはなかなか難しい。エドアルドの給金が相当な額になったことで生活は全く問題ないのだが、とにかく暇だ。
ミリアとエドアルドの家の外には騎士団の警備がつくこととなったので出掛けるのも一苦労である。
(あ~暇だ~~)
ミリアは家の庭でで素振りをしたりして過ごしていた。
ーーピンポーン
(ん・・・誰だろ)
「・・・シルベスター様!?」
「やっほーミリアちゃん、暇してるらしいじゃない。ちょっと仕事する気ない?」
そこにはお忍びで平民の服を着たシルベスターが立っていた。ミリアの家の警備にあたっていた騎士は慌てふためいている。
(仕事は欲しいけど、シルベスター様、何か企んでない?)
「あのねー、しばらくの間ブラン騎士団でランドルフの補佐として働いてほしいんだよ。会計の仕事はもうできるだろう?」
「でも・・・王族の女性が働くなんて、前代未聞ですよね?」
「女性じゃないよ!だってミリアちゃんはエドアルドとして働くんだから」
(は・・・??)
「あたたたちのお母さんが、他国の平民と結婚すると告げたときには、それはもう猛反発したわ。少し冷静になれば落ち着くと思っていたのに、駆け落ちまでしてしまって・・・私たちはもっと彼女の声を聞いてあげれば良かったって、後悔してるのよ」
ミリアの祖母であるスノーランド王妃が涙を拭う。
「それがもう会えなくなってしまうなんて・・・」
「我たちは娘を二人も失ってしまった・・・」
娘が駆け落ちして、国王は荒れてしまった時期があった。戦争を仕掛けるなどで気を紛らわしていたのだ。戦争に負け、フェリス国との同盟を強めるためにスノーランドの第二王女であったグレイス王女をフェリス国の貴族と婚約させた。ミリアの母のこともあったので貴族と結婚できるのだから幸せだろうと思っていた。あんな悲劇を生むとは思っていなかったのだ。
しばらく食事はしんみりとしてしまったが、ミリアとエドアルドの幼少期の話やスノーランドはどういう場所か色々聞いたりと会話が弾んだ。
「一面氷で覆われている湖、そこに映る月・・・幻想的な場所ね」
「うん、行ってみたいね」
ミリアとエドアルドは祖父母にスノーランドで住まないかと誘われたが、お断りした。もう二人はフェリス国の住民で、生活もフェリス国にある。しかし必ずやスノーランドへ遊びにいくことをミリアとエドアルドは祖父母に約束した。
「本当に良かったの?ミリア・・・私はあなたがこの国に残ってくれて嬉しいけれど・・・」
「ええ、良いんです。でももうシャーロット様の側で働けなくなりますね。寂しいです」
「私も寂しいわ・・・でもミリアは私の友達になってくれるでしょ?いつでも遊びに来て」
スノーランドの王族と公表してしまったので、ミリアはさすがに召し使いのような侍女としては働けなくなってしまった。エドアルドはスノーランドとフェリス国の架け橋となるよう、王都にあるスノーランド大使館の大使として働くこととなった。大出世だ。
(う~ん、これからどうしよう)
やはり女性であり、身分もあるミリアが働くことはなかなか難しい。エドアルドの給金が相当な額になったことで生活は全く問題ないのだが、とにかく暇だ。
ミリアとエドアルドの家の外には騎士団の警備がつくこととなったので出掛けるのも一苦労である。
(あ~暇だ~~)
ミリアは家の庭でで素振りをしたりして過ごしていた。
ーーピンポーン
(ん・・・誰だろ)
「・・・シルベスター様!?」
「やっほーミリアちゃん、暇してるらしいじゃない。ちょっと仕事する気ない?」
そこにはお忍びで平民の服を着たシルベスターが立っていた。ミリアの家の警備にあたっていた騎士は慌てふためいている。
(仕事は欲しいけど、シルベスター様、何か企んでない?)
「あのねー、しばらくの間ブラン騎士団でランドルフの補佐として働いてほしいんだよ。会計の仕事はもうできるだろう?」
「でも・・・王族の女性が働くなんて、前代未聞ですよね?」
「女性じゃないよ!だってミリアちゃんはエドアルドとして働くんだから」
(は・・・??)
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