秘密の師弟関係

ほのじー

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第二章:恋の芽

夜のお出かけ④

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玄関に入ろうとすると、エドアルドとランドルフがこちらを見て立っていた。


「おかえりミリ姉。今日は楽しかった?」
「な、なんでランドルフ騎士団長が」


(さっきのキス、見られた?)


「いや、エドとちょっとお話があってだな。もう話は終わったから、帰る。じゃあな、エド」
「お気をつけて」


ランドルフはその場から去り三百メートル程進んだがミリアは走って追いかけ、彼を引き留めた。


「待って下さい、ランドルフ騎士団長」
「・・・なんだ」

ランドルフは背を見せたままで振り返ろうとしなかった。ミリアは勇気を振り絞りランドルフに訪ねることにした。


「最近ランドルフ騎士団長、私のこと避けてますよね」
「・・・そんなつもりはない」
「いいえ、あの日ランドルフ騎士団長が私のこと抱きしめた後から、あからさまに避けてるじゃないですか」
「・・・」


「私あのとき嬉しかったですよ。私のこと頼ってくれてる気がして。私ランドルフ騎士団長の背中を守れる人になりたいんです。もちろんまだまだ強くないですけど、せめて今は心の支えになりたいです」

ミリアはランドルフの背中にそっと手を触れた。ランドルフはミリアの手を振り払い振り返った。

そしてエドアルドは苛立ちながらドンッと側にあった壁を殴った。ミリアはその音にびくっと驚き半歩後ずさった。


「君が俺の何になれるって言うんだ。たかが会って数ヶ月だ・・・俺をすべて知ったような口を聞くな!!俺は誰も必要となんてしていない。足手まといだ」
「でも・・・人間ずっと一人でいたらどこかで心が壊れちゃいますよ」



ランドルフの瞳が薄暗くなる。

この時ミリアにはランドルフとミリアの間に厚い壁ができてしまったように感じた。

「どちらにしろ俺には君を必要としていない。女性なんだから結婚でもして家庭でも支えたらどうだ?君もどうせキースの顔と金に集る女性なんだろう。その美しい体を使ったら喜んであいつは君を受け入れてくれるだろうさ」
「そんなことっ・・・!!ーーーいえ、ごめんなさい余計なことでしたよね。ではお時間取らせてすみませんでした。失礼します」



ミリアは後ろに振り向き、家の玄関へ入っていった。ランドルフの帰る足音が遠のいていく。しばらくすると悔しさと悲しさでミリアの涙がじわじわと込み上げた。しばらくの間ミリア嗚咽がその場に漏れ聞こえていた。



「ミリ姉、目冷やしなよ」
「ありがとう、エド。大丈夫だから」
「・・・まったく、あの騎士団長はバカだよ、本当にバカだ」
「いいのよ、エド。私が余計だったの」





ーーー『ねぇ、師匠、叶わないと思うけど、僕はもっと強くなって師匠の背中を守るのが夢なんだ』

ランドルフの背中にミリアは手を当てる。ランドルフは振り返り笑顔を見せた。

『ありがとう、エド。じゃあ俺も頑張らないとな。君に追い付かれちまう』




昔ミリアとランドルフが交わした約束の情景が、ミリアの頭に何度も浮かんでは消えていった。

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