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レオンの心
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※視点が途中で変わります。
「レオン・・・もう結婚の期限に近づいてて、エリカも最近婚約破棄について聞きたそうにしてるぞ」
「うん・・・もう体は僕たち以外で満足できないようにはなったけど・・・エリカは鈍感だから恋だとか愛だとか分かってなさそうだよね」
レオンがため息をついた。エリカはどこか現実逃避しているところがあり、未だに「私は見守り隊なのですっ」と言っているのだ。
「早く、彼女の気持ち、気づけばいいんだけど」
「ああ・・・俺はもうあいつ以外考えられない」
「僕もだよ。彼女を・・・愛してる」
レオンは王子として生まれ、国王である父に厳しく育てられてきた。女性にちやほやされ、天狗になっていた時期もあったが、どの女性も彼を‘王子のレオン’としてしか見てくれず、レオンは女性に興味を失っていった。そんな時レオンは誘拐されることとなる。心細く、自棄になっていた時期に、「王子、助けにきたぞ」と単身で助けにきたビッグに、レオンが男性である彼に恋に落ちるのは無理なかった。
(でも僕は彼女に出会った・・・)
レオンがエリカと出会ったとき、レオンにとって彼女はビッグと一緒になるために必要な女性という認識だった。しかし彼女を知るにつれて、レオンは彼女の自由奔放で、頑張り屋さんで、ある意味単純な彼女に惹かれていき、レオンは既に彼女を愛しているのだと気づかされた。レオンはビッグももちろん愛しているが、もう焦がれるような思いはなくなっている。ただただビッグと二人で彼女を愛したいという気持ちだけだ。
「ビッグ・・・僕・・・」
「ああ、言わなくても分かってる・・・」
ビッグと知り合ってから長い時が過ぎた。もう何も言わなくともお互いの気持ちは分かってしまう。
「さあ、行こうか。彼女が待ってる」
「ああ・・・」
+
+
+
「レオン王子・・・その・・・そろそろ婚約破棄した方が良いのではないでしょうかっ」
「どうしたの?エリカ」
エリカはビッグとレオンを知れば知る程離れがたくなっていく。今では無言で微睡んでいる時間でさえ心地よく、彼らがエリカの人生の一部となりつつあった。
(もう、これ以上は無理・・・)
エリカはこの婚約は二人の愛を応援するために、やってきたことである。この婚約が終わればエリカはモブ役に戻るだけだ。
「エリカは・・婚約破棄・・・したいの?」
(したくない・・・でも、しなきゃ駄目)
既にエリカの心が激しく痛んでいる。エリカは勇気を持って、レオンを見つめた。
「はい、あなたの本当の愛の為に、婚約破棄してください」
ビッグはソファーの後ろに立っていた。ビッグはレオンに目線を送る。
「本当の・・・愛、か。分かった。準備に取りかかろう」
「お、おい、レオン!!」
レオンは決断したようだ。ゲームでレオンはビッグとの愛を貫き、まだ幼い第二王子が成人した時、国王の継承権を譲り身を引く。エリカはその愛をいつまでも応援しようと心に誓った。
「なあ、何でエリカは、泣いてるんだ?」
「目に・・・ゴミが入って・・・」
エリカから一筋涙が伝う。エリカは目を拭い、何か言いたそうなビッグを無視してトイレに入った。エリカは心が落ち着くまでそこを出なかった。
「レオン・・・もう結婚の期限に近づいてて、エリカも最近婚約破棄について聞きたそうにしてるぞ」
「うん・・・もう体は僕たち以外で満足できないようにはなったけど・・・エリカは鈍感だから恋だとか愛だとか分かってなさそうだよね」
レオンがため息をついた。エリカはどこか現実逃避しているところがあり、未だに「私は見守り隊なのですっ」と言っているのだ。
「早く、彼女の気持ち、気づけばいいんだけど」
「ああ・・・俺はもうあいつ以外考えられない」
「僕もだよ。彼女を・・・愛してる」
レオンは王子として生まれ、国王である父に厳しく育てられてきた。女性にちやほやされ、天狗になっていた時期もあったが、どの女性も彼を‘王子のレオン’としてしか見てくれず、レオンは女性に興味を失っていった。そんな時レオンは誘拐されることとなる。心細く、自棄になっていた時期に、「王子、助けにきたぞ」と単身で助けにきたビッグに、レオンが男性である彼に恋に落ちるのは無理なかった。
(でも僕は彼女に出会った・・・)
レオンがエリカと出会ったとき、レオンにとって彼女はビッグと一緒になるために必要な女性という認識だった。しかし彼女を知るにつれて、レオンは彼女の自由奔放で、頑張り屋さんで、ある意味単純な彼女に惹かれていき、レオンは既に彼女を愛しているのだと気づかされた。レオンはビッグももちろん愛しているが、もう焦がれるような思いはなくなっている。ただただビッグと二人で彼女を愛したいという気持ちだけだ。
「ビッグ・・・僕・・・」
「ああ、言わなくても分かってる・・・」
ビッグと知り合ってから長い時が過ぎた。もう何も言わなくともお互いの気持ちは分かってしまう。
「さあ、行こうか。彼女が待ってる」
「ああ・・・」
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「レオン王子・・・その・・・そろそろ婚約破棄した方が良いのではないでしょうかっ」
「どうしたの?エリカ」
エリカはビッグとレオンを知れば知る程離れがたくなっていく。今では無言で微睡んでいる時間でさえ心地よく、彼らがエリカの人生の一部となりつつあった。
(もう、これ以上は無理・・・)
エリカはこの婚約は二人の愛を応援するために、やってきたことである。この婚約が終わればエリカはモブ役に戻るだけだ。
「エリカは・・婚約破棄・・・したいの?」
(したくない・・・でも、しなきゃ駄目)
既にエリカの心が激しく痛んでいる。エリカは勇気を持って、レオンを見つめた。
「はい、あなたの本当の愛の為に、婚約破棄してください」
ビッグはソファーの後ろに立っていた。ビッグはレオンに目線を送る。
「本当の・・・愛、か。分かった。準備に取りかかろう」
「お、おい、レオン!!」
レオンは決断したようだ。ゲームでレオンはビッグとの愛を貫き、まだ幼い第二王子が成人した時、国王の継承権を譲り身を引く。エリカはその愛をいつまでも応援しようと心に誓った。
「なあ、何でエリカは、泣いてるんだ?」
「目に・・・ゴミが入って・・・」
エリカから一筋涙が伝う。エリカは目を拭い、何か言いたそうなビッグを無視してトイレに入った。エリカは心が落ち着くまでそこを出なかった。
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