上 下
22 / 37

決勝

しおりを挟む

「では、決勝を開始します。両者、前へ!!」


(お、おぉお!!第二騎士団長ジェイク様じゃないですか!!)


ジェイクとビッグが対面する。ジェイクはヤクザのような静かな睨みをきかせ、ビッグは大きな体で威圧を出しつつジェイクを睨んだ。


(こ、こわぁぁああああああ)


二人の強面な男を見るだけで、子供であったらチビりそうである。


『うえ~~~ん!!ママぁ~!!』


(言わんこっちゃない!!)


ジェイクの天使、副団長セルは、彼をそばで見守っていた。手にはお守りのようなものを握りしめている。


「では試合、はじめっ!!」


ジェイクは二刀流である。両手に剣を握り、ビッグに切りかかる。


──キーン、キーン!!


お互い引けを取らず、互角の戦いが続く。ジェイクは間合いの取り方が上手いのか、ビッグの重い剣をサラリとかわす。


(うわぁ・・・すごい・・・剣のこと全然分からないけど・・・二人が本当に強いのは誰が見てもわかる・・・)


ビッグは体が大きいので動きが見破られやすい。じっと勝機を待ち、動きを最小限に抑えている。


(ビッグ団長・・・頑張って)


平行線が長く続いたが、ビッグは徐々に体を移動させた。するとジェイクに僅かな動揺が一瞬見えた。ビッグはそれを見てニヤリと口角を上げた。


(まさか・・・ビッグ団長、セル×ジェイクの関係知って・・・)


ビッグは体を徐々にセルの真ん前に移動させ、ジェイクの視界にセルを入れたのだ。ジェイクの気が逸れた瞬間をビッグは見逃さずに剣を振り下ろした。


──カラン・・・


ジェイクの剣が一本手から抜けた。その剣は砂の上に虚しく落下した。


「勝者、第一騎士団長、ビッグ!!」


──ワァァアアアアアアア!!


「すごい!!すごい!!団長すごい!!」


エリカは皆と共に立ち上がり拍手を手が痛くなるまで叩いた。褒美にビッグは大きな勲章と賞金が与えられ、無事に試合が終わった。


「格好よかったよ、さすがうちの団長だ」


人が去っていき、片づけが始まっている。レオンがビッグの肩をポンポンと叩いた。人前なので友人への称賛のような言い方だが、絶対にレオンは今ビッグにキスを送りたいと思っているはずだ。そしてジェイクもまだ横に立っており、セルが近づいている。


(おぉおおおおお、おぉおおおおお!!)


エリカは目を輝かせた。


(夢の・・・四キャラクター、大・集・合!!)


エリカは一歩下がり、四人揃った光景を目に焼き付ける。今から打ち上げを行うらしく、四人交えて話し合いを行っているではないか。


(今夜はキャラ交換か!?それとも四人一緒に!?うふふ、うふふふふふふ)


「エリカ、おいで」


妄想を始めニヤニヤとしていると、エリカはレオンに呼ばれる。眼福な四人に近づくのは申し訳ない上緊張するが、そーっと近づいた。


「今から何人かで打ち上げでもしようって言ってるんだけど、エリカも来るかい?一応僕の婚約者だから歓迎するよ」
「え・・・いいんですか??行きます!!」


エリカは隠れてガッツポーズをした。BL見守り隊として、これは絶対に見逃せない。


「じゃ、後でこの場所で落ち合おうか」


試合参加者は皆汗をかいているので、一旦シャワーを浴びるそうだ。その場面を覗きたい衝動に駈られるも、今夜のためにとエリカはぐっとこらえて打ち上げ場所へと向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

男女比がおかしい世界にオタクが放り込まれました

かたつむり
恋愛
主人公の本条 まつりはある日目覚めたら男女比が40:1の世界に転生してしまっていた。 「日本」とは似てるようで違う世界。なんてったって私の推しキャラが存在してない。生きていけるのか????私。無理じゃね? 周りの溺愛具合にちょっぴり引きつつ、なんだかんだで楽しく過ごしたが、高校に入学するとそこには前世の推しキャラそっくりの男の子。まじかよやったぜ。 ※この作品の人物および設定は完全フィクションです ※特に内容に影響が無ければサイレント編集しています。 ※一応短編にはしていますがノープランなのでどうなるかわかりません。(2021/8/16 長編に変更しました。) ※処女作ですのでご指摘等頂けると幸いです。 ※作者の好みで出来ておりますのでご都合展開しかないと思われます。ご了承下さい。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

溺愛三公爵と氷の騎士 異世界で目覚めたらマッパでした

あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
旧題:泣き寝入りして目覚めたらマッパでした~溺愛三公爵と氷の騎士~ 恋愛下手な「私」がやっと好きになった人に誤解され、手酷く抱かれて、泣きながら眠り、起きたら知らない部屋の寝台の上。知らない男、知らない世界。確かに私、リセットしたいと思いながら寝たんだっけ。この夢、いつ覚めるんだろう?と思いつつ、結局また元いた世界と同じ職業=軍人になって、イケメンだけれどちょっとへんな三人の公爵様と、氷の美貌の騎士様とで恋したり愛したり戦ったり、というお話。プロローグはシリアスですが、ご都合主義満載、コメディシリアス行ったり来り。R18は予告なく。(初っ端からヤってますので)

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

異世界転生先で溺愛されてます!

目玉焼きはソース
恋愛
異世界転生した18歳のエマが転生先で色々なタイプのイケメンたちから溺愛される話。 ・男性のみ美醜逆転した世界 ・一妻多夫制 ・一応R指定にしてます ⚠️一部、差別的表現・暴力的表現が入るかもしれません タグは追加していきます。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

女性の少ない異世界に生まれ変わったら

Azuki
恋愛
高校に登校している途中、道路に飛び出した子供を助ける形でトラックに轢かれてそのまま意識を失った私。 目を覚ますと、私はベッドに寝ていて、目の前にも周りにもイケメン、イケメン、イケメンだらけーーー!? なんと私は幼女に生まれ変わっており、しかもお嬢様だった!! ーーやった〜!勝ち組人生来た〜〜〜!!! そう、心の中で思いっきり歓喜していた私だけど、この世界はとんでもない世界で・・・!? これは、女性が圧倒的に少ない異世界に転生した私が、家族や周りから溺愛されながら様々な問題を解決して、更に溺愛されていく物語。

処理中です...