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セカンドキス

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(だ、団長・・・やば・・・気まずい・・・)


馬車からレオンと意識を持ち直したエリカがふらふらと降りる。すると護衛に参加できなかったビッグが王城の門で待っていた。ビッグの愛するレオンがエリカにキスをして、失神してしまったという罪悪感で、彼から顔を反らしてしまった。


「彼女、久々の外出で少し疲れてしまったようだよ。僕も部屋まで送ろう」


レオンはそう言ってエリカの腰を持ちながら部屋まで向かう。その後ろを護衛としてビッグが付いてきた。


「大丈夫、エリカ」
「だ・・・大丈夫です・・・!!ちょっと疲れてしまっただけで・・・」


(レオン王子、なんでビッグ団長が後ろにいるのに、そんな余裕なのよぅ)


「じゃ、僕はこれで・・・じゃあね、エリカ」


そう言ってレオンが帰ろうとすると、何故かビッグがレオンを引っ張り一緒に部屋に入った。ビッグはカチャリと鍵をかけることも忘れない。ビッグはレオンの耳元で呟いた。


「数分なら、バレないだろ。もう少しここにいろ」
「うん・・・じゃあ少しだけ」


レオンがエリカをソファーに寝かせ、ブランケットを被せる。その横でビッグがレオンの唇に親指を乗せ、ゆっくりと愛しそうに擦っていた。ビッグは手を動かしつつ、レオンの唇を熱い瞳で見つめていた。


(もしかして・・・レオン王子が私にキスしたのバレてる!?もしかして嫉妬してる!?ヤバい・・・ヤバいよ・・・)


エリカは気まずさと恥ずかしさで胸のドキドキが止まらない。エリカは隠れるようにブランケットの中に潜り込む。しかし見守り隊として見届けなければと思い、寝ている振りをしてチラッと覗く。


「レオン・・・お前エリカにキスしたんだろ?バレバレだ。どんな感じがしたか言えよ」
「・・・すごく、柔らかくて・・・しっとりとしてたよ」


(レオン王子・・・なんでそんなこと言うんですか──!!)


「味はどうだった?」
「すごく甘かった・・・」


二人はお互い熱く見つめあっているのにエリカとのキスの話をしていて、そんなあべこべな状況にエリカは戸惑う。


「おい、変態・・・見てんだろ・・・」


エリカは覗いていたブランケットを再び被って見ていない振りをするが、ビッグは立ち上がり、ブランケットを剥ぎ取った。


「顔真っ赤にしやがって・・・俺にも少し味見させろ」


ビッグはエリカの頭の後ろを大きな手で掴み、エリカに唇を押し付けた。下唇を何度も甘味みされ、噛まれているだけなのに気持ちがいい。


「ビッグ、どう?彼女の味は」


向い側のソファーで一人座っているレオンが二人のキスを見ながらニコリと笑っている。


「ああ・・・お前の言ったとおり・・・甘いな・・・」


──プシュゥゥゥゥ!!


「あ・・・またやり過ぎちゃったね」


エリカは白目を向いて二度目の爆発を遂げた。
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