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歩みより
しおりを挟む「・・・なんでここにいるんだ」
「なんでって・・・私たちは夫婦だろう」
セナはライトのベッドの上で正座をしながら待っていた。ライトの眉間のシワが深くなっていく。しかしセナは引くつもりはなかった。最近避けられていることにはセナも気づいていた。どうライトに接触しようとも、忙しいと言って取り繕ってくれないのでセナは侍女たちの力を借り強行突破することにしたのだ。
「最近私を避けていただろう・・・なんでだ」
「・・・お前の大事なエリックとの時間が大事かと思ったんだ」
「・・・なんでエリックの名前が出てくるんだ・・・私はライトとの時間が大事だ・・・私はライトを・・・」
セナはその言葉の続きに何を言おうとしたのだろうか。大切な何かだとセナは思ったが、セナには分からない。もう少し考えれば分かりそうなのだ。
(私はライトを・・・)
セナがそれを考えていると、ライトはセナの腕をがしりと掴み、部屋の扉へと引っ張ろうとした。しかしセナは踏ん張りそこから動こうとしなかった。
(ここから出たら・・・もう一生ライトに拒絶される気がする・・・)
ライトが何を思っているのか、何故セナを避けているのか分からないが、セナの勘がここで引き下がってはいけないと頭の中で警告音を鳴らしている。
「とにかく出でていくんだ・・・」
ライトは少し苛立っているようである。いつもより険しい表情にセナは怯みそうになるが、セナは彼の胸元に抱きついた。
「お願いだ・・・ライト・・・」
ライトは抱きついたセナに一瞬戸惑いを見せる。セナがライトの表情を見ようと上を向くと、彼の赤茶色の瞳が熱を持ってセナを射ぬかんばかりである。しばらく見つめ合い、セナが瞳を閉じるとライトはセナに顔を近づけた。二人の鼻がぴたりとくっつき、唇が軽く合わさる。そしてライトは唇を放し、セナの耳元で囁いた。
「・・・このまま留まるってことは・・・こういうこともするって事だぞ」
セナはこくりと頷き、再び目を閉じた。ライトはセナの唇に何度も唇を重ね、チュッ、チュッ、とリップ音を鳴らす。
(気持ちいい・・・)
ライトはキスをしながら優しくセナを抱きしめ、ベッドへとセナを促した。
「んん・・・」
セナが息継ぎをしようと口を少し開けると、そこにヌメりとしたものが口内に入ってくる。セナはそれが舌であると気付き驚くも、その舌がセナの舌に絡まると力が抜け、セナはされるがままだ。ライトはくちゅくちゅと口内の至るところをなぞっていく。
「んんん・・・」
セナの体が徐々に火照っていき、電気が走るような感覚が続き、背筋の骨がどろどろに溶けているようである。セナは力が入らずライトにしがみついたまま二人の吐息が混じりあい、火傷するくらいに熱を持つ。
「ライト・・・」
セナの胸の鼓動が止まらない。満たされる気持ちと同時に、もっと触れあいたいという欲望がせり上がってくる。
(この剣が、邪魔だな)
「ライト・・・寝るときくらい、帯剣しなくていいんじゃないか」
「・・・剣?」
「ここにしまっているだろう?」
セナはその剣に触れる。するとライトから「ぐっ・・・」とうめき声が聞こえる。
(あれ・・・なんか剣とは違う・・・)
お腹で感じていた硬い感触を確かめようと手でまさぐった。そこには確かに短剣の鞘のように硬いものがあるのだが、どこか違う。
「これは・・・なんだ」
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