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朝の運動と再会
しおりを挟む「はぁ・・・はぁ・・・駄目だ。やはり体力が減っているようだ」
「さすが小猿だな。それでもうちの戦士の二番手と十分張り合える強さだ」
(でもライトには全く敵わない)
やはりライトは強い。いくら剣を当てようと振りかぶっても、その剣の道筋が見えているかのようにひらりと交わしてしまう。ライトは常に数センチ程しか動いておらず、無駄な動きがないのだ。
「うーん、今日から毎日走り込みをしないとな。次こそギャフンと言わせてやる」
「奥さんに負けては私の面子が立たないから、私もセナに負けないよう精進しないとな」
「そ、それじゃいつまでたってもライトに勝てないじゃないか」
ぷんぷんと怒るセナを、面白そうに見ながらライトはセナに近寄り、髪の毛をぐしゃぐしゃと撫でた。そしてライトはセナを優しく抱き締める。
「ラ、ライト、やめてくれ。今すごく汗臭い」
「・・・そうか?」
ライトはセナの首筋に鼻を近づけ、すんすんとセナを匂う。
「ん・・・」
ライトの髪の毛がセナの首筋に掠め、くすぐったくて声が出てしまう。
「本当だ。セナの薔薇のような芳しい香りに塩の匂いが混じってる」
「そ、そんな訳・・・ひゃぁ・・・」
ライトはセナの首筋に唇を付け、その塩を舐めとるかのように、スーっと首筋から耳の後ろまで舌で撫で上げた。
「んんん・・・」
「すごく、甘い」
セナの脳に電気が走ったような感覚が走る。なぜか足に力が入らなくなり。ライトにしがみついた。
「おいおいおい、朝からまたいちゃついてるのか」
「っ・・・」
シュバルツが笑いながら近づいてくる。セナはなぜか恥ずかしいところを見られた気がして顔を赤らめた。
「シュバルツ、こんな朝から何のようだ・・・」
「僕は仕事が速いから、さっそく例の彼を連れてきたけど・・・どうしたらいい?タイミング悪いなら仕切り直すけど」
「っ・・・いや、構わない。連れてこい」
シュバルツは遠くにいる戦士風の男に合図をする。すると彼に連れられて捕虜の格好をした男が近づいてきた。
「エ・・・エリック!!」
「セナ・・・無事でしたか・・・」
明るい茶色の髪に、蛇のような黄色く細長い瞳を細めながらやってくる男は父の最も信頼する部下のエリックであった。小さい頃に父が二人を結婚させると言っていたこともあり、父の命令によりセナとエリックは常に一緒に行動をさせられていた。どんな時も冷静であるこの男も、戦争に敗れ少し窶れているようだ。
「エリック、お前が無事で良かった・・・心配したぞ」
「ええ、私も毎日毎日セナのことを考えておりました・・・それは気が狂う程に・・・」
セナは大袈裟だと思っていると、エリックがセナの両手を握った。その手の力はいつもより強く、必死さが伺えた。
「ああ、セナ・・・本当にあなただ・・・」
セナはエリックに戦後どのように過ごしたか、父の末路をどうであったかを詳しく聞いた。話に夢中で気がつかなかったがいつの間にかそこには護衛のみとなっており、ライトとシュバルツは城内へ戻ったそうだ。
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