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図書館での出会い

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国王に表彰されてから、さらにジェイクとセルの名声が上がり、チャリティーでの練習試合や剣士の卵たちへの指導など忙しくしているようだ。レイの仕事も増え、毎日残業の日々である。しかし土曜日は早めに仕事を切り上げて午後に国立図書館へ行き本を読む習慣は続けていた。


「あっ・・・」
「あ・・・」


一冊の本を取ろうとすると、誰かも同じ本を取ろうとしていたらしく、手がぶつかってしまう。


「す、すみません・・・」
「いえ、こちらこそ」


そこには茶色い髪をした、いかにも真面目そうな眼鏡をかけた男性が立っていた。


「ど、どうぞ・・・」
「いいんですか?」
「え、ええ・・・まだ一冊本があるので・・・そっちを先に読みます」


レイが男性のもっているもう一つの本のタイトルを見ると、レイが最近読んだ外国詞である。


「あ・・・それ。面白いですよね」
「あ、あなたも彼の本・・・読むんですか」


レイは男と会話をし始める。彼とは他にも好きな作家が多く共通しており、意気投合する。


「あの・・・お茶でもしませんか・・・」


男はレイを誘った。レイは少しだけなら・・・と言って、一緒に本を借りて近くの喫茶店に入った。彼の名はサムといって隣街の国語教師をしているらしい。週末はこうやって王都までやってきて本を読みあさるそうだ。


「へぇ・・・騎士団でお仕事を」
「はい、そうなんです」
「職場は男性ばかりで、大変でしょう」
「大変ですけど、遣り甲斐があるので、すごく楽しいんです」


レイは上司であるジェイクとセルを思いだし、笑顔になる。


「へぇ・・・きっと素敵な上司なんでしょうね・・・あなたをこんな笑顔にするんですから・・・」
「あ・・・そうですね。良い上司です」
「羨ましいなぁ。こんな綺麗な部下をもつあなたの上司が」


サムは優しそうに微笑んだ。レイは急な自分への誉め言葉に顔を赤くする。


「す・・・すみません。会ったばかりの男にこんな事いわれても、気持ち悪いですよね・・・つい、本音が出ちゃいました」
「い、いえ、そんなことは・・・」


サムもウブなのか、顔を赤くしている。しかし再び本の話題に移り、気まずさは徐々に消えていった。話は盛り上がり来週の土曜日も同じ時間に図書館で会うこととなる。初めて男性の友人といえる人ができそうでレイは少し心が浮わついた。


(職場の人は、皆スペック高すぎるから、私みたいな地味子、浮いちゃうもんね)


サムは、とても平凡な顔をしているが、とても優しそうで、友人としてとても仲良くなれそうだと感じる。


(職場で一番仲良いってのはジェイク団長とセル副団長だけど・・・友人って関係でもないしね・・・)


ジェイクとセルはあくまでも雲の上の人間である。前世でも彼らはレイの愛するアイドルであり、憧れで、妄想の中でのみ触れあうことのできる人だ。もし彼らに慣れてしまえば、レイは一生結婚などできないであろう。


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