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二章:思春期~新成人
閑話:カイル、同伴する
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※カイル視点です
「とても綺麗だ、リリィちゃん。君をエスコートできて嬉しいよ」
(会場で彼女が今日一番綺麗なんじゃないかな)
カイルがまさかリリィをエスコートできるとは思わなかった。あの嫉妬深いヴィンセントが絶対譲らないと予想していたからである。若さを抜け出している体つきと、いつまでも変わらない可愛らしい顔(童顔なのだろう)は、カイルにもやましい気持ちが芽生える。
(自分は気づいてないってところがまた危ういなぁ)
会場に入ると多くの人間がリリィに注目する。どれだけの男がリリィに見惚れただろうか。遠くで立っているヴィンセントも、リリィの姿に呆けているのを目敏く見つける。ヴィンセントもカイルの優越感に浸る視線に気付き、気まずそうに目を反らした。
(後悔しなよ、ヴィンセント)
リリィにルビーのネックレスとイヤリングを送っておきながら、リリィを避けてエスコートできないという意気地無しにカイルはこの際、存分に見せつけようと思う。
+
+
+
まさかリリィに国王が目をつけるとは想定外であった。
(あのエロジジイ・・・)
国王はリリィをまるで娼婦であるかのようにいやらしい目で見ていた。部屋に呼ぶ国王に、とっさにカイルが言い訳をして止めたのだが、危なかった。危ない汗が吹き出すのが分かる。
(危うくヴィンセントのオーラが国王に向かうところだった)
ヴィンセントが警備員が持っている剣を取ろうと手を伸ばしているところが目の端に見えた。国王も強いオーラ持ちなので失敗の可能性は高い上、こんな大勢いる場所で剣を抜けば、いくら国の兵器と呼ばれるヴィンセントでも、奴隷含め何万もの兵士持つと呼ばれている彼には到底敵わないだろう。
(百人斬りくらいはできそうだけど)
この国でヴィンセントのオーラを纏う一撃を防ぐことができるのは国王、伯爵以上の貴族数名、そして騎士隊十人程だ。
(ヴィンセント、今は押さえろ)
国王への挨拶の後もカイルの仕事は多い。リリィに話しかけようとする貴族たちを牽制し、(少しだけオーラで威圧したことは認めよう)悪い噂の聞く貴族からリリィを遠ざけた。息のピッタリであるカイルとリリィのダンスに皆「ほぉ」とため息が漏れていた。
(そりゃリリィちゃんとダンスは何度も練習したからね)
ちょうどリリィが十五歳となり思春期真っ只中だ。今までしょちゅうヴィンセントと踊ったにも関わらず、リリィはヴィンセントと踊るのが恥ずかしいと言いだした。それから専らカイルが練習になったのだ。「俺もリリィと躍りたい」とヴィンセントの憂さ晴らしに騎士団の練習でカイルがボコボコにされたのも記憶に新しい。
『まぁ、息がぴったし』
『まるで王子様と妖精ね』
年配の女性たちやカイルの友人たちは微笑ましくリリィとカイルの様子を伺っていた。リリィが踊っている最中にヴィンセントを探している様子が分かり、リリィにターンをさせて彼女の視界にヴィンセントが映らない位置に踊った。カイルは嫉妬に燃えているヴィンセントにむけてウインクをする。カイルの嫌がらせである。
(今は僕の番だからね。悔しかったら奪いにきな)
+
+
+
(東の国の使者・・・?)
その男がリリィに話しかけると、リリィは固まった様子である。カイルはとっさにその男に話しかけた。
「とても綺麗だ、リリィちゃん。君をエスコートできて嬉しいよ」
(会場で彼女が今日一番綺麗なんじゃないかな)
カイルがまさかリリィをエスコートできるとは思わなかった。あの嫉妬深いヴィンセントが絶対譲らないと予想していたからである。若さを抜け出している体つきと、いつまでも変わらない可愛らしい顔(童顔なのだろう)は、カイルにもやましい気持ちが芽生える。
(自分は気づいてないってところがまた危ういなぁ)
会場に入ると多くの人間がリリィに注目する。どれだけの男がリリィに見惚れただろうか。遠くで立っているヴィンセントも、リリィの姿に呆けているのを目敏く見つける。ヴィンセントもカイルの優越感に浸る視線に気付き、気まずそうに目を反らした。
(後悔しなよ、ヴィンセント)
リリィにルビーのネックレスとイヤリングを送っておきながら、リリィを避けてエスコートできないという意気地無しにカイルはこの際、存分に見せつけようと思う。
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まさかリリィに国王が目をつけるとは想定外であった。
(あのエロジジイ・・・)
国王はリリィをまるで娼婦であるかのようにいやらしい目で見ていた。部屋に呼ぶ国王に、とっさにカイルが言い訳をして止めたのだが、危なかった。危ない汗が吹き出すのが分かる。
(危うくヴィンセントのオーラが国王に向かうところだった)
ヴィンセントが警備員が持っている剣を取ろうと手を伸ばしているところが目の端に見えた。国王も強いオーラ持ちなので失敗の可能性は高い上、こんな大勢いる場所で剣を抜けば、いくら国の兵器と呼ばれるヴィンセントでも、奴隷含め何万もの兵士持つと呼ばれている彼には到底敵わないだろう。
(百人斬りくらいはできそうだけど)
この国でヴィンセントのオーラを纏う一撃を防ぐことができるのは国王、伯爵以上の貴族数名、そして騎士隊十人程だ。
(ヴィンセント、今は押さえろ)
国王への挨拶の後もカイルの仕事は多い。リリィに話しかけようとする貴族たちを牽制し、(少しだけオーラで威圧したことは認めよう)悪い噂の聞く貴族からリリィを遠ざけた。息のピッタリであるカイルとリリィのダンスに皆「ほぉ」とため息が漏れていた。
(そりゃリリィちゃんとダンスは何度も練習したからね)
ちょうどリリィが十五歳となり思春期真っ只中だ。今までしょちゅうヴィンセントと踊ったにも関わらず、リリィはヴィンセントと踊るのが恥ずかしいと言いだした。それから専らカイルが練習になったのだ。「俺もリリィと躍りたい」とヴィンセントの憂さ晴らしに騎士団の練習でカイルがボコボコにされたのも記憶に新しい。
『まぁ、息がぴったし』
『まるで王子様と妖精ね』
年配の女性たちやカイルの友人たちは微笑ましくリリィとカイルの様子を伺っていた。リリィが踊っている最中にヴィンセントを探している様子が分かり、リリィにターンをさせて彼女の視界にヴィンセントが映らない位置に踊った。カイルは嫉妬に燃えているヴィンセントにむけてウインクをする。カイルの嫌がらせである。
(今は僕の番だからね。悔しかったら奪いにきな)
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(東の国の使者・・・?)
その男がリリィに話しかけると、リリィは固まった様子である。カイルはとっさにその男に話しかけた。
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