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序章-2
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「セインからまだ電報届かないのか?」
「ああ、もう二週間経つんだが」
アーネストと同じ黒髪で整った顔をしている男がソファーでウイスキーを嗜んでいた。彼フェネルは伯爵家次男だ。アーネストの従兄弟でもあり、友人である。
(事故にでもあったのか?)
コルケット領まで速馬で三日、馬車で五日かかるのだが、とっくに着いているはずである。
「アーネスト、お前が行ってきたらどうだ?」
「・・・知ってるだろう、俺が田舎が嫌いなことを」
ブロア侯爵であるアーネストは屋敷を数十棟所有しているのだがコルケット領のような小規模の町には所有していない。普通の家があるのかも謎である。もし行くとなればコルケット男爵の屋敷に泊まることとなるだろう。
「そういえば、お前を引きずり落とそうとしたバーク伯爵が賄賂と闇取引で捕まったらしいけど、お前が関与してるんじゃないだろな?」
「後ろめたいことがある奴は自然と滅びるだけだ。俺はきっかけを作ってあげたのみ」
「うわ~相変わらず冷静・鬼畜だな」
アーネストは淡々と仕事をこなしているだけだ。犯罪を犯すものは捕まるだけであるし、人情なんてものはとっくの昔に捨ててしまった。
──コンコン──
「入れ」
コルケット領の問題についてフェネルと話し合っていたのだが、部屋にノックが響いた。使用人が申し訳なさそうに入ってくる。
「歓談中申し訳ございませんが、セインから電報が届いたようです」
「やっとか」
アーネストはフェネルと共に電報を開いた。
『アーネスト様、コルケット領は素晴らしい場所で天国のようです。申し訳ありませんが、私にこの領地を潰すような手続きはできませんので他の者を派遣するようにお願い致します。この素晴らしい土地の主人の行く末を見届けるまで有給を使わせていただきたく存じます。 セイン』
アーネストの眉間にシワが寄る。フェネルも驚きを隠せないようだ。セインは仕事ができて、アーネストが学校を卒業してからずっと付いている秘書である。その彼がこう簡単に仕事を放棄するとは思えない。
「コルケット領で、いったい何があったんだ」
「天国みたいな場所だってさ、僕も行ってみたいな」
いつも冷静なアーネストでも、冷静でいられない。しかし友人であるフェネルは自由人であり遊び人であるので、コルケット領に興味を持ち出したようだ。
「フェネル、キャサリンに劇場へは行けないと断りを入れておいてくれ」
「行くの?コルケット領まで」
「仕方ないだろう、俺が行くしかない」
キャサリンはアーネストの婚約者でフェネルの妹である。彼女はフェネルのように背が高くスラリとしており百年に一度生まれるかどうかの美人だと囁かれている。彼女はまさしく次期侯爵夫人に相応しい女性だ。政略結婚であるがアーネストは生まれながら侯爵として生きてきているので、それが疑問にも思わない。
「僕も行きたいな~」
「お前はしばらくここで俺の重要でない仕事を請け負っておいてくれ。緊急のものはコルケット領まで送ってくれればいい」
「はいはい。ちぇ、俺も行きたかった」
「中間報告で来てもらうことになるかもしれない。あとセインにそちらに向かうと伝えておいてくれ」
アーネストは乗り気ではないが、しかたないと数日分の仕事をまとめ、二日後コルケット領へと向かった。
「ああ、もう二週間経つんだが」
アーネストと同じ黒髪で整った顔をしている男がソファーでウイスキーを嗜んでいた。彼フェネルは伯爵家次男だ。アーネストの従兄弟でもあり、友人である。
(事故にでもあったのか?)
コルケット領まで速馬で三日、馬車で五日かかるのだが、とっくに着いているはずである。
「アーネスト、お前が行ってきたらどうだ?」
「・・・知ってるだろう、俺が田舎が嫌いなことを」
ブロア侯爵であるアーネストは屋敷を数十棟所有しているのだがコルケット領のような小規模の町には所有していない。普通の家があるのかも謎である。もし行くとなればコルケット男爵の屋敷に泊まることとなるだろう。
「そういえば、お前を引きずり落とそうとしたバーク伯爵が賄賂と闇取引で捕まったらしいけど、お前が関与してるんじゃないだろな?」
「後ろめたいことがある奴は自然と滅びるだけだ。俺はきっかけを作ってあげたのみ」
「うわ~相変わらず冷静・鬼畜だな」
アーネストは淡々と仕事をこなしているだけだ。犯罪を犯すものは捕まるだけであるし、人情なんてものはとっくの昔に捨ててしまった。
──コンコン──
「入れ」
コルケット領の問題についてフェネルと話し合っていたのだが、部屋にノックが響いた。使用人が申し訳なさそうに入ってくる。
「歓談中申し訳ございませんが、セインから電報が届いたようです」
「やっとか」
アーネストはフェネルと共に電報を開いた。
『アーネスト様、コルケット領は素晴らしい場所で天国のようです。申し訳ありませんが、私にこの領地を潰すような手続きはできませんので他の者を派遣するようにお願い致します。この素晴らしい土地の主人の行く末を見届けるまで有給を使わせていただきたく存じます。 セイン』
アーネストの眉間にシワが寄る。フェネルも驚きを隠せないようだ。セインは仕事ができて、アーネストが学校を卒業してからずっと付いている秘書である。その彼がこう簡単に仕事を放棄するとは思えない。
「コルケット領で、いったい何があったんだ」
「天国みたいな場所だってさ、僕も行ってみたいな」
いつも冷静なアーネストでも、冷静でいられない。しかし友人であるフェネルは自由人であり遊び人であるので、コルケット領に興味を持ち出したようだ。
「フェネル、キャサリンに劇場へは行けないと断りを入れておいてくれ」
「行くの?コルケット領まで」
「仕方ないだろう、俺が行くしかない」
キャサリンはアーネストの婚約者でフェネルの妹である。彼女はフェネルのように背が高くスラリとしており百年に一度生まれるかどうかの美人だと囁かれている。彼女はまさしく次期侯爵夫人に相応しい女性だ。政略結婚であるがアーネストは生まれながら侯爵として生きてきているので、それが疑問にも思わない。
「僕も行きたいな~」
「お前はしばらくここで俺の重要でない仕事を請け負っておいてくれ。緊急のものはコルケット領まで送ってくれればいい」
「はいはい。ちぇ、俺も行きたかった」
「中間報告で来てもらうことになるかもしれない。あとセインにそちらに向かうと伝えておいてくれ」
アーネストは乗り気ではないが、しかたないと数日分の仕事をまとめ、二日後コルケット領へと向かった。
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