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ドワーフの国編

第83話 混血種の子

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 テトラはリュシオンが話をしていた情報とはとてもかけ離れていた。頑固で偏屈なオヤジで、ソウタのイメージしていたドワーフとはあまりにも違う。見た目はとてもドワーフとは思えない少女であり、はっきり言って武器を作れる職人とは到底思えないでいた。

「ほ、本当にテトラなのか?」

「え、私の事知ってるの? まぁ、なんでもいいや、とりあえず通してくれる?」

「どうぞ! お連れの方々もお通り下さい!」

 先程までの態度とは打って変わり、先輩ドワーフは後輩たちをどかして道を譲った。オーティラは何事もなかったかのようにスタスタと突き進んでいき、国へ続く地下階段を下りていく。

「え~っと、理解が追いつかないんだけど。とりあえずついていって大丈夫なやつだよな?」

「そう……ですね。今はそれしか方法しかないですし」

「そんじゃ、ついていきますか。あ、そうだ! あの~、テトラって人は……」

 ソウタはオーティラの素性が気になり、ドワーフの兵士に話を聞いた。

「あぁ、テトラさんか? あの方は凄い方だぞ。なんたって武器を作ることに関してあの人の右に出る者はいない、あの方にかかれば、どんな安い刃物だって立派な武器に生まれ変わるからな」

「しかし、テトラって人は両親がアレで……」

「バカ! そのことは口にするな! 呪われるぞ!」

 突然ドワーフたちはそそくさと慌て始めた。『呪われる』とはどういうことなのだろうか、ソウタは気になって深く話を聞こうとするが、ハウルがそれを制止する。

「ご主人様、ドワーフの方々が慌ててます、今はあまり聞かれない方がよろしいかと」

「そうだよ、ソウタ。私たちが後で説明をするから」

「あ、あぁ……わかった」

 ソウタはここではあまり深く聞かないようにして、オーティラの後を追っていった。オーティラはすでにかなり下のほうまで降りて行っているようだ、オーティラの姿はなく、土で塗り固められた壁との距離は狭く、2人ほどしか通れない。天井には魔力で灯るように作られたランプが薄暗く灯っているだけであり、足元をよく見ないとこのまま一気に転げ落ちそうだ。ソウタ達は少し早歩きでオーティラの後を追った。

「なぁハウル、さっきの呪われるって何?」

「はい、本当はオーティラさんが自分の口から言うのが一番いいとは思うのですが……おそらくオーティラさんは”混血種”と呼ばれる子供かと」

「ん? 混血種?」

 ハウルは歩きながら話を続けた。

「簡単に言えば、他の種族同士で子供を作ることです。例えばドワーフと僕たちワーウルフみたいな感じですね」

「へぇ、それが良くないってこと?」

 ソウタとハウルが話をしていると神さまが会話に入ってきた。

「いいや、それが”混血種”自体はよくある事なんだよ。ただ混血種は見た目ではどちらかの種族の血を多く受け継ぐから、ほとんど見た目ではつかない。大抵は父の種族を受け継ぐことがあるらしいけどね」

「なるほど……でもそれがなんで呪われるってなるんだ?」

「それは人間の血が入っているからですよ」

 ハウルの言葉が突然重くなった。人間の血が混じっただけでそんなことを言われるのかとソウタは疑問を隠し切れない。そのままハウルは話を続けた。

「人間の血は何よりも優先されるんです。たとえどんな種族との子供でも人間の姿ですし、ほとんどの場合、何らかの障害を持って生まれ、そのほとんどが幼いうちに命を失います。また人間の血は成長を邪魔をするので見た目は幼少のままで止まります」

「そうなの!? でもそれだけの理由?」

「勿論理由はそれだけじゃない、幼少のままでいるってことでそれを目当てに人間が物珍しさに見世物にしていた時期があったんだ。まぁ、黒歴史だね人間の。それ以来からか人間との子供は忌み子もしくは呪われた子と呼ばれ蔑まれてきたんだよ『人間の血は穢れている』ってね」

 ソウタは話を聞いていくうちに気分が悪くなってくる。人間とはどの世代でもどの世界でも自分たちの欲求の為に他人を蔑むのかと、人間である自分が少し恥ずかしくなってくる。

「そうか……もう大丈夫、ありがとう2人とも」

「そうですよね、あまり聞きたくないですよね……」

 ソウタ達は話をやめて、しばらく無言で階段を下り続けた。しばらくしてオーティラの姿が見えたが、ソウタは後姿を見てなぜか心の中が空っぽになったかのような虚無感が襲ってきて虚しくなった。

 Mr.Sixの独り言
ここまで読んでくれてありがとうございます。
”混血種”って言うのをどうにか出したかったので出してみました。
人間の性も少しばかり入れてみたのでどうですかね?
よかったら応援よろしくお願いしますね。
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