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リシャーダの海賊編
第67話 船の上の影
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ソウタは決して泳ぎが得意なわけではない。海の中で呼吸ができるわけではないソウタは目の前の大量のシーマンに驚愕する。浮遊魔法の効果が切れ、海に落ちたソウタを心配してシーナが船の縁の部分から身を乗り出し、身を案じた。
「ソウタ! 大丈夫!?」
海面からはソウタの安否が確認できず、息をしているであろうことだけは、海面に上がってくる泡で何とか分かった―――
―――「ゴポポポッ!!!」
息は長くは続かない、大量のシーマンを仕留めるには短い時間、つまりは短期決戦だ。もちろん、船の上で上がることも可能だが、シーマンたちは上がってこないだろう、わざわざ有利な場所を離れる必要がない。ソウタは海の中でシーマンを倒す決意をする。
(でも、どうやってこいつらを倒そうか? 普通に倒すだけだと時間がかかるし、その間に敵の船から攻撃でもされれば、こっちの船が危険だし……)
ソウタは思考を張り巡らす、しばらくしているとソウタの脳内に神さまの声が響き渡る。
(シーマンは急激な温度変化に弱い、海水の温度が一瞬でも上げることができればいいんだが……)
突然神さまが話しかけたことで、ソウタは一瞬驚き息が乱れてしまう。
(ちょ、ごめん、話しかけれるの?)
(言わなかったっけ? 精神体が憑依してるんだから脳内で話しかけるぐらい造作もないだろう?)
(そりゃ、そうか……で、なんだっけ?)
(だからぁ、シーマンは温度変化に極端に弱いんだって!)
(やばい、もう息が……! ん? 温度変化? 確か海の中で急激な温度変化で起こる現象があったよな……! あれか!)
ソウタは何かを閃いた。もう息も残り数秒しか持たない、限りない状況の中、ソウタは必死に両腕を前後に高速で動かし始めた。
(いける……、もう少し早く動かせば……!)
何かを確認したソウタは、水中で、右拳に力を込めた。そして、拳を超姑息で打ち出した。
(キャビテーションーーーーー!)
ソウタが打ち出した拳は、海水の温度を急激に上昇させ、一瞬にして膨大な量の泡を形成した。キャビテーション、液体中に泡を生じさせる現象のことで、一種の沸騰現象のことだ。海水が高速で流動することで、圧力が低下し、それによって海水の温度が急激に上昇し泡を作り出しているのだ。ソウタはその現象を利用した。シーマンは急激な温度に耐え切れず、次々と倒れていく。やがて、シーマンを全員倒したソウタは急いで海面に上がった。
「ぶはぁ! すーっ、はーっ! すーはー!」
「だ、大丈夫? 凄い、息吸ってるけど……」
「ひ、引き上げてくれる?」
シーナはロープを垂らし、ソウタを引き上げる。
「はぁ、し、死ぬかと思ったぁ!」
「あの大量のシーマンどう倒したの?」
ソウタは立ち上がって、大きく深呼吸をして、シーナにグッドポーズをした。
「キャビテーションだ!」
「はは、な、なるほどね。さすが脳筋プレイだね、普通キャビテーションって人間にはできなくない?」
シーナは顔を引きつらせて、無理やりに笑って見せた。ソウタ達は戦いの中思わず笑みをこぼしていると、突然船が大きく揺れた。海賊船からの砲撃だ。
「まだいるの!? どんだけいんのよ!」
「大丈夫、俺に任せてくれ!」
ソウタは船の縁の部分に立って、狙って来いと言わんばかりに挑発した。相手にもそれが伝わったのか、砲台はソウタに照準を次々と合わせていく。そして、1つの砲台がソウタめがけて発射された。砲弾はソウタに一寸の狂いもなく、物凄いスピードで向かってくる。
「ソウタ! 危ない!」
シーナが心配するも、ソウタはその砲弾をドッジボールの要領で受け止めた。身体全体で受け止めたソウタは、片手で野球ボールを投げるように何度も真上に放った。
「え? え? ちょ、ごめん、ソウタ。どういうこと?」
「ん? なに? いやぁ、俺こう見えてドッジボール得意だからさ……」
「そうじゃなくてさ、大砲って普通人間受け止めれないよね? 見てよ、向こうの敵、隙間からこっち覗いてるよ? 『あれ? 撃ったよね?』みたいな感じで何度も砲台確認してるし」
「まぁ、それは神さまのせいだよね?」
「おい、急に振るなよ、ほら、まだ撃ってくるぞ」
ソウタが振り返ると、海賊船から次々とソウタめがけて砲弾が飛んでくるが、ソウタは高速移動と、ドッジボールの要領で、弾をキャッチしては投げ返して大砲を破壊していく。ソウタの暴れっぷりを見ていたルブトンは指示を出しながら高笑いをした。
「がはは! こりゃいい! ぶっとんでる戦い方だな!」
ソウタのおかげで、海賊船の砲台は全て破壊され、雨のように続いていた攻撃も止み、しばらくの間静寂が訪れた。
「終わったかな? あとは大ボスかな?」
「そうだね、ほとんどソウタが片付けたけどね……」
ソウタ達が談笑していると、海賊船の縁に足をかける2つの影がソウタ達を見下ろしていた。
「ソウタ! 大丈夫!?」
海面からはソウタの安否が確認できず、息をしているであろうことだけは、海面に上がってくる泡で何とか分かった―――
―――「ゴポポポッ!!!」
息は長くは続かない、大量のシーマンを仕留めるには短い時間、つまりは短期決戦だ。もちろん、船の上で上がることも可能だが、シーマンたちは上がってこないだろう、わざわざ有利な場所を離れる必要がない。ソウタは海の中でシーマンを倒す決意をする。
(でも、どうやってこいつらを倒そうか? 普通に倒すだけだと時間がかかるし、その間に敵の船から攻撃でもされれば、こっちの船が危険だし……)
ソウタは思考を張り巡らす、しばらくしているとソウタの脳内に神さまの声が響き渡る。
(シーマンは急激な温度変化に弱い、海水の温度が一瞬でも上げることができればいいんだが……)
突然神さまが話しかけたことで、ソウタは一瞬驚き息が乱れてしまう。
(ちょ、ごめん、話しかけれるの?)
(言わなかったっけ? 精神体が憑依してるんだから脳内で話しかけるぐらい造作もないだろう?)
(そりゃ、そうか……で、なんだっけ?)
(だからぁ、シーマンは温度変化に極端に弱いんだって!)
(やばい、もう息が……! ん? 温度変化? 確か海の中で急激な温度変化で起こる現象があったよな……! あれか!)
ソウタは何かを閃いた。もう息も残り数秒しか持たない、限りない状況の中、ソウタは必死に両腕を前後に高速で動かし始めた。
(いける……、もう少し早く動かせば……!)
何かを確認したソウタは、水中で、右拳に力を込めた。そして、拳を超姑息で打ち出した。
(キャビテーションーーーーー!)
ソウタが打ち出した拳は、海水の温度を急激に上昇させ、一瞬にして膨大な量の泡を形成した。キャビテーション、液体中に泡を生じさせる現象のことで、一種の沸騰現象のことだ。海水が高速で流動することで、圧力が低下し、それによって海水の温度が急激に上昇し泡を作り出しているのだ。ソウタはその現象を利用した。シーマンは急激な温度に耐え切れず、次々と倒れていく。やがて、シーマンを全員倒したソウタは急いで海面に上がった。
「ぶはぁ! すーっ、はーっ! すーはー!」
「だ、大丈夫? 凄い、息吸ってるけど……」
「ひ、引き上げてくれる?」
シーナはロープを垂らし、ソウタを引き上げる。
「はぁ、し、死ぬかと思ったぁ!」
「あの大量のシーマンどう倒したの?」
ソウタは立ち上がって、大きく深呼吸をして、シーナにグッドポーズをした。
「キャビテーションだ!」
「はは、な、なるほどね。さすが脳筋プレイだね、普通キャビテーションって人間にはできなくない?」
シーナは顔を引きつらせて、無理やりに笑って見せた。ソウタ達は戦いの中思わず笑みをこぼしていると、突然船が大きく揺れた。海賊船からの砲撃だ。
「まだいるの!? どんだけいんのよ!」
「大丈夫、俺に任せてくれ!」
ソウタは船の縁の部分に立って、狙って来いと言わんばかりに挑発した。相手にもそれが伝わったのか、砲台はソウタに照準を次々と合わせていく。そして、1つの砲台がソウタめがけて発射された。砲弾はソウタに一寸の狂いもなく、物凄いスピードで向かってくる。
「ソウタ! 危ない!」
シーナが心配するも、ソウタはその砲弾をドッジボールの要領で受け止めた。身体全体で受け止めたソウタは、片手で野球ボールを投げるように何度も真上に放った。
「え? え? ちょ、ごめん、ソウタ。どういうこと?」
「ん? なに? いやぁ、俺こう見えてドッジボール得意だからさ……」
「そうじゃなくてさ、大砲って普通人間受け止めれないよね? 見てよ、向こうの敵、隙間からこっち覗いてるよ? 『あれ? 撃ったよね?』みたいな感じで何度も砲台確認してるし」
「まぁ、それは神さまのせいだよね?」
「おい、急に振るなよ、ほら、まだ撃ってくるぞ」
ソウタが振り返ると、海賊船から次々とソウタめがけて砲弾が飛んでくるが、ソウタは高速移動と、ドッジボールの要領で、弾をキャッチしては投げ返して大砲を破壊していく。ソウタの暴れっぷりを見ていたルブトンは指示を出しながら高笑いをした。
「がはは! こりゃいい! ぶっとんでる戦い方だな!」
ソウタのおかげで、海賊船の砲台は全て破壊され、雨のように続いていた攻撃も止み、しばらくの間静寂が訪れた。
「終わったかな? あとは大ボスかな?」
「そうだね、ほとんどソウタが片付けたけどね……」
ソウタ達が談笑していると、海賊船の縁に足をかける2つの影がソウタ達を見下ろしていた。
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