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エルフの森編
第43話 森の佳境
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ソウタ達の動きはエルフのそれに徐々に変わりつつある。足跡を付けないよう移動し、隠れて食料を調達し、わずかな痕跡から東の洞穴に行く道筋を導いていく。ソウタ達は佳境を迎えていた。
「なぁアエル、後どのくらいだ?」
移動しながらソウタはアエルに尋ねた。
「そうですね、このペースならもう少しスピード上げないとたどり着けません」
「そうか、まだダメか……」
ソウタは酷く落胆した。ソウタが食料を確保できるようになってさらに1週間が経過しており、移動するペースも徐々に早くなってきているにも関わらず、それでも広大なハントの森を攻略するには至っていない。
「フィル! どうやったら、もっと早くたどり着けるんだ?」
「いやっ、これが結構限界っすよ! あとできるとしたら”判断”をさらに早くするしか方法は……」
「判断か……、いや、待てよ?」
ソウタは何かを思いついたように突然立ち止まった。
「どうしたのソウタ?」
「全員俺の所に集まってくれ!」
そう呼びかけると、シーナたちはソウタの周りに集まった。するとソウタは突然全員を背中に抱えると、猛スピードで走り出した。
「きゃぁあぁぁぁぁー!」
「揺れる! 揺れるっす!」
「まるでタイヤのついてない車に乗ってるみたいー! おえっ」
ソウタの能力であれば、4人と1匹を抱えるなど造作もなく、力ずくで突き進んでいく。ペースも今までとは比べ物にならないくらい早く、このままなら1週間とかからないだろう。
「そうだよ、最初からこうすればよかったんだよ!」
ソウタはニヤニヤしながら走り続けた。しかし、ソウタは突然ただならぬ殺気を感じた。それは森全体から漂っている。
「ソウタさん! 止まってください……これ以上は危険です」
ソウタは立ち止まり、シーナたちを降ろした。全員が警戒をし始める。
「アエル、この殺気はもしかしてモンスターか?」
「はい、ハンタートレントの縄張りに入ったようです、気をつけてくださいね、ハンタートレントはこの森でソウタさん達を襲ったモンスターですから」
「だいぶ囲まれてますよ!? どうすんっすか?」
「決まってる! 返り討ちだ!」
ハンタートレントは周囲に溶け込む擬態魔法で目視することができない。しかし、気配を消すことができるソウタにとって気配を探ることは容易だった。
「すぐそこにいるな、おそらく10……いや15体以上か」
「あぶない! ソウタ!」
ソウタの背後には襲い掛かろうとするハンタートレントの姿があった。巨大な蔓をソウタめがけて振り下ろし、地面から大きな土煙が舞い上がった。
「ソウタ!」
「大丈夫だよ!」
ソウタは上空に飛んで攻撃を回避し、右拳に力を込めた。
「力を抑えつつ……こうだ!」
右拳を振りおろし、ハンタートレントは真っ二つに引き裂かれた。今までのソウタの力任せの攻撃とは違い、周りに被害を出さず、ハンタートレントの身を倒した。
「よし、上手くいったぞ! あとは……」
ソウタが着地すると同時にハンタートレントはソウタに攻撃を仕掛けていた。ソウタはわずかな気配を感じて、横に回避して体制を立て直す。ハンタートレントは続けて攻撃をするが、ソウタはそれよりも早く動いて攻撃をかわし続ける。
「凄い……全部の攻撃をかわしてる、ハンタートレントの攻撃は手数が多すぎてかわすのは極めて困難なはずなのに」
「それに加えてあの一撃、一発でも与えたらノックダウンの攻撃力を秘めてるんだぜ? 末恐ろしいなソウタさんは」
アエルとフィルはハンタートレントと対峙しながら、ソウタの強さに感心していた。ソウタは攻撃をかわして一瞬の隙を見逃さず、ハンタートレントに一撃を加えた。ソウタは短時間で2体のハンタートレントを撃破し、順調にハンタートレントを倒していく。あまりの強さに次第にハンタートレントは後ずさりをし始め、攻撃の頻度が明らかに減ってきている。
「あれ? 攻撃をしてこなくなってきてるな」
「モンスターと言えど、意思はありますからね」
ソウタ達が攻撃をやめると、ハンタートレントも攻撃をやめ、次第に離れていった。
「まさか、ハンタートレントが攻撃をやめるとはね」
アエルは武器を懐にしまってハンタートレントが攻撃をやめたことに驚いていた。
「忘れてたわ、ソウタがバカ強いこと……」
「ねぇ、シーナ、それ褒めてる?」
「ここで休むのはよくないっすね、ハンタートレントの縄張りなら、危険な事には代わりねぇっすから」
「そうだな、もう少し進んでから今日はもう休むとするか……」
ソウタ達はもう少し進んでから休むことにした。
サラザールの決めた猶予まで残り6日……
「なぁアエル、後どのくらいだ?」
移動しながらソウタはアエルに尋ねた。
「そうですね、このペースならもう少しスピード上げないとたどり着けません」
「そうか、まだダメか……」
ソウタは酷く落胆した。ソウタが食料を確保できるようになってさらに1週間が経過しており、移動するペースも徐々に早くなってきているにも関わらず、それでも広大なハントの森を攻略するには至っていない。
「フィル! どうやったら、もっと早くたどり着けるんだ?」
「いやっ、これが結構限界っすよ! あとできるとしたら”判断”をさらに早くするしか方法は……」
「判断か……、いや、待てよ?」
ソウタは何かを思いついたように突然立ち止まった。
「どうしたのソウタ?」
「全員俺の所に集まってくれ!」
そう呼びかけると、シーナたちはソウタの周りに集まった。するとソウタは突然全員を背中に抱えると、猛スピードで走り出した。
「きゃぁあぁぁぁぁー!」
「揺れる! 揺れるっす!」
「まるでタイヤのついてない車に乗ってるみたいー! おえっ」
ソウタの能力であれば、4人と1匹を抱えるなど造作もなく、力ずくで突き進んでいく。ペースも今までとは比べ物にならないくらい早く、このままなら1週間とかからないだろう。
「そうだよ、最初からこうすればよかったんだよ!」
ソウタはニヤニヤしながら走り続けた。しかし、ソウタは突然ただならぬ殺気を感じた。それは森全体から漂っている。
「ソウタさん! 止まってください……これ以上は危険です」
ソウタは立ち止まり、シーナたちを降ろした。全員が警戒をし始める。
「アエル、この殺気はもしかしてモンスターか?」
「はい、ハンタートレントの縄張りに入ったようです、気をつけてくださいね、ハンタートレントはこの森でソウタさん達を襲ったモンスターですから」
「だいぶ囲まれてますよ!? どうすんっすか?」
「決まってる! 返り討ちだ!」
ハンタートレントは周囲に溶け込む擬態魔法で目視することができない。しかし、気配を消すことができるソウタにとって気配を探ることは容易だった。
「すぐそこにいるな、おそらく10……いや15体以上か」
「あぶない! ソウタ!」
ソウタの背後には襲い掛かろうとするハンタートレントの姿があった。巨大な蔓をソウタめがけて振り下ろし、地面から大きな土煙が舞い上がった。
「ソウタ!」
「大丈夫だよ!」
ソウタは上空に飛んで攻撃を回避し、右拳に力を込めた。
「力を抑えつつ……こうだ!」
右拳を振りおろし、ハンタートレントは真っ二つに引き裂かれた。今までのソウタの力任せの攻撃とは違い、周りに被害を出さず、ハンタートレントの身を倒した。
「よし、上手くいったぞ! あとは……」
ソウタが着地すると同時にハンタートレントはソウタに攻撃を仕掛けていた。ソウタはわずかな気配を感じて、横に回避して体制を立て直す。ハンタートレントは続けて攻撃をするが、ソウタはそれよりも早く動いて攻撃をかわし続ける。
「凄い……全部の攻撃をかわしてる、ハンタートレントの攻撃は手数が多すぎてかわすのは極めて困難なはずなのに」
「それに加えてあの一撃、一発でも与えたらノックダウンの攻撃力を秘めてるんだぜ? 末恐ろしいなソウタさんは」
アエルとフィルはハンタートレントと対峙しながら、ソウタの強さに感心していた。ソウタは攻撃をかわして一瞬の隙を見逃さず、ハンタートレントに一撃を加えた。ソウタは短時間で2体のハンタートレントを撃破し、順調にハンタートレントを倒していく。あまりの強さに次第にハンタートレントは後ずさりをし始め、攻撃の頻度が明らかに減ってきている。
「あれ? 攻撃をしてこなくなってきてるな」
「モンスターと言えど、意思はありますからね」
ソウタ達が攻撃をやめると、ハンタートレントも攻撃をやめ、次第に離れていった。
「まさか、ハンタートレントが攻撃をやめるとはね」
アエルは武器を懐にしまってハンタートレントが攻撃をやめたことに驚いていた。
「忘れてたわ、ソウタがバカ強いこと……」
「ねぇ、シーナ、それ褒めてる?」
「ここで休むのはよくないっすね、ハンタートレントの縄張りなら、危険な事には代わりねぇっすから」
「そうだな、もう少し進んでから今日はもう休むとするか……」
ソウタ達はもう少し進んでから休むことにした。
サラザールの決めた猶予まで残り6日……
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