11 / 41
オートモード
1 ダンス大会があるらしい
しおりを挟む
「当校には十二歳から十八歳までのオメガやベータが通っています。中には、まだバース性の決まらない子もいますが、アルファとわかった時点で転校となりますので、ご安心いただけるかと」
校長先生は穏やかに説明してくれたけど、心配したのはそこじゃない。
「あの僕、もうすぐ二十三歳になるんですけど……」
ああ、と校長先生は頷いて笑顔で請け負った。
「ルノンさんは異世界のかたということで、特例です。それに……、問題なくなじめると思いますよ」
どういう意味だよ。って突っ込んでやりたいのは山々だけど。口を引き結んだ。
日本に住んでいたころ、童顔なんて言われたことないんだけどね。彼女の目にはどうの十八歳くらいに映るらしい。
とはいえ僕は大人なので、そんなことでは怒らないのだ。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
僕は日本式に深々と頭を下げた。
異世界転移した僕は、この国の言葉を聞き取れるし読むこともできる。だけど、書くまではサポートも適用外らしい。
だったら、どうせだから歴史や文化も学んじゃおう。そんなわけで学校に通うことになったのだ。異世界人でありオメガでもある僕の就職先がなかなか決まらないという理由もある。
つらいのは子供に混じることじゃない。僕がいちばん年上だと、誰からも思われてなさそうなところだ。
高校卒業資格に当たるものを一刻も早く勝ち取らなくては。
やる気を燃やして教科書をパラパラめくっていたら、クラスで最年少のビィくんが僕のノートをさっと取りあげた。
「相変わらず汚ねえ字だな、ルノン」
彼は初日から、僕に対抗意識を燃やしている。可愛いなあと僕はニコニコしてしまう。十歳も離れていれば、なにを言われても可愛いしかない。
「そう? ビィくんのとそんなに変わらないと思うけど」
「んなわけないだろ! 俺のほうが上達した! ほら、見ろ!」
「そうだねえ、上達したねえ」
「ほ、本気で思ってねえだろ」
疑いつつも、照れて黙り込んじゃうあたりがまたかわいい。ほわほわしてしまう。
そんな彼も授業が始まると驚くほどの集中を見せる。ただ漫然と聞いているだけじゃない。「なぜ」「どうして」を突き詰めて、納得するまで考えるんだよ。地頭がいいってこういう子のことを言うのかな。僕もがんばろっと。
授業が終われば楽しみも待っている。
今日、ミラロゥは早上がりの日で、一緒に外食の約束しているのだ。
僕のつがいであるミラロゥは当然のように料理が上手い。イケメンで、踊る姿が最高に格好良くて、面倒見がいい。
そりゃもう理想的なスパダリ攻め様なのだ。そして彼が選ぶ店もまたクオリティが高い。楽しみだ。
「なにニヤニヤしてるんだよ」
たまたま帰り道が一緒になったビィくんがイヤそうにつぶやいた。
「これからデートなんだ。今から楽しみで」
「は? なんだよそれ。冗談だろ?」
「なんで冗談なんだよ。あのね、ビィくん、恥ずかしいから言ってないけど、こう見えて僕は君が思ってるよりもずっと大人なんだよ。いや、鼻で笑わなくても……」
え、ヤダなビィくん。まさか僕のこと同じ年くらいって思ってないよね?
イヤな予感からそっと目をそらす。いやいや、十二歳はないよ。そりゃ身長差はそれほどないけど、ビィくんの発育が良すぎるだけだろ。
「それよりさあ」
「うん?」
「来月のダンス大会のことなんだけどさ」
「ダンス大会!? そんなものが……」
僕は恐れおののいた。なにせダンスで求愛する国である。国民皆ダンサー。年がら年中踊っているような人たちがわざわざ大会と称すからにはすさまじいに違いない。
「ゆ、優勝者を決めたりするの? それともみんなで踊るの?」
「は? 知らねえの? ナンバーワンを決めるんだよ! あちこちから上手い奴がいっぱいくるんだぞ」
「ほああ。そうなんだ」
僕は感心してみせたが、実のところ優劣なんてわかるはずもない。僕のジャッジじゃ優勝は先生って決まってるし。
僕はじゃっかん引いてしまったが、ビィくんは興奮気味に色々教えてくれた。
大会は予選、本選とあって、最終日にメインステージでファイナリストがダンスバトルをするそうだ。
それ以外にも誰でも参加できるフリーステージが市内にいくつも設置されて、大騒ぎになるという。
「ルノンも踊るだろ?」
「いや、僕はせいぜい見学かな」
「なんで? ルノンってオメガなんだろ? めっちゃ踊れそうなのに」
「なに見てそう思ったの? 僕のダンスなんてこうだよ、こう」
証拠を見せようと、僕は肘を折り曲げてくねくねして見せた。するとビィくんは顔を赤くして怒った。
「なんだよそれ、まじめにやれよ!」
いたって真面目なんだけど。
そのとき、「ルノン!」と背後から僕を呼ぶ声がした。やけに焦っている気がして、僕も慌てて振り返る。
「迎えが来たからもう行くね。またね!」
ミラロゥのもとに駆け寄ると、彼はなにやら眉を寄せている。
不思議に思って視線の先を追うと、ビィくんがまだこちらを見ていた。手を振っていたら、ぬっと長い指が僕の視界を遮った。
場所をレストランに変え、ミラロゥはやんわりと切り出した。
「あの子となにを話していたんだ?」
「えと、だんす、たいかい?」
僕はカタコトで答えた。
僕が普段しゃべる言葉は、自動翻訳されている。別にそれで不便はないのだが、せっかく勉強を始めたわけだし、どうせならこっちの言葉で話したいと僕は考えた。翻訳じゃ、微妙なニュアンスが伝わらないように思うんだよ。
だけど、意識的にこちらの言葉でしゃべろうとすると、すごく難しかった。「ミラロゥ」を「みらろ」としか呼べないのはつまりそういうことらしい。
わけを話して、ミラロゥにはときどきこうして練習に付き合ってもらっている。快諾どころか、ほかの人を混乱させないように、こっそり二人だけで練習しようと提案までしてくれたから、やっぱり面倒なことが好きなんだろうな。
「ダンス大会か。言われてみればそんな時期か」
ミラロゥは長らく踊れずにいたから、むしろ避けていた話題なのかもしれない。眉をよせ、微妙な顔をしていた。
「びぃくんが――」
そのまま言葉の練習を続けようかと思ったが、ミラロゥの様子を盗み見た僕は、こりゃ早めに説明したほうが良さそうだなと、再び自動翻訳のお世話になることにした。
なんか、冷ややかなんだよね。
「いま一緒にいた子なんだけど、僕のことダンスがうまそうだなんてヒドイ誤解をしてたから、ヘタだってこと早めに見せといたほうがいいかなって」
「……へえ?」
なんでさらに不機嫌になるかな。子供相手に嫉妬しているわけでもあるまいし。
「踊るなんて言わないよな?」
「まさか! 先生は僕を笑いものにしたいの。先生が踊るんなら見に行くけど」
「それこそまさかだ」
話はいったんそれで終了したのだが、次の日にフリースクールに行くと、ちょっと面倒なことになっていた。
校長先生は穏やかに説明してくれたけど、心配したのはそこじゃない。
「あの僕、もうすぐ二十三歳になるんですけど……」
ああ、と校長先生は頷いて笑顔で請け負った。
「ルノンさんは異世界のかたということで、特例です。それに……、問題なくなじめると思いますよ」
どういう意味だよ。って突っ込んでやりたいのは山々だけど。口を引き結んだ。
日本に住んでいたころ、童顔なんて言われたことないんだけどね。彼女の目にはどうの十八歳くらいに映るらしい。
とはいえ僕は大人なので、そんなことでは怒らないのだ。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
僕は日本式に深々と頭を下げた。
異世界転移した僕は、この国の言葉を聞き取れるし読むこともできる。だけど、書くまではサポートも適用外らしい。
だったら、どうせだから歴史や文化も学んじゃおう。そんなわけで学校に通うことになったのだ。異世界人でありオメガでもある僕の就職先がなかなか決まらないという理由もある。
つらいのは子供に混じることじゃない。僕がいちばん年上だと、誰からも思われてなさそうなところだ。
高校卒業資格に当たるものを一刻も早く勝ち取らなくては。
やる気を燃やして教科書をパラパラめくっていたら、クラスで最年少のビィくんが僕のノートをさっと取りあげた。
「相変わらず汚ねえ字だな、ルノン」
彼は初日から、僕に対抗意識を燃やしている。可愛いなあと僕はニコニコしてしまう。十歳も離れていれば、なにを言われても可愛いしかない。
「そう? ビィくんのとそんなに変わらないと思うけど」
「んなわけないだろ! 俺のほうが上達した! ほら、見ろ!」
「そうだねえ、上達したねえ」
「ほ、本気で思ってねえだろ」
疑いつつも、照れて黙り込んじゃうあたりがまたかわいい。ほわほわしてしまう。
そんな彼も授業が始まると驚くほどの集中を見せる。ただ漫然と聞いているだけじゃない。「なぜ」「どうして」を突き詰めて、納得するまで考えるんだよ。地頭がいいってこういう子のことを言うのかな。僕もがんばろっと。
授業が終われば楽しみも待っている。
今日、ミラロゥは早上がりの日で、一緒に外食の約束しているのだ。
僕のつがいであるミラロゥは当然のように料理が上手い。イケメンで、踊る姿が最高に格好良くて、面倒見がいい。
そりゃもう理想的なスパダリ攻め様なのだ。そして彼が選ぶ店もまたクオリティが高い。楽しみだ。
「なにニヤニヤしてるんだよ」
たまたま帰り道が一緒になったビィくんがイヤそうにつぶやいた。
「これからデートなんだ。今から楽しみで」
「は? なんだよそれ。冗談だろ?」
「なんで冗談なんだよ。あのね、ビィくん、恥ずかしいから言ってないけど、こう見えて僕は君が思ってるよりもずっと大人なんだよ。いや、鼻で笑わなくても……」
え、ヤダなビィくん。まさか僕のこと同じ年くらいって思ってないよね?
イヤな予感からそっと目をそらす。いやいや、十二歳はないよ。そりゃ身長差はそれほどないけど、ビィくんの発育が良すぎるだけだろ。
「それよりさあ」
「うん?」
「来月のダンス大会のことなんだけどさ」
「ダンス大会!? そんなものが……」
僕は恐れおののいた。なにせダンスで求愛する国である。国民皆ダンサー。年がら年中踊っているような人たちがわざわざ大会と称すからにはすさまじいに違いない。
「ゆ、優勝者を決めたりするの? それともみんなで踊るの?」
「は? 知らねえの? ナンバーワンを決めるんだよ! あちこちから上手い奴がいっぱいくるんだぞ」
「ほああ。そうなんだ」
僕は感心してみせたが、実のところ優劣なんてわかるはずもない。僕のジャッジじゃ優勝は先生って決まってるし。
僕はじゃっかん引いてしまったが、ビィくんは興奮気味に色々教えてくれた。
大会は予選、本選とあって、最終日にメインステージでファイナリストがダンスバトルをするそうだ。
それ以外にも誰でも参加できるフリーステージが市内にいくつも設置されて、大騒ぎになるという。
「ルノンも踊るだろ?」
「いや、僕はせいぜい見学かな」
「なんで? ルノンってオメガなんだろ? めっちゃ踊れそうなのに」
「なに見てそう思ったの? 僕のダンスなんてこうだよ、こう」
証拠を見せようと、僕は肘を折り曲げてくねくねして見せた。するとビィくんは顔を赤くして怒った。
「なんだよそれ、まじめにやれよ!」
いたって真面目なんだけど。
そのとき、「ルノン!」と背後から僕を呼ぶ声がした。やけに焦っている気がして、僕も慌てて振り返る。
「迎えが来たからもう行くね。またね!」
ミラロゥのもとに駆け寄ると、彼はなにやら眉を寄せている。
不思議に思って視線の先を追うと、ビィくんがまだこちらを見ていた。手を振っていたら、ぬっと長い指が僕の視界を遮った。
場所をレストランに変え、ミラロゥはやんわりと切り出した。
「あの子となにを話していたんだ?」
「えと、だんす、たいかい?」
僕はカタコトで答えた。
僕が普段しゃべる言葉は、自動翻訳されている。別にそれで不便はないのだが、せっかく勉強を始めたわけだし、どうせならこっちの言葉で話したいと僕は考えた。翻訳じゃ、微妙なニュアンスが伝わらないように思うんだよ。
だけど、意識的にこちらの言葉でしゃべろうとすると、すごく難しかった。「ミラロゥ」を「みらろ」としか呼べないのはつまりそういうことらしい。
わけを話して、ミラロゥにはときどきこうして練習に付き合ってもらっている。快諾どころか、ほかの人を混乱させないように、こっそり二人だけで練習しようと提案までしてくれたから、やっぱり面倒なことが好きなんだろうな。
「ダンス大会か。言われてみればそんな時期か」
ミラロゥは長らく踊れずにいたから、むしろ避けていた話題なのかもしれない。眉をよせ、微妙な顔をしていた。
「びぃくんが――」
そのまま言葉の練習を続けようかと思ったが、ミラロゥの様子を盗み見た僕は、こりゃ早めに説明したほうが良さそうだなと、再び自動翻訳のお世話になることにした。
なんか、冷ややかなんだよね。
「いま一緒にいた子なんだけど、僕のことダンスがうまそうだなんてヒドイ誤解をしてたから、ヘタだってこと早めに見せといたほうがいいかなって」
「……へえ?」
なんでさらに不機嫌になるかな。子供相手に嫉妬しているわけでもあるまいし。
「踊るなんて言わないよな?」
「まさか! 先生は僕を笑いものにしたいの。先生が踊るんなら見に行くけど」
「それこそまさかだ」
話はいったんそれで終了したのだが、次の日にフリースクールに行くと、ちょっと面倒なことになっていた。
30
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
どうせ結末は変わらないのだと開き直ってみましたら
風見ゆうみ
恋愛
「もう、無理です!」
伯爵令嬢である私、アンナ・ディストリーは屋根裏部屋で叫びました。
男の子がほしかったのに生まれたのが私だったという理由で家族から嫌われていた私は、密かに好きな人だった伯爵令息であるエイン様の元に嫁いだその日に、エイン様と実の姉のミルーナに殺されてしまいます。
それからはなぜか、殺されては子どもの頃に巻き戻るを繰り返し、今回で11回目の人生です。
何をやっても同じ結末なら抗うことはやめて、開き直って生きていきましょう。
そう考えた私は、姉の機嫌を損ねないように目立たずに生きていくことをやめ、学園生活を楽しむことに。
学期末のテストで1位になったことで、姉の怒りを買ってしまい、なんと婚約を解消させられることに!
これで死なずにすむのでは!?
ウキウキしていた私の前に元婚約者のエイン様が現れ――
あなたへの愛情なんてとっくに消え去っているんですが?
完結 お飾り正妃も都合よい側妃もお断りします!
音爽(ネソウ)
恋愛
正妃サハンナと側妃アルメス、互いに支え合い国の為に働く……なんて言うのは幻想だ。
頭の緩い正妃は遊び惚け、側妃にばかりしわ寄せがくる。
都合良く働くだけの側妃は疑問をもちはじめた、だがやがて心労が重なり不慮の事故で儚くなった。
「ああどうして私は幸せになれなかったのだろう」
断末魔に涙した彼女は……
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!
ユウ
恋愛
エリーゼは、王妃になる予定だった。
故郷を失い後ろ盾を失くし代わりに王妃として選ばれたのは後から妃候補となった侯爵令嬢だった。
聖女の資格を持ち国に貢献した暁に正妃となりエリーゼは側妃となったが夜の渡りもなく周りから冷遇される日々を送っていた。
日陰の日々を送る中、婚約者であり唯一の理解者にも忘れされる中。
長らく魔物の侵略を受けていた東の大陸を取り戻したことでとある騎士に妃を下賜することとなったのだが、選ばれたのはエリーゼだった。
下賜される相手は冷たく人をよせつけず、猛毒を持つ薔薇の貴公子と呼ばれる男だった。
用済みになったエリーゼは殺されるのかと思ったが…
「私は貴女以外に妻を持つ気はない」
愛されることはないと思っていたのに何故か甘い言葉に甘い笑顔を向けられてしまう。
その頃、すべてを手に入れた側妃から正妃となった聖女に不幸が訪れるのだった。
平民と恋に落ちたからと婚約破棄を言い渡されました。
なつめ猫
恋愛
聖女としての天啓を受けた公爵家令嬢のクララは、生まれた日に王家に嫁ぐことが決まってしまう。
そして物心がつく5歳になると同時に、両親から引き離され王都で一人、妃教育を受ける事を強要され10年以上の歳月が経過した。
そして美しく成長したクララは16才の誕生日と同時に貴族院を卒業するラインハルト王太子殿下に嫁ぐはずであったが、平民の娘に恋をした婚約者のラインハルト王太子で殿下から一方的に婚約破棄を言い渡されてしまう。
クララは動揺しつつも、婚約者であるラインハルト王太子殿下に、国王陛下が決めた事を覆すのは貴族として間違っていると諭そうとするが、ラインハルト王太子殿下の逆鱗に触れたことで貴族院から追放されてしまうのであった。
突然現れた自称聖女によって、私の人生が狂わされ、婚約破棄され、追放処分されたと思っていましたが、今世だけではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
デュドネという国に生まれたフェリシア・アルマニャックは、公爵家の長女であり、かつて世界を救ったとされる異世界から召喚された聖女の直系の子孫だが、彼女の生まれ育った国では、聖女のことをよく思っていない人たちばかりとなっていて、フェリシア自身も誰にそう教わったわけでもないのに聖女を毛嫌いしていた。
だが、彼女の幼なじみは頑なに聖女を信じていて悪く思うことすら、自分の側にいる時はしないでくれと言う子息で、病弱な彼の側にいる時だけは、その約束をフェリシアは守り続けた。
そんな彼が、隣国に行ってしまうことになり、フェリシアの心の拠り所は、婚約者だけとなったのだが、そこに自称聖女が現れたことでおかしなことになっていくとは思いもしなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる