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第一章
青葉の現状
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「青葉ちゃんの調子はどう?」
「元気にしてるよ」
「体調のことじゃなくて、勉強の方」
「あー、びみょい。面談で先生から志望校のランクを一つ下げるように言われたっぽい」
びみょいとは微妙ということで良いのだろうか。
高校入試まであと二ヶ月ほど。最近は楓も教えてくれるようになったらしく、俺が呼び出されることは少なくなった。少し寂しさを覚えるが、楓の知識量と教え方には敵わないので、仕方がない。楓が先生役になることで、青葉ちゃんの合格可能性がグンと上がることになるだろう。
青葉ちゃんが風邪を引いたこともあり、年が明けてから会っていなかったので、現状を知らなかった。このままだとうちの高校に合格するのは厳しいのかな......。
「青葉ちゃんはなんて言ったの?」
「学校ではもう少し考えるって言ったらしいんだけど、家では愚痴ってたよ。『生徒のモチベを下げるなー』って。多分、うちの高校受けると思うよ。点数的には厳しいから、滑り止めは必須だろうけど」
「内申は問題ないの?」
「内申点は低いけど、生徒会に入ってたからそこはプラスじゃないかな?」
「生徒会長とか似合いそうだね。明るく引っ張っていくタイプの」
青葉ちゃんの性格だとみんなから好かれて、信頼も厚そうだ。
「おっ、よくわかったね。青葉、生徒会長やってたよ。あの子は元気だけが取り柄だしねえ」
妹のことに関しては辛口になる楓さん。元気なのはあなたも負けてない気がするけどね、と心の中でつぶやく。
「元気だけってこともないと思うけど。俺にも何かできることないかな?」
勉強は楓で事足りている。何かないだろうか?
「なに? 悟、青葉のこと好きなの? 彼女の妹に惚れちゃった?」
「どうしてそうなる!ていうか、楓は彼女じゃないだろ!」
「今は下校中だから私たちの関係は彼氏彼女だよっ。彼女じゃない発言、誰かに聞かれてたら、どうするのー?」
つい大声になってしまったが、彼女か彼女でないかはこの際どうでも良い。いや、どうでも良いわけではないけど、これ以上不毛なやりとりを続けても仕方がない。
俺が異性としての好意を向けていることに関しては、否定しておかないと。
「わ、悪かったよ。さっきのことだけど、別に好きだからとかじゃなくて、頑張ってる人に何かしてあげられないかなって思ってさ」
俺の中にも頑張ってる人を応援したい気持ちくらいある。知り合いであるならなおさら。
「なんだあ。そういうことかー」
そういうことにしか捉えられない言い方をしたつもりだったけど、楓の頭は全く別の解釈をしてしまったようだ。
「うーん。差し入れとかどう?」
確かに差し入れなら勉強の妨げにはならないし、良いかもしれない。
「青葉ちゃんが喜ぶ食べ物って何?」
「プリンとクレープとアイス。あと、ケーキ!」
「それ楓が食べたい物じゃないの?」
俺の指摘は正しかったようで、視線は雪が積もった木に向けられ、口笛を吹き始めた。音が鳴ってないので、吹けてないけど。
「......その中のどれか買っていくよ」
「本当!? ありがとう!」
「どうして楓がお礼を言うの?」
「今この場にいない青葉の代理だよー。いつうちに来る?」
「毎日暇だからいつでもいいけど」
「じゃあ今週の土曜日来る?」
「わかった。土曜日おじゃまするよ」
「待ってる!」
こうして俺は楓のためのデザートを持って、土曜日に南家に行くことになった。
「元気にしてるよ」
「体調のことじゃなくて、勉強の方」
「あー、びみょい。面談で先生から志望校のランクを一つ下げるように言われたっぽい」
びみょいとは微妙ということで良いのだろうか。
高校入試まであと二ヶ月ほど。最近は楓も教えてくれるようになったらしく、俺が呼び出されることは少なくなった。少し寂しさを覚えるが、楓の知識量と教え方には敵わないので、仕方がない。楓が先生役になることで、青葉ちゃんの合格可能性がグンと上がることになるだろう。
青葉ちゃんが風邪を引いたこともあり、年が明けてから会っていなかったので、現状を知らなかった。このままだとうちの高校に合格するのは厳しいのかな......。
「青葉ちゃんはなんて言ったの?」
「学校ではもう少し考えるって言ったらしいんだけど、家では愚痴ってたよ。『生徒のモチベを下げるなー』って。多分、うちの高校受けると思うよ。点数的には厳しいから、滑り止めは必須だろうけど」
「内申は問題ないの?」
「内申点は低いけど、生徒会に入ってたからそこはプラスじゃないかな?」
「生徒会長とか似合いそうだね。明るく引っ張っていくタイプの」
青葉ちゃんの性格だとみんなから好かれて、信頼も厚そうだ。
「おっ、よくわかったね。青葉、生徒会長やってたよ。あの子は元気だけが取り柄だしねえ」
妹のことに関しては辛口になる楓さん。元気なのはあなたも負けてない気がするけどね、と心の中でつぶやく。
「元気だけってこともないと思うけど。俺にも何かできることないかな?」
勉強は楓で事足りている。何かないだろうか?
「なに? 悟、青葉のこと好きなの? 彼女の妹に惚れちゃった?」
「どうしてそうなる!ていうか、楓は彼女じゃないだろ!」
「今は下校中だから私たちの関係は彼氏彼女だよっ。彼女じゃない発言、誰かに聞かれてたら、どうするのー?」
つい大声になってしまったが、彼女か彼女でないかはこの際どうでも良い。いや、どうでも良いわけではないけど、これ以上不毛なやりとりを続けても仕方がない。
俺が異性としての好意を向けていることに関しては、否定しておかないと。
「わ、悪かったよ。さっきのことだけど、別に好きだからとかじゃなくて、頑張ってる人に何かしてあげられないかなって思ってさ」
俺の中にも頑張ってる人を応援したい気持ちくらいある。知り合いであるならなおさら。
「なんだあ。そういうことかー」
そういうことにしか捉えられない言い方をしたつもりだったけど、楓の頭は全く別の解釈をしてしまったようだ。
「うーん。差し入れとかどう?」
確かに差し入れなら勉強の妨げにはならないし、良いかもしれない。
「青葉ちゃんが喜ぶ食べ物って何?」
「プリンとクレープとアイス。あと、ケーキ!」
「それ楓が食べたい物じゃないの?」
俺の指摘は正しかったようで、視線は雪が積もった木に向けられ、口笛を吹き始めた。音が鳴ってないので、吹けてないけど。
「......その中のどれか買っていくよ」
「本当!? ありがとう!」
「どうして楓がお礼を言うの?」
「今この場にいない青葉の代理だよー。いつうちに来る?」
「毎日暇だからいつでもいいけど」
「じゃあ今週の土曜日来る?」
「わかった。土曜日おじゃまするよ」
「待ってる!」
こうして俺は楓のためのデザートを持って、土曜日に南家に行くことになった。
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