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ブラッククィーン編
宴の始末
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数万といた機獣は、大河に押し流され、その姿を消した。
先程まで眼前に津波の如く来ていたモンスター達がだ。
マーチソングを歌い、女王に先導され、自ら入水していったのだ。
錫乃介がこの驚異的な出来事に対し、傍観者に徹することしか出来なかった事を誰が馬鹿に出来ようか。
水面に立つ黒衣の女王は、フッと飛び上がるとその場から消え、近くまで来ていた、車の屋根に降り立つ。そして、走り始めたと思うと、またフッと飛び消え去り、錫乃介の目の前に降りたつ。
「少しお転婆が過ぎたかしら、驚かせちゃった?」
黒く艶やかに光るベルベットのような髪をかきあげ、錫乃介に迫る
「ああ、昔観たラスベガスのショーより凄かった。ラスベガス行った事ないけどな。だけど、観客が少ないのが勿体なかったな」
「あら、これだけいれば充分よ」
スッと周りに目をやるポラリス。
「まだ、この世界に居たんだな。もう、次の宇宙とやらに行っちまったのかと思ってた」
「ううん、もう行って戻ってきたところ。私の不始末が迷惑かけてたみたいだったから」
貴婦人はそう言って視線を右斜め上に、腕を組む。
「そうか、向こうは楽しかったか?」
「ええ、とても。でも、まだ満たされないの」
組んだ右手で頬杖を付く。
「また、行くのか?」
「行くわ。錫乃介も行きましょ」
右手で錫乃介の肩を撫でる
「ランデブーか、悪くない。でも俺はもう少しこの世界を見ていたいかな」
「そう…振られちゃったわね」
「その後でもいいか?」
「ええ、待ってるわ。私は先に行くわね。でも、あんまり女を待たせちゃ駄目よ」
女は男を見つめながら左の頬に手をやる
「待ちぼうけを喰らうのは、いつも男だろ」
「わかってないわね、女の方よ…」
そう言って、女は男の右頬に口付けをした。
「ジョドー、カルロス、今までありがとう」
ポラリスは振り返ると、付き従っていた者達に声をかけた。
「猊下、お元気で」
「こちらこそ、さようならですお嬢様」
ポラリスはフッと飛び上がると、そのまま上空で消え去った。
錫乃介は口付けされた頬を指で撫でながら、その姿を見送っていた。
その場に残された、運転手カルロス、ジョドー、錫乃介は、しばし上空を眺めていた。
「ジョドーさん街に戻りましょうか。それから、俺を轢いた運転手さん、カルロスってんだね」
「その節は大変失礼を…「ああ、いいっていいって。カルロスさんは主が居なくなって、どーすんだ?」
「私は車を磨いて、いつお嬢様が戻られても不自由ない様にしておくだけですよ」
「カッケー生き方だね~。じゃ、またどこかで世話になりますわ」
「はは、その時は撥ねないようにしますよ」
「たのんますよ」
ジョドーと共にオントスに乗り込むと、一路ポルトランドに向かって走り始めた。
「錫乃介様、猊下とご一緒しなくて宜しかったのですか?」
「ああ、まぁ言った通りですよ。次の宇宙ってのも興味あるけど、まずはこの世界かな。色々予想もつかないことばかりで楽しいですよ。
それにチートなオーバーテクノロジーってなんか違ぇーんですよ。ズルしてるみたいで。別にポラリスを揶揄してるわけじゃないですよ。俺にとっては、って事です」
「わかりますよ。猊下は一人、何十年も何百年も先の技術や知識を身につけてしまわれました。自分で積み上げた物でない虚しさと申すのでしょうか、だからこそ、貪欲になにかを求めていました。それは、とても孤独な事だったようですよ」
「だろうよ。俺にチートはまだ早ぇーわ。ところで、ジョドーさん」
「なんでしょう?」
「ユニオンに着いたら、なんて説明する?」
「…」
「数万の機獣達が、女1人に操られて、大河に飛び込んで、集団自殺しました」
「荒唐無稽にも程がありますな」
「でも、嘘言ってないよ」
「錫乃介様の手柄にしては?」
「俺1人でバッタバッタと薙ぎ倒したって?無茶言わんで下さい」
錫乃介の突っ込みに、ハハハと、珍しく声を上げて笑うジョドーだった。
ポルトランドに着く頃には、既に陽は沈み夜中になっていた。先に工兵隊が到着していたのだろう、街は厳戒態勢で早朝には避難が開始されるであろうタイミングであった。
錫乃介達はユニオンに着き、今までの経緯を説明した。
作戦は成功したが、黒幕ジャムカの事。ジャムカが金属ヘリウムで自爆した事。それによって、塞いだ穴が開き、機獣が出てきてしまった事。その機獣達はなんやかんやで、大河に飛び込む集団入水自殺をした事。
なんやかんやとは何か?としつこく聞かれたが、なんやかんやで通した。
元帥なのに最前線にいたジョドーすらもなんやかんやで通したため、幹部連中はそれ以上追求することが出来ずに引いてくれた。
おそらく、この事件の正式な報告書には、永劫に渡って“なんやかんや”で機獣達が集団入水自殺をした、と記載されるであろう事を考えると、錫乃介は笑いが止まらなかった。
機獣達の進軍阻止成功は瞬く間に街に広がり(一応建前上、爆破解体生き埋め作戦は成功ということにした)、そして夜が明けた。
報告や後始末の為一晩中起きていた錫乃介は、その日の昼過ぎユニオン内の寮を借りようやく眠りにつく事ができた。ジョドーは報告の途中で“後は良きに計らってくれ”と、いきなり元帥っぽいこと言って逃げた。
錫乃介が起きたのは、陽が沈み始めた夕暮れころだった。なかなか起きてこない錫乃介を、工兵隊のワカヌイが起こしに来たのだ。
「おはようございます。錫乃介さん、いつまで寝てるんですか?」
「おはようございます。いつまでって言っても、まだ5~6時間くらいじゃないの。2日も寝てないんだから仕方ないでしょ」
「特殊部隊はそれくらい普通ですよ」
「俺、特殊部隊どころか軍人ですらないんですけど」
「何を仰ってるんですが、元帥の懐刀ともあろう人が」
「俺そういうポジションなのね」
「それにもう寝始めてから27時間経ってますよ」
「は?」
「アイアコッカ中将がお呼びです」
「もう、話す事ないよ~」
愚痴愚痴しながら、顔洗って手櫛で髪を整えると、中将のいる部屋に向かう。
俺どんだけ寝てたの?
“それはもう、死んだように寝るとはこの事かと思いましたよ。呼びにこられたのこれで3回目でしたから”
マジかー。
中将の部屋に着いて「入りまーす」とノックもそこそこに入室すると、L字の重厚感のある黒いオフィスデスクにかけていた中将は立ち上がる。
「おお、錫乃介さん、重ね重ねになりますが、此度はお疲れ様でした。作戦立案から現場指揮まで、何もかも錫乃介さんに任せてしまい申し訳ない」
そう言って、中将は深々と頭を下げる。
「いえいえ、全ては元帥殿がご活躍されただけですよ」
「皆まで申さずともわかっております。外聞上は元帥殿が立案、指揮をした事になっておりますが、実際は錫乃介さんのお力によるものと」
でも、本当に斥候中はジョドーさんの方が活躍してたけどねー。俺、金魚の糞だったし。
「まぁ、それはそれで。バイクのローンがチャラって報酬もありましたから、ちょっとは頑張りましたけどね」
「それなんですが、本来であれば他に勲章などをお渡ししたいところなんですが、まだ混乱が収まっておらず後日ということで…」
「いいです、いいです。勲章なんか貰ったら、街中で立小便出来なくなる」
「勲章無くてもそれはご遠慮願いたい」
2人はそう言って笑った。
中将は笑いながらデスクから小さい端末を取り出す。
「こちらは非公式ではありますが軍からの謝礼金です。大した金額ではありませんがお受け取り下さい」
提示された金額は10,000cであった。
「え!いいんですか!」
「もちろんです。これは他の工兵隊にも任務成功の報奨金として払われたものですので、遠慮せずに」
「勲章よりも、俺はこっちが嬉しいね!」
「喜んでいただいて何よりです」
「また、何かお呼び立てすることもあるかもしれませんが、その時はまた宜しくお願い致します」
「それも、込みってことですね。りょーかいです。それじゃ、また」
「はい、またお会いしましょう。元帥殿に宜しくお伝え下さい」
「はいよー、伝えときまーす」
ユニオンを出ようとすると、キルケゴールに呼び止められる。
色々話を聞きたいそうなので、オントスを返してから、色街前で待ち合わせをした。
ところ変わって工場地区『鋼と私』
「また、ずいぶん手荒く使いやがったな!」
「サーセン」
「がはは!怒ってるわけじゃねぇよ!喜んでいるのさ、俺もコイツもな!」
バーン!とオントスをぶっ叩きながらサカキは笑った。
「久しぶりに暴れ回れて、コイツもスッキリしたろ!傷だらけになりやがって!」
暴れるどころか、ずっと逃げてたけどね……主砲も試射以外撃つ暇なかったし。
「これで、物流も時期に戻るだろ。お前さんのバイクもようやくチューンが終わるな!」
「宜しく頼んますよ」
「任せとけ!」
工場を後にして色街に向かう錫乃介に、いつもの子供達のリーダー、アルがやってきた。他の子供達は居ないようだ。
「なんだお前、もう遅いぞ早く帰れ」
「もう俺も帰るところだよ。おっさん無事だったんだな。外で害虫退治してたんだろ?」
「まあな。もう片付けたがな」
「なんか、すげぇ数の機獣が街を襲うかもって噂だったのによくやったよな!」
「ああ、あれな。あれももう終わったらしいぞ。軍隊のやつらが倒したみたいだぞ」
「カッコイイな!俺も軍隊入る!そんで、みんなにいい暮らしをさせるんだ!」
っっっくっ!
コイツらいちいち泣かしにかかってきやがる!
「そうか、なら身体鍛えておけよ」
「おっさんもな!今度は俺たちに負けないようにな!じゃあな!」
「やかましい!」
走って行くアルを見送ると、色街でキルケゴールと合流する。辺りはもう真っ暗だ。色街のネオンだけが、妖しく下品で男と女を魅了する欲望の光を放っていた。
「錫乃介さん、今日は時間すいません。どこかのお店で?」
「ああ、ちょっと行きつけの店で話ししましょうか」
「ここ、色街ですよ」
「ご心配なく、真っ当な店ですから」
そこは色街から路地に入った、誰も気付かないような所にあるBAR『万魔殿』だった。
丸い輪っかがついたドアノッカーでノックする。ドアノッカーを使うのはこの店では初めてかもしれない。よく見たら、輪っかを咥えているのは、ガーゴイルのような顔の悪魔であった。
程なくして、バーテンダースタイルに戻っているジョドーがドアを開ける。
キルケゴールは、あ!と声を上げかけるが、ジョドーが微笑みながら口に指を当てて、シッとジェスチャーする。
「ジョドーさん、今回はお疲れさんでした。とりあえずビール、おっきいので。それからツマミをありったけ。キルケは何飲む?」
「キルケって、それに元帥殿……」
「キルケさんですか、私はバーテンダーのジョドーです。ここに居るのは元帥ではありませんよ」
「……わかりました。それでは私もビールで」
「キルケゴールは面倒だからキルケね。それからここでは砕けていこう。もう、昨日今日の仲じゃないんだから。敬語が面倒臭いだけなんだけど」
「ああ、わかった」
「私はバーテンダーなので、いつも通り行きますよ」
「じゃ、それで」
そして巨大なパイントグラスに注がれた綺麗な泡のビールが三つ揃ってから乾杯した。
「まず、何から聞きたい?」
「そりゃもう色々と。ここに来て更に増えたし」
「ちげぇねぇな。それを狙ったんだけど。ユニオン内に一人くらい真実知っててもいいだろうしな」
「ますば、此度の作戦は元帥ではなく、錫乃介が立案したのは本当か?」
「まぁな。ま、キルケに嘘言ってもしょうがないけど、俺の電脳のナビゲーションアプリ、ってのが正確なとこだ」
「作戦立案するナビゲーションアプリなんて、初めて聞いた」
「そうなの?他のナビゲーションアプリの事知らないけど」
「通常ナビゲーションアプリは脳内でうるさいから、切っておく人が多いんだよ。戦闘の時だけ使用したりとか。あ、ソロで行動してるからか」
「そう言うもんかね、色々飽きなくて楽しいけどな」
“仲間いなくて寂しいですからね”
黙りねぃ。
「それで、元帥と錫乃介は元々知り合いだったのか?」
「いや、最近の事だ。ここでな」
そう言って、お店のカウンターとジョドーを指差す。
ジョドーは料理に忙しそうだ。
「この店を知ったのは?」
「単なる偶然。ナビゲーションと喧嘩して、やけ酒飲もうと腹いせに入っただけ」
“喧嘩ですらありませんよ。ただ、1人性癖がばれた恥ずかしさのあまり、頭がおかしくなって醜態を晒しただけじゃないですか”
人を狂人扱いするな。
「作戦はどこまでが成功でどこまでが失敗?」
「作戦そのものは成功したと言っていい。だけど、黒幕のジャムカがしぶとく生き残った。そんで、自暴自棄になって体内に仕込んでいた、金属ヘリウム爆弾で自爆。せっかく塞いだ穴が開き、機獣の一部、それでも数万が外に漏れた」
「その機獣達は?」
料理を持って来ていたジョドーと錫乃介は目が合い、どう返答するか迷う。
料理はフィッシュアンドチップに生ハムとオリーブのブルスケッタ、チリコンカルネにシャンピニオンと呼ばれる、丸いフランスパンであった。
「なんやかんやあって、大河に飛び込んで流された」
「嘘は言ってないのわかりますが、省略し過ぎじゃないですか?」
熱々のポテトと魚のフライを口に頬張りビールで流し込む。
「うっまー!だってな~」
「ありがとうございます。ええ」
ジョドーと錫乃介は、顔を見合わせて2人して首を傾げる。
「ほんと、うっま!ここの料理。で?」
「長くなるぞ」
「構いません」
「それじゃジョドーさん、泡物一本開けて下さい。キルケの奢りで」
「かしこまりました。ではルイ・ロデレールを」
「ムムッ!致し方無い」
それから、料理を食べ、酒を飲みながら、あの時あった事をキルケゴールに話した。
「そ、その、ポラリスという女性は今は…」
「次の宇宙だってよ」
「と、到底信じられない話しですが、一切嘘偽り隠し事、誤魔化しがないですね」
「でしょ?こんな話お偉方にできる?」
「いえ…とてもじゃありませんが…」
「キルケにいくら嘘が通用しないっても、話し合わせられたら、なんて向こうに思われたら終わりでしょ?ジョドーが元帥で助かったよ。無駄に追求されずに済んだ」
「よくわかりました。報告書に“なんやかんや”なんてアバウトな表現が許された理由が。前代未聞ですからね」
「そーいう訳よ。そんじゃ泡もう一本ね、キルケの奢りで」
「かしこまりました。ではクリュッグを開けましょうか」
「ええ!また⁉︎」
「ったりめーよ、この話いくらの値が付くと思ってんだ。安くねーぜ、俺たちの命かかってたんだから」
「手加減してくださいよ」
「料理代は俺持ちでいいよ」
錫乃介はクリュッグを指差し
「それじゃジョドーさん、いま開けたシャンパンでブラックベルベットを俺に」
ブラッククィーン編 終
残金17,550
ローンチャラ、のはず
先程まで眼前に津波の如く来ていたモンスター達がだ。
マーチソングを歌い、女王に先導され、自ら入水していったのだ。
錫乃介がこの驚異的な出来事に対し、傍観者に徹することしか出来なかった事を誰が馬鹿に出来ようか。
水面に立つ黒衣の女王は、フッと飛び上がるとその場から消え、近くまで来ていた、車の屋根に降り立つ。そして、走り始めたと思うと、またフッと飛び消え去り、錫乃介の目の前に降りたつ。
「少しお転婆が過ぎたかしら、驚かせちゃった?」
黒く艶やかに光るベルベットのような髪をかきあげ、錫乃介に迫る
「ああ、昔観たラスベガスのショーより凄かった。ラスベガス行った事ないけどな。だけど、観客が少ないのが勿体なかったな」
「あら、これだけいれば充分よ」
スッと周りに目をやるポラリス。
「まだ、この世界に居たんだな。もう、次の宇宙とやらに行っちまったのかと思ってた」
「ううん、もう行って戻ってきたところ。私の不始末が迷惑かけてたみたいだったから」
貴婦人はそう言って視線を右斜め上に、腕を組む。
「そうか、向こうは楽しかったか?」
「ええ、とても。でも、まだ満たされないの」
組んだ右手で頬杖を付く。
「また、行くのか?」
「行くわ。錫乃介も行きましょ」
右手で錫乃介の肩を撫でる
「ランデブーか、悪くない。でも俺はもう少しこの世界を見ていたいかな」
「そう…振られちゃったわね」
「その後でもいいか?」
「ええ、待ってるわ。私は先に行くわね。でも、あんまり女を待たせちゃ駄目よ」
女は男を見つめながら左の頬に手をやる
「待ちぼうけを喰らうのは、いつも男だろ」
「わかってないわね、女の方よ…」
そう言って、女は男の右頬に口付けをした。
「ジョドー、カルロス、今までありがとう」
ポラリスは振り返ると、付き従っていた者達に声をかけた。
「猊下、お元気で」
「こちらこそ、さようならですお嬢様」
ポラリスはフッと飛び上がると、そのまま上空で消え去った。
錫乃介は口付けされた頬を指で撫でながら、その姿を見送っていた。
その場に残された、運転手カルロス、ジョドー、錫乃介は、しばし上空を眺めていた。
「ジョドーさん街に戻りましょうか。それから、俺を轢いた運転手さん、カルロスってんだね」
「その節は大変失礼を…「ああ、いいっていいって。カルロスさんは主が居なくなって、どーすんだ?」
「私は車を磨いて、いつお嬢様が戻られても不自由ない様にしておくだけですよ」
「カッケー生き方だね~。じゃ、またどこかで世話になりますわ」
「はは、その時は撥ねないようにしますよ」
「たのんますよ」
ジョドーと共にオントスに乗り込むと、一路ポルトランドに向かって走り始めた。
「錫乃介様、猊下とご一緒しなくて宜しかったのですか?」
「ああ、まぁ言った通りですよ。次の宇宙ってのも興味あるけど、まずはこの世界かな。色々予想もつかないことばかりで楽しいですよ。
それにチートなオーバーテクノロジーってなんか違ぇーんですよ。ズルしてるみたいで。別にポラリスを揶揄してるわけじゃないですよ。俺にとっては、って事です」
「わかりますよ。猊下は一人、何十年も何百年も先の技術や知識を身につけてしまわれました。自分で積み上げた物でない虚しさと申すのでしょうか、だからこそ、貪欲になにかを求めていました。それは、とても孤独な事だったようですよ」
「だろうよ。俺にチートはまだ早ぇーわ。ところで、ジョドーさん」
「なんでしょう?」
「ユニオンに着いたら、なんて説明する?」
「…」
「数万の機獣達が、女1人に操られて、大河に飛び込んで、集団自殺しました」
「荒唐無稽にも程がありますな」
「でも、嘘言ってないよ」
「錫乃介様の手柄にしては?」
「俺1人でバッタバッタと薙ぎ倒したって?無茶言わんで下さい」
錫乃介の突っ込みに、ハハハと、珍しく声を上げて笑うジョドーだった。
ポルトランドに着く頃には、既に陽は沈み夜中になっていた。先に工兵隊が到着していたのだろう、街は厳戒態勢で早朝には避難が開始されるであろうタイミングであった。
錫乃介達はユニオンに着き、今までの経緯を説明した。
作戦は成功したが、黒幕ジャムカの事。ジャムカが金属ヘリウムで自爆した事。それによって、塞いだ穴が開き、機獣が出てきてしまった事。その機獣達はなんやかんやで、大河に飛び込む集団入水自殺をした事。
なんやかんやとは何か?としつこく聞かれたが、なんやかんやで通した。
元帥なのに最前線にいたジョドーすらもなんやかんやで通したため、幹部連中はそれ以上追求することが出来ずに引いてくれた。
おそらく、この事件の正式な報告書には、永劫に渡って“なんやかんや”で機獣達が集団入水自殺をした、と記載されるであろう事を考えると、錫乃介は笑いが止まらなかった。
機獣達の進軍阻止成功は瞬く間に街に広がり(一応建前上、爆破解体生き埋め作戦は成功ということにした)、そして夜が明けた。
報告や後始末の為一晩中起きていた錫乃介は、その日の昼過ぎユニオン内の寮を借りようやく眠りにつく事ができた。ジョドーは報告の途中で“後は良きに計らってくれ”と、いきなり元帥っぽいこと言って逃げた。
錫乃介が起きたのは、陽が沈み始めた夕暮れころだった。なかなか起きてこない錫乃介を、工兵隊のワカヌイが起こしに来たのだ。
「おはようございます。錫乃介さん、いつまで寝てるんですか?」
「おはようございます。いつまでって言っても、まだ5~6時間くらいじゃないの。2日も寝てないんだから仕方ないでしょ」
「特殊部隊はそれくらい普通ですよ」
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「それにもう寝始めてから27時間経ってますよ」
「は?」
「アイアコッカ中将がお呼びです」
「もう、話す事ないよ~」
愚痴愚痴しながら、顔洗って手櫛で髪を整えると、中将のいる部屋に向かう。
俺どんだけ寝てたの?
“それはもう、死んだように寝るとはこの事かと思いましたよ。呼びにこられたのこれで3回目でしたから”
マジかー。
中将の部屋に着いて「入りまーす」とノックもそこそこに入室すると、L字の重厚感のある黒いオフィスデスクにかけていた中将は立ち上がる。
「おお、錫乃介さん、重ね重ねになりますが、此度はお疲れ様でした。作戦立案から現場指揮まで、何もかも錫乃介さんに任せてしまい申し訳ない」
そう言って、中将は深々と頭を下げる。
「いえいえ、全ては元帥殿がご活躍されただけですよ」
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でも、本当に斥候中はジョドーさんの方が活躍してたけどねー。俺、金魚の糞だったし。
「まぁ、それはそれで。バイクのローンがチャラって報酬もありましたから、ちょっとは頑張りましたけどね」
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「これで、物流も時期に戻るだろ。お前さんのバイクもようやくチューンが終わるな!」
「宜しく頼んますよ」
「任せとけ!」
工場を後にして色街に向かう錫乃介に、いつもの子供達のリーダー、アルがやってきた。他の子供達は居ないようだ。
「なんだお前、もう遅いぞ早く帰れ」
「もう俺も帰るところだよ。おっさん無事だったんだな。外で害虫退治してたんだろ?」
「まあな。もう片付けたがな」
「なんか、すげぇ数の機獣が街を襲うかもって噂だったのによくやったよな!」
「ああ、あれな。あれももう終わったらしいぞ。軍隊のやつらが倒したみたいだぞ」
「カッコイイな!俺も軍隊入る!そんで、みんなにいい暮らしをさせるんだ!」
っっっくっ!
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キルケゴールは、あ!と声を上げかけるが、ジョドーが微笑みながら口に指を当てて、シッとジェスチャーする。
「ジョドーさん、今回はお疲れさんでした。とりあえずビール、おっきいので。それからツマミをありったけ。キルケは何飲む?」
「キルケって、それに元帥殿……」
「キルケさんですか、私はバーテンダーのジョドーです。ここに居るのは元帥ではありませんよ」
「……わかりました。それでは私もビールで」
「キルケゴールは面倒だからキルケね。それからここでは砕けていこう。もう、昨日今日の仲じゃないんだから。敬語が面倒臭いだけなんだけど」
「ああ、わかった」
「私はバーテンダーなので、いつも通り行きますよ」
「じゃ、それで」
そして巨大なパイントグラスに注がれた綺麗な泡のビールが三つ揃ってから乾杯した。
「まず、何から聞きたい?」
「そりゃもう色々と。ここに来て更に増えたし」
「ちげぇねぇな。それを狙ったんだけど。ユニオン内に一人くらい真実知っててもいいだろうしな」
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「まぁな。ま、キルケに嘘言ってもしょうがないけど、俺の電脳のナビゲーションアプリ、ってのが正確なとこだ」
「作戦立案するナビゲーションアプリなんて、初めて聞いた」
「そうなの?他のナビゲーションアプリの事知らないけど」
「通常ナビゲーションアプリは脳内でうるさいから、切っておく人が多いんだよ。戦闘の時だけ使用したりとか。あ、ソロで行動してるからか」
「そう言うもんかね、色々飽きなくて楽しいけどな」
“仲間いなくて寂しいですからね”
黙りねぃ。
「それで、元帥と錫乃介は元々知り合いだったのか?」
「いや、最近の事だ。ここでな」
そう言って、お店のカウンターとジョドーを指差す。
ジョドーは料理に忙しそうだ。
「この店を知ったのは?」
「単なる偶然。ナビゲーションと喧嘩して、やけ酒飲もうと腹いせに入っただけ」
“喧嘩ですらありませんよ。ただ、1人性癖がばれた恥ずかしさのあまり、頭がおかしくなって醜態を晒しただけじゃないですか”
人を狂人扱いするな。
「作戦はどこまでが成功でどこまでが失敗?」
「作戦そのものは成功したと言っていい。だけど、黒幕のジャムカがしぶとく生き残った。そんで、自暴自棄になって体内に仕込んでいた、金属ヘリウム爆弾で自爆。せっかく塞いだ穴が開き、機獣の一部、それでも数万が外に漏れた」
「その機獣達は?」
料理を持って来ていたジョドーと錫乃介は目が合い、どう返答するか迷う。
料理はフィッシュアンドチップに生ハムとオリーブのブルスケッタ、チリコンカルネにシャンピニオンと呼ばれる、丸いフランスパンであった。
「なんやかんやあって、大河に飛び込んで流された」
「嘘は言ってないのわかりますが、省略し過ぎじゃないですか?」
熱々のポテトと魚のフライを口に頬張りビールで流し込む。
「うっまー!だってな~」
「ありがとうございます。ええ」
ジョドーと錫乃介は、顔を見合わせて2人して首を傾げる。
「ほんと、うっま!ここの料理。で?」
「長くなるぞ」
「構いません」
「それじゃジョドーさん、泡物一本開けて下さい。キルケの奢りで」
「かしこまりました。ではルイ・ロデレールを」
「ムムッ!致し方無い」
それから、料理を食べ、酒を飲みながら、あの時あった事をキルケゴールに話した。
「そ、その、ポラリスという女性は今は…」
「次の宇宙だってよ」
「と、到底信じられない話しですが、一切嘘偽り隠し事、誤魔化しがないですね」
「でしょ?こんな話お偉方にできる?」
「いえ…とてもじゃありませんが…」
「キルケにいくら嘘が通用しないっても、話し合わせられたら、なんて向こうに思われたら終わりでしょ?ジョドーが元帥で助かったよ。無駄に追求されずに済んだ」
「よくわかりました。報告書に“なんやかんや”なんてアバウトな表現が許された理由が。前代未聞ですからね」
「そーいう訳よ。そんじゃ泡もう一本ね、キルケの奢りで」
「かしこまりました。ではクリュッグを開けましょうか」
「ええ!また⁉︎」
「ったりめーよ、この話いくらの値が付くと思ってんだ。安くねーぜ、俺たちの命かかってたんだから」
「手加減してくださいよ」
「料理代は俺持ちでいいよ」
錫乃介はクリュッグを指差し
「それじゃジョドーさん、いま開けたシャンパンでブラックベルベットを俺に」
ブラッククィーン編 終
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ローンチャラ、のはず
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考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
データワールド(DataWorld)
大斗ダイソン
SF
あらすじ
現代日本、高校生の神夜蒼麻は、親友の玄芳暁斗と共に日常を送っていた。しかし、ある日、不可解な現象に遭遇し、二人は突如として仮想世界(データワールド)に転送されてしまう。
その仮想世界は、かつて禁止された「人体粒子化」実験の結果として生まれた場所だった。そこでは、現実世界から転送された人々がNPC化し、記憶を失った状態で存在していた。
一方、霧咲祇那という少女は、長らくNPCとして機能していたが、謎の白髪の男によって記憶を取り戻す。彼女は自分が仮想世界にいることを再認識し、過去の出来事を思い出す。白髪の男は彼女に協力を求めるが、その真意は不明瞭なままだ。
物語は、現実世界での「人体粒子化」実験の真相、仮想世界の本質、そして登場人物たちの過去と未来が絡み合う。神夜と暁斗は新たな環境に適応しながら、この世界の謎を解き明かそうとする。一方、霧咲祇那は復讐の念に駆られながらも、白髪の男の提案に悩む。
仮想世界では200年もの時が流れ、独特の文化や秩序が形成されていた。発光する星空や、現実とは異なる物理法則など、幻想的な要素が日常に溶け込んでいる。
登場人物たちは、自分たちの存在意義や、現実世界との関係性を模索しながら、仮想世界を揺るがす大きな陰謀に巻き込まれていく。果たして彼らは真実にたどり着き、自由を手に入れることができるのか。そして、現実世界と仮想世界の境界線は、どのように変化していくのか。
この物語は、SFとファンタジーの要素を融合させながら、人間の記憶、感情、そしてアイデンティティの本質に迫る壮大な冒険譚である。
セルリアン
吉谷新次
SF
銀河連邦軍の上官と拗れたことをキッカケに銀河連邦から離れて、
賞金稼ぎをすることとなったセルリアン・リップルは、
希少な資源を手に入れることに成功する。
しかし、突如として現れたカッツィ団という
魔界から独立を試みる団体によって襲撃を受け、資源の強奪をされたうえ、
賞金稼ぎの相棒を暗殺されてしまう。
人界の銀河連邦と魔界が一触即発となっている時代。
各星団から独立を試みる団体が増える傾向にあり、
無所属の団体や個人が無法地帯で衝突する事件も多発し始めていた。
リップルは強靭な身体と念力を持ち合わせていたため、
生きたままカッツィ団のゴミと一緒に魔界の惑星に捨てられてしまう。
その惑星で出会ったランスという見習い魔術師の少女に助けられ、
次第に会話が弾み、意気投合する。
だが、またしても、
カッツィ団の襲撃とランスの誘拐を目の当たりにしてしまう。
リップルにとってカッツィ団に対する敵対心が強まり、
賞金稼ぎとしてではなく、一個人として、
カッツィ団の頭首ジャンに会いに行くことを決意する。
カッツィ団のいる惑星に侵入するためには、
ブーチという女性操縦士がいる輸送船が必要となり、
彼女を説得することから始まる。
また、その輸送船は、
魔術師から見つからないように隠す迷彩妖術が必要となるため、
妖精の住む惑星で同行ができる妖精を募集する。
加えて、魔界が人界科学の真似事をしている、ということで、
警備システムを弱体化できるハッキング技術の習得者を探すことになる。
リップルは強引な手段を使ってでも、
ランスの救出とカッツィ団の頭首に会うことを目的に行動を起こす。
DEADNIGHT
CrazyLight Novels
SF
総合 900 PV 達成!ありがとうございます!
Season 2 Ground 執筆中 全章執筆終了次第順次公開予定
1396年、5歳の主人公は村で「自由のために戦う」という言葉を耳にする。当時は意味を理解できなかった、16年後、その言葉の重みを知ることになる。
21歳で帝国軍事組織CTIQAに入隊した主人公は、すぐさまDeadNight(DN)という反乱組織との戦いに巻き込まれた。戦場で自身がDN支配地域の出身だと知り、衝撃を受けた。激しい戦闘の中で意識を失った主人公は、目覚めると2063年の未来世界にいた。
そこで主人公は、CTIQAが敗北し、新たな組織CREWが立ち上がったことを知る。DNはさらに強大化しており、CREWの隊長は主人公に協力を求めた。主人公は躊躇しながらも同意し、10年間新しい戦闘技術を学ぶ。
2073年、第21回DVC戦争が勃発。主人公は過去の経験と新しい技術を駆使して戦い、敵陣に単身で乗り込み、敵軍大将軍の代理者を倒した。この勝利により、両軍に退避命令が出された。主人公がCREW本部の総括官に呼び出され、主人公は自分の役割や、この終わりなき戦いの行方について考えを巡らせながら、総括官室へ向かう。それがはじまりだった。
MMS ~メタル・モンキー・サーガ~
千両文士
SF
エネルギー問題、環境問題、経済格差、疫病、収まらぬ紛争に戦争、少子高齢化・・・人類が直面するありとあらゆる問題を科学の力で解決すべく世界政府が協力して始まった『プロジェクト・エデン』
洋上に建造された大型研究施設人工島『エデン』に招致された若き大天才学者ミクラ・フトウは自身のサポートメカとしてその人格と知能を完全電子化複製した人工知能『ミクラ・ブレイン』を建造。
その迅速で的確な技術開発力と問題解決能力で矢継ぎ早に改善されていく世界で人類はバラ色の未来が確約されていた・・・はずだった。
突如人類に牙を剥き、暴走したミクラ・ブレインによる『人類救済計画』。
その指揮下で人類を滅ぼさんとする軍事戦闘用アンドロイドと直属配下の上位管理者アンドロイド6体を倒すべく人工島エデンに乗り込むのは・・・宿命に導かれた天才学者ミクラ・フトウの愛娘にしてレジスタンス軍特殊エージェント科学者、サン・フトウ博士とその相棒の戦闘用人型アンドロイドのモンキーマンであった!!
機械と人間のSF西遊記、ここに開幕!!
第一機動部隊
桑名 裕輝
歴史・時代
突如アメリカ軍陸上攻撃機によって帝都が壊滅的損害を受けた後に宣戦布告を受けた大日本帝国。
祖国のため、そして愛する者のため大日本帝国の精鋭である第一機動部隊が米国太平洋艦隊重要拠点グアムを叩く。
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