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読書中は静かに
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今日もいつもと変わらず朝食後に少し庭を散歩。
ルドがくしゃみしたのでいつもより早く切り上げて、図書室に閉じ篭った。
ルドのおもちゃも持って行って、メイドさんが相手をしてくれているので、私は集中して読書ができる。
そのうちにお勉強の時間ですよーって呼ばれるだろう。
この男爵家に来てから耳強化はあまりしていない。
街で何か事件が起きても助けに行けそうもないし、なるべく早く本を読み終わらせたいから読書中は集中したい。
ルドを忘れて集中出来るのも今しかないので、耳強化はほんとにたまにしかしていない。
もし男爵が良からぬことを企んでいたとしても、声を出して言ってくれないと聞こえない。
耳強化で心の声は聞こえないのだ。
まぁ、何かあっても、私とルドが離れ離れにならないようにすれば、バリアとか魔力の暴力で何とかなるでしょう。
「エラ様、お昼食をお持ちしました。本日はこちらでお召し上がりください」
本棚と読書机から少し離れたテーブルに昼食の準備が整っていた。
あれ、サラとのお勉強の時間どうした?
午前中呼びにこなかった?
こんなのは初めてだな。
「こちらでの飲食の許可をいただいておりますので、ご心配なく。
それから、男爵家の皆様は急用でお出かけになりました。
しばらくお帰りになりません。
エラ様は好きなだけご滞在くださいとの伝言を預かっております。
こちらに滞在の間はお給金をお支払いいたします。
もちろんいつでも帰宅なさって構いませんし、読書のために遊びに来ることができますよ」
ふーん、男爵のみなさん、出かけたんだ。
全然静かで気づかなかったな。
集中しすぎちゃったかな。
サラとは仲良くなったと思ったんだけど、挨拶もなしに行ってしまったのだね。
あっけないな。
っていうか、ここにいて、サラの相手もしないでお金貰えるなら図書室制覇するまでは滞在しようと思うけど。
「あのー、いつ頃お戻りの予定ですか?」
「・・・・・・数年でしょうか」
数ヶ月でかはなく、数年って一体、彼らに何があったんだろう?
「エラ様は何年でもずっとご滞在いただきたいですわ。妖精さんのお世話はメイドの幸せでございます。もちろんお兄様方のお部屋もご用意してありますのでよろしかったらご兄弟でご滞在ください」
「ずっと滞在って、その間」
「もちろんお給金もずっとです」
メイドさんがキラキラ笑顔で凄いことを言った。
ここにいる間の滞在費を払うどころか、貰うってどういうことよ。
この家の主人が居ないのに、さすがに図々しいことはできない。
でも一応兄ズに相談してみよう。
「とりあえずお兄ちゃん達と相談しますね。私としてはここの本を全部読み切るまでは滞在させていただきたいです」
「はい、かしこまりました」
ここって男爵の別荘だったのかな。
王都に行っちゃって、そのままサラは学院に入学とか?
わからないけど、まぁいいや。
貴族とは極力関わらないようにするからね。
私がこの屋敷を出て行ったらやっと縁切れるね。
食事をしながら耳強化してみたけど、屋敷のメイドさんたちっておしゃべりしないのかな?
すっごい静かなんだけど。
耳強化して屋敷の音すらしない、屋敷の外の音もしないなんて初めて。
まぁいっか。
また本を読むぞー!
この部屋で食事をしていいならこの部屋に寝泊まりしても良い気がする。
この図書室、トイレがあるし。
サラが居なくなったこの屋敷で私がすることは読書しかないからな。
急ぐことはないけど、お風呂はルドだけ入れてもらって、私は読書に集中させてもらおうかな。
いや、ルドもお風呂なくていいよ。
お風呂好きになったら平民らしく生きていけなくなっちゃうかもしれないからね。
兄ズは夕食も終わり、また読書三昧をしている時にやってきた。
「エラ、メイドの皆さんに迷惑かけてない?」
「読書してるだけで迷惑かけるとかないよね」
「えー、本当に読書しかしてないの?」
読みかけの本を置いて、飲食テーブルにみんなで座る。
「男爵様の話を聞いたよ。エラ達は、本を読み終わるまで滞在させてもらえばいいよ。俺たちはあっちの家だけど良い?」
「うん、わかった」
「エラがいないと気軽に風呂に入れないし、家が寒いよー」
ユーリが不貞腐れた。
その辺は申し訳ない。
前世の私がたくさん本を読めって言ってるんだ。
「ごめんね、なるべく早く読むね! お兄ちゃん達もこっちでお風呂入らせてもらったら?」
兄ズは首が吹っ飛んでいってしまうんじゃないかってくらい首を横に振る。
そんなに嫌なのか。
「俺たちは無理だ」
「うん、エラは遠慮なく、俺たちを気にせずここに居てくれ」
「わかったけど・・・・・・ご飯はどうしてる?」
「エラ、それも心配ないよ。ちゃんと食べてるから。エラこそたくさん食べないと大きくなれないぞ」
「はーい」
私はのんきに出された苺のショートケーキを食べた。
兄ズはルドと少し遊んだあと、お見送りは要らないと言って去っていった。
ルドがくしゃみしたのでいつもより早く切り上げて、図書室に閉じ篭った。
ルドのおもちゃも持って行って、メイドさんが相手をしてくれているので、私は集中して読書ができる。
そのうちにお勉強の時間ですよーって呼ばれるだろう。
この男爵家に来てから耳強化はあまりしていない。
街で何か事件が起きても助けに行けそうもないし、なるべく早く本を読み終わらせたいから読書中は集中したい。
ルドを忘れて集中出来るのも今しかないので、耳強化はほんとにたまにしかしていない。
もし男爵が良からぬことを企んでいたとしても、声を出して言ってくれないと聞こえない。
耳強化で心の声は聞こえないのだ。
まぁ、何かあっても、私とルドが離れ離れにならないようにすれば、バリアとか魔力の暴力で何とかなるでしょう。
「エラ様、お昼食をお持ちしました。本日はこちらでお召し上がりください」
本棚と読書机から少し離れたテーブルに昼食の準備が整っていた。
あれ、サラとのお勉強の時間どうした?
午前中呼びにこなかった?
こんなのは初めてだな。
「こちらでの飲食の許可をいただいておりますので、ご心配なく。
それから、男爵家の皆様は急用でお出かけになりました。
しばらくお帰りになりません。
エラ様は好きなだけご滞在くださいとの伝言を預かっております。
こちらに滞在の間はお給金をお支払いいたします。
もちろんいつでも帰宅なさって構いませんし、読書のために遊びに来ることができますよ」
ふーん、男爵のみなさん、出かけたんだ。
全然静かで気づかなかったな。
集中しすぎちゃったかな。
サラとは仲良くなったと思ったんだけど、挨拶もなしに行ってしまったのだね。
あっけないな。
っていうか、ここにいて、サラの相手もしないでお金貰えるなら図書室制覇するまでは滞在しようと思うけど。
「あのー、いつ頃お戻りの予定ですか?」
「・・・・・・数年でしょうか」
数ヶ月でかはなく、数年って一体、彼らに何があったんだろう?
「エラ様は何年でもずっとご滞在いただきたいですわ。妖精さんのお世話はメイドの幸せでございます。もちろんお兄様方のお部屋もご用意してありますのでよろしかったらご兄弟でご滞在ください」
「ずっと滞在って、その間」
「もちろんお給金もずっとです」
メイドさんがキラキラ笑顔で凄いことを言った。
ここにいる間の滞在費を払うどころか、貰うってどういうことよ。
この家の主人が居ないのに、さすがに図々しいことはできない。
でも一応兄ズに相談してみよう。
「とりあえずお兄ちゃん達と相談しますね。私としてはここの本を全部読み切るまでは滞在させていただきたいです」
「はい、かしこまりました」
ここって男爵の別荘だったのかな。
王都に行っちゃって、そのままサラは学院に入学とか?
わからないけど、まぁいいや。
貴族とは極力関わらないようにするからね。
私がこの屋敷を出て行ったらやっと縁切れるね。
食事をしながら耳強化してみたけど、屋敷のメイドさんたちっておしゃべりしないのかな?
すっごい静かなんだけど。
耳強化して屋敷の音すらしない、屋敷の外の音もしないなんて初めて。
まぁいっか。
また本を読むぞー!
この部屋で食事をしていいならこの部屋に寝泊まりしても良い気がする。
この図書室、トイレがあるし。
サラが居なくなったこの屋敷で私がすることは読書しかないからな。
急ぐことはないけど、お風呂はルドだけ入れてもらって、私は読書に集中させてもらおうかな。
いや、ルドもお風呂なくていいよ。
お風呂好きになったら平民らしく生きていけなくなっちゃうかもしれないからね。
兄ズは夕食も終わり、また読書三昧をしている時にやってきた。
「エラ、メイドの皆さんに迷惑かけてない?」
「読書してるだけで迷惑かけるとかないよね」
「えー、本当に読書しかしてないの?」
読みかけの本を置いて、飲食テーブルにみんなで座る。
「男爵様の話を聞いたよ。エラ達は、本を読み終わるまで滞在させてもらえばいいよ。俺たちはあっちの家だけど良い?」
「うん、わかった」
「エラがいないと気軽に風呂に入れないし、家が寒いよー」
ユーリが不貞腐れた。
その辺は申し訳ない。
前世の私がたくさん本を読めって言ってるんだ。
「ごめんね、なるべく早く読むね! お兄ちゃん達もこっちでお風呂入らせてもらったら?」
兄ズは首が吹っ飛んでいってしまうんじゃないかってくらい首を横に振る。
そんなに嫌なのか。
「俺たちは無理だ」
「うん、エラは遠慮なく、俺たちを気にせずここに居てくれ」
「わかったけど・・・・・・ご飯はどうしてる?」
「エラ、それも心配ないよ。ちゃんと食べてるから。エラこそたくさん食べないと大きくなれないぞ」
「はーい」
私はのんきに出された苺のショートケーキを食べた。
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