128 / 194
第二部
第25話 すばらしい計画ー01
しおりを挟む
せめて、雨とは言わないまでも、今日が曇りだったなら――わたしの心も少しは晴れただろうか?
窓の外は、いかにも秋晴れと呼ぶに相応しい晴天が広がっている。
「……いい天気ね……」
どんよりと沈痛に響いたわたしの声に、「そうねえ」と軽く応えたブランシュは、屋敷の図書室の窓辺に置かれた長椅子にだらっと腰掛け、経営学の本を興味深そうに読みふけっている。
――そう、今日は木曜日。
王宮で、騎士団公開演習が開かれる日だ。
当然、わたしは招待されていない。
あの竜巻のようなガーデンパーティーが社交力の向上に役立ったとも思えず。
やっぱり、わたしは相変わらず。
ブランシュと同じ長椅子に腰を下ろし、ついさっき確認したばかりの柱時計にちらと視線をやる。
二分前から二分進んでいる――うん、当たり前だわ。
つまり、開始予定時刻の一時間六分前である。
ぎゅっと目を瞑り、葛藤に耐える。
――ウェイン卿は……今頃、公開演習の準備運動中かしら……?
悔しいことに、ちょっとした想像の中ですら、あの人は最高に輝いている。
「ねえ、ブランシュ? 公開演習って、どんな感じなのかしらねえ?」
平静を装って何でもない風に尋ねると、靴を脱いで長椅子にほっそりした足を載せているブランシュは、本から顔を上げた。少し考える素振りを見せる。
「……そうねえ? 騎士達が順番に剣で打ち合ってる様子を、観客は階段の上から見るの。剣術に興味があるか憧れの騎士でもいればともかく、そうでなければ別になんとも。日差しは強いし、わたしは去年一回見たから、もう充分かしらねー」
「ふぅん」
薄く伸ばした銀細工の栞を挟み、ぱたんと音を立てて本を閉じると、ブランシュはふふっと意味ありげに笑った。
「リリアーナったら、そんなつまらなそうな顔で本読んでるふりするくらいなら、『わたしも行ってみたーい』ってウェイン卿に甘えてみたらいいのよ」
…………。
この愛すべき美しい姉ときたら本当、根っからの愛され体質なのだ。そうでない女子がそういう甘ったれたことを空気も読まずに口走るのは自爆行為だ――って真理をちっともわかってない。
自然と半眼となり、わたしは口を尖らせる。
「……心から、心底、来てほしくなさそうだった……」
自分で言って、自分でダメージを受けた。泣きたくなる。
ふぅん、とブランシュは、悪戯っぽい笑みを深める。
「行ってきなさいよ、リリアーナ」
「はあっ?」
すっとんきょうな声を上げて姉の顔を見ると、まるで良いこと思いついた風にしたり顔である。どこか得意気ですらある。
「無理に決まってる!! 面倒な女だと思われる!!」
まったくもう、これだから美人で明るくて性格もいい人気者は困る。こっちは常にぎりぎりの崖っぷちなのだ。嫌われたらどうしてくれる。
勢いこんで言うと、ブランシュはあっけらかんと笑い飛ばした。
「リリアーナったら。ウェイン卿が貴女を面倒だなんて思う訳ない。あの眼差し! 甘く蕩けるはちみつのような――っていうのは、ウェイン卿が貴女を見る目のことを言うのよ」
それを言うなら、ブランシュを見つめるノワゼット公爵の眼差しのことである。
わたしはますますやさぐれた半眼になる。
「……ああはいはい、そうかしらね? ……いい、行かない。今年は諦めて、来年は招んでもいいと思ってもらえるような淑女を目指して自己研鑽に励むことにする」
考えれば考えるほど、呼んでもらえない理由はやはり、それだ。
わたしの評判は、魔女という記事こそ見かけなくなったものの、未だ向上していない。
屋敷で働いてくれている使用人や、屋敷を訪れるブランシュの友人令嬢とは普通に話せるようになったが、まだ社交界デビューも果たせていない未熟者。
自身が職場に好んで呼び寄せたい類の女ではないという自覚は、たっぷりんことあった。
邪念を振り払って、顔相学の本に集中しよう。
社交界には人が多い。ガーデンパーティーで思い知った。――オフシーズンでもあんなにいるの? 国務卿の顔すら知らないという体たらく。
まずは、顔と名前を一致させることが肝要だ。顔相学を極め、顔相識別能力を高めるのだ。
同時進行で『社交術~これで貴方も人気者~』というベストセラーと、分厚い貴族名鑑を読みこんで暗記する。あらゆる方面から社交能力を高め、冬から始まる次の社交シーズンでは、ウェイン卿から婚約者として恥ずかしくない存在として認めてもらう……!
きりっと本に向き直ったわたしを見て、今度はブランシュが半眼になる。
「……リリアーナ、相変わらず迷走してるわねえ……。まあ、それはそれで、非常に面白くて可愛らしくて堪らないけど、ほどほどのとこでウェイン卿と話し合っときなさいよ」
ブランシュが呆れたようにそう言った時、図書室のドアが叩かれた。
さっと足を降ろし、一瞬で完璧な淑女の佇まいを取り戻したブランシュが、どうぞ、と澄ました声を出す。
そっと開いたドアの隙間から、メイドのリジーが顔を覗かせた。
「お嬢様方、少しよろしいですか? 今、玄関の方に――」
――そして、その半刻後。
わたしはランブラーの勤め先である、王宮政務室内のソファーに腰掛けている。
「レディ・リリアーナ、どうぞアールグレイです――お口に会うと良いのですが」
ウィリアム・ロブ卿が優美な仕草で直々に茶器を差し出してくれる。
「ありがとうございます。お仕事中にお邪魔して申し訳ございません。どうぞお構いなく」
ふかふかのソファーに腰掛け、のほほんとお茶をいただく。
「ちょうど良かった。この前は結局、僕の仕事場見せる機会がなかったからね」
保護者然とした暖かい眼差しをわたしに注ぎながら、隣に腰かけるランブラーが微笑んだ。
王宮政務室の片隅に設けられたちょっとした休憩スペースは、よく整えられていた。
マーブル模様の大理石のテーブルはピカピカに磨かれている。バルコニーに続く掃き出し窓の前には、青々とした観葉植物。
向かいのソファには、休憩中だというランブラーの同僚の皆様がぎゅうぎゅうと腰掛けている。
一方でその背後の衝立の向こうに垣間見える机上には、書類の山がアルディ山脈さながらに聳え立っていた。あれで崩れ落ちないのは、奇跡の御業である。
「レディ・リリアーナが一緒に書類を探してくださって、助かりました」
「さ、レディ・リリアーナ、茶菓子もありますから! 貰いものなんですけど、フィナンシェとマカロン、どちらがお好きですか?」
「私、ランブラーの同僚のジョセフ・シュヴァルツと申します。ロンサール伯爵とは親友です! お見知りおきを! ささ、お茶をどうぞ」
王宮政務官の皆様は、穏やかで優しそうな方ばかりだった。身に纏う雰囲気が、ランブラーやロブ卿と似通う。
従兄は職場の人間関係にとても恵まれているらしい。
――さて、
なぜ、今わたしがここにいるかと申しますと――
メイドのリジーは、来客を告げた。
アシュレー・ウィルトン卿と名乗る、ランブラーの同僚男性が来られています――と。以前、屋敷で開いた夜会でランブラーから紹介されたことがあった。面識のある方である。
「旦那様のお使いで、執務室に置いてある書類を取りに来られたそうです。念の為、お嬢様方に立ち会ってほしいと――」
リジーから聞いて、わたしたちはもちろん了承した。
無事に机上の書類を見つけ、ほっと嘆息をついたウィルトン卿に、ブランシュは誰もを魅了する女神の微笑を向けた。
「――それで、もしよろしければなんですけれど……うちの妹を、一緒に連れて行っていただけません? 妹ったら、王宮政務室のお仕事を見学させていただきたいようですの」
ここで渋られたら計画は終わりだったが、人の好いウィルトン卿は朝日の如く顔を輝かせた。
「はいっ! もちろんです!」
そして、ブランシュはにんまり笑った。計画通り、カマユー卿とエルガー卿とメイアン従騎士は引き付けておくからね――と。
わたしは王宮政務室の専用馬車に乗せてもらい、アナベルをお供に王宮にやってきた次第である。
――姉の思いついたそれは、素晴らしい計画に思えた。
曰く、「わたしは騎士団公開演習を観に来たわけではございません。ただ、従兄に届け物があったに過ぎないのです」作戦である。
――王宮に勤める従兄に届け物をしに参りました。あら? 人が多いわね。今日が公開演習の日だったのね。偶然! ついでに、ちょっとだけ覗いて参りましょう。
あくまでもついでに、後ろの方からひっそりと、ほんの少し――。
――と、いうことであるからして、わたしは面倒な女ではない。
だって、あくまでも偶然だもの!
ふっふっふ。
――などという、姑息なことを考えていたわたしには、この後、まんまとバチが当たることになる。
ウェイン卿はわたしが公開演習に来ることを嫌がっていたのに。
シュークリームに似たディクソン公爵様は、「来るな」と言ってくれたのに。
わたしはこの日、胸に刻む。
人からもらった忠告には、素直に耳を傾けるべきだった――と。
窓の外は、いかにも秋晴れと呼ぶに相応しい晴天が広がっている。
「……いい天気ね……」
どんよりと沈痛に響いたわたしの声に、「そうねえ」と軽く応えたブランシュは、屋敷の図書室の窓辺に置かれた長椅子にだらっと腰掛け、経営学の本を興味深そうに読みふけっている。
――そう、今日は木曜日。
王宮で、騎士団公開演習が開かれる日だ。
当然、わたしは招待されていない。
あの竜巻のようなガーデンパーティーが社交力の向上に役立ったとも思えず。
やっぱり、わたしは相変わらず。
ブランシュと同じ長椅子に腰を下ろし、ついさっき確認したばかりの柱時計にちらと視線をやる。
二分前から二分進んでいる――うん、当たり前だわ。
つまり、開始予定時刻の一時間六分前である。
ぎゅっと目を瞑り、葛藤に耐える。
――ウェイン卿は……今頃、公開演習の準備運動中かしら……?
悔しいことに、ちょっとした想像の中ですら、あの人は最高に輝いている。
「ねえ、ブランシュ? 公開演習って、どんな感じなのかしらねえ?」
平静を装って何でもない風に尋ねると、靴を脱いで長椅子にほっそりした足を載せているブランシュは、本から顔を上げた。少し考える素振りを見せる。
「……そうねえ? 騎士達が順番に剣で打ち合ってる様子を、観客は階段の上から見るの。剣術に興味があるか憧れの騎士でもいればともかく、そうでなければ別になんとも。日差しは強いし、わたしは去年一回見たから、もう充分かしらねー」
「ふぅん」
薄く伸ばした銀細工の栞を挟み、ぱたんと音を立てて本を閉じると、ブランシュはふふっと意味ありげに笑った。
「リリアーナったら、そんなつまらなそうな顔で本読んでるふりするくらいなら、『わたしも行ってみたーい』ってウェイン卿に甘えてみたらいいのよ」
…………。
この愛すべき美しい姉ときたら本当、根っからの愛され体質なのだ。そうでない女子がそういう甘ったれたことを空気も読まずに口走るのは自爆行為だ――って真理をちっともわかってない。
自然と半眼となり、わたしは口を尖らせる。
「……心から、心底、来てほしくなさそうだった……」
自分で言って、自分でダメージを受けた。泣きたくなる。
ふぅん、とブランシュは、悪戯っぽい笑みを深める。
「行ってきなさいよ、リリアーナ」
「はあっ?」
すっとんきょうな声を上げて姉の顔を見ると、まるで良いこと思いついた風にしたり顔である。どこか得意気ですらある。
「無理に決まってる!! 面倒な女だと思われる!!」
まったくもう、これだから美人で明るくて性格もいい人気者は困る。こっちは常にぎりぎりの崖っぷちなのだ。嫌われたらどうしてくれる。
勢いこんで言うと、ブランシュはあっけらかんと笑い飛ばした。
「リリアーナったら。ウェイン卿が貴女を面倒だなんて思う訳ない。あの眼差し! 甘く蕩けるはちみつのような――っていうのは、ウェイン卿が貴女を見る目のことを言うのよ」
それを言うなら、ブランシュを見つめるノワゼット公爵の眼差しのことである。
わたしはますますやさぐれた半眼になる。
「……ああはいはい、そうかしらね? ……いい、行かない。今年は諦めて、来年は招んでもいいと思ってもらえるような淑女を目指して自己研鑽に励むことにする」
考えれば考えるほど、呼んでもらえない理由はやはり、それだ。
わたしの評判は、魔女という記事こそ見かけなくなったものの、未だ向上していない。
屋敷で働いてくれている使用人や、屋敷を訪れるブランシュの友人令嬢とは普通に話せるようになったが、まだ社交界デビューも果たせていない未熟者。
自身が職場に好んで呼び寄せたい類の女ではないという自覚は、たっぷりんことあった。
邪念を振り払って、顔相学の本に集中しよう。
社交界には人が多い。ガーデンパーティーで思い知った。――オフシーズンでもあんなにいるの? 国務卿の顔すら知らないという体たらく。
まずは、顔と名前を一致させることが肝要だ。顔相学を極め、顔相識別能力を高めるのだ。
同時進行で『社交術~これで貴方も人気者~』というベストセラーと、分厚い貴族名鑑を読みこんで暗記する。あらゆる方面から社交能力を高め、冬から始まる次の社交シーズンでは、ウェイン卿から婚約者として恥ずかしくない存在として認めてもらう……!
きりっと本に向き直ったわたしを見て、今度はブランシュが半眼になる。
「……リリアーナ、相変わらず迷走してるわねえ……。まあ、それはそれで、非常に面白くて可愛らしくて堪らないけど、ほどほどのとこでウェイン卿と話し合っときなさいよ」
ブランシュが呆れたようにそう言った時、図書室のドアが叩かれた。
さっと足を降ろし、一瞬で完璧な淑女の佇まいを取り戻したブランシュが、どうぞ、と澄ました声を出す。
そっと開いたドアの隙間から、メイドのリジーが顔を覗かせた。
「お嬢様方、少しよろしいですか? 今、玄関の方に――」
――そして、その半刻後。
わたしはランブラーの勤め先である、王宮政務室内のソファーに腰掛けている。
「レディ・リリアーナ、どうぞアールグレイです――お口に会うと良いのですが」
ウィリアム・ロブ卿が優美な仕草で直々に茶器を差し出してくれる。
「ありがとうございます。お仕事中にお邪魔して申し訳ございません。どうぞお構いなく」
ふかふかのソファーに腰掛け、のほほんとお茶をいただく。
「ちょうど良かった。この前は結局、僕の仕事場見せる機会がなかったからね」
保護者然とした暖かい眼差しをわたしに注ぎながら、隣に腰かけるランブラーが微笑んだ。
王宮政務室の片隅に設けられたちょっとした休憩スペースは、よく整えられていた。
マーブル模様の大理石のテーブルはピカピカに磨かれている。バルコニーに続く掃き出し窓の前には、青々とした観葉植物。
向かいのソファには、休憩中だというランブラーの同僚の皆様がぎゅうぎゅうと腰掛けている。
一方でその背後の衝立の向こうに垣間見える机上には、書類の山がアルディ山脈さながらに聳え立っていた。あれで崩れ落ちないのは、奇跡の御業である。
「レディ・リリアーナが一緒に書類を探してくださって、助かりました」
「さ、レディ・リリアーナ、茶菓子もありますから! 貰いものなんですけど、フィナンシェとマカロン、どちらがお好きですか?」
「私、ランブラーの同僚のジョセフ・シュヴァルツと申します。ロンサール伯爵とは親友です! お見知りおきを! ささ、お茶をどうぞ」
王宮政務官の皆様は、穏やかで優しそうな方ばかりだった。身に纏う雰囲気が、ランブラーやロブ卿と似通う。
従兄は職場の人間関係にとても恵まれているらしい。
――さて、
なぜ、今わたしがここにいるかと申しますと――
メイドのリジーは、来客を告げた。
アシュレー・ウィルトン卿と名乗る、ランブラーの同僚男性が来られています――と。以前、屋敷で開いた夜会でランブラーから紹介されたことがあった。面識のある方である。
「旦那様のお使いで、執務室に置いてある書類を取りに来られたそうです。念の為、お嬢様方に立ち会ってほしいと――」
リジーから聞いて、わたしたちはもちろん了承した。
無事に机上の書類を見つけ、ほっと嘆息をついたウィルトン卿に、ブランシュは誰もを魅了する女神の微笑を向けた。
「――それで、もしよろしければなんですけれど……うちの妹を、一緒に連れて行っていただけません? 妹ったら、王宮政務室のお仕事を見学させていただきたいようですの」
ここで渋られたら計画は終わりだったが、人の好いウィルトン卿は朝日の如く顔を輝かせた。
「はいっ! もちろんです!」
そして、ブランシュはにんまり笑った。計画通り、カマユー卿とエルガー卿とメイアン従騎士は引き付けておくからね――と。
わたしは王宮政務室の専用馬車に乗せてもらい、アナベルをお供に王宮にやってきた次第である。
――姉の思いついたそれは、素晴らしい計画に思えた。
曰く、「わたしは騎士団公開演習を観に来たわけではございません。ただ、従兄に届け物があったに過ぎないのです」作戦である。
――王宮に勤める従兄に届け物をしに参りました。あら? 人が多いわね。今日が公開演習の日だったのね。偶然! ついでに、ちょっとだけ覗いて参りましょう。
あくまでもついでに、後ろの方からひっそりと、ほんの少し――。
――と、いうことであるからして、わたしは面倒な女ではない。
だって、あくまでも偶然だもの!
ふっふっふ。
――などという、姑息なことを考えていたわたしには、この後、まんまとバチが当たることになる。
ウェイン卿はわたしが公開演習に来ることを嫌がっていたのに。
シュークリームに似たディクソン公爵様は、「来るな」と言ってくれたのに。
わたしはこの日、胸に刻む。
人からもらった忠告には、素直に耳を傾けるべきだった――と。
0
お気に入りに追加
243
あなたにおすすめの小説
わたくし悪役令嬢の器ではございませんので、俺様王子殿下の婚約者の座は、わがまま公爵令嬢様に喜んでお譲りいたしますわ
しましまにゃんこ
恋愛
傲慢で思慮の浅いアーロン王太子の婚約者として選ばれてしまった伯爵令嬢のリアナは、王太子の失態を隠すため、体のいい小間使いとして扱き使われていた。今回もまた、学園で平民娘のロマンス詐欺に引っかかったアーロンがリアナに事態の収拾を求めたため、リアナは平民娘を容赦なく断罪する。
アーロンとの婚約関係はしょせん仮初のもの。いずれは解放される。そう信じていたリアナだったが、アーロンの卒業を祝う舞踏会の日、リアナはアーロンの婚約者であることを笠にした傲慢な振る舞いをしたとして断罪され、婚約破棄されてしまう。
その上、明確な罪状がないまま国外追放までされてしまったリアナ。周囲の心配をよそに毅然とした態度で会場を後にするが、その場に崩れ落ちて。
そんなリアナを追いかけてきたのは、第二王子のジェームズだった。誰よりも高貴な身の上でありながら不遇な立場に追いやられているジェームズ。想いの通じ合った二人は手に手を取って隣国に渡る。だが、隣国で意外な事実が判明する。どこまでが彼女の計算だったのか。全ては誰かの手の平の上。
悪役令嬢役を強いられた令嬢がしたたかに幸せを掴み取るお話です。
死を回避したい悪役令嬢は、ヒロインを破滅へと導く
miniko
恋愛
お茶会の参加中に魔獣に襲われたオフィーリアは前世を思い出し、自分が乙女ゲームの2番手悪役令嬢に転生してしまった事を悟った。
ゲームの結末によっては、断罪されて火あぶりの刑に処されてしまうかもしれない立場のキャラクターだ。
断罪を回避したい彼女は、攻略対象者である公爵令息との縁談を丁重に断ったのだが、何故か婚約する代わりに彼と友人になるはめに。
ゲームのキャラとは距離を取りたいのに、メインの悪役令嬢にも妙に懐かれてしまう。
更に、ヒロインや王子はなにかと因縁をつけてきて……。
平和的に悪役の座を降りたかっただけなのに、どうやらそれは無理みたいだ。
しかし、オフィーリアが人助けと自分の断罪回避の為に行っていた地道な根回しは、徐々に実を結び始める。
それがヒロインにとってのハッピーエンドを阻む結果になったとしても、仕方の無い事だよね?
だって本来、悪役って主役を邪魔するものでしょう?
※主人公以外の視点が入る事があります。主人公視点は一人称、他者視点は三人称で書いています。
※連載開始早々、タイトル変更しました。(なかなかピンと来ないので、また変わるかも……)
※感想欄は、ネタバレ有り/無しの分類を一切おこなっておりません。ご了承下さい。
【読み切り版】婚約破棄された先で助けたお爺さんが、実はエルフの国の王子様で死ぬほど溺愛される
卯月 三日
恋愛
公爵家に生まれたアンフェリカは、政略結婚で王太子との婚約者となる。しかし、アンフェリカの持っているスキルは、「種(たね)の保護」という訳の分からないものだった。
それに不満を持っていた王太子は、彼女に婚約破棄を告げる。
王太子に捨てられた主人公は、辺境に飛ばされ、傷心のまま一人街をさまよっていた。そこで出会ったのは、一人の老人。
老人を励ました主人公だったが、実はその老人は人間の世界にやってきたエルフの国の王子だった。彼は、彼女の心の美しさに感動し恋に落ちる。
そして、エルフの国に二人で向かったのだが、彼女の持つスキルの真の力に気付き、エルフの国が救われることになる物語。
読み切り作品です。
いくつかあげている中から、反応のよかったものを連載します!
どうか、感想、評価をよろしくお願いします!
いらないと言ったのはあなたの方なのに
水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。
セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。
エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。
ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。
しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。
◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬
◇いいね、エールありがとうございます!
◆ベリーズカフェにも投稿しています
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
【完結】よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
【完結】お飾り契約でしたが、契約更新には至らないようです
BBやっこ
恋愛
「分かれてくれ!」土下座せんばかりの勢いの旦那様。
その横には、メイドとして支えていた女性がいいます。お手をつけたという事ですか。
残念ながら、契約違反ですね。所定の手続きにより金銭の要求。
あ、早急に引っ越しますので。あとはご依頼主様からお聞きください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる