屋根裏の魔女、恋を忍ぶ

如月 安

文字の大きさ
上 下
60 / 194
第一部

第60話 夜の色

しおりを挟む
 どうやら、一目惚れというものをしたらしい、と気付いたのは、つい一昨日のことだ。

 あの吸い込まれそうな瞳と目が合った瞬間、雷に打たれたように世界が真っ白に染まった。その後は、寝ても覚めても瞼を閉じる度、夜色の瞳ばかりが思い出される。

 どういう訳か、姿が見たくて、声が聞きたくて堪らず、公爵が伯爵邸にいるタイミングを見計らい、何度も足を運んだ。だが、いつ行っても不在。会えないと、ますます思いは募る。

 ようやく、クルチザン地区で偶然に再会した途端、灰色に淀む世界に光が差した。

 優しく微笑みかけられると天にも昇れそうで、声を聞くだけでくすぐったくて、その姿を見るだけで心が弾んだ。
 寂し気に微笑まれると、その肩に触れたくてたまらず、遠慮され拒絶されると、息の仕方もわからなくなる。
 俺以外のものを見つめていると、苦しくてたまらないのに、目を離すこともできない。

 自分でも、訳が分からなかった。これはなんだ?

 夕暮れ色に染まった林の中で、向かい合って話した時、リリアーナは優しい声で言った。

『ウェイン卿は素晴らしい方ですから、きっと、これからは彩りある、光の中を進まれると思います』
 
 あの時、どうしても、あの瞳が見たくてたまらなくなった。

 無礼な振る舞いだと承知していたが、我慢できずに手を伸ばし、フードを外した。
 晴れた夜空のように煌めく瞳、しっとりと薔薇色に透ける頬と唇。滑らかに輝く真珠のような肌に、緩く波打つ絹のような黒髪が一筋、影を落としていた。

 その姿は、月から降りてきた精霊のようで、この世にこれほど美しいものがあるのか、と思った。

 ――それで、ようやく分かった。

 公爵が、レディ・ブランシュのこととなると、子供に還ったかのように冷静さを欠いた振る舞いをするのが、まったく不可解だった。自分だけは、ああはなるまい、と確信していた。

 平常心を保つことには自信がある。今まで、一度だって誰にもそんな想いを抱いたことはない。あんなものは無駄な感情だ。色恋に惑う己など、想像することすら難しい。   


 だが、落ちるときは、あっさりと落ちた。


 俺のことなど、眼中にないとわかっていた。
 どれほど焦がれて見つめても、彼女はこちらを見ない。ほんの時折、見返してくれたとしても、せいぜい一度か二度で、それもほんの一瞬。
 俺と話すときの強張った様子から、それなりに、嫌われているだろうと覚悟していた。

(――それもまあ、仕方ない)

 生まれ落ちてからこの方、自分のことなんか、大嫌いだった。
 誰からも、肉親にまで厭われたこの醜い赤い瞳も、傷つけるだけしか能がないところも。嘘と偽善だらけの最低な世界のことも、憎んでいた。

 それでも……、もし、あの瞳に映れたなら。
 いつか、世界を優しく映すあの夜空みたいな瞳に俺も映れたなら、俺の世界も変わるかもしれない。彼女から、優しく笑いかけられるような人間になれたなら、自分のことを、ちょっとはマシなやつだと思えるんじゃないか。

 次に会えた時、優しい言葉をかけたなら。何とかして、護衛という名目でも傍にいられたなら。いつか、あの瞳に映してくれるだろうか。笑いかけてくれるだろうか。

 伯爵邸の書斎で、リリアーナは公爵の前でフードを脱いだ。
 俺を見つめる瞳は、不安げに揺らぎ、星屑を散らしたように輝いていた。その澄んだ瞳を見た瞬間、決めた。

 (世界中が彼女の敵だとしても、俺だけは、味方になる)

 ――そう決めた、筈だった。

『公爵のところにお連れします。……もうこれ以上、嘘は結構です』

 言った途端に悲しげに俯いたリリアーナを見て、我に返った。

 しまった、何をやってんだ、俺は。

 救ってもらっただろう?

 あの世界から、救い出してくれた。



 初めて人を殺したのは、十二の時だ。

 
 喉元を剣で貫くと、俺の首を狙い伸しかかってきたハイドランジア兵は、瞬く間にこと切れた。殺気立ち血走っていた目はぐるりと回転して白目を剥き、剣を振りかざしていた体は、糸が切れた操り人形のように崩れた。
 ほとばしる生暖かい血を顔面に浴び、前髪から滴る赤い雫を見ながら、俺は笑った。

 ――ざまあみろ。

『レクターを行かせりゃいい』

『生かしといて良かった。この薄汚い化け物が役立つ日がくるなんて。なんでも置いとくもんだよ』

『こいつなら、死んだって、痛くも痒くもない。むしろ助かるじゃないか』

 俺よりずっとデカイなりで見下ろしながら、兄達は口々にそう言った。
 王都から、国境軍への加勢を命じられた、父であるウェイン子爵は頷いた。

『そうだな。ちょうどいい。お前のその目は、生まれついての人殺しの目だ』

 ――ざまあみろ。

 お前らの思い通りになんか、ならない。

 お前らが俺の死を望むなら、絶対に死んでやらない。

 殺して、殺して、殺して、生き延びてやる。

 実際、その身体能力の高さから危険視され、弾圧を受け数が激減し、殆ど見られなくなった、かつて北方の赤い悪魔と呼ばれた紅眼の民族の血は、伊達じゃなかったらしい。
 面白い程あっけなく、俺の前に立ちはだかった奴らの体は頽れ、その命は消え去った。

 ――ざまあみろ。

 俺は、死んでやらない。


 そうやって生き延び続けていたら、気付いたら王宮騎士に取り立てられ、数えきれぬほどの勲章を与えられ、副団長にまでなっていた。

 国中の貴族が集まった戦勝祝賀会で、兄達は俺と目が合うと青ざめて、機嫌を取るみたいに媚びたへつら笑いを浮かべた。
 かつて、大きくて威圧的だった奴らは、虫けらみたいに小さく見えた。

 ――くだらない。何もかも、くだらなくて、最低だ。


 だが、
 
『ウェイン卿が、ご無事に戻られて、良かったです』

 彼女が、俺が生きるのを望んでくれるなら――

 生まれてはじめて、生きたい、と思った。

 世の中には、光と色彩があった。

 人は、そう捨てたものじゃなかった。



 その不安そうな肩に向かって手を差し出すと、リリアーナはそれを振り払った。
 
『やめてください。貴方だって、嘘つきなのは同じでしょう?』

 ――何のことだ? 訳がわからない。俺は、貴女を騙したりしない。

 おまけに、リリアーナは泣き出した。
 その涙を見た途端、頭が真っ白になった。
 絶対に、泣かせるまいと思っていたのに。
 慌てて、ハンカチを差し出したが、それすら拒絶された。
 

 リリアーナは、一人になりたがっていた。

 一旦離れるべきだろうか?

 ―― 貴方なんて、もういらない。

 ほんの一瞬、こちらに向けられた瞳は、そう語っていた。

 ―― もう見ない、もう笑いかけない、もう近付かない、もう、期待なんてしない。

 そんなのは絶対に、嫌だった。だが――

 もう、取り返しがつかないのではないか、という不安が過った。
 いや、今からだって、誤解を解けば何とかなる筈だ。
 ――だって、もう無理だ。
 光を知ってしまって、今更、あの灰色の世界には戻れない。

 どうすればいい、どうしたら、泣き止んで、また微笑んでくれる? こっちを見てくれる?


 肩に触れると彼女は怯え、その細い肩を震わせた。
 慌てて手を離し、ベンチを指し示し促すと、座ってくれた。
 少し落ち着きを取り戻した様子を見てとって、僅かに安心した。

 ――この場で、話を聞こう。

 それがどんな内容でも、ブルソールと繋がっていて、公爵を殺すために毒を盛ったと言われたって、必ず守ると言えばいい。
 公爵に直談判でも何でもして、聞き入れてもらえなければ、連れて逃げたっていい。
 
 絶対に、誰にも傷付けさせたりしない。

 ところが、真相は拍子抜けするものだった。使用人のミスによるただの事故。
 リリアーナが屋根裏に囚われていた理由もわかった。彼女を苦しめた前伯爵を許せないと思ったが、まずはさっきの無礼を詫びて、それから、心配いらないと言って、貴女が望むなら、アリスタのことぐらいどうとでも――そう、口を開きかけた時、リリアーナは俺を真っ直ぐに見た。

『ウェイン卿に、お願いがあります』

 希望が見えたようで、安堵した。

 それがどんな頼みであろうと、叶えてみせるに決まっている。命をかけたっていい。そうすれば、俺が味方だとわかってくれるだろう。さっきの馬鹿げた振る舞いも、最初に馬車に乗せた時やこれまでの最低の態度だって、水に流してもらえるに違いない。

 ――だが、彼女の願いには、絶望しかなかった。

『ですから……わたくしが毒を入れたことにして、わたくしを始末して、それで、お終いにしていただきたいのです』

 ――意味が、分からなかった。

 理解できた瞬間、この手で彼女を刺し貫く様が脳裏に浮かび、体が震えた。
 何を言ってるんだ?
 俺は、絶対にそんなことしない。
 傷付ける筈がないだろう。だって俺は――

『するわけがない、なんて、仰らないでしょう? グラミス伯爵夫人の馬車があの場所で停まっていなければ、あの日、わたくしを始末なさって、終わりになる筈だったではないですか』

 目の前が、真っ暗になった。

 ――なぜ?

 なぜ、それを知っている?知っているはずがない。そうだ、あの時、誰もいなかった。ちゃんと、部屋の周囲にまで、神経を研ぎ澄ませて、確認したのだから――

『嵐の夜、言っていらしたではありませんか。公爵様とお二人で、きっとわたくしが毒を入れたのだと。「毒を入れた者が誰で、どんな事情があろうとも、生まれてきたことを後悔させる」と。わたくしのような妹は、ブランシュの為にはいない方が良いから、ドブネズミを始末すると』

 その時、ようやく、何もかも、最初から間違えていたことに気付いた。

 知られていた知られていた知られていた、そればかりが頭の中でぐるぐると渦を巻いた。今すぐ跪いて、許しを請わなければと思うのに、喉の奥が潰れたみたいに、声も出せなかった。

『ウェイン卿にとっても、公爵様にとっても、それが最良の結末でしょう?……本当は、真実なんてどうでも良かったのですから』

 違う、と言いたいのに、声は喉の奥でつかえる。

 リリアーナは、もう、俺を見なかった。
 怖いほど蒼白な顔をして、何もかも諦めて感情が抜け落ちたような微笑を浮かべていた。

 月光を浴びたそれはまるで、この世のものでない幻みたいで、これまで見た何よりも清廉で、美しく見えた。

『騎士団団長が毒を盛られたのに何もしなければ、沽券に関わります。だから、わたくしを消して、噂を立てようと思われたのですよね』

 夜色の瞳は、何もかも見透かし、輝いていた。

 血の気の失せた真っ白な顔をして、このまま倒れて、その命が消えてしまいそうで、怖かった。
 何よりも恐ろしいのは、彼女に生きることを諦めさせたのは、この俺自身ってことだった。
 手を差し出し支えたくて堪らないのに、この汚れた手には、その資格がないことに気付いて、握り潰した。

 
 月夜に吹く澄んだ風のような、その声を聞きながら、思った。


  ――やっぱり、この俺に奇跡なんか起きるはず、なかったな。


 晴れた夜空のように優しい瞳に映れたなら、世界は、変わるはずだった。

 いつか、信頼の眼差しを向けてもらえたなら、こんな自分でも好きになれる気がした。

 春先に咲き初めた花のような微笑みを向けてもらえたなら、空だって飛べるんじゃないかと思った。


 さっき、屋敷から出てきたリリアーナは、ひどく不安げに見えた。

 あれはきっと、天が恵んでくれた、最後のチャンスだった。

 優しく声を掛ければ、その瞳に映れただろうか?


 僅かに残っていた、最後の一雫は、もう、取り零してしまった。


『若いメイドのちょっとした間違いだったというよりも、リリアーナ・ロンサールが人知れず消える方が、世間は喜ぶでしょう。
 その方が、公爵様とウェイン卿にとっても――』

 彼女はそこで、ふいに口を噤んだ。

 何を言おうとしたのか、その続きが、その声が、耳の奥で聞こえた。

『都合が良いんでしょう?』

 ―― だって、はじめから、わたしが犯人かどうかなんて、どうでも良かった。

 あえて噂を立てるために、自分と三人の騎士の姿を使用人に見せてから、わたしを紋章付きの馬車に乗せた。

 そして、わたしをこの世から消そうとした。

 ただ、自分の面子を守る為だけに、わたしを殺そうとした。

 あなたはそういう人よ。

 おぞましい、卑劣な、人殺し。

 好きになんてなるはずがない。

 ぜったいに愛したりしない。

 それどころか、ずっとずっと、その顔を見るたびに不快で、恐ろしくて、逃げ出したかった。

 何があっても、これから先もずっと、あなただけは選ばない――



 彼女は立ち上がり、俺の前から立ち去ろうとした。

 その手を、思わず掴んだ。

 リリアーナは不思議そうに俺を見て、この醜い瞳を綺麗な瞳に映すと、気遣わしげに顔を曇らせた。

 やっぱり、底無しに優しいんだな、と思った。

 いつだって、話しかけるとそっと微笑み、柔らかな言葉遣いで返してくれた。
 毒だって、それなら俺達に食わせれば良かったのに、自分が口にしようとした。
 優しい言葉で、俺を助けてくれただろう?
 だからまさか、知られていたなんて、思いもしなかった。

 大丈夫か? そんなんで。この世は、平気で人を傷つけ利用しようとする、おぞましい、俺みたいな奴だって沢山いるのに。もう、俺は守ってやれないのに。いや……きっと、大丈夫か。
 隠れることを止めた貴女の周りはこれから、貴女を守ろうとする人で溢れる。

 ――大丈夫じゃないのは、俺の方だ。

 もう、傍にいる方法が、なくなってしまった。
 言わずにいてくれたのに、俺が全部、言わせてしまった。

 今更、何を言っても手遅れだと、もう希望などないと、あの灰色の世界に戻るしかないと、分かっている。

 狂おしいほどに焦がれた、あの春の日差しみたいな笑みを向けられる日は来ないと、分かっている。


 だけど、この手を離したら、二度と、その姿を見ることもできないだろう?




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたくし悪役令嬢の器ではございませんので、俺様王子殿下の婚約者の座は、わがまま公爵令嬢様に喜んでお譲りいたしますわ

しましまにゃんこ
恋愛
傲慢で思慮の浅いアーロン王太子の婚約者として選ばれてしまった伯爵令嬢のリアナは、王太子の失態を隠すため、体のいい小間使いとして扱き使われていた。今回もまた、学園で平民娘のロマンス詐欺に引っかかったアーロンがリアナに事態の収拾を求めたため、リアナは平民娘を容赦なく断罪する。 アーロンとの婚約関係はしょせん仮初のもの。いずれは解放される。そう信じていたリアナだったが、アーロンの卒業を祝う舞踏会の日、リアナはアーロンの婚約者であることを笠にした傲慢な振る舞いをしたとして断罪され、婚約破棄されてしまう。 その上、明確な罪状がないまま国外追放までされてしまったリアナ。周囲の心配をよそに毅然とした態度で会場を後にするが、その場に崩れ落ちて。 そんなリアナを追いかけてきたのは、第二王子のジェームズだった。誰よりも高貴な身の上でありながら不遇な立場に追いやられているジェームズ。想いの通じ合った二人は手に手を取って隣国に渡る。だが、隣国で意外な事実が判明する。どこまでが彼女の計算だったのか。全ては誰かの手の平の上。 悪役令嬢役を強いられた令嬢がしたたかに幸せを掴み取るお話です。

死を回避したい悪役令嬢は、ヒロインを破滅へと導く

miniko
恋愛
お茶会の参加中に魔獣に襲われたオフィーリアは前世を思い出し、自分が乙女ゲームの2番手悪役令嬢に転生してしまった事を悟った。 ゲームの結末によっては、断罪されて火あぶりの刑に処されてしまうかもしれない立場のキャラクターだ。 断罪を回避したい彼女は、攻略対象者である公爵令息との縁談を丁重に断ったのだが、何故か婚約する代わりに彼と友人になるはめに。 ゲームのキャラとは距離を取りたいのに、メインの悪役令嬢にも妙に懐かれてしまう。 更に、ヒロインや王子はなにかと因縁をつけてきて……。 平和的に悪役の座を降りたかっただけなのに、どうやらそれは無理みたいだ。 しかし、オフィーリアが人助けと自分の断罪回避の為に行っていた地道な根回しは、徐々に実を結び始める。 それがヒロインにとってのハッピーエンドを阻む結果になったとしても、仕方の無い事だよね? だって本来、悪役って主役を邪魔するものでしょう? ※主人公以外の視点が入る事があります。主人公視点は一人称、他者視点は三人称で書いています。 ※連載開始早々、タイトル変更しました。(なかなかピンと来ないので、また変わるかも……) ※感想欄は、ネタバレ有り/無しの分類を一切おこなっておりません。ご了承下さい。

地味すぎる私は妹に婚約者を取られましたが、穏やかに過ごせるのでむしろ好都合でした

茜カナコ
恋愛
地味な令嬢が婚約破棄されたけれど、自分に合う男性と恋に落ちて幸せになる話。

【読み切り版】婚約破棄された先で助けたお爺さんが、実はエルフの国の王子様で死ぬほど溺愛される

卯月 三日
恋愛
公爵家に生まれたアンフェリカは、政略結婚で王太子との婚約者となる。しかし、アンフェリカの持っているスキルは、「種(たね)の保護」という訳の分からないものだった。 それに不満を持っていた王太子は、彼女に婚約破棄を告げる。 王太子に捨てられた主人公は、辺境に飛ばされ、傷心のまま一人街をさまよっていた。そこで出会ったのは、一人の老人。 老人を励ました主人公だったが、実はその老人は人間の世界にやってきたエルフの国の王子だった。彼は、彼女の心の美しさに感動し恋に落ちる。 そして、エルフの国に二人で向かったのだが、彼女の持つスキルの真の力に気付き、エルフの国が救われることになる物語。 読み切り作品です。 いくつかあげている中から、反応のよかったものを連載します! どうか、感想、評価をよろしくお願いします!

いらないと言ったのはあなたの方なのに

水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。 セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。 エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。 ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。 しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。 ◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬 ◇いいね、エールありがとうございます! ◆ベリーズカフェにも投稿しています

所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!

ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。 幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。 婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。 王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。 しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。 貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。 遠回しに二人を注意するも‥ 「所詮あなたは他人だもの!」 「部外者がしゃしゃりでるな!」 十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。 「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」 関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが… 一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。 なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…

【完結】よくある婚約破棄なので

おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。 その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。 言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。 「よくある婚約破棄なので」 ・すれ違う二人をめぐる短い話 ・前編は各自の証言になります ・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド ・全25話完結

【完結】お飾り契約でしたが、契約更新には至らないようです

BBやっこ
恋愛
「分かれてくれ!」土下座せんばかりの勢いの旦那様。 その横には、メイドとして支えていた女性がいいます。お手をつけたという事ですか。 残念ながら、契約違反ですね。所定の手続きにより金銭の要求。 あ、早急に引っ越しますので。あとはご依頼主様からお聞きください。

処理中です...