15 / 32
魔女、星灯りに誓う
しおりを挟む
「メリル殿。少し、二人で話がしたい」
予言の話をして今後の方針を立てた後、部屋に戻る途中でメリルはデュークに声をかけられた。
この宿屋は、奥の階段からは屋上に行けるらしく、メリルはデュークに連れられて屋上への階段を上った。
いつものようにメリルの手を取ったデュークだったが、メリルが重そうに階段を上る様子を見ると、メリルの肩と膝裏に手を回してすっと抱き上げた。
階段途中で急に抱き上げられたメリルは怖くなってデュークの肩に思い切りしがみついてしまった。
「急に持ち上げるんじゃない! せめて声をかけてから! いや、そうじゃない、年寄り扱いしおってからに!」
これは介護!と心の中で言い聞かせる時間が足りなくて、思わず悪態をついてしまった。
メリルが気持ちを立て直そうと息を吸ったり吐いたりしている間に、デュークはどんどん階段を上り屋上への扉を開けた。
開け放たれた扉の向こうに広がる夜空は、思ったより星がよく見える。
屋上でデュークの腕から解放され、魔女の庵からもよく見えた慣れ親しんだ星空を見上げると、気持ちがすっと落ち着いてくるのがわかる。
「街中だというのに意外と星がよく見えるんじゃな」
「この辺りは、高い建物がないからな」
都市部だと、明るい街頭と遅くまでついている店の灯りで星が見えないというのは、前世での記憶による思い込みだった。王都の夜も灯りは少なく、気持ちを落ち着かせる程度にはきれいな星空を見せていた。
しばらく二人は何も言わず星空を眺めていた。
「メリル殿。俺は、あなたにあれだけ誓ったのに、サアヤ殿を危険な目に会わせてしまった。申し訳ない」
そう言って頭を下げるデュークに、メリルは戸惑う。
メリルの中では先ほど謝られたことでこの話は終わったと思っていたが、デュークの中では違ったらしい。
「サアヤは気にしていない、と言っても、今のお前に必要なのはそんな言葉じゃあないんだろうね」
頭を上げたデュークはメリルの言葉を肯定するように自嘲すると、目を伏せたまま呟く。
「……俺は、驕っていた」
メリルはデュークの言葉に静かに耳を傾ける。
「俺は、辺境騎士団で自分を鍛え、強さを身に付け、自分が守られる側でなく、誰かを守る立場になれたのだとそう思っていた。けれど、そんな俺の驕りが彼女を危険にさらしてしまった。王都の民を、弱き者を傷つけたくなくてこの地を離れたのに、王都の民どころか、サアヤ殿一人すら守れなかった」
「後悔、しとるのかい?」
「ああ、俺が彼女を守り切れると思ったのは過信だった。俺は彼女を連れていくべきではなかった。安易に彼女の力を頼るべきではなかった。王都の民の一人である彼女を危険に近づけるべきではなかった――またサアヤ殿を傷つけることが怖いんだ。できる限り危険から遠ざけておきたい。今でもそう思っている」
デュークが苦悩している気持ちが痛いほど伝わって来た。
寄り添うことはできる。
メリルはそうやって先代に助けてもらった。先代はメリルに、できることをすればいいとその弱さを肯定してもらった。弱いメリルが壊れてしまわないように。
でも、デュークはどうだろう。
(あの時の私と今のデュークは違う)
あの時の、自分にも周りにも何も拠り所がなかったメリルと彼は違う。デュークには、頼れる仲間も、努力の結果手に入れた実力もあるのだ。
そう思うと、デュークに必要な言葉がするすると頭の中に浮かんできた。
「何をめそめそしたことを言っとるんだい! 情けないねえ。できなかったことをぐちぐち悔やむんじゃないよ! 次は守る、それでいいじゃないか。だいたいねえ、それはついて行くと決めたサアヤに対しても失礼じゃないかい?」
デュークは、はっとしたように顔を上げた。
「あの子に、危険に対する覚悟がなかったとでも? 私の孫だよ、馬鹿にしてもらっちゃ困るね。それでもあんたが気になるというなら、次は、あの子の覚悟を受け入れた上で、あんたもあの子を守る覚悟を決めるんだね」
「それでいいのだろうか?」
「ああ。下の者は守られることばかりを望んでるわけじゃないんだよ。少なくともあんたの騎士隊のやつらはそうじゃろう。サアヤは騎士ではないが、あんた達に関わると決めた時点で同じことさ。サアヤは無理強いされた訳じゃない。自分でお前達についていくと決めたんだからね」
デュークの、答えを求めて戸惑う金の瞳がまるで小犬のようで、ふと笑みがこぼれた。
「そうだね、それでも気が済まないなら――あんたがその気持ちを返す先は、サアヤに対してじゃあないね。その後悔は別の所へ生かしな。お前自身の糧にして、お前自身が成長するのさ。そうすることが皆への恩返しにつながる。今のお前ならできるじゃろう」
メリルは、デュークの袖をグイっと引っ張った。
「こっちへおいで。ほら、頭をお出し」
けげんな表情で頭を差し出すデュークの頭をメリルはぐしゃぐしゃとなぜた。
先代もメリルが落ち込むとよくこうしてなでてくれた。
「あんたは大丈夫さ。あたしが保証してやる。あんたは、守れる人になる。後悔で立ち止まるんじゃないよ。必ず前へお進み」
そのままメリルの肩先にまで下がって来たデュークの頭をなでて、ぽんぽんと軽く叩いた。
メリルも、先代のメリルに励まされて前に進んだ。
「まあ、死なない程度でいいんだがね。大事な生贄に死なれちゃ困るからね」
「ああ、俺はメリル殿の大事な生贄だからな」
デュークの声が詰まったように感じたが、そこは気づかないふりをした。
「まあ、デューク、そのこと――生贄という話なんだがね」
メリルは、ふと生贄の件についてデュークに話しておこうと思った。これから聖女や王子達と戦いになる可能性もある。その際に生贄だからと捨て身になられても困るのだ。
しかし、言いかけたメリルの口に、そっとデュークの親指があてられて、言葉は封じられた。
頬にかかる指が熱い。
残りの指がメリルの頬を撫でているように感じるのは、気のせいだ。
「言わなくていい。――いや、言わないでほしい。俺は、このままあなたの生贄でいたい」
「そうかい、まあ、それもいいだろう」
声がひっくり返らなかった自分を自分でほめてやりたい。
「冷えて来たな」
デュークは、メリルに上着をかけると、階段を上がって来た時より、ずっと丁寧にメリルを抱き上げた。
「あなたは小さいな」
「ふん、年寄りは縮むんだよ!」
「それから、温かいな」
「当たり前じゃろ! しなびてるがね、まだ死体じゃないよ」
憎まれ口を叩くメリルに苦笑するように微笑むと、デュークはメリルを部屋の前まで運んだ。
「メリル殿。話を聞いてくれて感謝する」
「ふん、今度弱音を吐きにきたら、あたしがまた蹴とばしてやるよ」
「ああ、頼もしいな。ありがとう」
左手を背中に回して腰をかがめ、デュークは右手でメリルの手を掬いあげた。
その手を額に当て礼を取ると、デュークは顔を上げた。
その瞳には、もう先ほどのような迷いはなかった。
「よい夜を。マイレディ」
「ああ、おやすみ」
メリルはデュークを見送り自室に戻ると、姿変えの魔術を解く。
窓枠にもたれ、静かに空を見上げる。
(決して死なせはしない)
デュークは、今、この王国を救うための組織を率いる、唯一の王族。
この国を救うには彼はなくてはならない存在だ。
けれど、メリルは国を救うなんてそんな大それた目的のために、デュークと彼らを助けようと思っているのではない。
彼と、彼の周りの人々。
メリルが彼らの役に立って、必要とされる人間になりたかったから。
(私はあの人達のこと、思ったより好きになっちゃったんだ)
永遠の居場所ではないだろう。
でも、今この瞬間に、メリルは彼らのために何かしたいと思ってしまった。
理由は、それで十分だった。
(あの人達を、絶対に失いたくない。あの人たちの大事なこの国を、この「物語」を、壊させはしない)
メリルは先ほどデュークとみた星灯りを再び見上げ、その誓いを新たにするのだった。
予言の話をして今後の方針を立てた後、部屋に戻る途中でメリルはデュークに声をかけられた。
この宿屋は、奥の階段からは屋上に行けるらしく、メリルはデュークに連れられて屋上への階段を上った。
いつものようにメリルの手を取ったデュークだったが、メリルが重そうに階段を上る様子を見ると、メリルの肩と膝裏に手を回してすっと抱き上げた。
階段途中で急に抱き上げられたメリルは怖くなってデュークの肩に思い切りしがみついてしまった。
「急に持ち上げるんじゃない! せめて声をかけてから! いや、そうじゃない、年寄り扱いしおってからに!」
これは介護!と心の中で言い聞かせる時間が足りなくて、思わず悪態をついてしまった。
メリルが気持ちを立て直そうと息を吸ったり吐いたりしている間に、デュークはどんどん階段を上り屋上への扉を開けた。
開け放たれた扉の向こうに広がる夜空は、思ったより星がよく見える。
屋上でデュークの腕から解放され、魔女の庵からもよく見えた慣れ親しんだ星空を見上げると、気持ちがすっと落ち着いてくるのがわかる。
「街中だというのに意外と星がよく見えるんじゃな」
「この辺りは、高い建物がないからな」
都市部だと、明るい街頭と遅くまでついている店の灯りで星が見えないというのは、前世での記憶による思い込みだった。王都の夜も灯りは少なく、気持ちを落ち着かせる程度にはきれいな星空を見せていた。
しばらく二人は何も言わず星空を眺めていた。
「メリル殿。俺は、あなたにあれだけ誓ったのに、サアヤ殿を危険な目に会わせてしまった。申し訳ない」
そう言って頭を下げるデュークに、メリルは戸惑う。
メリルの中では先ほど謝られたことでこの話は終わったと思っていたが、デュークの中では違ったらしい。
「サアヤは気にしていない、と言っても、今のお前に必要なのはそんな言葉じゃあないんだろうね」
頭を上げたデュークはメリルの言葉を肯定するように自嘲すると、目を伏せたまま呟く。
「……俺は、驕っていた」
メリルはデュークの言葉に静かに耳を傾ける。
「俺は、辺境騎士団で自分を鍛え、強さを身に付け、自分が守られる側でなく、誰かを守る立場になれたのだとそう思っていた。けれど、そんな俺の驕りが彼女を危険にさらしてしまった。王都の民を、弱き者を傷つけたくなくてこの地を離れたのに、王都の民どころか、サアヤ殿一人すら守れなかった」
「後悔、しとるのかい?」
「ああ、俺が彼女を守り切れると思ったのは過信だった。俺は彼女を連れていくべきではなかった。安易に彼女の力を頼るべきではなかった。王都の民の一人である彼女を危険に近づけるべきではなかった――またサアヤ殿を傷つけることが怖いんだ。できる限り危険から遠ざけておきたい。今でもそう思っている」
デュークが苦悩している気持ちが痛いほど伝わって来た。
寄り添うことはできる。
メリルはそうやって先代に助けてもらった。先代はメリルに、できることをすればいいとその弱さを肯定してもらった。弱いメリルが壊れてしまわないように。
でも、デュークはどうだろう。
(あの時の私と今のデュークは違う)
あの時の、自分にも周りにも何も拠り所がなかったメリルと彼は違う。デュークには、頼れる仲間も、努力の結果手に入れた実力もあるのだ。
そう思うと、デュークに必要な言葉がするすると頭の中に浮かんできた。
「何をめそめそしたことを言っとるんだい! 情けないねえ。できなかったことをぐちぐち悔やむんじゃないよ! 次は守る、それでいいじゃないか。だいたいねえ、それはついて行くと決めたサアヤに対しても失礼じゃないかい?」
デュークは、はっとしたように顔を上げた。
「あの子に、危険に対する覚悟がなかったとでも? 私の孫だよ、馬鹿にしてもらっちゃ困るね。それでもあんたが気になるというなら、次は、あの子の覚悟を受け入れた上で、あんたもあの子を守る覚悟を決めるんだね」
「それでいいのだろうか?」
「ああ。下の者は守られることばかりを望んでるわけじゃないんだよ。少なくともあんたの騎士隊のやつらはそうじゃろう。サアヤは騎士ではないが、あんた達に関わると決めた時点で同じことさ。サアヤは無理強いされた訳じゃない。自分でお前達についていくと決めたんだからね」
デュークの、答えを求めて戸惑う金の瞳がまるで小犬のようで、ふと笑みがこぼれた。
「そうだね、それでも気が済まないなら――あんたがその気持ちを返す先は、サアヤに対してじゃあないね。その後悔は別の所へ生かしな。お前自身の糧にして、お前自身が成長するのさ。そうすることが皆への恩返しにつながる。今のお前ならできるじゃろう」
メリルは、デュークの袖をグイっと引っ張った。
「こっちへおいで。ほら、頭をお出し」
けげんな表情で頭を差し出すデュークの頭をメリルはぐしゃぐしゃとなぜた。
先代もメリルが落ち込むとよくこうしてなでてくれた。
「あんたは大丈夫さ。あたしが保証してやる。あんたは、守れる人になる。後悔で立ち止まるんじゃないよ。必ず前へお進み」
そのままメリルの肩先にまで下がって来たデュークの頭をなでて、ぽんぽんと軽く叩いた。
メリルも、先代のメリルに励まされて前に進んだ。
「まあ、死なない程度でいいんだがね。大事な生贄に死なれちゃ困るからね」
「ああ、俺はメリル殿の大事な生贄だからな」
デュークの声が詰まったように感じたが、そこは気づかないふりをした。
「まあ、デューク、そのこと――生贄という話なんだがね」
メリルは、ふと生贄の件についてデュークに話しておこうと思った。これから聖女や王子達と戦いになる可能性もある。その際に生贄だからと捨て身になられても困るのだ。
しかし、言いかけたメリルの口に、そっとデュークの親指があてられて、言葉は封じられた。
頬にかかる指が熱い。
残りの指がメリルの頬を撫でているように感じるのは、気のせいだ。
「言わなくていい。――いや、言わないでほしい。俺は、このままあなたの生贄でいたい」
「そうかい、まあ、それもいいだろう」
声がひっくり返らなかった自分を自分でほめてやりたい。
「冷えて来たな」
デュークは、メリルに上着をかけると、階段を上がって来た時より、ずっと丁寧にメリルを抱き上げた。
「あなたは小さいな」
「ふん、年寄りは縮むんだよ!」
「それから、温かいな」
「当たり前じゃろ! しなびてるがね、まだ死体じゃないよ」
憎まれ口を叩くメリルに苦笑するように微笑むと、デュークはメリルを部屋の前まで運んだ。
「メリル殿。話を聞いてくれて感謝する」
「ふん、今度弱音を吐きにきたら、あたしがまた蹴とばしてやるよ」
「ああ、頼もしいな。ありがとう」
左手を背中に回して腰をかがめ、デュークは右手でメリルの手を掬いあげた。
その手を額に当て礼を取ると、デュークは顔を上げた。
その瞳には、もう先ほどのような迷いはなかった。
「よい夜を。マイレディ」
「ああ、おやすみ」
メリルはデュークを見送り自室に戻ると、姿変えの魔術を解く。
窓枠にもたれ、静かに空を見上げる。
(決して死なせはしない)
デュークは、今、この王国を救うための組織を率いる、唯一の王族。
この国を救うには彼はなくてはならない存在だ。
けれど、メリルは国を救うなんてそんな大それた目的のために、デュークと彼らを助けようと思っているのではない。
彼と、彼の周りの人々。
メリルが彼らの役に立って、必要とされる人間になりたかったから。
(私はあの人達のこと、思ったより好きになっちゃったんだ)
永遠の居場所ではないだろう。
でも、今この瞬間に、メリルは彼らのために何かしたいと思ってしまった。
理由は、それで十分だった。
(あの人達を、絶対に失いたくない。あの人たちの大事なこの国を、この「物語」を、壊させはしない)
メリルは先ほどデュークとみた星灯りを再び見上げ、その誓いを新たにするのだった。
5
お気に入りに追加
529
あなたにおすすめの小説
駄作ラノベのヒロインに転生したようです
きゃる
恋愛
真面目な私がふしだらに――!?
『白銀の聖女』と呼ばれるシルヴィエラは、修道院の庭を掃除しながら何げなく呟いた。「はあ~。温かいお茶といちご大福がセットで欲しい」。その途端、彼女は前世の記憶を思い出す……だけでは済まず、ショックを受けて青ざめてしまう。
なぜならここは『聖女はロマンスがお好き』という、ライトノベルの世界だったから。絵だけが素晴らしく内容は駄作で、自分はその、最低ヒロインに生まれ変わっている!
それは、ヒロインのシルヴィエラが気絶と嘘泣きを駆使して、男性を次々取り替えのし上がっていくストーリーだ。まったく面白くなかったため、主人公や作者への評価は最悪だった。
『腹黒女、節操なし、まれに見る駄作、聖女と言うより性女』ああ、思い出すのも嫌。
ラノベのような生き方はしたくないと、修道院を逃げ出したシルヴィエラは……?
一生懸命に生きるヒロインの、ドタバタコメディ。ゆる~く更新する予定です。
「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~
卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」
絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。
だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。
ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。
なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!?
「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」
書き溜めがある内は、1日1~話更新します
それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります
*仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。
*ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。
*コメディ強めです。
*hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにしませんか
岡暁舟
恋愛
公爵令嬢ナターシャの婚約者は自由奔放な公爵ボリスだった。頭はいいけど人格は破綻。でも、両親が決めた婚約だから仕方がなかった。
「ナターシャ!!!お前はいつも不細工だな!!!」
ボリスはナターシャに会うと、いつもそう言っていた。そして、男前なボリスには他にも婚約者がいるとの噂が広まっていき……。
本編終了しました。続きは「気まぐれな婚約者に振り回されるのはいやなので、もう終わりにします」となります。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?
氷雨そら
恋愛
結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。
そしておそらく旦那様は理解した。
私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。
――――でも、それだって理由はある。
前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。
しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。
「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。
そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。
お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!
かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。
小説家になろうにも掲載しています。
死に戻りの魔女は溺愛幼女に生まれ変わります
みおな
恋愛
「灰色の魔女め!」
私を睨みつける婚約者に、心が絶望感で塗りつぶされていきます。
聖女である妹が自分には相応しい?なら、どうして婚約解消を申し込んでくださらなかったのですか?
私だってわかっています。妹の方が優れている。妹の方が愛らしい。
だから、そうおっしゃってくだされば、婚約者の座などいつでもおりましたのに。
こんな公衆の面前で婚約破棄をされた娘など、父もきっと切り捨てるでしょう。
私は誰にも愛されていないのだから。
なら、せめて、最後くらい自分のために舞台を飾りましょう。
灰色の魔女の死という、極上の舞台をー
元ヤン辺境伯令嬢は今生では王子様とおとぎ話の様な恋がしたくて令嬢らしくしていましたが、中身オラオラな近衛兵に執着されてしまいました
桜枝 頌
恋愛
辺境伯令嬢に転生した前世ヤンキーだったグレース。生まれ変わった世界は前世で憧れていたおとぎ話の様な世界。グレースは豪華なドレスに身を包み、甘く優しい王子様とベタな童話の様な恋をするべく、令嬢らしく立ち振る舞う。
が、しかし、意中のフランソワ王太子に、傲慢令嬢をシメあげているところを見られてしまい、そしてなぜか近衛師団の目つきも口も悪い男ビリーに目をつけられ、執着されて溺愛されてしまう。 違う! 貴方みたいなガラの悪い男じゃなくて、激甘な王子様と恋がしたいの!! そんなグレースは目つきの悪い男の秘密をまだ知らない……。
※「小説家になろう」様、「エブリスタ」様にも投稿作品です
※エピローグ追加しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる