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魔女、予言の魔術を行う
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メリルは、アランと相談して、宿で目を覚まさないデュークをそのままに一足早く王都へ戻ることになった。
クローディア嬢と王都にいるはずの魔女メリルが直接会わなければならないというルールは、多少精度が落ちるが魔女同士なら体験を伝えあうことができる、という嘘を伝えることでごまかした。
高貴な身分であるクローディア嬢を王都に連れて行くのは、さすがにデュークに説得してもらい、合意を得る必要がある。デュークの怪我の回復もあるし、それにはだいぶ時間がかかるだろう。
そこまで待つのは、一刻も早く予言の魔術を行わなければならないメリルたちにとって得策ではない。
それに。
(クローディア嬢にとっても、一緒に王都に戻るならデュークが一番だもの)
高貴な身分であるクローディア嬢には、対外的にも実力も身分も兼ね備えたデュークがぴったりだと思うし、怯える彼女には、幼馴染であるデュークの存在はとても助けになるはずだ。
メリルの帰りの旅のお供はジョゼフという隊員の一人だった。
ただ、隊員たちは手が早い、というデュークの心配は明らかに杞憂だった。彼らは、大勢いると競い合うようにメリルと会話しようとするが、一対一にになると、途端に紳士になる。要するに男同士で楽しみたいだけなのだ。
宿場町から王都への道中、ジョゼフもなかなかの気遣いを見せたので、魔女メリルのお世話係もできそうだということを伝えると、なぜかぶんぶんと高速で頭を横に振られた。
謙虚なところもいい人だと思う。
◇◇◇◇◇◇
「さて、始めますか」
宿の部屋に戻ったメリルは、魔女メリルと二人で過ごすと言って、軽く汗を流すと食事を持ち込んで部屋にこもった。翌朝まで、誰も部屋に近づかないよう隊員に言づけると、念のため部屋を魔術で施錠する。
メリルのスキルは、子供の頃にその力を暴走させ、その大部分が失われてしまった。残った力を引き出すためには、複雑な魔女の魔法陣術式が必要なのだ。これは先代メリルが作り上げてくれたもので、メリルにはまだ内容が全て理解できていない。これから精進が必要な所だ。
甕一杯の宝石と、大きな羊皮紙に書いた魔法陣を床に広げ、メリルは、気持ちを落ち着けるよう深呼吸する。
「開け、扉」
指で空中に魔法陣を描き出していくと、それが五つ、つながるように羊皮紙の魔方陣を囲む。魔方陣の光が増すとともに、周囲に配置した宝石の光が見る間に失われていく。宝石に秘められた魔力が魔法陣に吸い込まれているのだ。
「開錠」
中心の魔法陣が、光を放つ――。
この世界の在り方が何かおかしいと気づいたのは、メリルがまだサアヤだった頃だった。
ある日、自分の暮らす世界が、前世の沙耶の記憶にあるものと同じであることに気づいたのだ。さらにこの世界は、一つではなく、いくつもの「物語」が複雑に絡み合ってできているということにも。
メリルのスキルは、メリルが前世に読んだあらゆるジャンルの本やゲームがつまった情報をいつでも呼び出すことができることだった。
――ただ余暇を楽しむだけだと思っていたそのスキルは、この世界においては「全知」に近しい能力だったのだ。
けれど、対処する術を持たない者にとって、それを知ることに、何の意味があるだろうか?
「物語」では読者を楽しませるために、必ず事件が起こる。人々が大勢死ぬ戦争、飢饉、疫病、天変地異。
メリルは、それらの不幸に対し、対応する力を何も持たなかった。
人に伝える手段もなく、それをどうにかする力もなく。
それらが発生すると知りながら何もしない自分に罪悪感を感じた。
それを知った日から、このスキルは重責となってメリルを苛んだ。
何もできない自分を責め、けれど目を背けることができず、とうとうメリルはスキルを暴走させた。
その時メリルのスキルはほとんどなくなってしまい、今となっては、魔力の詰まったたくさんの宝石を媒介に、なくなりかけたスキルの残滓を引っ張り出すだけだ。
開錠には、多大な魔力が必要になる。
開けられるのはごくわずかな時間だけ。
その間に予め準備した情報で「検索」をかける。
物語の検索キーは、登場人物、職業、能力、性格、人間関係……。
わずかな時間に「検索」をかける情報は、多ければ多いほどいい。
けれど、複数の「物語」が絡み合うこの世界の特性か、固有名詞だけは検索条件にならないのだ。
メリルは、あらかじめ整理した検索のための条件を準備し、スキルを呼び出す。
「異世界図書館」
王子、聖女、魅了、魔法、聖女認定試験、王国、金髪碧眼、魔塔、魔法使い、第二王子、護衛騎士、男爵令嬢、公爵令嬢、……。
(見つけた)
それは、乙女ゲームの世界。
ヒロインは、平民だが、魔力の強さで男爵家に引き取られた心優しき女の子
男爵家に引き取られた魔法に優れた、心優しきヒロイン。
攻略対象は、王子三人を含む七人。
人を引き付けるおおらかな第一王子。
兄を支え、冷静沈着で思慮深い第二王子。
皆から可愛がられる第三王子。
陽気で能力の高い魔術師。
生真面目で良心的な護衛騎士。
殺しを生業にする冷徹な暗殺者。
そして、王太子の婚約者としての地位に執着する傲慢な悪役令嬢が登場する。
男爵家は、聖女選定の儀に参加させるため、魔力の強いヒロインを養女にした。
聖女選定の儀で最後の二人に残った、ヒロインと悪役令嬢が争う。
神殿の奥深く、ヒロインが聖女の証を立て、悪役令嬢は、魅了のアーティファクトを手に入れた。
ヒロインは聖女の能力を高めながら王宮と神殿を行き来して、攻略対象の一人と恋に落ちる。
そこへ悪役令嬢が、魅了のアーティファクトをもって現れる。第一王子と第二王子二人が魅了に囚われる。
王宮を追われる聖女。
けれど、魅了がきかなかった第三王子と他の攻略対象が彼女を助ける。
調べていくと、地下神殿に魅了のアーティファクトと対になる解呪のアーティファクトがあることがわかり、ヒロインと攻略対象のうち一人がそれを取りに地下神殿へ赴く。
神殿の奥へ行くと、そこは魔獣の住処となっていた。
ヒロインと攻略対象とが命がけで魔獣を倒し、解呪のアーティファクトを手にする。
そして、悪役令嬢と王子との結婚の日、解呪のアーティファクトを持った二人が現れ、悪役令嬢の魅了を解呪し、彼女を断罪、ハッピーエンドとなるのだ。
これが基本ストーリー。
乙女ゲームのため、攻略対象ごとに細部は異なるし、色々な終わり方が用意されている。
攻略の難しさとしては、一番最初に魅了にかかってしまう第一王子と第二王子の難易度が高い。
魔術師と暗殺者は、魅了にかかっていないので比較的楽だ。
(暗殺者に出会ってない。把握できてないのが怖い……それに、第三王子ルート……え? でも、だって、これじゃ)
メリルは、第三王子ルートを確認して、息を飲む。
なぜなら、第三王子にだけ、ハッピーエンドもノーマルエンドすらないのだ。
絶対にハッピーエンドにならない。だからこそ人気だった悲運の王子。
――デュークは、この「物語」では、必ず死んでしまうのだ。
クローディア嬢と王都にいるはずの魔女メリルが直接会わなければならないというルールは、多少精度が落ちるが魔女同士なら体験を伝えあうことができる、という嘘を伝えることでごまかした。
高貴な身分であるクローディア嬢を王都に連れて行くのは、さすがにデュークに説得してもらい、合意を得る必要がある。デュークの怪我の回復もあるし、それにはだいぶ時間がかかるだろう。
そこまで待つのは、一刻も早く予言の魔術を行わなければならないメリルたちにとって得策ではない。
それに。
(クローディア嬢にとっても、一緒に王都に戻るならデュークが一番だもの)
高貴な身分であるクローディア嬢には、対外的にも実力も身分も兼ね備えたデュークがぴったりだと思うし、怯える彼女には、幼馴染であるデュークの存在はとても助けになるはずだ。
メリルの帰りの旅のお供はジョゼフという隊員の一人だった。
ただ、隊員たちは手が早い、というデュークの心配は明らかに杞憂だった。彼らは、大勢いると競い合うようにメリルと会話しようとするが、一対一にになると、途端に紳士になる。要するに男同士で楽しみたいだけなのだ。
宿場町から王都への道中、ジョゼフもなかなかの気遣いを見せたので、魔女メリルのお世話係もできそうだということを伝えると、なぜかぶんぶんと高速で頭を横に振られた。
謙虚なところもいい人だと思う。
◇◇◇◇◇◇
「さて、始めますか」
宿の部屋に戻ったメリルは、魔女メリルと二人で過ごすと言って、軽く汗を流すと食事を持ち込んで部屋にこもった。翌朝まで、誰も部屋に近づかないよう隊員に言づけると、念のため部屋を魔術で施錠する。
メリルのスキルは、子供の頃にその力を暴走させ、その大部分が失われてしまった。残った力を引き出すためには、複雑な魔女の魔法陣術式が必要なのだ。これは先代メリルが作り上げてくれたもので、メリルにはまだ内容が全て理解できていない。これから精進が必要な所だ。
甕一杯の宝石と、大きな羊皮紙に書いた魔法陣を床に広げ、メリルは、気持ちを落ち着けるよう深呼吸する。
「開け、扉」
指で空中に魔法陣を描き出していくと、それが五つ、つながるように羊皮紙の魔方陣を囲む。魔方陣の光が増すとともに、周囲に配置した宝石の光が見る間に失われていく。宝石に秘められた魔力が魔法陣に吸い込まれているのだ。
「開錠」
中心の魔法陣が、光を放つ――。
この世界の在り方が何かおかしいと気づいたのは、メリルがまだサアヤだった頃だった。
ある日、自分の暮らす世界が、前世の沙耶の記憶にあるものと同じであることに気づいたのだ。さらにこの世界は、一つではなく、いくつもの「物語」が複雑に絡み合ってできているということにも。
メリルのスキルは、メリルが前世に読んだあらゆるジャンルの本やゲームがつまった情報をいつでも呼び出すことができることだった。
――ただ余暇を楽しむだけだと思っていたそのスキルは、この世界においては「全知」に近しい能力だったのだ。
けれど、対処する術を持たない者にとって、それを知ることに、何の意味があるだろうか?
「物語」では読者を楽しませるために、必ず事件が起こる。人々が大勢死ぬ戦争、飢饉、疫病、天変地異。
メリルは、それらの不幸に対し、対応する力を何も持たなかった。
人に伝える手段もなく、それをどうにかする力もなく。
それらが発生すると知りながら何もしない自分に罪悪感を感じた。
それを知った日から、このスキルは重責となってメリルを苛んだ。
何もできない自分を責め、けれど目を背けることができず、とうとうメリルはスキルを暴走させた。
その時メリルのスキルはほとんどなくなってしまい、今となっては、魔力の詰まったたくさんの宝石を媒介に、なくなりかけたスキルの残滓を引っ張り出すだけだ。
開錠には、多大な魔力が必要になる。
開けられるのはごくわずかな時間だけ。
その間に予め準備した情報で「検索」をかける。
物語の検索キーは、登場人物、職業、能力、性格、人間関係……。
わずかな時間に「検索」をかける情報は、多ければ多いほどいい。
けれど、複数の「物語」が絡み合うこの世界の特性か、固有名詞だけは検索条件にならないのだ。
メリルは、あらかじめ整理した検索のための条件を準備し、スキルを呼び出す。
「異世界図書館」
王子、聖女、魅了、魔法、聖女認定試験、王国、金髪碧眼、魔塔、魔法使い、第二王子、護衛騎士、男爵令嬢、公爵令嬢、……。
(見つけた)
それは、乙女ゲームの世界。
ヒロインは、平民だが、魔力の強さで男爵家に引き取られた心優しき女の子
男爵家に引き取られた魔法に優れた、心優しきヒロイン。
攻略対象は、王子三人を含む七人。
人を引き付けるおおらかな第一王子。
兄を支え、冷静沈着で思慮深い第二王子。
皆から可愛がられる第三王子。
陽気で能力の高い魔術師。
生真面目で良心的な護衛騎士。
殺しを生業にする冷徹な暗殺者。
そして、王太子の婚約者としての地位に執着する傲慢な悪役令嬢が登場する。
男爵家は、聖女選定の儀に参加させるため、魔力の強いヒロインを養女にした。
聖女選定の儀で最後の二人に残った、ヒロインと悪役令嬢が争う。
神殿の奥深く、ヒロインが聖女の証を立て、悪役令嬢は、魅了のアーティファクトを手に入れた。
ヒロインは聖女の能力を高めながら王宮と神殿を行き来して、攻略対象の一人と恋に落ちる。
そこへ悪役令嬢が、魅了のアーティファクトをもって現れる。第一王子と第二王子二人が魅了に囚われる。
王宮を追われる聖女。
けれど、魅了がきかなかった第三王子と他の攻略対象が彼女を助ける。
調べていくと、地下神殿に魅了のアーティファクトと対になる解呪のアーティファクトがあることがわかり、ヒロインと攻略対象のうち一人がそれを取りに地下神殿へ赴く。
神殿の奥へ行くと、そこは魔獣の住処となっていた。
ヒロインと攻略対象とが命がけで魔獣を倒し、解呪のアーティファクトを手にする。
そして、悪役令嬢と王子との結婚の日、解呪のアーティファクトを持った二人が現れ、悪役令嬢の魅了を解呪し、彼女を断罪、ハッピーエンドとなるのだ。
これが基本ストーリー。
乙女ゲームのため、攻略対象ごとに細部は異なるし、色々な終わり方が用意されている。
攻略の難しさとしては、一番最初に魅了にかかってしまう第一王子と第二王子の難易度が高い。
魔術師と暗殺者は、魅了にかかっていないので比較的楽だ。
(暗殺者に出会ってない。把握できてないのが怖い……それに、第三王子ルート……え? でも、だって、これじゃ)
メリルは、第三王子ルートを確認して、息を飲む。
なぜなら、第三王子にだけ、ハッピーエンドもノーマルエンドすらないのだ。
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