3 / 15
2. 青き血の姫②
しおりを挟む
フェイラエール=ソル=バレ=ド=リレッタ。
彼女は、数日後に十七歳の成人を迎える、リレッタ皇国第三皇女である。
リレッタ皇国の皇帝アテルオンが、中原を平定する過程で滅ぼした、聖王国の王女を母に持つ。
聖王国の王女は、神の予言を授かりし聖王女として民や古参の貴族に尊ばれている。彼らの反発を防ぐための政略結婚で生まれたのがフェイラエールである。
皇家の血筋を持つ無害な男と結婚して子を為すのはほぼ既定路線だ。
(でも、結婚して子供を産んで。それだけじゃ、人生つまらないと思うのよね)
皇国では女性は、家に入り子供を産み育てることが最大の役割とされている。政治家や軍人、貴族の当主に女性はいないし、シリルが騎士と名乗ることを許されているのも、フェイラエールの専属という立場故の特別扱いだ。
でも、フェイラエールは、そんな普通の女性の生き方だけでは物足りなく感じてしまうのだ。
フェイラエールは、人生を楽しみたかった。
世界には、彼女の知らないことがたくさんある。
それを自分の目で見て、手で触れて楽しみ、謳歌したかった。
(この厄介な血を持った私がそんな風に自由に楽しく生きるには、目立ったり、期待されたりしちゃいけないと思うのよ)
だから、フェイラエールは、愚か者の振りをしている。
色狂いの愚かな王女。
ただし、青い血筋に、意図せぬ血が混じる懸念があれば、自由は大幅に制御されてしまうから、色事《いろごと》の相手は「女」
お気に入りの騎士を囲って色事を繰り返す愚かな聖王家の末裔を見て、皇国の新参の貴族達は、古き聖王家の濁った血筋だと鼻で笑った。
聖王家を支持していた古参の貴族達は、皇帝の血が聖王家を穢したのだと嘆いた。
いずれにしろ、滅びた王国の復興を夢見る聖王国の残党は、直系の聖王女を旗印にすることをあきらめたのだった。
愚かな姫は、聖王国の血の価値を貶めることに成功したのだ。
(私の血と、私自身に利用価値がなくなれば、今みたいな監視も弱くなるだろうし、もっと自由に、楽しく過ごせると思うのよね)
そんなことを取りとめもなく考えながら、フェイラエールは、中庭から別館に続く、使用人向けの日の当たらない回廊を、足早に歩く。
別館の書庫はここ最近フェイラエールが気に入っている場所で、シリルに留守を任せて頻繁に訪れている。父が発禁にした一部の兵法書が唯一保管されている場所なのだ。
もちろん正規に入るためには、いくつもの申請書類が必要となるが、そんな面倒な方法はとらない。
フェイラエールは、建物の隠し扉からそっと書庫へと忍び込んだ。
この書庫での気に入りはもちろん発禁になった兵法書だ。
慣れた手際で読み終わったものと借り出す予定のものを入れ替えて、フェイラエールはすぐに書庫を後にした。
シリルの待つ部屋にすぐに戻る予定だったが、あまりの清々しい陽気にふと気が変わる。
(こういう気晴らしも必要よね)
そして、少し屋外での読書を楽しむことにしたのだった。
書庫の裏の誰も来ない池の縁で、兵法書を広げると思わず没頭してしまった。
ふと、人の気配を感じて顔を上げると、池を挟んで向かい側に二人の人影が見えた。
片側に独特の編み込みをした黒髪、健康的な肌色。
切れ長の彫りの深い風貌が印象的な彼らは、立ち襟に裾と袖の長い、体の横で布を合わせる民族衣装を着ていた。
(騎馬の民だわ)
茂みがあるせいで、あちらからはこちらの様子が見えないはずだ。
フェイラエールは、初めて見る騎馬の民の姿に興味を惹かれて、じっとその姿を見つめた。
書物では猛々しい特性が強調されている一族だが、フェイラエールから見える側にいる青年には、そんな様子は全く感じられない。
そう言えば、西でおきた戦の戦果を祝う祝勝会がフェイラエールの成人の式典の前に開催され、騎馬の民はその功労者として皇都入りしていたはずだった。
指導者である二十歳の若き英雄の名は、確か──。
(タキス=トゥーセ)
本来王子という立場であった彼は、その肩書を名乗ることを許されない。
騎馬の民は黒髪と黒瞳が普通なのに、タキスは先祖返り故の金の瞳をしているという話だから、彼にまず間違いないだろう。
ただそこに立っているだけなのに、不思議と目が離せなかった。
隙のない佇まいは、戦地で戦慣れしているからこそなのだろう。
なんとなく硬い表情の彼らの口の動きをじっと見ていると、中原の共通語ではなく、騎馬の民の民族語を使っているのがわかった。
が、純粋な好奇心だけで見ていられたのは、そこまでだった。
(えっ、ちょっと……。ああ、もうっ、なんてこと)
フェイラエールは、心の中で大きくため息をついた。
こういう時、自分の優秀さが嫌になってしまう。
声は聞こえないが、唇の動きで、発音が分かってしまったのだ。
そして、騎馬の民の言葉は、書物で学んで知っていた。
『決行は、明後日、大広間。皇女へ成人の祝辞を述べる時──』
それは、皇帝の暗殺計画に他ならなかった。
そして、悪いことはさらに重なる。
いつの間にか身を乗り出すようにタキスの口に動きを追っていたフェイラエールの膝の上から、分厚い兵法書が落ちてしまった。
「誰だ!」
金の目がぐっと細められた。
──フェイラエールとタキスの、それが初めての邂逅《かいこう》だった。
◇◇◇◇◇◇◇
薄暗い地下の牢獄に、女の悲鳴と鞭が肉を裂く音が響いていた。
悲鳴は徐々に小さくなり、うめき声すら聞こえなくなると、女には水がかけられ、強制的に意識を引き戻された。
「おゆる……しを」
ランプの灯りの下で掠れる声を発するのは、老婆だった。両の手を鎖で壁につながれたまま、必死で顔を上げて訴える。
鞭を持つ男は、酷薄な眼差しを老婆に向けたまま、心を動かされた様子もなく、淡々と続けた。
「真実を語れ」
「誓って……真実を申し上げております。フェイラエール姫は、第二皇妃レキシス様と、アテルオン陛下の実のお子でございます」
「っぐっ……」
鞭の音が再度響く。
「『真実』を、言えと言っている。……このまま真実が明らかにならない場合は、第二皇妃に同様に真実を問うことになる。この痛みに皇妃はどれだけ耐えられるかな」
「お……おやめくださいっ」
「私も鬼ではない。皇妃の乳母であるお前の口から真実が語られれれば、皇妃に拷問が課せられることはないだろう。皇妃は聖王家の末裔だ。罪が明らかになっても、離宮に幽閉される程度だ……お前の仕える皇妃にとって、どちらが幸せか分かるだろう?」
打って変わって優しい声音で囁く男の声に、老婆の、痛みと疲れで朦朧とした思考は引きずられていく。
「フェイラエール姫は、陛下のお子ではないな」
「……はい」
「言は得られた」
男は鞭を投げ捨てると、老婆に背を向けた。
「第二妃は、旧聖王国の貴族と密通していた……至急調書を作り、陛下へ奏上する」
冷えた地下牢の床に、力尽きた老婆の躯はうち捨てられた。
彼女は、数日後に十七歳の成人を迎える、リレッタ皇国第三皇女である。
リレッタ皇国の皇帝アテルオンが、中原を平定する過程で滅ぼした、聖王国の王女を母に持つ。
聖王国の王女は、神の予言を授かりし聖王女として民や古参の貴族に尊ばれている。彼らの反発を防ぐための政略結婚で生まれたのがフェイラエールである。
皇家の血筋を持つ無害な男と結婚して子を為すのはほぼ既定路線だ。
(でも、結婚して子供を産んで。それだけじゃ、人生つまらないと思うのよね)
皇国では女性は、家に入り子供を産み育てることが最大の役割とされている。政治家や軍人、貴族の当主に女性はいないし、シリルが騎士と名乗ることを許されているのも、フェイラエールの専属という立場故の特別扱いだ。
でも、フェイラエールは、そんな普通の女性の生き方だけでは物足りなく感じてしまうのだ。
フェイラエールは、人生を楽しみたかった。
世界には、彼女の知らないことがたくさんある。
それを自分の目で見て、手で触れて楽しみ、謳歌したかった。
(この厄介な血を持った私がそんな風に自由に楽しく生きるには、目立ったり、期待されたりしちゃいけないと思うのよ)
だから、フェイラエールは、愚か者の振りをしている。
色狂いの愚かな王女。
ただし、青い血筋に、意図せぬ血が混じる懸念があれば、自由は大幅に制御されてしまうから、色事《いろごと》の相手は「女」
お気に入りの騎士を囲って色事を繰り返す愚かな聖王家の末裔を見て、皇国の新参の貴族達は、古き聖王家の濁った血筋だと鼻で笑った。
聖王家を支持していた古参の貴族達は、皇帝の血が聖王家を穢したのだと嘆いた。
いずれにしろ、滅びた王国の復興を夢見る聖王国の残党は、直系の聖王女を旗印にすることをあきらめたのだった。
愚かな姫は、聖王国の血の価値を貶めることに成功したのだ。
(私の血と、私自身に利用価値がなくなれば、今みたいな監視も弱くなるだろうし、もっと自由に、楽しく過ごせると思うのよね)
そんなことを取りとめもなく考えながら、フェイラエールは、中庭から別館に続く、使用人向けの日の当たらない回廊を、足早に歩く。
別館の書庫はここ最近フェイラエールが気に入っている場所で、シリルに留守を任せて頻繁に訪れている。父が発禁にした一部の兵法書が唯一保管されている場所なのだ。
もちろん正規に入るためには、いくつもの申請書類が必要となるが、そんな面倒な方法はとらない。
フェイラエールは、建物の隠し扉からそっと書庫へと忍び込んだ。
この書庫での気に入りはもちろん発禁になった兵法書だ。
慣れた手際で読み終わったものと借り出す予定のものを入れ替えて、フェイラエールはすぐに書庫を後にした。
シリルの待つ部屋にすぐに戻る予定だったが、あまりの清々しい陽気にふと気が変わる。
(こういう気晴らしも必要よね)
そして、少し屋外での読書を楽しむことにしたのだった。
書庫の裏の誰も来ない池の縁で、兵法書を広げると思わず没頭してしまった。
ふと、人の気配を感じて顔を上げると、池を挟んで向かい側に二人の人影が見えた。
片側に独特の編み込みをした黒髪、健康的な肌色。
切れ長の彫りの深い風貌が印象的な彼らは、立ち襟に裾と袖の長い、体の横で布を合わせる民族衣装を着ていた。
(騎馬の民だわ)
茂みがあるせいで、あちらからはこちらの様子が見えないはずだ。
フェイラエールは、初めて見る騎馬の民の姿に興味を惹かれて、じっとその姿を見つめた。
書物では猛々しい特性が強調されている一族だが、フェイラエールから見える側にいる青年には、そんな様子は全く感じられない。
そう言えば、西でおきた戦の戦果を祝う祝勝会がフェイラエールの成人の式典の前に開催され、騎馬の民はその功労者として皇都入りしていたはずだった。
指導者である二十歳の若き英雄の名は、確か──。
(タキス=トゥーセ)
本来王子という立場であった彼は、その肩書を名乗ることを許されない。
騎馬の民は黒髪と黒瞳が普通なのに、タキスは先祖返り故の金の瞳をしているという話だから、彼にまず間違いないだろう。
ただそこに立っているだけなのに、不思議と目が離せなかった。
隙のない佇まいは、戦地で戦慣れしているからこそなのだろう。
なんとなく硬い表情の彼らの口の動きをじっと見ていると、中原の共通語ではなく、騎馬の民の民族語を使っているのがわかった。
が、純粋な好奇心だけで見ていられたのは、そこまでだった。
(えっ、ちょっと……。ああ、もうっ、なんてこと)
フェイラエールは、心の中で大きくため息をついた。
こういう時、自分の優秀さが嫌になってしまう。
声は聞こえないが、唇の動きで、発音が分かってしまったのだ。
そして、騎馬の民の言葉は、書物で学んで知っていた。
『決行は、明後日、大広間。皇女へ成人の祝辞を述べる時──』
それは、皇帝の暗殺計画に他ならなかった。
そして、悪いことはさらに重なる。
いつの間にか身を乗り出すようにタキスの口に動きを追っていたフェイラエールの膝の上から、分厚い兵法書が落ちてしまった。
「誰だ!」
金の目がぐっと細められた。
──フェイラエールとタキスの、それが初めての邂逅《かいこう》だった。
◇◇◇◇◇◇◇
薄暗い地下の牢獄に、女の悲鳴と鞭が肉を裂く音が響いていた。
悲鳴は徐々に小さくなり、うめき声すら聞こえなくなると、女には水がかけられ、強制的に意識を引き戻された。
「おゆる……しを」
ランプの灯りの下で掠れる声を発するのは、老婆だった。両の手を鎖で壁につながれたまま、必死で顔を上げて訴える。
鞭を持つ男は、酷薄な眼差しを老婆に向けたまま、心を動かされた様子もなく、淡々と続けた。
「真実を語れ」
「誓って……真実を申し上げております。フェイラエール姫は、第二皇妃レキシス様と、アテルオン陛下の実のお子でございます」
「っぐっ……」
鞭の音が再度響く。
「『真実』を、言えと言っている。……このまま真実が明らかにならない場合は、第二皇妃に同様に真実を問うことになる。この痛みに皇妃はどれだけ耐えられるかな」
「お……おやめくださいっ」
「私も鬼ではない。皇妃の乳母であるお前の口から真実が語られれれば、皇妃に拷問が課せられることはないだろう。皇妃は聖王家の末裔だ。罪が明らかになっても、離宮に幽閉される程度だ……お前の仕える皇妃にとって、どちらが幸せか分かるだろう?」
打って変わって優しい声音で囁く男の声に、老婆の、痛みと疲れで朦朧とした思考は引きずられていく。
「フェイラエール姫は、陛下のお子ではないな」
「……はい」
「言は得られた」
男は鞭を投げ捨てると、老婆に背を向けた。
「第二妃は、旧聖王国の貴族と密通していた……至急調書を作り、陛下へ奏上する」
冷えた地下牢の床に、力尽きた老婆の躯はうち捨てられた。
0
お気に入りに追加
39
あなたにおすすめの小説
絶対婚約いたしません。させられました。案の定、婚約破棄されました
toyjoy11
ファンタジー
婚約破棄ものではあるのだけど、どちらかと言うと反乱もの。
残酷シーンが多く含まれます。
誰も高位貴族が婚約者になりたがらない第一王子と婚約者になったミルフィーユ・レモナンド侯爵令嬢。
両親に
「絶対アレと婚約しません。もしも、させるんでしたら、私は、クーデターを起こしてやります。」
と宣言した彼女は有言実行をするのだった。
一応、転生者ではあるものの元10歳児。チートはありません。
4/5 21時完結予定。
ラニアケアの彼方から
はなみ 茉莉
ファンタジー
故郷を追われるように離れ、三百光年先の惑星にやって来たリリー。
のどかで穏やかな惑星だけど、住民はたったの十五人、店もなく、自由すぎる王様、性愛に奔放なメイドたち、ゆめかわふわふわ雲に封印されている魔王がいたりと癖が強すぎる。
冒険に温泉に連行され、のどかで穏やかは星の彼方… 友情に、恋愛に、なりゆきで危機に立ち向かい、行き着く先は?
新人メイド・リリーと騎士・ヴィント、背中に翼がある有翼種(ゆうよくしゅ)の二人をめぐる物語。
※過激な表現はありませんが、流血、死、性描写が入るので苦手な方はお控えください。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。
不要とされる寄せ集め部隊、正規軍の背後で人知れず行軍する〜茫漠と彷徨えるなにか〜
サカキ カリイ
ファンタジー
「なんだ!あの農具は!槍のつもりか?」「あいつの頭見ろよ!鍋を被ってるやつもいるぞ!」ギャハハと指さして笑い転げる正規軍の面々。
魔王と魔獣討伐の為、軍をあげた帝国。
討伐の為に徴兵をかけたのだが、数合わせの事情で無経験かつ寄せ集め、どう見ても不要である部隊を作った。
魔獣を倒しながら敵の現れる発生地点を目指す本隊。
だが、なぜか、全く役に立たないと思われていた部隊が、背後に隠されていた陰謀を暴く一端となってしまう…!
〜以下、第二章の説明〜
魔道士の術式により、異世界への裂け目が大きくなってしまい、
ついに哨戒機などという謎の乗り物まで、この世界へあらわれてしまう…!
一方で主人公は、渦周辺の平野を、異世界との裂け目を閉じる呪物、巫女のネックレスを探して彷徨う羽目となる。
そしてあらわれ来る亡霊達と、戦うこととなるのだった…
以前こちらで途中まで公開していたものの、再アップとなります。
他サイトでも公開しております。旧タイトル「茫漠と彷徨えるなにか」。
「離れ小島の二人の巫女」の登場人物が出てきますが、読まれなくても大丈夫です。
ちなみに巫女のネックレスを持って登場した魔道士は、離れ小島に出てくる男とは別人です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる