忘れられないパンツ事件

忘れられないパンツ事件

ある日のこと、サラリーマンの田中太郎は、慌ただしい朝を迎えていた。彼は遅刻寸前で、寝ぼけながらも急いでスーツを着込むと、家を飛び出した。電車に乗り込み、ようやく一息ついた時、太郎は何かがおかしいと感じた。

「なんだ、この違和感は…？」

ふと周りを見ると、電車の乗客たちがちらちらと彼の方を見ては、クスクスと笑っているではないか。太郎は一瞬、髪型が変なのかと手で確認したが、特に問題はない。次にネクタイが曲がっているかと直そうとするが、それも普通だ。

「いったい何が…？」

その時、太郎は自分の足元を見て、驚愕の事実に気づいた。なんと、彼はズボンを穿き忘れていたのだ！パジャマのズボンのままで出勤してしまっていたのである。

「うわっ！なんてこった！」

太郎はあまりのショックに顔が真っ赤になり、次の駅で慌てて降りた。駅のトイレに駆け込み、パジャマのズボンを見つめる。どうしようかと頭を抱えたが、そこで冷静になった。

「とりあえず、会社には行かなきゃ…」

トイレの鏡を見て、パジャマのズボンのまま会社に行くのは無理だと悟る。しかし、どうしても今日は重要な会議があり、休むわけにはいかなかった。そこで、太郎は一計を案じた。

「そうだ、コンビニで何か買おう！」

彼は駅近くのコンビニに駆け込み、運よく売っていたトレーニングウェアのズボンを購入した。それを履き、少しはマシになった気がしたものの、スーツの上にトレーニングウェアのズボンというアンバランスな姿は、やはり目立っていた。

会社に着くと、同僚たちは太郎の奇妙な格好に驚き、次々と質問を投げかけた。

「田中さん、それ、新しいファッションですか？」

「いや、ちょっと朝、いろいろあってさ…」

太郎は苦笑いしながら、なんとかごまかそうとしたが、会議室に入った瞬間、課長が彼を見て大笑いした。

「田中！その格好で会議に臨むのか？いや、さすがに笑わせてもらったよ！」

会議室中が笑いに包まれ、太郎もつられて笑ってしまった。なんだかんだで、会議は和やかな雰囲気で進み、いつも以上に意見交換が活発だった。

結局、その日は一日中「パンツ事件」の話題で持ちきりだったが、同僚たちとの絆が深まった気がした。太郎は、恥ずかしい思いをしたものの、結果的に会社での評判が良くなったことに感謝しつつ、家に帰るとそっと笑みを浮かべた。

次の日、彼はもちろんきちんとズボンを履いて出勤したが、同僚たちからは「今日もパジャマで来ればよかったのに」と茶化されることとなった。

終わり