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第二章 ちょいとパーティー組む?
第25話 ゴスロリ
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打ち上げが終わって、ボクは大森のマンションに帰ってくる。
飲み始めたのが早かったので、まだ十九時前だ。
「うーん。なんか中途半端な時間だなあ――」
そういえば、買い置きの食料とかがないなあ――と思い、買い出しにでも行こうとした時、LINの着信音が聞こえた。
見るとユミさんからである。
『本日はありがとうございました。とても楽しかったです。いろいろ教えていただいてありがとうございました。ネットを見たら、明日、魔導士向けのオリエンテーションをちょいダンで行うと書いてあったので、参加してパーティーのお役に立てるよう、勉強してきたいと思います』
どうやら彼女は、口数は少ないけどメールは長い――というタイプらしい。
「魔導士向けのオリエンテーションか……」
ちょっと興味を持ったので、ネットで調べる。事前予約だったが、まだ募集していたので、ボクも予約した。
さっそく、ユミさんに返信する。
ピッコーン!
すぐに、着信音が――
『えっ? タカアキさん、剣士ですよね?』
彼女からのレスだった。
うーん。喋るより反応が早いような――
『うん、そうだけど、魔導士も機会があればやりたいと思っていたので』
『そうなんですね』
『それじゃ、また明日、ヨロシクお願いします』
『こちらこそ、よろしくお願いします』
これで、明日も予定が入ってしまった。なんか、充実した週末になっている。
翌日、二時半――
オリエンテーションの集合時間はRT午後三時からだったが、ちょっと早く来てしまった。時間まで狩りでもしていようかと、ロビーからダンジョン入口へ向かっていたとき、「こんにちは」という声が聞こえる。
声の主はユミさんだった。今日は黒のゆったりとしたTシャツに、白のこれまたゆったりとしたオーバーオールというラフな格好で現れる。
「あ、こんにちは。早いね」
ボクがそう挨拶すると、「タカアキさんも早いですね」と返ってくる。
「まあ、なんか早く来ちゃった」
実のところ、何もすることがなかっただけなんだけど――
「魔導士の格好も似合いますね」
ユミさんにそう褒められて、少し照れてしまう。
「そうかな? なんか落ち着かないんだけど――」
灰色のローブは思ったより布地が厚く、重みもあった。それと、先の曲がった木製の杖。
今日は魔導士のオリエンテーションということで、魔導士の初心者セットを受付で借りたのだ。
借りてきた猫の気持ちがわかる――なんて言うと、ユミさんに笑われた。
「それじゃ、着替えてきます」
彼女がマイルームのドアへ向かっていくので、ボクは見送る。
「それじゃ、待っているか――」
ロビーの中央にある、丸い椅子に腰かけた。辺りを見回し、ある一点で目が留まる。
ローブを着た女性がいた。と、いうことは彼女も魔導士のオリエンテーションに参加するのだろうか?
メイドが頭に付けているような白と黒のヘッドドレス。黒く長い髪はツインテールにしてある。淡いピンクのファンデーション。付けまつげとマスカラのぱっちり目元をアイシャドウで強調していた。
ローブの下には、黒と白のドレスが見える。
まあ、いわゆるゴスロリファッションというモノだろう。
そう聞くと、童顔で小柄な少女を思い浮かべるかもしれない――が、その女性、背がボクとそんなに変わらない。つまり、女性としてはけっこう大柄なほうだ。年齢もボクと同じか、少し年上のように思える。
戸越が見ていたら、「痛い系――」なんて言いそうだが、ボクが気にしていた理由は別にあった。
「――あの人、どっかで見たことがあるんだけどなあ……」
別にゴスロリファッション好きの知り合いがいるわけでもない。そうではなく、あの顔に見覚えがあるということ。
「うーん、どこだったか……」
そんなことを考えていると、「おまたせしました」という声が――
「あ、はい。あれ? 今日はその杖?」
ユミさんが手にしていたのは初心者セットの杖だった。
「あ、そうです。あの杖だと、時間の経過が他の人と違ってしまうので――」
そういえば、そうだった――と思い出す。
あの杖――タクトマスターには『時間の経過が十パーセント遅くなる』というボーナスが付与されていた。
昨日のホブゴブリン狩りではとっても役にたったが、今日はパーティーを組まないので、他の人より時間の流れが遅くなって、まどろっこしく感じてしまうのだ。
「まだ、十五分くらいあるけど、ここで待っていようか」
「あ、はい。そうしましょう」
ということで、ふたりでそのまま椅子に座る。
それにしても――
あのゴスロリの女性が気になって、ときどき、視線がそちらに行ってしまうのだった。
うーん……思い出せない。
なんか、気持ち悪いなあ――
そうこうしているウチに、午後三時になる。
飲み始めたのが早かったので、まだ十九時前だ。
「うーん。なんか中途半端な時間だなあ――」
そういえば、買い置きの食料とかがないなあ――と思い、買い出しにでも行こうとした時、LINの着信音が聞こえた。
見るとユミさんからである。
『本日はありがとうございました。とても楽しかったです。いろいろ教えていただいてありがとうございました。ネットを見たら、明日、魔導士向けのオリエンテーションをちょいダンで行うと書いてあったので、参加してパーティーのお役に立てるよう、勉強してきたいと思います』
どうやら彼女は、口数は少ないけどメールは長い――というタイプらしい。
「魔導士向けのオリエンテーションか……」
ちょっと興味を持ったので、ネットで調べる。事前予約だったが、まだ募集していたので、ボクも予約した。
さっそく、ユミさんに返信する。
ピッコーン!
すぐに、着信音が――
『えっ? タカアキさん、剣士ですよね?』
彼女からのレスだった。
うーん。喋るより反応が早いような――
『うん、そうだけど、魔導士も機会があればやりたいと思っていたので』
『そうなんですね』
『それじゃ、また明日、ヨロシクお願いします』
『こちらこそ、よろしくお願いします』
これで、明日も予定が入ってしまった。なんか、充実した週末になっている。
翌日、二時半――
オリエンテーションの集合時間はRT午後三時からだったが、ちょっと早く来てしまった。時間まで狩りでもしていようかと、ロビーからダンジョン入口へ向かっていたとき、「こんにちは」という声が聞こえる。
声の主はユミさんだった。今日は黒のゆったりとしたTシャツに、白のこれまたゆったりとしたオーバーオールというラフな格好で現れる。
「あ、こんにちは。早いね」
ボクがそう挨拶すると、「タカアキさんも早いですね」と返ってくる。
「まあ、なんか早く来ちゃった」
実のところ、何もすることがなかっただけなんだけど――
「魔導士の格好も似合いますね」
ユミさんにそう褒められて、少し照れてしまう。
「そうかな? なんか落ち着かないんだけど――」
灰色のローブは思ったより布地が厚く、重みもあった。それと、先の曲がった木製の杖。
今日は魔導士のオリエンテーションということで、魔導士の初心者セットを受付で借りたのだ。
借りてきた猫の気持ちがわかる――なんて言うと、ユミさんに笑われた。
「それじゃ、着替えてきます」
彼女がマイルームのドアへ向かっていくので、ボクは見送る。
「それじゃ、待っているか――」
ロビーの中央にある、丸い椅子に腰かけた。辺りを見回し、ある一点で目が留まる。
ローブを着た女性がいた。と、いうことは彼女も魔導士のオリエンテーションに参加するのだろうか?
メイドが頭に付けているような白と黒のヘッドドレス。黒く長い髪はツインテールにしてある。淡いピンクのファンデーション。付けまつげとマスカラのぱっちり目元をアイシャドウで強調していた。
ローブの下には、黒と白のドレスが見える。
まあ、いわゆるゴスロリファッションというモノだろう。
そう聞くと、童顔で小柄な少女を思い浮かべるかもしれない――が、その女性、背がボクとそんなに変わらない。つまり、女性としてはけっこう大柄なほうだ。年齢もボクと同じか、少し年上のように思える。
戸越が見ていたら、「痛い系――」なんて言いそうだが、ボクが気にしていた理由は別にあった。
「――あの人、どっかで見たことがあるんだけどなあ……」
別にゴスロリファッション好きの知り合いがいるわけでもない。そうではなく、あの顔に見覚えがあるということ。
「うーん、どこだったか……」
そんなことを考えていると、「おまたせしました」という声が――
「あ、はい。あれ? 今日はその杖?」
ユミさんが手にしていたのは初心者セットの杖だった。
「あ、そうです。あの杖だと、時間の経過が他の人と違ってしまうので――」
そういえば、そうだった――と思い出す。
あの杖――タクトマスターには『時間の経過が十パーセント遅くなる』というボーナスが付与されていた。
昨日のホブゴブリン狩りではとっても役にたったが、今日はパーティーを組まないので、他の人より時間の流れが遅くなって、まどろっこしく感じてしまうのだ。
「まだ、十五分くらいあるけど、ここで待っていようか」
「あ、はい。そうしましょう」
ということで、ふたりでそのまま椅子に座る。
それにしても――
あのゴスロリの女性が気になって、ときどき、視線がそちらに行ってしまうのだった。
うーん……思い出せない。
なんか、気持ち悪いなあ――
そうこうしているウチに、午後三時になる。
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