12 / 23
怪人を止めることは魔法少女の役割だよね!!
しおりを挟む
「ギャハハハハハ!!!!!この力は良いゼェ!!!!!」
学校のすぐ外には、歪な形をし、虫のような外骨格を身に纏った怪人の姿。
そしてその怪人はビームのようなものを口から出して、周りのビルを破壊する。
「お!!そこにちょうど良いのがいるじゃねぇか!!」
怪人の視線が、ただの一般人の女の人の方へと向く。
「やっ…!!!!!」
「人肉はうめぇんだ!!!そんじゃ、俺の食料となってもらおうか!!!!」
怪人が振りかざしたカマキリのような手を見て、覚悟を決めたのか、女の人は、手を盾にするように目の前に出す。
「じゃあな!!!うおらぁ!!!!!」
空気を切りながら女の人へと刃が向かう。
「ソードブレイカー!!!!!」
そして、空気を切り裂いたカマは、ある一つの黄色に光る弾がぶつかると、爆発し、爆発に巻き込まれた怪人は、少しだけよろける。
ビルとビルに挟まれた道路の上で、私たちはアズりんの怪獣に向かって放った攻撃は、あたりはしたが、怪獣の「なんだこれはぁ?」の言葉から察するにあまり効いていないようだ。
「大丈夫ですか?」
Vさんが優しく女の人に話しかけると、Vさんは自分の持っていた魔法のホウキに女の人を乗せて、飛び立った。
「後は任せましたよ!!!」
「ふん!!何が任せただよ!!!お前らはここで俺さまに殺される運命なんだよ!!!!」
す、すごい溢れる悪役感…
「殺してやるさぁ…!!!!!!!今すぐになぁ!!!!!」
2mほどの怪人は、その目をぎらりと輝かせると、奇妙なオーラを放った。
膝が震え始める。
今までの怪獣は、明確に私に対して殺すという殺意は感じられなかった…
けど、今回は違う。
絶対殺すと言う覚悟。
それにともなって私に放たれるオーラには鳥肌が立った。
怖い…気持ち悪い…心臓の鼓動が早い…息が荒い…死にたくない…死にたくない…
「奏音ちゃん~大丈夫だよ~こいつなんか怖くないって!」
「え?」
「こんな虫、私たちでイチコロだよ~」
なんで、そんなに呑気に言えるの!?
なんでそんなに…勇気が湧いてくるの…?
アズりんは私の手を掴むと、暖かい温度が染み渡る。
なぜだか、大丈夫と言う言葉が不意に浮かんできた。
「そうだね…こんなやつなんか怖くない!!!!」
「ほほぉ?生意気じゃないか!!!!そんじゃあ、最初っから特別なモンをお見舞いしてやろうじゃねぇか!!!!」
怪人は、両腕のカマを地面に刺すと、前傾姿勢に構える。
「俺のスペシャル攻撃、ヒートブラスターをな!!!」
大きな大砲のように、口の中から筒型の白い歯のような物が剥きでると、まるで、ビーム砲に力を溜めるように、筒型の白い歯の中に赤い火が溜まっていく。
周りの空気を全て吸い込み、力を溜めていく怪人。
今にも爆発しそうなエネルギーから漏れ出す風が、肌を熱くする。
そして、筒状の剥き出しの歯の中身が爆発した瞬間。
私たちに向かって一気に一筋の光の熱線が放たれる。
一筋の熱線は、周りの道路に敷かれたコンクリートを二つの陣営に分けるように、線を引くようにして、真っ直ぐ私に向かって来る。
地面の溶ける程の熱線が目の前に迫ってくる。
熱線の風が目の前に迫り、サウナに入ったような風。
いや、もっと熱い。
「やば………」
不意に呟いた一言
いきなり迫ってきた死という言葉。
怖気ついた私。
そして、不意に目が閉じてしまう。
「ソードブレイカー!!!」
グッといれた瞼の力はアズりんの声が聞こえてから数秒経った後、ようやくやっと目を開いた。
「え…え…?」
目の前には、魔法のステッキを目の前に掲げ、3mほど先で止まったコンクリートの液状化。
熱のせいで少しだけ溶けたコンクリートは、ハンバーグが板の上で焼けるようなじゅわあと言った音を鳴らす。
「な、なんだ…?少し火力が足りなかったか…?もう1発!!!!」
再び、発射されるえげつない火の弾丸の数々。
何発もの弾丸。
一つ一つがコンクリートを溶かすほどの熱量を持った弾丸は、私らに向かって撃たれた。
「え!?ちょちょちょ!?!?!?」
「ソードブレイカー!!!!」
アズりんが魔法を発すると、飛び出した魔法は怪人の放つ攻撃と相殺し合って、攻撃は何もなかったかのように消え去る。
「奏音ちゃん!!!今だよ!!!!」
「え!?あ、そっか!!!」
私は大雑把に魔法のステッキを向ける。
あ、ちょっと待って?
そういえば、私の能力って被弾した相手が爆発するよね…?
この距離だと私たちも爆発に巻き込まれるかも…
「アズりん!!!私の攻撃だと、自分たちも攻撃に巻き添いくらっちゃうかも!!!!」
「え!?そうなの!?」
「だから一回Vさん呼ばないと!!!!Vさんの飛行能力だったら、もしかしたら、一度、引き離せるかも!!!!」
「な、なるほど、じゃあ!!!耐えてるよ!!!!」
「そうはさせるかよ!!!!」
そう言いつつ、怪人は目の前に迫ってくる。
どうやら、遠距離攻撃から近距離攻撃へとシフトチェンジしたようだ。
「おらあ!!!!」
振られるカマは空中を切り裂き、そのカマをアズりんは、ギリギリの所で、首を傾けて、避ける。
「ソードブレイカー!!!!」
アズりんは放った魔法を怪人の胸に当てて、ノックバックさせる。
2m程、ノックバックした怪人は、自分の手を先程のビームの光線のように赤く染まらせると、「今度は熱いぜ!?お前は避け切れるかな!?」と言いつつ、カマを横に振りかざした。
アズりんはそれを女の子とも思えないような運動神経を使い、バク宙をして、腰あたりに振られた赤いカマの攻撃を避けた。
「アズりん!!」
そして、地面に着地したアズりんは後ろ蹴りを入れる。
「んな!?!?」
「ソードブレイカー!!!!」
何発もの魔法を放ったアズりんは、魔法全てが怪人に直撃し、空中の空気をかき分けながら後ろへと吹っ飛んだ。
追い討ちをかけようと、吹っ飛んだ怪人に向かって走るアズりん。
そして、高跳びの棒2mを飛び越えそうなくらいの高さを飛んだ後、その重力の力を借り、自分の拳を怪人へと勢いよく下ろす。
バゴン!!!!と重たい音がすると、「ぐわああ!!!!」と怪人がその場で悶える。
「く、クソが!!!小娘がやりおって!!!!」
「へ!!これでも私…運動神経は良い方なんだ!!!」
瞼が全開になったアズりん。
覚醒状態とも言えるその目は、獲物だけを見ていた。
「す…すごい…」
本心から溢れた言葉。
人外の怪物と肉弾戦。
そりゃあ、魔法少女のドレスだから、少しは体力上昇の効果くらいはついていると思うけど、それでも魔法少女のドレスは肉弾戦のために作られているものではない。
でも、それでも、魔法×武術の融合。
それは到底、誰もができるようなことだとは思えない。
それに、戦っているのは昨日まで普通の高校生だった女の子だ。
それが一気にこんな風になるなんて…
「や、やっぱりアズりんは凄いよ!!!!」
アズりんは、どこかのプロボクサーを真似るかのように、戦闘の構えをすると、前に出した左手で、クイクイと手招きをするようなジェスチャーをする。
いわゆる、かかって来い、だ。
「舐めやがって!!!怪人の本領!!!見せてやるぜ!!!!!」
怪人は、左足地面に埋め、そして、右手をビル一つ分くらいの大きさにまで膨らませて見せる。
「パンクコング!!!!!!」
まるで、岩を投げるかのように、持ち上げたその腕は、アズりんに向かって落とされる。
でも、アズりんだったら大丈夫。
「ソードブレイカー!!!!」
持ち上げられた大きな右腕に当たった黄金色の魔法は、ぶつかったと同時に爆発した。
それでも少し腕の勢いがおさまった程度。
完全に止めるまでには至らなかった。
「まず!!!!」
ドオオオオオオオオン!!!!!!!
轟音を鳴らして地面にぶつかる怪人の右腕。
そう言いつつ、アズりんは、全速力で怪人の間合いから一旦離れた。
ビュン!!!と音を鳴らしながら、攻撃を避けたアズりんは魔法のステッキを目の前に向け、そして、怪人の頭に向かって放つ。
「ぐはっ!!!!!!!」
見事ヒットした攻撃によって生まれた隙。
アズりんはここを見逃さず、
地面に埋め込まれた丘のように膨れ上がった右腕にピョンと飛び乗ると、大きな右腕を伝って、怪人の肩まで走り、そして、怪人の頭をサッカーボールのようにして、思いっきり蹴りつける。
さらに怪人は苦しそうに「ぐああああ!!!!!!!!」と悲鳴をあげるが、それでも倒れる様子は無い。
「か…かったぁ……」
それとは別に、アズりんは自分の足を抑えて悶える。
「クソがぁ…この怪人様をサッカーボール見てぇにしやがってよぉ…!!!」
「痛いよぉ……!」
「アズりん!!!!」
「それじゃあ、ここらでさよならとしましょうか!!!!!」
すぐにアズりんが立つも、少しだけ、アズりんは足を意識してしまっているようだ…
「それじゃあ、最終奥義使わせてもらうぜ!!!!これは痛いからあんまり使いたくはなかったがな!!!!」
そういうと怪人は両腕を広げると、再び、あのビームのように両腕のカマが赤く染まる。
「カマネットォォ!!!!!!!!!!!」
怪人の両腕のカマが、木の根っこのように、分離した。
先程の一本のカマとはわけが違う。
これは攻撃範囲が広くなったわけだし、ジャンプして避けようとか、そういうのもできなさそうだ…
「アズりん!!!!!!」
「へ…お、面白そう…じゃん…」
片目を瞑って、痛みを悶えるようにするアズりん。
そろそろやばそうだ。
「お前、もう素早く逃げらんねぇだろ?まあ、いいさ、じゃ。」
振りかざされる熊の手のような両腕のカマ。
そして、私の上を通り過ぎる黒い影。
覚悟を決めたような、顔付きのアズりん。
カマの周りに沢山の風圧を生み出して切り裂かれたそれは、空気、空気、空気。
カマが切ったものの中にはアズりんなど入っていない。
カマは空を切り裂いたのだ。
「え!?」
私も、よくわからなかった。
空中に黒いかげが出てくると、同時に私はなぜかアズりんの真横を少し空中に浮かんだ感覚とともに通り過ぎたのだから…
「大丈夫ですか?」
掴まれた魔法少女のドレスの裾。
私を掴み取ったのはVさんだった。
魔法のホウキは、怪人の真横を素通りし、私とアズりんを魔法のホウキで回収し、今まさに、その場を離れているようだ。
豆粒の大きさほどになる怪人。
「早く体制を整えてください!!!このホウキは最大5tまでなら耐えれるので3人乗っても大丈夫ですから!!!!」
「あ、はい!!!!!」
私は、Vさんの肩を掴むと、後ろに乗ったアズりんが私の肩を掴んだ。
そして、次の瞬間、真横をレーザービームのようなものが通り過ぎる。
「奏音さんは攻撃を!!!アズリアさんは迎撃をお願いします!!!!戦闘の途中を少し見ていました!!!!高度を上げます!!!!奏音さん!!!お願いしますよ!!!!」
放たれだビームは、怪人が口から放った物。
それを「ソードブレイカー」で撃ち落とす、アズりん。
ビルの上を通り抜け、怪人のいる道路を捉える。
「今…イケる!!!!!!メルトシンギュラリティ!!!!!」
もう、無駄に構える必要なんか無い。
だって、これは…追尾機能付きだから!!!!
放たれた巨大な閃光は、先程、私たちが居た場所の道路に曲線を描きながら向かい、そして、怪人のいるであろう場所に着弾すると、上空からでも確認できるほどの爆発を起こした。
オーバーキル。それが、一番似合った言葉だと思うほどに。
「ほんとに、あのまま、撃ってたら巻き添え食らってたかもね~…」
「とりあえず、地上に降りますね。」
「はーい。」
学校のすぐ外には、歪な形をし、虫のような外骨格を身に纏った怪人の姿。
そしてその怪人はビームのようなものを口から出して、周りのビルを破壊する。
「お!!そこにちょうど良いのがいるじゃねぇか!!」
怪人の視線が、ただの一般人の女の人の方へと向く。
「やっ…!!!!!」
「人肉はうめぇんだ!!!そんじゃ、俺の食料となってもらおうか!!!!」
怪人が振りかざしたカマキリのような手を見て、覚悟を決めたのか、女の人は、手を盾にするように目の前に出す。
「じゃあな!!!うおらぁ!!!!!」
空気を切りながら女の人へと刃が向かう。
「ソードブレイカー!!!!!」
そして、空気を切り裂いたカマは、ある一つの黄色に光る弾がぶつかると、爆発し、爆発に巻き込まれた怪人は、少しだけよろける。
ビルとビルに挟まれた道路の上で、私たちはアズりんの怪獣に向かって放った攻撃は、あたりはしたが、怪獣の「なんだこれはぁ?」の言葉から察するにあまり効いていないようだ。
「大丈夫ですか?」
Vさんが優しく女の人に話しかけると、Vさんは自分の持っていた魔法のホウキに女の人を乗せて、飛び立った。
「後は任せましたよ!!!」
「ふん!!何が任せただよ!!!お前らはここで俺さまに殺される運命なんだよ!!!!」
す、すごい溢れる悪役感…
「殺してやるさぁ…!!!!!!!今すぐになぁ!!!!!」
2mほどの怪人は、その目をぎらりと輝かせると、奇妙なオーラを放った。
膝が震え始める。
今までの怪獣は、明確に私に対して殺すという殺意は感じられなかった…
けど、今回は違う。
絶対殺すと言う覚悟。
それにともなって私に放たれるオーラには鳥肌が立った。
怖い…気持ち悪い…心臓の鼓動が早い…息が荒い…死にたくない…死にたくない…
「奏音ちゃん~大丈夫だよ~こいつなんか怖くないって!」
「え?」
「こんな虫、私たちでイチコロだよ~」
なんで、そんなに呑気に言えるの!?
なんでそんなに…勇気が湧いてくるの…?
アズりんは私の手を掴むと、暖かい温度が染み渡る。
なぜだか、大丈夫と言う言葉が不意に浮かんできた。
「そうだね…こんなやつなんか怖くない!!!!」
「ほほぉ?生意気じゃないか!!!!そんじゃあ、最初っから特別なモンをお見舞いしてやろうじゃねぇか!!!!」
怪人は、両腕のカマを地面に刺すと、前傾姿勢に構える。
「俺のスペシャル攻撃、ヒートブラスターをな!!!」
大きな大砲のように、口の中から筒型の白い歯のような物が剥きでると、まるで、ビーム砲に力を溜めるように、筒型の白い歯の中に赤い火が溜まっていく。
周りの空気を全て吸い込み、力を溜めていく怪人。
今にも爆発しそうなエネルギーから漏れ出す風が、肌を熱くする。
そして、筒状の剥き出しの歯の中身が爆発した瞬間。
私たちに向かって一気に一筋の光の熱線が放たれる。
一筋の熱線は、周りの道路に敷かれたコンクリートを二つの陣営に分けるように、線を引くようにして、真っ直ぐ私に向かって来る。
地面の溶ける程の熱線が目の前に迫ってくる。
熱線の風が目の前に迫り、サウナに入ったような風。
いや、もっと熱い。
「やば………」
不意に呟いた一言
いきなり迫ってきた死という言葉。
怖気ついた私。
そして、不意に目が閉じてしまう。
「ソードブレイカー!!!」
グッといれた瞼の力はアズりんの声が聞こえてから数秒経った後、ようやくやっと目を開いた。
「え…え…?」
目の前には、魔法のステッキを目の前に掲げ、3mほど先で止まったコンクリートの液状化。
熱のせいで少しだけ溶けたコンクリートは、ハンバーグが板の上で焼けるようなじゅわあと言った音を鳴らす。
「な、なんだ…?少し火力が足りなかったか…?もう1発!!!!」
再び、発射されるえげつない火の弾丸の数々。
何発もの弾丸。
一つ一つがコンクリートを溶かすほどの熱量を持った弾丸は、私らに向かって撃たれた。
「え!?ちょちょちょ!?!?!?」
「ソードブレイカー!!!!」
アズりんが魔法を発すると、飛び出した魔法は怪人の放つ攻撃と相殺し合って、攻撃は何もなかったかのように消え去る。
「奏音ちゃん!!!今だよ!!!!」
「え!?あ、そっか!!!」
私は大雑把に魔法のステッキを向ける。
あ、ちょっと待って?
そういえば、私の能力って被弾した相手が爆発するよね…?
この距離だと私たちも爆発に巻き込まれるかも…
「アズりん!!!私の攻撃だと、自分たちも攻撃に巻き添いくらっちゃうかも!!!!」
「え!?そうなの!?」
「だから一回Vさん呼ばないと!!!!Vさんの飛行能力だったら、もしかしたら、一度、引き離せるかも!!!!」
「な、なるほど、じゃあ!!!耐えてるよ!!!!」
「そうはさせるかよ!!!!」
そう言いつつ、怪人は目の前に迫ってくる。
どうやら、遠距離攻撃から近距離攻撃へとシフトチェンジしたようだ。
「おらあ!!!!」
振られるカマは空中を切り裂き、そのカマをアズりんは、ギリギリの所で、首を傾けて、避ける。
「ソードブレイカー!!!!」
アズりんは放った魔法を怪人の胸に当てて、ノックバックさせる。
2m程、ノックバックした怪人は、自分の手を先程のビームの光線のように赤く染まらせると、「今度は熱いぜ!?お前は避け切れるかな!?」と言いつつ、カマを横に振りかざした。
アズりんはそれを女の子とも思えないような運動神経を使い、バク宙をして、腰あたりに振られた赤いカマの攻撃を避けた。
「アズりん!!」
そして、地面に着地したアズりんは後ろ蹴りを入れる。
「んな!?!?」
「ソードブレイカー!!!!」
何発もの魔法を放ったアズりんは、魔法全てが怪人に直撃し、空中の空気をかき分けながら後ろへと吹っ飛んだ。
追い討ちをかけようと、吹っ飛んだ怪人に向かって走るアズりん。
そして、高跳びの棒2mを飛び越えそうなくらいの高さを飛んだ後、その重力の力を借り、自分の拳を怪人へと勢いよく下ろす。
バゴン!!!!と重たい音がすると、「ぐわああ!!!!」と怪人がその場で悶える。
「く、クソが!!!小娘がやりおって!!!!」
「へ!!これでも私…運動神経は良い方なんだ!!!」
瞼が全開になったアズりん。
覚醒状態とも言えるその目は、獲物だけを見ていた。
「す…すごい…」
本心から溢れた言葉。
人外の怪物と肉弾戦。
そりゃあ、魔法少女のドレスだから、少しは体力上昇の効果くらいはついていると思うけど、それでも魔法少女のドレスは肉弾戦のために作られているものではない。
でも、それでも、魔法×武術の融合。
それは到底、誰もができるようなことだとは思えない。
それに、戦っているのは昨日まで普通の高校生だった女の子だ。
それが一気にこんな風になるなんて…
「や、やっぱりアズりんは凄いよ!!!!」
アズりんは、どこかのプロボクサーを真似るかのように、戦闘の構えをすると、前に出した左手で、クイクイと手招きをするようなジェスチャーをする。
いわゆる、かかって来い、だ。
「舐めやがって!!!怪人の本領!!!見せてやるぜ!!!!!」
怪人は、左足地面に埋め、そして、右手をビル一つ分くらいの大きさにまで膨らませて見せる。
「パンクコング!!!!!!」
まるで、岩を投げるかのように、持ち上げたその腕は、アズりんに向かって落とされる。
でも、アズりんだったら大丈夫。
「ソードブレイカー!!!!」
持ち上げられた大きな右腕に当たった黄金色の魔法は、ぶつかったと同時に爆発した。
それでも少し腕の勢いがおさまった程度。
完全に止めるまでには至らなかった。
「まず!!!!」
ドオオオオオオオオン!!!!!!!
轟音を鳴らして地面にぶつかる怪人の右腕。
そう言いつつ、アズりんは、全速力で怪人の間合いから一旦離れた。
ビュン!!!と音を鳴らしながら、攻撃を避けたアズりんは魔法のステッキを目の前に向け、そして、怪人の頭に向かって放つ。
「ぐはっ!!!!!!!」
見事ヒットした攻撃によって生まれた隙。
アズりんはここを見逃さず、
地面に埋め込まれた丘のように膨れ上がった右腕にピョンと飛び乗ると、大きな右腕を伝って、怪人の肩まで走り、そして、怪人の頭をサッカーボールのようにして、思いっきり蹴りつける。
さらに怪人は苦しそうに「ぐああああ!!!!!!!!」と悲鳴をあげるが、それでも倒れる様子は無い。
「か…かったぁ……」
それとは別に、アズりんは自分の足を抑えて悶える。
「クソがぁ…この怪人様をサッカーボール見てぇにしやがってよぉ…!!!」
「痛いよぉ……!」
「アズりん!!!!」
「それじゃあ、ここらでさよならとしましょうか!!!!!」
すぐにアズりんが立つも、少しだけ、アズりんは足を意識してしまっているようだ…
「それじゃあ、最終奥義使わせてもらうぜ!!!!これは痛いからあんまり使いたくはなかったがな!!!!」
そういうと怪人は両腕を広げると、再び、あのビームのように両腕のカマが赤く染まる。
「カマネットォォ!!!!!!!!!!!」
怪人の両腕のカマが、木の根っこのように、分離した。
先程の一本のカマとはわけが違う。
これは攻撃範囲が広くなったわけだし、ジャンプして避けようとか、そういうのもできなさそうだ…
「アズりん!!!!!!」
「へ…お、面白そう…じゃん…」
片目を瞑って、痛みを悶えるようにするアズりん。
そろそろやばそうだ。
「お前、もう素早く逃げらんねぇだろ?まあ、いいさ、じゃ。」
振りかざされる熊の手のような両腕のカマ。
そして、私の上を通り過ぎる黒い影。
覚悟を決めたような、顔付きのアズりん。
カマの周りに沢山の風圧を生み出して切り裂かれたそれは、空気、空気、空気。
カマが切ったものの中にはアズりんなど入っていない。
カマは空を切り裂いたのだ。
「え!?」
私も、よくわからなかった。
空中に黒いかげが出てくると、同時に私はなぜかアズりんの真横を少し空中に浮かんだ感覚とともに通り過ぎたのだから…
「大丈夫ですか?」
掴まれた魔法少女のドレスの裾。
私を掴み取ったのはVさんだった。
魔法のホウキは、怪人の真横を素通りし、私とアズりんを魔法のホウキで回収し、今まさに、その場を離れているようだ。
豆粒の大きさほどになる怪人。
「早く体制を整えてください!!!このホウキは最大5tまでなら耐えれるので3人乗っても大丈夫ですから!!!!」
「あ、はい!!!!!」
私は、Vさんの肩を掴むと、後ろに乗ったアズりんが私の肩を掴んだ。
そして、次の瞬間、真横をレーザービームのようなものが通り過ぎる。
「奏音さんは攻撃を!!!アズリアさんは迎撃をお願いします!!!!戦闘の途中を少し見ていました!!!!高度を上げます!!!!奏音さん!!!お願いしますよ!!!!」
放たれだビームは、怪人が口から放った物。
それを「ソードブレイカー」で撃ち落とす、アズりん。
ビルの上を通り抜け、怪人のいる道路を捉える。
「今…イケる!!!!!!メルトシンギュラリティ!!!!!」
もう、無駄に構える必要なんか無い。
だって、これは…追尾機能付きだから!!!!
放たれた巨大な閃光は、先程、私たちが居た場所の道路に曲線を描きながら向かい、そして、怪人のいるであろう場所に着弾すると、上空からでも確認できるほどの爆発を起こした。
オーバーキル。それが、一番似合った言葉だと思うほどに。
「ほんとに、あのまま、撃ってたら巻き添え食らってたかもね~…」
「とりあえず、地上に降りますね。」
「はーい。」
1
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話
六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。
兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。
リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。
三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、
「なんだ。帰ってきたんだ」
と、嫌悪な様子で接するのだった。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる