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第2章 神獣の解放
閑話5~クレアの悩み~(クレア視点)
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私は、あの時発情してしまった自分が情けなくて、腹を立てていた。
マスターを誘ったのは、私の本心だ。
マスターの反応を楽しんでたところはあるが、本当に求めていたのは、マスターが私を受け入れてくれることだった。
それが、あんなことになるなんて……。
あれでは、単なる魔獣のメスだ。
前も、抱き締められて危なかったことがあったのだから、もっと警戒すべきだった。
マスターは、最初はルナさんがいるということで、他の女性と結婚するのに抵抗があったようだ。
しかし、ステラと結婚したことで、その抵抗は薄らいでいるように思う。
私との結婚も、私がその気になるのを待ってくれているというのが大きいだろう。
私もマスターと結婚したい。
その気持ちには嘘はないが、心に引っ掛かることがある。
それは、お母さんのことだ。
お母さんは私のことを一人前と認めてくれていない。しかし、私は独り立ちしたくて、お母さんに黙って故郷を離れた。つまり、家出をしたのだ。
魔物はルールに囚われないので、親が認めなくても全く問題はない。それでも、私の中では、お母さんに認められて本当の意味で独り立ちしたいという気持ちが強いのだろう。
お母さんは、私と同じで戦闘狂だ。つまり、戦闘面で互角に渡り合えれば、認めてもらえる可能性が高い。
でも、母はすごく強い。今の私では、到底太刀打ちできないだろう。
セルリアがユウマの従魔になったとき、私にはある考えが浮かんだ。しかし、私からセルリアに話をする手段がない。
今日は、ステラがマスターと一緒に寝ている。
「ルナさん、お願いがあるの。」
「何?」
「セルリアと話がしたいんだけど、通訳をしてもらえないかしら?」
「良いわよ。」
「ありがとう。」
ルナさんの通訳を介して、セルリアにお願いしたのは、戦闘訓練だ。
セルリアは、最初能力が違いすぎるからと拒んでいたが、私の思いを正直に話すことで真剣さが伝わったのか、最後は折れてくれた。
ただし、セルリアはまだ魔力が戻ってないので、戦える程度に回復してからということになった。
あ、訓練してくれる人を呼び捨ては失礼だ。これからは、「師匠」と呼ばせていただこう。
~~~
師匠に訓練してもらって少しは強くなった気がしたが、やはりお母さんには手も足も出なかった。
「大きな口を叩いておいて、その程度か?そろそろ終わらせてやろう。」
お母さんの攻撃で、私は吹き飛ばされた。
このままやられるなんて、悔しすぎる。私は、必死に立ち上がろうとした。
「止めだ。」
「クレア!」
もう終わりかと思ったが、攻撃は私には届かなかった。マスターが私を庇ってくれたのだ。
「お前が、娘をたぶらかしたのだな。どうせ、娘の力を利用しようというのだろう。」
「違うわ!」
私はもうボロボロだったが、お母さんの言葉を見過ごすことはできず、必死で叫んだ。
「マスターは、そんな人じゃない!マスターは、私が選んだ人なの!私はずっと付いて行くわ!お母さんに邪魔はさせない!!」
「クレア……。」
≪お互いの意思を確認しました。結婚を承認します。≫
え?
私は、一瞬、その意味が理解できなかった。
マスターを誘ったのは、私の本心だ。
マスターの反応を楽しんでたところはあるが、本当に求めていたのは、マスターが私を受け入れてくれることだった。
それが、あんなことになるなんて……。
あれでは、単なる魔獣のメスだ。
前も、抱き締められて危なかったことがあったのだから、もっと警戒すべきだった。
マスターは、最初はルナさんがいるということで、他の女性と結婚するのに抵抗があったようだ。
しかし、ステラと結婚したことで、その抵抗は薄らいでいるように思う。
私との結婚も、私がその気になるのを待ってくれているというのが大きいだろう。
私もマスターと結婚したい。
その気持ちには嘘はないが、心に引っ掛かることがある。
それは、お母さんのことだ。
お母さんは私のことを一人前と認めてくれていない。しかし、私は独り立ちしたくて、お母さんに黙って故郷を離れた。つまり、家出をしたのだ。
魔物はルールに囚われないので、親が認めなくても全く問題はない。それでも、私の中では、お母さんに認められて本当の意味で独り立ちしたいという気持ちが強いのだろう。
お母さんは、私と同じで戦闘狂だ。つまり、戦闘面で互角に渡り合えれば、認めてもらえる可能性が高い。
でも、母はすごく強い。今の私では、到底太刀打ちできないだろう。
セルリアがユウマの従魔になったとき、私にはある考えが浮かんだ。しかし、私からセルリアに話をする手段がない。
今日は、ステラがマスターと一緒に寝ている。
「ルナさん、お願いがあるの。」
「何?」
「セルリアと話がしたいんだけど、通訳をしてもらえないかしら?」
「良いわよ。」
「ありがとう。」
ルナさんの通訳を介して、セルリアにお願いしたのは、戦闘訓練だ。
セルリアは、最初能力が違いすぎるからと拒んでいたが、私の思いを正直に話すことで真剣さが伝わったのか、最後は折れてくれた。
ただし、セルリアはまだ魔力が戻ってないので、戦える程度に回復してからということになった。
あ、訓練してくれる人を呼び捨ては失礼だ。これからは、「師匠」と呼ばせていただこう。
~~~
師匠に訓練してもらって少しは強くなった気がしたが、やはりお母さんには手も足も出なかった。
「大きな口を叩いておいて、その程度か?そろそろ終わらせてやろう。」
お母さんの攻撃で、私は吹き飛ばされた。
このままやられるなんて、悔しすぎる。私は、必死に立ち上がろうとした。
「止めだ。」
「クレア!」
もう終わりかと思ったが、攻撃は私には届かなかった。マスターが私を庇ってくれたのだ。
「お前が、娘をたぶらかしたのだな。どうせ、娘の力を利用しようというのだろう。」
「違うわ!」
私はもうボロボロだったが、お母さんの言葉を見過ごすことはできず、必死で叫んだ。
「マスターは、そんな人じゃない!マスターは、私が選んだ人なの!私はずっと付いて行くわ!お母さんに邪魔はさせない!!」
「クレア……。」
≪お互いの意思を確認しました。結婚を承認します。≫
え?
私は、一瞬、その意味が理解できなかった。
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