奇妙な話

ないものねだり

ないものねだり

遠い未来の地球。厳格な政府によって笑いが禁止されていた。そんな世界で、主人公ユウキは地元の図書館で働いていた。ある日、ユウキは古い本から笑いの持つ強大な力に関する記述を見つける。その力は人々の心を癒し、困難な状況を乗り越える勇気を与えるとされていた。

ユウキは、この力を取り戻すことで世界がより明るくなるのではないかと考え、幼馴染のリカや親友のタケルに秘密を打ち明ける。彼らも共感し、力になりたいと言ってくれる。そこでユウキは、政府に見つからないように秘密裏に「笑いのクラブ」を結成し、活動を始めることを決意する。

ユウキ、リカ、タケルは地下室で「笑いのクラブ」の活動を始める。彼らは古い文献から学んだ笑いの方法を練習し、クラブのメンバーを増やしていく。次第に活動は広がりを見せ、子供たちのリーダー格であるカナエも興味を持つようになる。彼らは密かに人々に笑いを広め、少しずつ世界に変化をもたらし始める。

しかし、その活動は政府の耳にも入り、厳しい監視が始まる。政府は笑いを禁止していた理由を隠していたが、ユウキたちはまだその理由を知らない。政府は特別なエージェントを送り込み、クラブの活動を徹底的に摘発しようとする。そのエージェントの名はシゲルであり、彼はユウキたちに危機感を抱かせるほどの熱心な捜査を行っていた。

ユウキたちは、シゲルから身を隠すために、活動場所を頻繁に変えることを決める。彼らは地下通路や廃墟など様々な場所で活動を続け、その度に笑いの力で人々の心を救うことに成功する。しかし、その活動はシゲルによって次第に追い詰められていく。

ある日、ユウキたちはシゲルが彼らの活動場所に近づいていることに気づく。彼らは緊急事態を察知し、すぐに場所を移動することを決定する。しかし、移動中にリカが足を怪我してしまい、逃げ遅れる。ユウキはリカを助けようとするが、彼女はユウキたちに逃げるように言い、自分はシゲルに捕まってしまう。

リカの犠牲によって、ユウキたちはシゲルから逃れることができた。しかし、彼らはリカを救うために何とかしなければならないと考える。ユウキは、リカを救い出すためにシゲルに直接話をしに行く決意をする。彼は仲間たちに、自分の考えを伝え、彼らもユウキの決断を支持する。タケルとカナエは、ユウキをサポートするためにリカの救出計画を練り始める。

一方、捕まったリカはシゲルによって尋問される。しかし、リカはユウキたちの居場所を決して教えず、笑いの大切さを説き続ける。シゲルは当初、リカの言葉に耳を傾けず、厳しく彼女を詰問する。だが、リカの熱意に触れたシゲルは、少しずつ心に変化が訪れるようになる。

一方、ユウキたちはリカを救出するための計画を立てるが、その過程でシゲルがリカを連れて警察署に向かうことを知る。ユウキは、リカを救うためには時間がないことを悟り、急いで警察署に向かう。

警察署に到着したユウキは、シゲルに直接話をする決意をする。彼はシゲルに笑いの大切さと、それを広める活動がどれだけ人々の心に影響を与えているかを説明し、リカを解放するように頼む。シゲルは当初、ユウキに対して冷たく接するが、リカの言葉とユウキの熱意に心を動かされる。

そして、シゲルはリカを解放し、彼女をユウキたちに引き渡す。彼は、笑いの力が持つ影響についてもっと知りたいと考えるようになり、ユウキたちの活動に協力することを決意する。しかし、彼らはまだ政府が笑いを禁止していた理由を知らないまま、活動を続けていく。

ユウキたちの活動が広がり、笑いが人々の心を癒す様子を目の当たりにしたシゲルは、次第に彼らの活動に協力し始める。彼は政府の内部情報を提供し、ユウキたちが笑いを広める活動をより安全に行えるようにサポートする。しかし、政府のトップは彼らの活動をますます危険視し、最後の手段を用いることを決定する。

政府は、ユウキたちに対する最後の戦いを仕掛ける。ユウキたちは、シゲルから政府が笑いを禁止していた真の理由を知らされる。それは、笑いの力が未知のエネルギーを解放し、そのエネルギーが地球の安定を脅かす可能性があったためだった。政府は、地球の安定を守るために笑いを禁止し、人々からその真実を隠していたのだ。

ユウキたちは、政府の言う通り笑いの力が地球の安定を脅かす可能性があることを理解するが、それでも人々が笑いを失ったことで心が荒んでいることもまた事実だと考える。彼らは、笑いの力を使いつつ地球の安定を守る方法を見つけるべく、政府と対話を試みる。

政府との対話が始まるが、当初は双方が譲らず、意見の対立が続く。しかし、ユウキたちの熱意とシゲルの協力により、政府も彼らの活動に理解を示すようになる。最終的に、ユウキたちと政府は協力して、笑いの力をコントロールしながら地球の安定を維持する方法を開発することに成功する。

笑いの力をコントロールする方法が確立されたことで、政府は笑いを禁止する法律を撤廃し、人々は再び笑いを取り戻す。ユウキたちの活動は人々に喜びをもたらし、地球の安定も守られることとなる。しかし、ユウキはその過程でリカという大切な仲間を失うことになる。リカは政府との対話中に意図しない笑いの副作用に巻き込まれ、命を落としてしまうのだ。ユウキはリカの死に深く悲しみ、彼女が自分たちの活動のために犠牲になったことを悔いる。仲間たちもリカを失ったことで心に大きな傷を負うが、彼らはリカの遺志を継ぎ、笑いを広める活動を続けることを決意する。ユウキは、リカの死を無駄にしないため、そして彼女が信じていた笑いの力を広めるため、自分たちの活動をさらに強化することを決心する。

ユウキたちは今まで通り、いや、今まで以上に活動に没頭した。人々は笑い、癒された。しかし、ユウキたちは奥歯を嚙み締め、眉間にしわを寄せた。笑顔を忘れてしまった。うらやましい。妬ましい、笑顔が。いつしかユウキたちは人々の前から姿を消した。幸せが訪れた人々はユウキたちの銅像を建てた。いつかユウキたちが帰ってきたときのために。

ある地下室にユウキたちはいた。秘密裏に「無表情クラブ」を結成した。