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第一部
数年後
しおりを挟む御主人様は最近僕を毛嫌いするようになっちゃった。
後ろをついていってもあっち行けって言うの。体も大きくなって、成猫になったけど、御主人様はまだ子供らしい。おかしいことじゃないよね。人間と、猫だもの。一緒にはなれない。
髪が真っ赤になって、耳にも沢山穴を開けて。
痛そうに喧嘩もして。
傷ついた御主人様は仲間がいるところに帰る。
もう家は変わったらしい。昼間、窓から御主人様を見ることはできない。
いつものように御主人様を探して夜の街をとことこ歩く。目の前に御主人様の足取りがないことがひどく不安だった。
母親の手から与えられた痛みは、己の拳で返し。いつも弱々しかった体は、強く逞しく。ふらふらと遊ぶような歩みは、しっかりと地を踏んで。
……つまりは、僕がいなくても御主人様は仲間がいるから。つまり、要は、言いたいことは。
御主人様、僕はもう……要らない猫ですか?
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☆イラスト(大空めとろ様)
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