上 下
48 / 130
御崎(みさき) 朧(おぼろ)

図書館を選んだ理由

しおりを挟む
「目を開けて……まりあ。ここなら誰にも邪魔されない」

大人っぽい口調の翼がまりあの耳元で囁く。
息のかかる距離に胸が早鐘を打つと――

「あれ? ここって……」

静寂の中、遠くに聞こえるのはまさかの一言だった。

「よし、時間だ! 第一火曜日は十二時半で閉館っと!」

「見回りは済んだか?」

「もちろん! 二度もまわったけど誰もいなかったよ」

『……た、大変! ここ図書館の中? だよね!? 早く出ないと閉められちゃうっ!』

どうやって入り込んだのか、まりあの頭は??? となっているものの……現実、本棚に囲まれているのだからしょうがない。

『……静かに。だからここを選んだんです』

『……? どういう意味?』

意図を把握できぬまま本棚に身を隠して翼の後ろで息をひそめる。しかし、こうしている間にも閉館の準備を済ませた担当者がガラス扉を出て行ってしまうのが見える。

「では、また明日よろしくお願い致します」

「お疲れ様でした!」

(……本当に行っちゃう!!)

「まっ……!!」

完全な言葉となる前に、何かに唇を塞がれ理解するまでに数秒を要した。


――ガチャッ


「……閉まってしまいましたねっ……」

ようやく唇を離した翼の呼吸が荒い。
欲情した瞳がまりあを捉え、もう一度唇が近づく。

「つ、つばさくっ……」

ジタバタと抵抗する体を強く抱き上げられ、窓から視覚になった長椅子へと移動する翼。
そんなに身長差のない二人だが、その力の差は歴然だった。

「……抵抗しないでっ……」

ギリギリのところで興奮を抑えたような余裕のない声。
腰をおろした彼の膝の上に横向きで座らせられたまりあ。

「愛してます……まりあ」

「……っ!」

潤んだ瞳で見つめられ、呼吸が止まりそうなほど深い口づけを与えられる。

「……んっ……ぅっ」

ジワジワと込み上げる快感に体が小刻みに震えると、翼の腕を制止していた手に力が入らなくなり――

「……っん、まりあっ……こっちを向いて、僕の首に腕をまわして……っ……」

「……っつ、ばさく……っ……」

まるで魔法にかかったように言いなりになってしまう。そうさせるのは翼の熱い吐息か、それとも彼に気を許した自分の心か……。
彼を跨ぐように向き合い、言われるままに首へ腕を回す。

「……胸、触りますよ……っ……」

と、甘く耳に歯をたてられた。
ビクリと反応したまりあの体から上着を剥ぎ取り、翼の右手がブラウスの裾から侵入してくる。

徐々にまくれあがる真新しいブラウスが、その侵入を受けて苦しそうに皺を作っている。

「……ボタンが弾けてしまいそうだね」

少し冷静さを取り戻したと思いきや、その手はいやらしくまりあの腹部を撫でている。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

♡ちょっとエッチなアンソロジー〜おっぱい編〜♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート詰め合わせ♡

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

処理中です...