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御崎(みさき) 朧(おぼろ)
図書館を選んだ理由
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「目を開けて……まりあ。ここなら誰にも邪魔されない」
大人っぽい口調の翼がまりあの耳元で囁く。
息のかかる距離に胸が早鐘を打つと――
「あれ? ここって……」
静寂の中、遠くに聞こえるのはまさかの一言だった。
「よし、時間だ! 第一火曜日は十二時半で閉館っと!」
「見回りは済んだか?」
「もちろん! 二度もまわったけど誰もいなかったよ」
『……た、大変! ここ図書館の中? だよね!? 早く出ないと閉められちゃうっ!』
どうやって入り込んだのか、まりあの頭は??? となっているものの……現実、本棚に囲まれているのだからしょうがない。
『……静かに。だからここを選んだんです』
『……? どういう意味?』
意図を把握できぬまま本棚に身を隠して翼の後ろで息をひそめる。しかし、こうしている間にも閉館の準備を済ませた担当者がガラス扉を出て行ってしまうのが見える。
「では、また明日よろしくお願い致します」
「お疲れ様でした!」
(……本当に行っちゃう!!)
「まっ……!!」
完全な言葉となる前に、何かに唇を塞がれ理解するまでに数秒を要した。
――ガチャッ
「……閉まってしまいましたねっ……」
ようやく唇を離した翼の呼吸が荒い。
欲情した瞳がまりあを捉え、もう一度唇が近づく。
「つ、つばさくっ……」
ジタバタと抵抗する体を強く抱き上げられ、窓から視覚になった長椅子へと移動する翼。
そんなに身長差のない二人だが、その力の差は歴然だった。
「……抵抗しないでっ……」
ギリギリのところで興奮を抑えたような余裕のない声。
腰をおろした彼の膝の上に横向きで座らせられたまりあ。
「愛してます……まりあ」
「……っ!」
潤んだ瞳で見つめられ、呼吸が止まりそうなほど深い口づけを与えられる。
「……んっ……ぅっ」
ジワジワと込み上げる快感に体が小刻みに震えると、翼の腕を制止していた手に力が入らなくなり――
「……っん、まりあっ……こっちを向いて、僕の首に腕をまわして……っ……」
「……っつ、ばさく……っ……」
まるで魔法にかかったように言いなりになってしまう。そうさせるのは翼の熱い吐息か、それとも彼に気を許した自分の心か……。
彼を跨ぐように向き合い、言われるままに首へ腕を回す。
「……胸、触りますよ……っ……」
と、甘く耳に歯をたてられた。
ビクリと反応したまりあの体から上着を剥ぎ取り、翼の右手がブラウスの裾から侵入してくる。
徐々にまくれあがる真新しいブラウスが、その侵入を受けて苦しそうに皺を作っている。
「……ボタンが弾けてしまいそうだね」
少し冷静さを取り戻したと思いきや、その手はいやらしくまりあの腹部を撫でている。
大人っぽい口調の翼がまりあの耳元で囁く。
息のかかる距離に胸が早鐘を打つと――
「あれ? ここって……」
静寂の中、遠くに聞こえるのはまさかの一言だった。
「よし、時間だ! 第一火曜日は十二時半で閉館っと!」
「見回りは済んだか?」
「もちろん! 二度もまわったけど誰もいなかったよ」
『……た、大変! ここ図書館の中? だよね!? 早く出ないと閉められちゃうっ!』
どうやって入り込んだのか、まりあの頭は??? となっているものの……現実、本棚に囲まれているのだからしょうがない。
『……静かに。だからここを選んだんです』
『……? どういう意味?』
意図を把握できぬまま本棚に身を隠して翼の後ろで息をひそめる。しかし、こうしている間にも閉館の準備を済ませた担当者がガラス扉を出て行ってしまうのが見える。
「では、また明日よろしくお願い致します」
「お疲れ様でした!」
(……本当に行っちゃう!!)
「まっ……!!」
完全な言葉となる前に、何かに唇を塞がれ理解するまでに数秒を要した。
――ガチャッ
「……閉まってしまいましたねっ……」
ようやく唇を離した翼の呼吸が荒い。
欲情した瞳がまりあを捉え、もう一度唇が近づく。
「つ、つばさくっ……」
ジタバタと抵抗する体を強く抱き上げられ、窓から視覚になった長椅子へと移動する翼。
そんなに身長差のない二人だが、その力の差は歴然だった。
「……抵抗しないでっ……」
ギリギリのところで興奮を抑えたような余裕のない声。
腰をおろした彼の膝の上に横向きで座らせられたまりあ。
「愛してます……まりあ」
「……っ!」
潤んだ瞳で見つめられ、呼吸が止まりそうなほど深い口づけを与えられる。
「……んっ……ぅっ」
ジワジワと込み上げる快感に体が小刻みに震えると、翼の腕を制止していた手に力が入らなくなり――
「……っん、まりあっ……こっちを向いて、僕の首に腕をまわして……っ……」
「……っつ、ばさく……っ……」
まるで魔法にかかったように言いなりになってしまう。そうさせるのは翼の熱い吐息か、それとも彼に気を許した自分の心か……。
彼を跨ぐように向き合い、言われるままに首へ腕を回す。
「……胸、触りますよ……っ……」
と、甘く耳に歯をたてられた。
ビクリと反応したまりあの体から上着を剥ぎ取り、翼の右手がブラウスの裾から侵入してくる。
徐々にまくれあがる真新しいブラウスが、その侵入を受けて苦しそうに皺を作っている。
「……ボタンが弾けてしまいそうだね」
少し冷静さを取り戻したと思いきや、その手はいやらしくまりあの腹部を撫でている。
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