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閑話】もしも竹若が魔王だったら
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いつものように出社して、いつものように留美先輩にからかわれ、いつものように部長からお菓子をもらい、いつもよりちょっとだけ頑張って仕事して、いつものように会社から帰宅して、いつものように夕飯を食べて、いつものようにお風呂に入って、いつものようにベッドで寝て、いつものように目を覚ましたら。
見覚えのない場所にいました。
「な、な、なんなの、ここはっ!」
絵物語の中のお城そのままの光景が目の前に広がっている。
ドドーンというか、ババーンというか、そんな効果音が相応しい威風堂々たるお城がそこにはあった。
下から上へ、そして右から左へとゆっくり視線を動かし、視界に入る限りのお城を眺める。
「立派としか言いようのない自分の語彙のなさが悔しいけど、ホント立派だ」
はじめはその存在感に圧倒されて呆けていたが、しばらくしてどうも様子がおかしいことに気がついた。
目の前のお城は、メルヘンでファンタジーな気配を一切感じさせないのだ。
その外観は豪奢で荘厳なのに、シンデレラや白雪姫が住んでいそうな清らかかつ華やかな気配はなく、むしろ思い切り禍々しい雰囲気が漂っている。
ふと見上げた空はどんよりと曇り、時折けたたましい声を上げて鳴いているのは、鳥というよりも子供の頃に恐竜図鑑で見かけた翼竜そのもの。
パジャマに裸足という間抜けな格好で、城前の庭に立っている私は今更ながら周囲を見回す。
するとそこには毒々しい赤、濁った紫、闇のような黒といった色彩を持つ花が咲いており、茎や葉の緑もどこかどす黒く、生命の息吹を感じさせないものばかり。
―――これは夢だ。夢に違いない。
しかし、こんな夢はあるだろうか。
踏みしめる草の感触があまりにリアルで、夢を見ている気がしない。
念のために自分の頬をつねってみた。……痛かった。
「まさか、ね。これが夢じゃなかったら、なんなのよぉ?」
半泣きになりつつ呆然と城を見上げていると、目の前の大きな扉が、ギィッと鈍い音を立ててゆっくりと開いた。
「え?入れって事?」
誰も答えてくれる人がいないと分かっていても、心細さゆえに問いかけが自然と洩れてしまう。
案の定答えは返って来ることもなく、程なくして扉が完全に開いた。
後ろを振りかえれば延々と続く庭。その先には鬱蒼とした森と、更にその先には岩と赤土に覆われている切り立った山しかない。
迷子になるつもりはないし、このままここに立っていてもどうなるわけでもない。
私は思い切って城の中に入ることにした。
「お、お邪魔します……」
恐る恐る薄暗い中を覗き込めば、やはり禍々しい感じの様相だ。
石造りの壁や廊下は白く輝く大理石などではなく、艶の消えた黒い石で出来ている。
廊下に敷かれている絨毯は鮮やか過ぎるほどに赤く、まるで血で染めたようだ。
等間隔に置かれているろうそくは、風もないのに時折揺らめいて何とも不気味である。
「誰かいませんかぁ」
お気に入りのパジャマの裾を強く握り締め、勇気を出して声をかけてみるが、やはり返事はなくて自分の弱々しい声が壮大なロビーに響くのみ。
「あ、あのぉっ」
思い切って中へと数歩踏み入れて再び口を開くと、私の背後でゆっくりと扉が閉じ始める。
「え?」
それに気が付いて振り向いた時には、既に扉は音もなく閉じきった後だった。
「うそ、なんで……」
慌てて扉へと戻り、真鍮と思しき素材で出来ているドアノブをガチャガチャと回す。
しかし、扉はうんともすんとも動かない。
「もう、なんなのっ」
ムキになってドアノブを弄っていると、コツコツとロビーの石畳に靴の音を響かせて誰かがやってきた。
「出迎えが遅くなりまして、大変申し訳ございません」
聞き覚えのある声にガバッと振り返れば、そこに立っていたのは私が勤める会社のトップである社長だった。
「よかったぁ、知ってる人に会え……た?」
しかし、私の記憶にある社長とは様子が違う。
顔の作りと柔らかな栗色の髪は確かに社長なのだが、綺麗な二重の中心にあるのは赤い瞳。
彼の白い肌にはその赤が恐ろしいほど映え、綺麗というより怖い。
そして服装がおかしい。
どこか軍服のようなきっちりとした造りで、だけど上着の裾が長い感じがローブのようにも見える。そしてたっぷり生地を使いながらも、動きやすそうな機能性も伺えた。
現代日本の一般社会において、いや、世界のどこの国でもこんな服装で生活している人は見た事がない。
「あ、あれ?社長?何かのコスプレですか?」
「いいえ、ユウカ様。私の名前はシャー・チ・ヨゥと申しまして、宰相の任に就いております」
―――シャー?赤い彗星なのか?瞳が赤いと三倍速いのか?
おかしなことを考えている私に、社長に似たシャーさんが口を開く。
「魔王様が無理矢理時空を歪めてユウカ様を召喚いたしましたので、本来であれば召喚宮に着くところを無粋な庭先などにお呼びたてしてしまったようです。お詫びの言葉もございません」
シャーさんが真剣な顔で深々と私に頭を下げてきた。
その丁寧なお辞儀に、思わず私も釣られて頭を下げる。
「あ、いえ、お気になさらずに」
と、言ったところで、私はハッと気が付いた。
「……さっき、“魔王”と言いました?」
「ええ、確かに申し上げました」
少しだけ首を右に傾け、フワリと笑う社長によく似たシャー宰相さん。(なんか、早口言葉みたいだ)。
その優しい笑顔が逆に不安を呼び起こし、唇が震える。
「じゃぁ、ここって……?」
「正真正銘の魔界でございます。そして、ユウカ様は魔王様の花嫁として、召喚されたのでございます」
ゴクリと息を飲んだ私に、シャーさんが一際ニッコリと微笑んだ。
―――夢なら早く覚めてくれー!
私の心の叫びは神様に届かなかったようで、全く変わらない状況のまま。目の前にはニコニコ微笑むシャー社長。あ、違う。シャー宰相さん。
「さぁ、ユウカ様。そのお召し物も大変愛らしいのですが、魔王様にお会いする為に着替えましょう」
「いやいやいや、魔王とか花嫁とか召喚とか意味分からないですし!私、帰ります!」
再びドアノブにしがみついてガッチャガッチャと激しく動かすも、大きな扉はちっとも動いてくれない。
「なんで、なんで!」
ドアノブを引き抜く勢いで弄り回すが、やはりドアはビクともしない。
そんな私の背後に、シャーさんが静かに歩み寄ってくる。
「ユウカ様、魔王様がお待ちですよ」
「いーーーやーーーーー!」
一向に開かない扉に見切りをつけ、私はシャーさんの伸ばしてきた手をすり抜けて走り出した。
左右に伸びる廊下をとりあえず右に向かってひた走る。
裸足のままではあるが、敷かれている赤い絨毯は毛足が短くも密に織り込まれているので痛くはない。
――これ、切り取って持って帰りたいなぁ。お風呂の脚拭きマットに丁度良いかも。
馬鹿なことを考えつつひたすら廊下を走っていると、向こうからまたしても見知った顔の人物がやってきた。
「あ、留美先輩!」
いつでも頼りになって、優しくてちょっと意地悪な先輩に私は迷うことなく飛びついた。
「先輩、聞いてくださいよ!さっき社長に会ったんですけど、なんだかガン○ムに出てくる赤い彗星みたいな名前で、しかも宰相で、オマケにここが魔界だとか、私が魔王の花嫁だとか寝言を言ってるんです……よ?!」
いきなり抱きついてきた私にニコニコと笑いかける留美先輩の瞳はオレンジ色で、しかも、普段は明るい茶色の髪が深い緑色。地球人としてありえないその色彩に呆気に取られる私。
「せ、先輩?」
抱きついていた体勢から一歩後ずさると、留美先輩に似た人が一歩前に出る。
「ユウカ様。私のことはルルミーとお呼びくださいませ。そして私はあなた様の先輩ではなく、この城の侍女頭になります」
そう言われて見てみれば、留美先輩に良く似たルルミーさんはスカートの裾が足首まであるシックなタイプのメイド服を着ていた。
そのやや後ろにも同じようなメイド服を着ている女性達が並んでいるが、誰も彼もが黄緑やピンクの瞳、白や青い髪といったありえない色彩を持っている。
ずらりと並んだメイドさんたちが、ジリジリと私との距離を詰めてきた。
「ユウカ様、広間でお待ちでございます」
「お待ちって誰が!」
笑顔のメイドさんたちに肩やら腕やら囚われて身動きが取れなくなった私は、留美先輩、もといルルミーさんに叫んだ。
すると彼女はフワリと笑う。
「ユウカ様の旦那様ですよ」
「は?だ、旦那様?」
「はい。あの超絶唯我独尊我侭野郎、……いえ、魔界の頂点に君臨なさいます我が王が、秘術中の秘術である異世界人召喚魔法を駆使してまでもユウカ様を欲しいと望んだのです。もはやお二人の結婚は揺るぎないものなのです」
侍女頭として毅然とした口調でルルミーさんが説明を終えると(一部おかしなことを言ったような気がしたが)、軽く右手を挙げた。
その合図に、いまいち意味が分からない内容にポカンと口を開けて脱力してしまった私を五人のメイドさんたちが軽々と抱えあげ、ルルミーさんを先頭に歩き出したのだった。
どこのホテルのロイヤルスウィートだよ!と突っ込みたくなるほど恐ろしく豪華なお風呂に入れられ、悲鳴を上げる間もなくメイドさんたちに頭の先からつま先まで綺麗に洗い上げられた。
そして淡いピンク色のドレスを着せられる。
胸元には左右の肩口から伸びている布で結ばれたリボンがあり、可愛らしい意匠だ。
また、透けるような薄い生地を何枚も重ねたスカート部分は、腰から下がフワリと広がり品が良い。
靴はドレスよりも少しだけ濃いピンク色のパンプス。これも小さなリボンがついていて可愛い。
「よくお似合いでございますよ」
「可愛らしいユウカ様にぴったりです」
メイドさんたちが口々に褒めてくれるが、こんなに素敵なドレスを身に纏っていても、私の心はものすごくやさぐれていた。
大人になってから人に身体を洗われる事がこんなにも恥ずかしいものだと思い知った私は、差し出された立派な椅子にグッタリと腰掛けている。
まさに打ち負けたボクサーのように、真っ白に燃えつきていた。
「魔王様も待ちくたびれておいででしょう。ユウカ様、参りますよ」
そんな私に容赦なく留美先輩、じゃなかった、ルルミーさんがそう言った時、私の身体の回りが真珠色に輝く。
「え?なにっ?」
徐々に光を強める自分の身体を忙しなく見回していると、ルルミーさんは小さく苦笑した。
「おやおや、とうとう待ちきれなかったようでございますね。魔王様自らお呼びとは」
「ふへ?」
短く言葉を漏らした私を、横並びに整列したメイドさんたちが見守っている。
「いってらっしゃいませ、ユウカ様」
ルルミーさんをはじめ、メイドの皆さんが私に頭を下げた。
「ちょ、ちょっと、なんなの!」
驚いて目をパチクリさせた次の瞬間、私は全身真っ黒な服に身を包んだ男の人に抱きしめられていた。
さっきまで私がいた小ぢんまりとした部屋(といっても、私が住むアパートのリビングの五倍はあったけど)から一転、王宮の広間といった豪華な空間。
天井は首が痛くなるほど見上げるような高さで、そこからキラッキラ輝く大きなシャンデリアがいくつもぶら下がっている。
横幅も奥行きも半端なくて、まさに“THE 宮殿”だった。
そしてその広間の玉座に当たる場所には王様が座るようなどっしりとして立派な椅子が置かれ、そこへ優雅に腰掛けている人が私を横抱きにして膝の上に載せている。
ゆったりとした漆黒の長衣は、その人の長い足までもすっぽりと覆っている。
私の腰に回された腕は、布越しでもその逞しさが分かる。
黒衣の襟から覗く鎖骨が異常な色気を放っているのは、私の気のせいだろうか。
足元から徐々に視線を上げ、そして、その人の顔まで辿り着いた時、私の全身が固まった。
新月の夜のようなぬばたまの髪は肩に着くほどの長さで、ツヤツヤのサラサラ。
私を覗き込む瞳は眩い黒曜石のようで、あまりの輝きに吸い込まれそうだ。
顔の中心には適度に通った鼻筋、その下には柔らかく引き結ばれた唇。
それは……、それは…………、竹若さんだった。
―――ひえぇぇぇ。竹若さんが魔王!!
あまりに似合い過ぎるその様相にうっかりウットリしてしまったが、例え夢でも魔王の花嫁なんかは嬉しくない。
「放してください!」
私は彼の腕の中で思い切り身を捩るが、魔王設定の竹若さんはクスクスと余裕気に笑うばかり。
「放すものか」
そう言って、私の首に鼻先を埋めた。
いつもの爽やかな笑みは成りを潜め、ひたすら艶っぽい笑みを浮かべている。
そして普段の丁寧な敬語は欠片もなく、慇懃なセリフが低音で囁かれた。
その笑顔も口調も似合うけれど、似合い過ぎて異様なまでに寒気がする。
「や、やめて!放して!私は魔王なんかと結婚しないんだから!」
「ふっ、往生際の悪い」
そこで話すのは止めてくれ。息がかかって、くすぐったい。
私は魔王な竹若さんの頭を両手でグイグイ押しのける。
「往生際が悪かろうとなんだろうと、私は人です!人間なんです!魔王とは結婚しないんです!」
――ああ、もう!夢なら早く覚めてよ!
そんな私を楽しそうに見つめて、魔王な竹若さんが口元をゆるりと歪めた。
「これは夢などではない」
私の心の中を読んだかのような、絶妙なタイミングで彼が囁く。
「……え?」
そのセリフに、ピタリと暴れることを止める私。
――夢じゃない?夢じゃない?!
背筋をダクダクと嫌な汗が伝う。
目を大きく開く私に、魔王様は口元をユルリと上げた。
「夢といった不確かな世界ではなく、ここは今世魔王たる私が治める世界だ。いい加減、認めるがよい。そしてそなたはもう、人の世に帰れぬ」
クツクツと彼の喉の奥から、心底楽しげな笑いがこみ上げている。
「帰れないって、なんで!?」
甲高く叫べば、目の前の人がニヤリと笑う。
「人間界と魔界を切り離したのだ」
「え?」
「人間界への道はそなたが万が一にも通れぬように魔呪を施し、そして二つの世界を完全に切り離した」
「ど、どうしてそんなことを!?」
「そなたが未練を残さぬようにしたまでだ。本来なら、一切の未練がなくなるよう、そなたの国を跡形もなく滅ぼしてもよかったのだぞ」
――サラリと怖いこと言いましたよ、この人。
ガクガク震える私を、竹若さん、いや、魔王様がギュッと抱きしめてくる。
「そなたの居場所は、もはやこの私の腕の中だけ。魔王たる私の……」
異常なまでに熱っぽいセリフに、私の心臓が恐怖とは違う意味で激しく暴れ出す。
「ま、ま、ま、待ってください!私みたいな小娘より、どこかの国のお姫様のほうが相応しいですよ。地球にはセレブという種族の金持ち美人がそこそこ沢山いますから!というより、魔王様だったら、魔界の中から花嫁探したほうが良いんじゃないですか!きっと魔王様にぴったりの可愛くて綺麗な女性がいますよ!」
「私にとって、そなた以上に可愛くて綺麗で愛しい者はおらぬ。空間も次元も超えるという魔鏡でそなたの姿を一目見た時から、我が心はそなたに囚われてしまったのだ。来る日も来る日もそなたの姿を眺め続けた私はもう、そなたのことで知らぬことは何もない」
―――いやぁぁぁ。何それ、覗き!?ストーカー!?
ガックガク、ブッルブル全身を震わせつつ、更に抱きしめる力を強めた魔王様の腕から逃げようと必死な私。
「よく考えてくださいって!私は何も出来ない、小娘ですから!身分違いにも程があるでしょ!」
「私と婚姻を結べば王妃だぞ。大出世だな」
満足そうに頷く魔王様に、私はブンブンと首を横に振る。
「だーかーら、結婚なんかしないってば!」
顔を真っ赤にして喚く私に、スッと目を細める魔王様。
「ふふ。照れるそなたは、なんとも愛らしい」
そう言って、魔王様はスラリとした指で私のドレスの胸元にあるリボンをシュルリと解いた。
そして、形のいい口からチロリと赤い舌を覗かせる。
「そなたの身も心も、私だけで埋め尽くしてやろう。我が愛しの花嫁よ」
底知れぬ闇を纏う瞳が、熱く激しい情欲の色を纏って私を射抜いた……。
「うぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
喉が張り裂けんばかりの大絶叫と共に、勢いよくベッドの上に起き上がった。
心臓が今にも破れそうなほど、バクバクと激しく脈を打っている。
脂汗でグッショリと濡れた額を手で拭えば、見慣れた寝室の光景が目に入った。
「は、はは……。やっぱり夢だった。よかったぁ……」
そう呟いた私は、安堵のあまり気を失ったのだった。
見覚えのない場所にいました。
「な、な、なんなの、ここはっ!」
絵物語の中のお城そのままの光景が目の前に広がっている。
ドドーンというか、ババーンというか、そんな効果音が相応しい威風堂々たるお城がそこにはあった。
下から上へ、そして右から左へとゆっくり視線を動かし、視界に入る限りのお城を眺める。
「立派としか言いようのない自分の語彙のなさが悔しいけど、ホント立派だ」
はじめはその存在感に圧倒されて呆けていたが、しばらくしてどうも様子がおかしいことに気がついた。
目の前のお城は、メルヘンでファンタジーな気配を一切感じさせないのだ。
その外観は豪奢で荘厳なのに、シンデレラや白雪姫が住んでいそうな清らかかつ華やかな気配はなく、むしろ思い切り禍々しい雰囲気が漂っている。
ふと見上げた空はどんよりと曇り、時折けたたましい声を上げて鳴いているのは、鳥というよりも子供の頃に恐竜図鑑で見かけた翼竜そのもの。
パジャマに裸足という間抜けな格好で、城前の庭に立っている私は今更ながら周囲を見回す。
するとそこには毒々しい赤、濁った紫、闇のような黒といった色彩を持つ花が咲いており、茎や葉の緑もどこかどす黒く、生命の息吹を感じさせないものばかり。
―――これは夢だ。夢に違いない。
しかし、こんな夢はあるだろうか。
踏みしめる草の感触があまりにリアルで、夢を見ている気がしない。
念のために自分の頬をつねってみた。……痛かった。
「まさか、ね。これが夢じゃなかったら、なんなのよぉ?」
半泣きになりつつ呆然と城を見上げていると、目の前の大きな扉が、ギィッと鈍い音を立ててゆっくりと開いた。
「え?入れって事?」
誰も答えてくれる人がいないと分かっていても、心細さゆえに問いかけが自然と洩れてしまう。
案の定答えは返って来ることもなく、程なくして扉が完全に開いた。
後ろを振りかえれば延々と続く庭。その先には鬱蒼とした森と、更にその先には岩と赤土に覆われている切り立った山しかない。
迷子になるつもりはないし、このままここに立っていてもどうなるわけでもない。
私は思い切って城の中に入ることにした。
「お、お邪魔します……」
恐る恐る薄暗い中を覗き込めば、やはり禍々しい感じの様相だ。
石造りの壁や廊下は白く輝く大理石などではなく、艶の消えた黒い石で出来ている。
廊下に敷かれている絨毯は鮮やか過ぎるほどに赤く、まるで血で染めたようだ。
等間隔に置かれているろうそくは、風もないのに時折揺らめいて何とも不気味である。
「誰かいませんかぁ」
お気に入りのパジャマの裾を強く握り締め、勇気を出して声をかけてみるが、やはり返事はなくて自分の弱々しい声が壮大なロビーに響くのみ。
「あ、あのぉっ」
思い切って中へと数歩踏み入れて再び口を開くと、私の背後でゆっくりと扉が閉じ始める。
「え?」
それに気が付いて振り向いた時には、既に扉は音もなく閉じきった後だった。
「うそ、なんで……」
慌てて扉へと戻り、真鍮と思しき素材で出来ているドアノブをガチャガチャと回す。
しかし、扉はうんともすんとも動かない。
「もう、なんなのっ」
ムキになってドアノブを弄っていると、コツコツとロビーの石畳に靴の音を響かせて誰かがやってきた。
「出迎えが遅くなりまして、大変申し訳ございません」
聞き覚えのある声にガバッと振り返れば、そこに立っていたのは私が勤める会社のトップである社長だった。
「よかったぁ、知ってる人に会え……た?」
しかし、私の記憶にある社長とは様子が違う。
顔の作りと柔らかな栗色の髪は確かに社長なのだが、綺麗な二重の中心にあるのは赤い瞳。
彼の白い肌にはその赤が恐ろしいほど映え、綺麗というより怖い。
そして服装がおかしい。
どこか軍服のようなきっちりとした造りで、だけど上着の裾が長い感じがローブのようにも見える。そしてたっぷり生地を使いながらも、動きやすそうな機能性も伺えた。
現代日本の一般社会において、いや、世界のどこの国でもこんな服装で生活している人は見た事がない。
「あ、あれ?社長?何かのコスプレですか?」
「いいえ、ユウカ様。私の名前はシャー・チ・ヨゥと申しまして、宰相の任に就いております」
―――シャー?赤い彗星なのか?瞳が赤いと三倍速いのか?
おかしなことを考えている私に、社長に似たシャーさんが口を開く。
「魔王様が無理矢理時空を歪めてユウカ様を召喚いたしましたので、本来であれば召喚宮に着くところを無粋な庭先などにお呼びたてしてしまったようです。お詫びの言葉もございません」
シャーさんが真剣な顔で深々と私に頭を下げてきた。
その丁寧なお辞儀に、思わず私も釣られて頭を下げる。
「あ、いえ、お気になさらずに」
と、言ったところで、私はハッと気が付いた。
「……さっき、“魔王”と言いました?」
「ええ、確かに申し上げました」
少しだけ首を右に傾け、フワリと笑う社長によく似たシャー宰相さん。(なんか、早口言葉みたいだ)。
その優しい笑顔が逆に不安を呼び起こし、唇が震える。
「じゃぁ、ここって……?」
「正真正銘の魔界でございます。そして、ユウカ様は魔王様の花嫁として、召喚されたのでございます」
ゴクリと息を飲んだ私に、シャーさんが一際ニッコリと微笑んだ。
―――夢なら早く覚めてくれー!
私の心の叫びは神様に届かなかったようで、全く変わらない状況のまま。目の前にはニコニコ微笑むシャー社長。あ、違う。シャー宰相さん。
「さぁ、ユウカ様。そのお召し物も大変愛らしいのですが、魔王様にお会いする為に着替えましょう」
「いやいやいや、魔王とか花嫁とか召喚とか意味分からないですし!私、帰ります!」
再びドアノブにしがみついてガッチャガッチャと激しく動かすも、大きな扉はちっとも動いてくれない。
「なんで、なんで!」
ドアノブを引き抜く勢いで弄り回すが、やはりドアはビクともしない。
そんな私の背後に、シャーさんが静かに歩み寄ってくる。
「ユウカ様、魔王様がお待ちですよ」
「いーーーやーーーーー!」
一向に開かない扉に見切りをつけ、私はシャーさんの伸ばしてきた手をすり抜けて走り出した。
左右に伸びる廊下をとりあえず右に向かってひた走る。
裸足のままではあるが、敷かれている赤い絨毯は毛足が短くも密に織り込まれているので痛くはない。
――これ、切り取って持って帰りたいなぁ。お風呂の脚拭きマットに丁度良いかも。
馬鹿なことを考えつつひたすら廊下を走っていると、向こうからまたしても見知った顔の人物がやってきた。
「あ、留美先輩!」
いつでも頼りになって、優しくてちょっと意地悪な先輩に私は迷うことなく飛びついた。
「先輩、聞いてくださいよ!さっき社長に会ったんですけど、なんだかガン○ムに出てくる赤い彗星みたいな名前で、しかも宰相で、オマケにここが魔界だとか、私が魔王の花嫁だとか寝言を言ってるんです……よ?!」
いきなり抱きついてきた私にニコニコと笑いかける留美先輩の瞳はオレンジ色で、しかも、普段は明るい茶色の髪が深い緑色。地球人としてありえないその色彩に呆気に取られる私。
「せ、先輩?」
抱きついていた体勢から一歩後ずさると、留美先輩に似た人が一歩前に出る。
「ユウカ様。私のことはルルミーとお呼びくださいませ。そして私はあなた様の先輩ではなく、この城の侍女頭になります」
そう言われて見てみれば、留美先輩に良く似たルルミーさんはスカートの裾が足首まであるシックなタイプのメイド服を着ていた。
そのやや後ろにも同じようなメイド服を着ている女性達が並んでいるが、誰も彼もが黄緑やピンクの瞳、白や青い髪といったありえない色彩を持っている。
ずらりと並んだメイドさんたちが、ジリジリと私との距離を詰めてきた。
「ユウカ様、広間でお待ちでございます」
「お待ちって誰が!」
笑顔のメイドさんたちに肩やら腕やら囚われて身動きが取れなくなった私は、留美先輩、もといルルミーさんに叫んだ。
すると彼女はフワリと笑う。
「ユウカ様の旦那様ですよ」
「は?だ、旦那様?」
「はい。あの超絶唯我独尊我侭野郎、……いえ、魔界の頂点に君臨なさいます我が王が、秘術中の秘術である異世界人召喚魔法を駆使してまでもユウカ様を欲しいと望んだのです。もはやお二人の結婚は揺るぎないものなのです」
侍女頭として毅然とした口調でルルミーさんが説明を終えると(一部おかしなことを言ったような気がしたが)、軽く右手を挙げた。
その合図に、いまいち意味が分からない内容にポカンと口を開けて脱力してしまった私を五人のメイドさんたちが軽々と抱えあげ、ルルミーさんを先頭に歩き出したのだった。
どこのホテルのロイヤルスウィートだよ!と突っ込みたくなるほど恐ろしく豪華なお風呂に入れられ、悲鳴を上げる間もなくメイドさんたちに頭の先からつま先まで綺麗に洗い上げられた。
そして淡いピンク色のドレスを着せられる。
胸元には左右の肩口から伸びている布で結ばれたリボンがあり、可愛らしい意匠だ。
また、透けるような薄い生地を何枚も重ねたスカート部分は、腰から下がフワリと広がり品が良い。
靴はドレスよりも少しだけ濃いピンク色のパンプス。これも小さなリボンがついていて可愛い。
「よくお似合いでございますよ」
「可愛らしいユウカ様にぴったりです」
メイドさんたちが口々に褒めてくれるが、こんなに素敵なドレスを身に纏っていても、私の心はものすごくやさぐれていた。
大人になってから人に身体を洗われる事がこんなにも恥ずかしいものだと思い知った私は、差し出された立派な椅子にグッタリと腰掛けている。
まさに打ち負けたボクサーのように、真っ白に燃えつきていた。
「魔王様も待ちくたびれておいででしょう。ユウカ様、参りますよ」
そんな私に容赦なく留美先輩、じゃなかった、ルルミーさんがそう言った時、私の身体の回りが真珠色に輝く。
「え?なにっ?」
徐々に光を強める自分の身体を忙しなく見回していると、ルルミーさんは小さく苦笑した。
「おやおや、とうとう待ちきれなかったようでございますね。魔王様自らお呼びとは」
「ふへ?」
短く言葉を漏らした私を、横並びに整列したメイドさんたちが見守っている。
「いってらっしゃいませ、ユウカ様」
ルルミーさんをはじめ、メイドの皆さんが私に頭を下げた。
「ちょ、ちょっと、なんなの!」
驚いて目をパチクリさせた次の瞬間、私は全身真っ黒な服に身を包んだ男の人に抱きしめられていた。
さっきまで私がいた小ぢんまりとした部屋(といっても、私が住むアパートのリビングの五倍はあったけど)から一転、王宮の広間といった豪華な空間。
天井は首が痛くなるほど見上げるような高さで、そこからキラッキラ輝く大きなシャンデリアがいくつもぶら下がっている。
横幅も奥行きも半端なくて、まさに“THE 宮殿”だった。
そしてその広間の玉座に当たる場所には王様が座るようなどっしりとして立派な椅子が置かれ、そこへ優雅に腰掛けている人が私を横抱きにして膝の上に載せている。
ゆったりとした漆黒の長衣は、その人の長い足までもすっぽりと覆っている。
私の腰に回された腕は、布越しでもその逞しさが分かる。
黒衣の襟から覗く鎖骨が異常な色気を放っているのは、私の気のせいだろうか。
足元から徐々に視線を上げ、そして、その人の顔まで辿り着いた時、私の全身が固まった。
新月の夜のようなぬばたまの髪は肩に着くほどの長さで、ツヤツヤのサラサラ。
私を覗き込む瞳は眩い黒曜石のようで、あまりの輝きに吸い込まれそうだ。
顔の中心には適度に通った鼻筋、その下には柔らかく引き結ばれた唇。
それは……、それは…………、竹若さんだった。
―――ひえぇぇぇ。竹若さんが魔王!!
あまりに似合い過ぎるその様相にうっかりウットリしてしまったが、例え夢でも魔王の花嫁なんかは嬉しくない。
「放してください!」
私は彼の腕の中で思い切り身を捩るが、魔王設定の竹若さんはクスクスと余裕気に笑うばかり。
「放すものか」
そう言って、私の首に鼻先を埋めた。
いつもの爽やかな笑みは成りを潜め、ひたすら艶っぽい笑みを浮かべている。
そして普段の丁寧な敬語は欠片もなく、慇懃なセリフが低音で囁かれた。
その笑顔も口調も似合うけれど、似合い過ぎて異様なまでに寒気がする。
「や、やめて!放して!私は魔王なんかと結婚しないんだから!」
「ふっ、往生際の悪い」
そこで話すのは止めてくれ。息がかかって、くすぐったい。
私は魔王な竹若さんの頭を両手でグイグイ押しのける。
「往生際が悪かろうとなんだろうと、私は人です!人間なんです!魔王とは結婚しないんです!」
――ああ、もう!夢なら早く覚めてよ!
そんな私を楽しそうに見つめて、魔王な竹若さんが口元をゆるりと歪めた。
「これは夢などではない」
私の心の中を読んだかのような、絶妙なタイミングで彼が囁く。
「……え?」
そのセリフに、ピタリと暴れることを止める私。
――夢じゃない?夢じゃない?!
背筋をダクダクと嫌な汗が伝う。
目を大きく開く私に、魔王様は口元をユルリと上げた。
「夢といった不確かな世界ではなく、ここは今世魔王たる私が治める世界だ。いい加減、認めるがよい。そしてそなたはもう、人の世に帰れぬ」
クツクツと彼の喉の奥から、心底楽しげな笑いがこみ上げている。
「帰れないって、なんで!?」
甲高く叫べば、目の前の人がニヤリと笑う。
「人間界と魔界を切り離したのだ」
「え?」
「人間界への道はそなたが万が一にも通れぬように魔呪を施し、そして二つの世界を完全に切り離した」
「ど、どうしてそんなことを!?」
「そなたが未練を残さぬようにしたまでだ。本来なら、一切の未練がなくなるよう、そなたの国を跡形もなく滅ぼしてもよかったのだぞ」
――サラリと怖いこと言いましたよ、この人。
ガクガク震える私を、竹若さん、いや、魔王様がギュッと抱きしめてくる。
「そなたの居場所は、もはやこの私の腕の中だけ。魔王たる私の……」
異常なまでに熱っぽいセリフに、私の心臓が恐怖とは違う意味で激しく暴れ出す。
「ま、ま、ま、待ってください!私みたいな小娘より、どこかの国のお姫様のほうが相応しいですよ。地球にはセレブという種族の金持ち美人がそこそこ沢山いますから!というより、魔王様だったら、魔界の中から花嫁探したほうが良いんじゃないですか!きっと魔王様にぴったりの可愛くて綺麗な女性がいますよ!」
「私にとって、そなた以上に可愛くて綺麗で愛しい者はおらぬ。空間も次元も超えるという魔鏡でそなたの姿を一目見た時から、我が心はそなたに囚われてしまったのだ。来る日も来る日もそなたの姿を眺め続けた私はもう、そなたのことで知らぬことは何もない」
―――いやぁぁぁ。何それ、覗き!?ストーカー!?
ガックガク、ブッルブル全身を震わせつつ、更に抱きしめる力を強めた魔王様の腕から逃げようと必死な私。
「よく考えてくださいって!私は何も出来ない、小娘ですから!身分違いにも程があるでしょ!」
「私と婚姻を結べば王妃だぞ。大出世だな」
満足そうに頷く魔王様に、私はブンブンと首を横に振る。
「だーかーら、結婚なんかしないってば!」
顔を真っ赤にして喚く私に、スッと目を細める魔王様。
「ふふ。照れるそなたは、なんとも愛らしい」
そう言って、魔王様はスラリとした指で私のドレスの胸元にあるリボンをシュルリと解いた。
そして、形のいい口からチロリと赤い舌を覗かせる。
「そなたの身も心も、私だけで埋め尽くしてやろう。我が愛しの花嫁よ」
底知れぬ闇を纏う瞳が、熱く激しい情欲の色を纏って私を射抜いた……。
「うぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
喉が張り裂けんばかりの大絶叫と共に、勢いよくベッドの上に起き上がった。
心臓が今にも破れそうなほど、バクバクと激しく脈を打っている。
脂汗でグッショリと濡れた額を手で拭えば、見慣れた寝室の光景が目に入った。
「は、はは……。やっぱり夢だった。よかったぁ……」
そう呟いた私は、安堵のあまり気を失ったのだった。
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