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第十話「運命の宿敵 後編」
第三章 「雷王対雷王‼ 誇りをかけた戦い‼」・②
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※ ※ ※
「総員待機ッ! その場を動くなッ!」
全く想定していなかった事態を前にして・・・こめかみを汗が伝った。
<ギャギャギャッ! ギャオォォオオロロロロッ‼>
<ルシャアアアアアアアアアアァァァァッッ‼>
耳障りな大音量の咆哮が、ほんの数百メートル先でぶつかり合っている。
N o . 0 1 6 から逃げ切るのにさえ頭を悩ませていた矢先に、まさか N o . 0 1 7まで現れようとは・・・つくづく自分の運の無さが嫌になるな。
『まっ、まさカ・・・! あの2体・・・戦オウとシテる⁉』
<グルトップ>の無線機が、運転席の窓から体を半分乗り出したピン少尉の興奮気味な声を拾った。
一方で、<ファフニール>の二人は唖然として声も出ない様子。
不幸にも極東支局はすっかり見慣れてしまったが・・・本来は実物のジャガーノートを見た事のある者の方が少なく、ましてやジャガーノート同士が格闘している様を目撃するなど、通常であれば有り得ない事なのだ。
・・・まずは、皆が雰囲気に呑まれてしまわないようにするのが先決だな。
「うろたえるな! 今の私たちの目的はヤツらを葬る事ではなく、この地底世界から脱出する事だ! いつでも動けるようにしておけッ!」
『『『あっ・・・アイ・アムッ!』』』
やや不揃いながら、威勢のいい返事が響いた。
ジャガーノートを前にして冷静さを欠く事は、即ち死を意味する。
だが彼らは、己の恐怖を自覚しながらも、ぐっと堪える事が出来たようだ。インド支局の教育の賜だろう。
『・・・・・・フゥー・・・! フウゥー・・・・・・!』
しかしそこで、誰かが浅い呼吸を繰り返しているのが聴こえた。
・・・この声は・・・<ドラゴネット>の2号の方の運転手か。
『・・・落ち着いて下さいまし。私達には百戦錬磨のお姉さまがついています。心配する事は何もありませんわ』
『はっ、はい! お気遣いありがとうございます、お嬢様・・・・・・』
感謝の言葉も、少し尻すぼみになってしまっている。
先程はサラを助けるためなら命さえ擲とうとしていたが、彼女の無事を確認して、緊張の糸がプツリと切れてしまったのだろう。
注意しておいた方が良さそうだな・・・と、そう考えた矢先───
<ギャオオォォォオオオロロロロロロッ!>
遂に、NO.016とNo.017の戦いの幕が切って落とされた。
先に仕掛けたのは、NO.017だ。
全長60メートルはある左腕の鞭をいとも容易く振り回し、No.016の外殻を打ち据える。
空を切り裂く不気味な音がした後、バチン‼とけたたましい音を伴った衝撃を受けて、No.016が身悶えた。
<ルシャアアアアアアァァァッ!>
威嚇か、それとも、苦悶の悲鳴か──No.016が声を上げると、No.017はそれを遮るように二振り三振りと何度も鞭を叩き付ける。
・・・悪趣味なショーを見せられている気分だ。
「柵山少尉、No.017は・・・あー・・・・・・」
ふと疑問を投げかけようとナンバリングを口にした所で、「016」と「017」では語頭の子音が同じ「s」な上、語尾は全く同じで数字自体も近く、判別しづらい事に気付く。
咄嗟の時に言い間違えれば、冗談では済まない。
「・・・・・・サラ、出番だ。ヤツらの識別名称を付けてくれ」
5秒考えて全く思い浮かばず、実績のある者に任せる事にした。
『そうですわね・・・では、「すり鉢エビ」と「首刈り人」は如何でしょう?』
・・・わざわざNo.005にかけて「ガラ」縛りしたな?
しかも英語でなくヒンディー語な上、そもそも語頭が全く一緒ならわざわざ名付けた意味が・・・と思いつく限りの不満を溢しそうになりつつも、押し付けた手前、文句は言わない事にする。
「よし、以後No.016を「ガラジンガー」、No.017を「ガラカータナ」と呼称する!」
『『『アイ・マム!』』』
オープンチャンネルに響いた返事に混じって、「ボクがツけたかっタ・・・」とピン少尉が呟いたのが聴こえた。
・・・次からは、やる気のある者に託す事にしよう。
「改めて・・・柵山少尉。ガラカータナはやはり、殺しや戦いを愉しんでいるんだろうか」
『決め付けるのは早計かも知れませんが、そういう性質を持った生物である可能性は高いかと。最初に遭遇した際もNo.015にかまけてこちらには目もくれなかったですし、脇をくぐり抜けるなら、<ファフニール>を呑み込もうとしたガラジンガーより断然マシですね』
「そうだな。私もそう思う」
順を追って聞こうと思っていた事を先回りして言及するあたり、やはり頭の切れる男だなと感服する。
・・・だが、口で言う程、状況は簡単ではなかった。
<ルシャアアアアアアッッ‼>
鞭の乱打に耐えかねたのか・・・ガラジンガーは長い舌を伸ばして、反撃を始めたのだ。
自在にしなる鞭と舌が、振り乱されては空中で衝突し、激しく音を立て続ける。
<ファフニール>ほどの重量がなければ、どちらかの攻撃に掠っただけでたちまち車両ごと宙を舞ってしまうに違いない。それほどの威力があると、音で伝わってくる。
下手に動いて巻き込まれる訳にはいかないが──双方が目の前の相手に集中している状況はチャンスでもあった。
幸いにも、この砂の海とでも言うべき空間はかなり広い。大きく迂回すれば、安全に出口へ到達する事も可能だろう。
「問題は・・・タイミングだな」
半ば無意識にそう口にして・・・意外にも、その瞬間はすぐに訪れた。
ガラジンガーが大きな頭を振ると、つられて弧を描いた舌が、ガラカータナの鞭の根元に巻き付いたのだ。
俊敏に動く鞭も、その持ち手を掴まれてしまえば振るう事が出来ない。
あの昆虫とも甲殻類とも似つかないデカブツのどこにそんな狡猾さがあるのかと、思わずその厄介さに舌打ちしかけたところで──
<ギャギャギャギャ・・・ッ!>
突如響いた、ガラカータナの嗤い声に・・・背筋が凍る。
私はNo.011のように生物の思考が読めるわけではない。
だが、今のヤツの声は間違いなく悦んでいたのだ・・・・・・獲物が罠にかかった事を。
<ギャオオオオオロロロロロロッ!>
なおも嗤いながら、ガラカータナは左腕を体の後ろへ向かって引き寄せる。
重量のあるガラジンガーは、当然ぴくりとも動かないが・・・両者の間を結ぶ「舌」は、爪弾かれる弦のようにピンと張られて───
刹那、ガラカータナの右腕の鎌が、それをいとも容易く両断せしめた。
<ルシャアアアアァァァアアァァァアアアアアアアッッ⁉>
悲鳴と思しき咆哮と共に、舌の断面から噴水の如く鮮血が迸る。
ガラカータナはたった今斬り落とした舌の先を満足気に腕から剥がすと、相手に見せつけるように口へと運び、かぶり付いた。
一方のガラジンガーは、声を枯らしながら後ずさる。
「───今だッ! 総員、私に続けッ‼」
二体の間に決定的な優劣が付いたこの瞬間を、逃す手はない。
アクセルを回すと、テリオのサポートのお陰か、<ヘルハウンド>の車体は砂地であってもスムーズな発進で疾走を始めた。
他の車輌たちも慌てた様子で追随して来る。
横目で様子を伺うと・・・やはりガラカータナはこちらを気にする素振りを見せず、血走ったような真っ赤な眼光を、狼狽える獲物にのみ向けていた。
皮肉にも、知能と共に猟奇的な嗜好まで発達してくれていたお陰で、我々は助かったようだ。
出口までは目算3キロ──迂回して、ジャガーノート共からも距離を取る事が出来た。
このまますんなり脱出出来ればいいが・・・・・・
<ルシャアアア・・・‼ シュルルルルルルル・・・ッ‼>
そう思った瞬間、既に戦意喪失したかに見えたガラジンガーに動きがあった。
「何・・・ッ⁉」
砂埃を上げながら巨体を忙しなく左右に振ると・・・あっという間に、ガラジンガーの姿は地中へと消えていた。
ヤツは後ろに退がるフリをして、地面に穴を掘っていたのだ。
・・・しかもどうやら、潜ったのは逃げるためではないらしい。
『マスター。異常な震動を感知しました。ガラジンガーは、地中を高速で移動しています』
右耳にテリオの声が届き──同時に、大きな揺れが伝わってくる。
「面倒な事を・・・! 総員停止! 音を立てるな!」
より深い所に潜ったせいなのか・・・揺れは一度収まったものの、先程より大きく揺れる事があれば横転の危険もある。
それに、ヤツが地中から上がってくる際、車輌の起こす振動をガラカータナのものと勘違いされるのは避けるべきだと判断し、已む無くストップを指示した。
<ギャオオオロロロロロロロ・・・・・・>
ガラジンガーは、間違いなく我々の足下にいる。逃げ出した訳ではなく、敵の虚を突くタイミングを伺っているだけだ。
・・・しかし、一方のガラカータナは、周囲を見回す事さえせず、ただその場に立ち尽くしていた。
「どういうつもりだ・・・?」
獲物には執着するタイプだと考えていた手前、意外・・・という言い方もおかしいが、今のヤツの様子には少し違和感を覚えた。
するとそこで、オープンチャンネルにピン少尉の声が響く。
『・・・? 全身ノ突起が、微かニ震えテル・・・?』
目を向ければ、少尉は端末のカメラをガラカータナに向けていた。
おそらくはズーム機能を使って、その挙動を観察しているのだろう。
「ハンドルから手を離すとは何事か!」と注意しようとして──
突如、体に伝わる揺れが再び大きくなり、慌ててヘルメットの左側面に手を当てて叫ぶ。
「総員ッ‼ 何かに掴まれッ‼」
<ルシャアアアアアアアアアアアアアアアッッッ‼>
「総員待機ッ! その場を動くなッ!」
全く想定していなかった事態を前にして・・・こめかみを汗が伝った。
<ギャギャギャッ! ギャオォォオオロロロロッ‼>
<ルシャアアアアアアアアアアァァァァッッ‼>
耳障りな大音量の咆哮が、ほんの数百メートル先でぶつかり合っている。
N o . 0 1 6 から逃げ切るのにさえ頭を悩ませていた矢先に、まさか N o . 0 1 7まで現れようとは・・・つくづく自分の運の無さが嫌になるな。
『まっ、まさカ・・・! あの2体・・・戦オウとシテる⁉』
<グルトップ>の無線機が、運転席の窓から体を半分乗り出したピン少尉の興奮気味な声を拾った。
一方で、<ファフニール>の二人は唖然として声も出ない様子。
不幸にも極東支局はすっかり見慣れてしまったが・・・本来は実物のジャガーノートを見た事のある者の方が少なく、ましてやジャガーノート同士が格闘している様を目撃するなど、通常であれば有り得ない事なのだ。
・・・まずは、皆が雰囲気に呑まれてしまわないようにするのが先決だな。
「うろたえるな! 今の私たちの目的はヤツらを葬る事ではなく、この地底世界から脱出する事だ! いつでも動けるようにしておけッ!」
『『『あっ・・・アイ・アムッ!』』』
やや不揃いながら、威勢のいい返事が響いた。
ジャガーノートを前にして冷静さを欠く事は、即ち死を意味する。
だが彼らは、己の恐怖を自覚しながらも、ぐっと堪える事が出来たようだ。インド支局の教育の賜だろう。
『・・・・・・フゥー・・・! フウゥー・・・・・・!』
しかしそこで、誰かが浅い呼吸を繰り返しているのが聴こえた。
・・・この声は・・・<ドラゴネット>の2号の方の運転手か。
『・・・落ち着いて下さいまし。私達には百戦錬磨のお姉さまがついています。心配する事は何もありませんわ』
『はっ、はい! お気遣いありがとうございます、お嬢様・・・・・・』
感謝の言葉も、少し尻すぼみになってしまっている。
先程はサラを助けるためなら命さえ擲とうとしていたが、彼女の無事を確認して、緊張の糸がプツリと切れてしまったのだろう。
注意しておいた方が良さそうだな・・・と、そう考えた矢先───
<ギャオオォォォオオオロロロロロロッ!>
遂に、NO.016とNo.017の戦いの幕が切って落とされた。
先に仕掛けたのは、NO.017だ。
全長60メートルはある左腕の鞭をいとも容易く振り回し、No.016の外殻を打ち据える。
空を切り裂く不気味な音がした後、バチン‼とけたたましい音を伴った衝撃を受けて、No.016が身悶えた。
<ルシャアアアアアアァァァッ!>
威嚇か、それとも、苦悶の悲鳴か──No.016が声を上げると、No.017はそれを遮るように二振り三振りと何度も鞭を叩き付ける。
・・・悪趣味なショーを見せられている気分だ。
「柵山少尉、No.017は・・・あー・・・・・・」
ふと疑問を投げかけようとナンバリングを口にした所で、「016」と「017」では語頭の子音が同じ「s」な上、語尾は全く同じで数字自体も近く、判別しづらい事に気付く。
咄嗟の時に言い間違えれば、冗談では済まない。
「・・・・・・サラ、出番だ。ヤツらの識別名称を付けてくれ」
5秒考えて全く思い浮かばず、実績のある者に任せる事にした。
『そうですわね・・・では、「すり鉢エビ」と「首刈り人」は如何でしょう?』
・・・わざわざNo.005にかけて「ガラ」縛りしたな?
しかも英語でなくヒンディー語な上、そもそも語頭が全く一緒ならわざわざ名付けた意味が・・・と思いつく限りの不満を溢しそうになりつつも、押し付けた手前、文句は言わない事にする。
「よし、以後No.016を「ガラジンガー」、No.017を「ガラカータナ」と呼称する!」
『『『アイ・マム!』』』
オープンチャンネルに響いた返事に混じって、「ボクがツけたかっタ・・・」とピン少尉が呟いたのが聴こえた。
・・・次からは、やる気のある者に託す事にしよう。
「改めて・・・柵山少尉。ガラカータナはやはり、殺しや戦いを愉しんでいるんだろうか」
『決め付けるのは早計かも知れませんが、そういう性質を持った生物である可能性は高いかと。最初に遭遇した際もNo.015にかまけてこちらには目もくれなかったですし、脇をくぐり抜けるなら、<ファフニール>を呑み込もうとしたガラジンガーより断然マシですね』
「そうだな。私もそう思う」
順を追って聞こうと思っていた事を先回りして言及するあたり、やはり頭の切れる男だなと感服する。
・・・だが、口で言う程、状況は簡単ではなかった。
<ルシャアアアアアアッッ‼>
鞭の乱打に耐えかねたのか・・・ガラジンガーは長い舌を伸ばして、反撃を始めたのだ。
自在にしなる鞭と舌が、振り乱されては空中で衝突し、激しく音を立て続ける。
<ファフニール>ほどの重量がなければ、どちらかの攻撃に掠っただけでたちまち車両ごと宙を舞ってしまうに違いない。それほどの威力があると、音で伝わってくる。
下手に動いて巻き込まれる訳にはいかないが──双方が目の前の相手に集中している状況はチャンスでもあった。
幸いにも、この砂の海とでも言うべき空間はかなり広い。大きく迂回すれば、安全に出口へ到達する事も可能だろう。
「問題は・・・タイミングだな」
半ば無意識にそう口にして・・・意外にも、その瞬間はすぐに訪れた。
ガラジンガーが大きな頭を振ると、つられて弧を描いた舌が、ガラカータナの鞭の根元に巻き付いたのだ。
俊敏に動く鞭も、その持ち手を掴まれてしまえば振るう事が出来ない。
あの昆虫とも甲殻類とも似つかないデカブツのどこにそんな狡猾さがあるのかと、思わずその厄介さに舌打ちしかけたところで──
<ギャギャギャギャ・・・ッ!>
突如響いた、ガラカータナの嗤い声に・・・背筋が凍る。
私はNo.011のように生物の思考が読めるわけではない。
だが、今のヤツの声は間違いなく悦んでいたのだ・・・・・・獲物が罠にかかった事を。
<ギャオオオオオロロロロロロッ!>
なおも嗤いながら、ガラカータナは左腕を体の後ろへ向かって引き寄せる。
重量のあるガラジンガーは、当然ぴくりとも動かないが・・・両者の間を結ぶ「舌」は、爪弾かれる弦のようにピンと張られて───
刹那、ガラカータナの右腕の鎌が、それをいとも容易く両断せしめた。
<ルシャアアアアァァァアアァァァアアアアアアアッッ⁉>
悲鳴と思しき咆哮と共に、舌の断面から噴水の如く鮮血が迸る。
ガラカータナはたった今斬り落とした舌の先を満足気に腕から剥がすと、相手に見せつけるように口へと運び、かぶり付いた。
一方のガラジンガーは、声を枯らしながら後ずさる。
「───今だッ! 総員、私に続けッ‼」
二体の間に決定的な優劣が付いたこの瞬間を、逃す手はない。
アクセルを回すと、テリオのサポートのお陰か、<ヘルハウンド>の車体は砂地であってもスムーズな発進で疾走を始めた。
他の車輌たちも慌てた様子で追随して来る。
横目で様子を伺うと・・・やはりガラカータナはこちらを気にする素振りを見せず、血走ったような真っ赤な眼光を、狼狽える獲物にのみ向けていた。
皮肉にも、知能と共に猟奇的な嗜好まで発達してくれていたお陰で、我々は助かったようだ。
出口までは目算3キロ──迂回して、ジャガーノート共からも距離を取る事が出来た。
このまますんなり脱出出来ればいいが・・・・・・
<ルシャアアア・・・‼ シュルルルルルルル・・・ッ‼>
そう思った瞬間、既に戦意喪失したかに見えたガラジンガーに動きがあった。
「何・・・ッ⁉」
砂埃を上げながら巨体を忙しなく左右に振ると・・・あっという間に、ガラジンガーの姿は地中へと消えていた。
ヤツは後ろに退がるフリをして、地面に穴を掘っていたのだ。
・・・しかもどうやら、潜ったのは逃げるためではないらしい。
『マスター。異常な震動を感知しました。ガラジンガーは、地中を高速で移動しています』
右耳にテリオの声が届き──同時に、大きな揺れが伝わってくる。
「面倒な事を・・・! 総員停止! 音を立てるな!」
より深い所に潜ったせいなのか・・・揺れは一度収まったものの、先程より大きく揺れる事があれば横転の危険もある。
それに、ヤツが地中から上がってくる際、車輌の起こす振動をガラカータナのものと勘違いされるのは避けるべきだと判断し、已む無くストップを指示した。
<ギャオオオロロロロロロロ・・・・・・>
ガラジンガーは、間違いなく我々の足下にいる。逃げ出した訳ではなく、敵の虚を突くタイミングを伺っているだけだ。
・・・しかし、一方のガラカータナは、周囲を見回す事さえせず、ただその場に立ち尽くしていた。
「どういうつもりだ・・・?」
獲物には執着するタイプだと考えていた手前、意外・・・という言い方もおかしいが、今のヤツの様子には少し違和感を覚えた。
するとそこで、オープンチャンネルにピン少尉の声が響く。
『・・・? 全身ノ突起が、微かニ震えテル・・・?』
目を向ければ、少尉は端末のカメラをガラカータナに向けていた。
おそらくはズーム機能を使って、その挙動を観察しているのだろう。
「ハンドルから手を離すとは何事か!」と注意しようとして──
突如、体に伝わる揺れが再び大きくなり、慌ててヘルメットの左側面に手を当てて叫ぶ。
「総員ッ‼ 何かに掴まれッ‼」
<ルシャアアアアアアアアアアアアアアアッッッ‼>
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