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第九話「運命の宿敵 前編」
第二章「JAGD地底へ‼ ファフニール発進せよ‼」・③
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※ ※ ※
「・・・うっ・・・ぐっ・・・うぅ・・・っ!」
頭を支配する鈍痛に苛まれながら──かろうじて意識を取り戻したカノンは、重い瞼を何とかこじ開ける。
・・・しかし、そのブラウンの瞳に映るのは──一面の暗闇だけ。
密閉されたコンテナの中に一切の光が差し込む事はなく、自分がどんな状況に置かれているのかさえ、今の彼女には知る術がなかった。
シルフィに届くように「助けて」と念じれば状況は変わるのだが・・・
彼女がそうしなかったのは、意識が朦朧としているからではない。
「誰かに頼る」という選択を、最初からするつもりがないのだ。
──頭のどこかでは、その選択肢に気づいているにも関わらず。
「外に・・・出・・・ねぇ・・・と・・・・・・」
重い体を、前脚の力だけで引き摺る。
だが、どちらが出口なのかも判らない現状においては、その行動は無駄な抵抗以上の意味を持ちえなかった。
「───それと、お姉さま。出発前に少しだけテリオをお借りしますわね」
そこで、コンテナの壁の向こうから、少女の声が漏れ聞こえてくる。
「構わないが・・・急なアップデートでもするのか?」
それに返事をする、もう一人の女性の声も。
「・・・っ! あっち・・・か・・・・・・!」
カノンは、薄れゆく意識の中で、出口を求めて声のする方へと這い寄る。
「いえいえ。ちょっとした頭の体操に、簡単なパズルでも解かせてみようかなと♪」
「パズル・・・? 任務の障害にならない程度なら構わんが──」
壁越しの声が少しずつ大きくなり、カノンは必死に体を前へと進ませる──
・・・しかしそこで、再び彼女の脳内に深い靄がかかり始めた。
「ちく・・・しょう・・・! まだっ・・・! まだ・・・だ・・・っ!」
食らいつこうと、手を伸ばして──しかし。
虚空すら掴みそこねて、力なく沈んだ。
「・・・? いまコンテナから音がしなかったか?」
外にいた作業員の一人が、耳ざとくその物音に気づく。
「なに? ・・・いや、開錠記録は0のままだ。虫一匹入っちゃいないよ」
特別製のコンテナの扉には、特殊なロックがかかっており、開錠されればその回数がカウントされ、外部の空気が少しでも漏れれば、即座に警報が鳴るようになっていた。
これは、積まれているモノ──「「メイザー・ブラスター」用のバッテリー」の特殊性と秘匿性に起因する措置だったが・・・
同時にこの仕様ゆえ、まさか中に人間大の異物が紛れ込んでいるなど、誰も想像していなかったのである。
「お嬢様、このコンテナはどちらに積み込みましょう?」
「<ドラゴネット>の2号に積んでくださいまし。取り扱いには十分お気をつけて!」
サラの指示によって、カノンを乗せたコンテナは大型のトレーラーに積載される。
「・・・・・・」
そして、そんな様子を──物陰から、緑の髪の少女が見守っていた。
※ ※ ※
『──報告です。現在、地下1000メートル・・・本来ならありえない事ですが、気圧・気温ともに大きな変化ありません・・・事前の情報通りです』
前方の<グルトップ>に搭乗している柵山少尉から、定期連絡が届く。
「了解だ。引き続き慎重に進むぞ」
───今、我々調査隊は、天井まで60メートルはある巨大なトンネルを進んでいた。
目的地は地上から4000メートル下・・・
だが、トンネルは一直線ではなく螺旋階段のようにうねりながら下っていく構造になっているため、実質の移動距離は20キロもある。
「・・・しかし・・・本当に防護服もなしで大丈夫なのか・・・?」
再三確認した事ではあるが・・・やはりどこか信じられず、独り言が漏れた。
地下では海と違って水圧はかからないが、当然下れば下るほど気圧は高くなり、マントルに近付く分、気温も上昇していく。
目指す地下4000メートルともなれば、体にかかる圧力も地上の比ではなく、気温も100度をゆうに超えるはずだ。
しかし・・・第1次調査隊からの報告によれば、このトンネル内では途中から気温と気圧の変化がぱったりと止み、その先は地上とほぼ変わらない空間が続いているという。
現に、改めて自分の端末にも目を向けるが──現時点で地下1000メートルを超えているにも関わらず、気温も気圧も酸素濃度も、やはり外と大差ない。
一体どういう事なんだ・・・?
『ご安心下さいお姉さま! ドローンを何度も飛ばして観測しましたの! 私の名誉にかけて蒸し焼きになる危険はございませんわ! 落盤事故の場合はごめん遊ばせ、ですが!』
そこでヘルメットの右のスピーカーから、サラのやかましい声が飛んでくる。
・・・普段はテリオにしか繋がっていないから油断していたが、今日は「管理者権限」の名目でサラにも直通回線が通じているんだった・・・独り言には気をつける事にしよう。
「お前を信用していない訳ではないが、これはどういうカラクリなんだ?」
気持ちを切り替える意味も込め、専門用語の雨あられを覚悟しつつ問いかけると──
『・・・実は、とっても悔しい事にまだ私にもサッパリですの』
意外にも、返ってきたのはサラの溜息だった。
『これは驚きです。マザーにも解けない謎があるとは』
同じ感想を抱いたのであろうテリオが、会話に入ってくる。
すると、サラは通話口でわざとらしく泣いているような演技をし始めた。
『しくしく・・・テリオったら意地悪ですわ・・・生後1歳で早くも反抗期かしら・・・?』
『い、いいえ、マザー。ただ、マザーが答えに窮する姿を初めて見たので・・・驚いただけです。マザーに判らないという事でしたら、他の誰にも判らないという事でしょう』
テリオは抑揚のない声で、やや早口気味に言い訳した。
・・・いつもの揚げ足取りも生意気っぷりもすっかり鳴りを潜めている所を見るに、さしもの人工知能も愛するマザーの前では「良い子」でいたいという訳か。
「これは驚きだな。お前にこんな泣き所があったとは」
『・・・はて。何のことやら』
とぼけ方もいまいち精彩を欠いているあたり、図星らしいな。
『うふふ♪ お姉さまもすっかりテリオと仲良くなられたようで、私も嬉しいですわ』
当のサラはあっけらかんとした様子で声を弾ませている。食えない女だ・・・
『まぁ冗談はともかく・・・いくら私が天才とは言え、専門分野は機械工学とAI研究開発。地質学ともなれば完全に門外漢ですから、今はスタッフに解析を任せているところですの。それこそ、私の本分はその解析を助けるツールを造る事にありますから』
「成程。サラにはサラの仕事がある・・・という訳か」
ジャガーノートとの戦いにおいては、即応性が求められる都合上、つい柵山少尉やテリオに起きている現象の解説や考察を求めてしまっていたが・・・
本来、前人未到の謎とは、たくさんの人間が関わった上で、少しずつ解かれていくものだものな・・・・・・
『そういう事ですの。「自らの才能を人類の未来のため、ジャガーノートから世界を守るために使う」・・・。もちろん、今回の調査もその一環ですわ♪』
三年前、ちょうどこの地で交わした約束を、サラは諳んじてみせる。
どうにもあざといが・・・まぁ、こういう所もこの子の魅力だな。
「・・・やれやれ。金に物を言わせて私を引っ張ってきた女のセリフとは思えんな」
『それは言いっこなしですわ♡』
調子の良い返事に、思わず顔が綻んだのが判った。
こうして話しているとひしひしと感じるが・・・テリオは本当に母親似だな。
小生意気なところなど特に──などと考えていると、柵山少尉から通信が入る。
『隊長! 前方に何か明かりが見えます!』
「ッ! 全隊停止ッ‼」
ヘルメットの左側を抑えながら指示すると、やや後方から響いていたキャタピラの音と、その更に後ろを走っているトレーラー・<ドラゴネット>の走行音も止まる。
私は<ヘルハウンド>のアクセルを回し、先行する<グルトップ>のもとへ・・・20秒も経たないうちに追い付き、柵山少尉の座る助手席の窓をノックした。
「どこだ?」
『前方左上の・・・あそこです。時計で言う10時のあたりの』
指差す方向へ目を凝らすと・・・確かに、ぼんやりと青白く光る「何か」が見える。
・・・その頼りない程の灯火に、私は見覚えがあった。
端末と同期されたヘルメットのカメラでそれを撮影し、サラの端末にあてて画像を送る。
「サラ。今送った画像、見えるか?」
『・・・これは・・・おそらく、例の「コケ」ですわね』
「やはりお前もそう思うか」
ひとまず、このコケ自体に危険はない事は判っている。
私はオープンチャンネルに前進再開を指示し、元通り隊列の中央あたりへ戻った。
「・・・うっ・・・ぐっ・・・うぅ・・・っ!」
頭を支配する鈍痛に苛まれながら──かろうじて意識を取り戻したカノンは、重い瞼を何とかこじ開ける。
・・・しかし、そのブラウンの瞳に映るのは──一面の暗闇だけ。
密閉されたコンテナの中に一切の光が差し込む事はなく、自分がどんな状況に置かれているのかさえ、今の彼女には知る術がなかった。
シルフィに届くように「助けて」と念じれば状況は変わるのだが・・・
彼女がそうしなかったのは、意識が朦朧としているからではない。
「誰かに頼る」という選択を、最初からするつもりがないのだ。
──頭のどこかでは、その選択肢に気づいているにも関わらず。
「外に・・・出・・・ねぇ・・・と・・・・・・」
重い体を、前脚の力だけで引き摺る。
だが、どちらが出口なのかも判らない現状においては、その行動は無駄な抵抗以上の意味を持ちえなかった。
「───それと、お姉さま。出発前に少しだけテリオをお借りしますわね」
そこで、コンテナの壁の向こうから、少女の声が漏れ聞こえてくる。
「構わないが・・・急なアップデートでもするのか?」
それに返事をする、もう一人の女性の声も。
「・・・っ! あっち・・・か・・・・・・!」
カノンは、薄れゆく意識の中で、出口を求めて声のする方へと這い寄る。
「いえいえ。ちょっとした頭の体操に、簡単なパズルでも解かせてみようかなと♪」
「パズル・・・? 任務の障害にならない程度なら構わんが──」
壁越しの声が少しずつ大きくなり、カノンは必死に体を前へと進ませる──
・・・しかしそこで、再び彼女の脳内に深い靄がかかり始めた。
「ちく・・・しょう・・・! まだっ・・・! まだ・・・だ・・・っ!」
食らいつこうと、手を伸ばして──しかし。
虚空すら掴みそこねて、力なく沈んだ。
「・・・? いまコンテナから音がしなかったか?」
外にいた作業員の一人が、耳ざとくその物音に気づく。
「なに? ・・・いや、開錠記録は0のままだ。虫一匹入っちゃいないよ」
特別製のコンテナの扉には、特殊なロックがかかっており、開錠されればその回数がカウントされ、外部の空気が少しでも漏れれば、即座に警報が鳴るようになっていた。
これは、積まれているモノ──「「メイザー・ブラスター」用のバッテリー」の特殊性と秘匿性に起因する措置だったが・・・
同時にこの仕様ゆえ、まさか中に人間大の異物が紛れ込んでいるなど、誰も想像していなかったのである。
「お嬢様、このコンテナはどちらに積み込みましょう?」
「<ドラゴネット>の2号に積んでくださいまし。取り扱いには十分お気をつけて!」
サラの指示によって、カノンを乗せたコンテナは大型のトレーラーに積載される。
「・・・・・・」
そして、そんな様子を──物陰から、緑の髪の少女が見守っていた。
※ ※ ※
『──報告です。現在、地下1000メートル・・・本来ならありえない事ですが、気圧・気温ともに大きな変化ありません・・・事前の情報通りです』
前方の<グルトップ>に搭乗している柵山少尉から、定期連絡が届く。
「了解だ。引き続き慎重に進むぞ」
───今、我々調査隊は、天井まで60メートルはある巨大なトンネルを進んでいた。
目的地は地上から4000メートル下・・・
だが、トンネルは一直線ではなく螺旋階段のようにうねりながら下っていく構造になっているため、実質の移動距離は20キロもある。
「・・・しかし・・・本当に防護服もなしで大丈夫なのか・・・?」
再三確認した事ではあるが・・・やはりどこか信じられず、独り言が漏れた。
地下では海と違って水圧はかからないが、当然下れば下るほど気圧は高くなり、マントルに近付く分、気温も上昇していく。
目指す地下4000メートルともなれば、体にかかる圧力も地上の比ではなく、気温も100度をゆうに超えるはずだ。
しかし・・・第1次調査隊からの報告によれば、このトンネル内では途中から気温と気圧の変化がぱったりと止み、その先は地上とほぼ変わらない空間が続いているという。
現に、改めて自分の端末にも目を向けるが──現時点で地下1000メートルを超えているにも関わらず、気温も気圧も酸素濃度も、やはり外と大差ない。
一体どういう事なんだ・・・?
『ご安心下さいお姉さま! ドローンを何度も飛ばして観測しましたの! 私の名誉にかけて蒸し焼きになる危険はございませんわ! 落盤事故の場合はごめん遊ばせ、ですが!』
そこでヘルメットの右のスピーカーから、サラのやかましい声が飛んでくる。
・・・普段はテリオにしか繋がっていないから油断していたが、今日は「管理者権限」の名目でサラにも直通回線が通じているんだった・・・独り言には気をつける事にしよう。
「お前を信用していない訳ではないが、これはどういうカラクリなんだ?」
気持ちを切り替える意味も込め、専門用語の雨あられを覚悟しつつ問いかけると──
『・・・実は、とっても悔しい事にまだ私にもサッパリですの』
意外にも、返ってきたのはサラの溜息だった。
『これは驚きです。マザーにも解けない謎があるとは』
同じ感想を抱いたのであろうテリオが、会話に入ってくる。
すると、サラは通話口でわざとらしく泣いているような演技をし始めた。
『しくしく・・・テリオったら意地悪ですわ・・・生後1歳で早くも反抗期かしら・・・?』
『い、いいえ、マザー。ただ、マザーが答えに窮する姿を初めて見たので・・・驚いただけです。マザーに判らないという事でしたら、他の誰にも判らないという事でしょう』
テリオは抑揚のない声で、やや早口気味に言い訳した。
・・・いつもの揚げ足取りも生意気っぷりもすっかり鳴りを潜めている所を見るに、さしもの人工知能も愛するマザーの前では「良い子」でいたいという訳か。
「これは驚きだな。お前にこんな泣き所があったとは」
『・・・はて。何のことやら』
とぼけ方もいまいち精彩を欠いているあたり、図星らしいな。
『うふふ♪ お姉さまもすっかりテリオと仲良くなられたようで、私も嬉しいですわ』
当のサラはあっけらかんとした様子で声を弾ませている。食えない女だ・・・
『まぁ冗談はともかく・・・いくら私が天才とは言え、専門分野は機械工学とAI研究開発。地質学ともなれば完全に門外漢ですから、今はスタッフに解析を任せているところですの。それこそ、私の本分はその解析を助けるツールを造る事にありますから』
「成程。サラにはサラの仕事がある・・・という訳か」
ジャガーノートとの戦いにおいては、即応性が求められる都合上、つい柵山少尉やテリオに起きている現象の解説や考察を求めてしまっていたが・・・
本来、前人未到の謎とは、たくさんの人間が関わった上で、少しずつ解かれていくものだものな・・・・・・
『そういう事ですの。「自らの才能を人類の未来のため、ジャガーノートから世界を守るために使う」・・・。もちろん、今回の調査もその一環ですわ♪』
三年前、ちょうどこの地で交わした約束を、サラは諳んじてみせる。
どうにもあざといが・・・まぁ、こういう所もこの子の魅力だな。
「・・・やれやれ。金に物を言わせて私を引っ張ってきた女のセリフとは思えんな」
『それは言いっこなしですわ♡』
調子の良い返事に、思わず顔が綻んだのが判った。
こうして話しているとひしひしと感じるが・・・テリオは本当に母親似だな。
小生意気なところなど特に──などと考えていると、柵山少尉から通信が入る。
『隊長! 前方に何か明かりが見えます!』
「ッ! 全隊停止ッ‼」
ヘルメットの左側を抑えながら指示すると、やや後方から響いていたキャタピラの音と、その更に後ろを走っているトレーラー・<ドラゴネット>の走行音も止まる。
私は<ヘルハウンド>のアクセルを回し、先行する<グルトップ>のもとへ・・・20秒も経たないうちに追い付き、柵山少尉の座る助手席の窓をノックした。
「どこだ?」
『前方左上の・・・あそこです。時計で言う10時のあたりの』
指差す方向へ目を凝らすと・・・確かに、ぼんやりと青白く光る「何か」が見える。
・・・その頼りない程の灯火に、私は見覚えがあった。
端末と同期されたヘルメットのカメラでそれを撮影し、サラの端末にあてて画像を送る。
「サラ。今送った画像、見えるか?」
『・・・これは・・・おそらく、例の「コケ」ですわね』
「やはりお前もそう思うか」
ひとまず、このコケ自体に危険はない事は判っている。
私はオープンチャンネルに前進再開を指示し、元通り隊列の中央あたりへ戻った。
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