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9、リュシアンの姿

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「凄いです。これほど沢山作るのですか?」


 前菜は簡単に口に運べるように、スプーンに一口サイズにのっていたり、小さなパンやクッキーの上に花びらのように盛り付けらていたりと思わず、手を伸ばしたくなる。

 メインは魚介や肉、焼いてあったり煮てあったり様々だ。数も量も凄いがどれも一口サイズで、いくらでも食べれそうな気にさせられる。

 デザートはフェリシーが手伝った果物がこれも一口サイズに切られ、花畑のようにアーティスティックに並べられていた。

 フェリシーは凄い量の料理を興味津々に見つめる。


「他国は俺には分からないけど、ミラ王国では皆が結構な食事の量を食べるんだ。大食感が多いかな。もともとミラの男は戦士だからね。
 身体が基本だから、無理しても身体を作る為食べる人が多いんだよ」

「そうなんですね。それは女性もですか?」


 フェリシーは生まれ育った自国とはまるで違う文化と伝統を持ったミラ王国に、どんどんと引き込まれていく。


「そうだ。女も大概は身体を強調した衣服を身につけている。そこばかり見る男には呆れる」


 やはり言葉尻がキツく聞こえるオリーブだが、そのキツいに中にも、違う女性らしい感情がフェリシーには読み取れる。

 今回の発言には、辛辣さがにじみ出ていた。



「オリーブさんはスタイル抜群ですから、見られるのです。その点私は貧相だから、ミラ王国では恋愛対象外ですね」


 笑い話にするつもりが、自分で口にしながら落ち込む。

 今まで男性を好きになった事がないフェリシーは、自分が他者にどう思われるか? 己が好きな人の好みであるか? などと考えた経験がなかった。


 好きな人……勿論常識に考えて、ミラ神の遣いである黄金の獅子に対し、恋愛感情を持つこと自体が不敬にあたるとフェリシーも重々承知している。

 しかし初めて経験する、相手を思い、湧き上がる感情がそう簡単に無くなるわけでもなく。

 あの時、あの瞬間、もし私がミラ王国で一位、二位を争うくらいの美貌と肉体美を持っていたら、黄金の獅子様との甘い触れ合いも不可能ではなかったのではないか? と思ってしまう。

  さして、記憶に残るような見目でないのが哀しいと、フェリシーが自分の見目を哀しそうに話した瞬間、ルークとオリーブは前のめりになりながら熱弁で畳み掛けてきた。


「何を言うんだよ。フェルは魅力的だって!! 女性としてどうかしゃなくて、異世界の住人みたいなんだよ!! それって凄いと思うよ」


「ルークの言う通り。フェルは私達と違う。それに女性としても魅力的。背は低いが、胸も大きく綺麗なお椀型だし。
 腰も尻も大きいから安産型。貧相に見えない。
 顔が小さいから貧相に見えると勘違いしている。胸の膨らみ具合は私とそう変わらない」


(い、イヤァァァァー)内心絶叫した。


 オリーブは何を言うのか。何故目視だけでそこまで分かるのか。
 フェリシーは尻と腰が大きいのを気にしていて、分からない服装を心がけている。それが的確にバレていることに羞恥心をおぼえた。

 ルークの「貴女は人間じゃない」みたいな台詞に引いて、さらにオリーブの的確な身体感想を述べられ、いたたまれなさが半端ない。

 ふしゅ~~。と湯気を出しながら硬まっていると、話を止める救世主が現れる。



「ルーク、最終チェックをするぞ」

「父さん。うん。了解!!」


 スープ、前菜から、あらゆる肉と魚の種類で作られたメインディッシュ、女性が好みそうなパイ、ケーキ、クッキー、チョコレート、そして珍しい果実のデザート。ワインやお酒やジュースまで、それは色とりどり。

 まるで競い合うように、料理室の長テーブルに並べられた料理という名の芸術品。

 ピカピカに磨かれて並べられた料理を並べたカートは、宝石のような輝きを放っていた。


「凄い…です」この一言に尽きる。


 フェリシーの恥ずかしさも和らいできて、料理人達のプロフェッショナルに素直に感銘を受けていた。

  本当に素晴らしい。一つの料理にありとあらゆるの人の手が加わり、作り出されていく。全てが華麗な作業ではないけど、どんな小さな作業も手を抜かないで全身全霊をかけている。

 だからこそ、この仕上がりになる。

 ミラ国は神の国。ルークもオリーブもフェリシーからすれば神の域。

 今はすでに滅んでしまったか… 只の伝説としての物語か… フェリシーにはわからないがミラ神に愛された国には〝神の子〟が形を変えて今も人の身体の中に存在しているとハッキリと言えた。


 ……この王国には確かに、黄金の獅子様がいるからだ。


 最後の仕上げにかかる皆を目にしながら、フェリシーはゆっくりと胸の上で軽く手を組む。

 全ての指を合わせることは、ルキシール国でもミラ国でも同じく神への感謝を表す仕草だった。

 それをこっそりとする。皆に分からないように…。




「フェル、少し時間いいか?」


 オリーブの改まった物言いに、フェリシーは「はっ」と我にかえる。


「はい! と…時間は大丈夫です。まだ何か手伝える事がありますか?」


 舞踏会はまだ始まっておらず、イレーヌらが帰ってくるまで暇は暇なのだ。

 王女であるフェリシーだが、専属の侍女もいなければ何でも自分でしていた為、一般市民が出来ることは基本出来る。

 そして元来の性格から、細かい作業は大得意。まだ知らない世界を経験出来るのだと思うとワクワクが抑えられない。


「ルークと話していたんだが、ルークも私も一応料理人の中では、認められている。だから配膳も出来る。今回、舞踏会の会場までカートを押していき料理を並べる手はずになっている。
 フェルにもそれを手伝ってもらおうかと。舞踏会に参加出来なくとも雰囲気を味わったらいい。
 カートは車輪が付いているから重くない。大丈夫だ」


 全く大丈夫ではない。何の冗談かとフェリシーは硬直していると、オリーブに手を引かれ料理室から連れ出されしまう。


「ま、待ってください。オリーブさん!!」

「待てない。もう舞踏会が始まる。国王陛下の御言葉、リュシアン様の御言葉が終われば、本格的に舞踏会が始まる。曲が流れしだい配膳していく」


 強引なオリーブにフェリシーはタジタジだ。オリーブは理性的に見えて、結構本能で行動するタイプだった。

 元々そうであるのに輪をかけて、無意識のうちに〝神の子〟の父であるリュシアンと母であるフェリシーを合せようと、内なる意識が必死。

 全ての糸が繋ぎあっておれば納得も出来るのだが、そうは簡単にいかない。



「あの…そう!! 見つかったら。大変です!! 私は本当は部屋で待機なんです。なのにノコノコ舞踏会の広間にいてたら、罰せられます!!」

「これくらいで? 罰を??」


 オリーブの軽蔑とも受け取れる不信な声を耳にしながら、心の中でフェリシーは何度もイレーヌに謝る。

 嘘を隠す為にまた嘘をつかなくてはならない。オリーブにイレーヌがそんな些細なことで罰を下す小さな人間と思われるのが辛かった。

 でも今更事実は言えない。

 父や母にルークやオリーブとの何気ない会話や戯れが知られた時、罰を受けるのはフェリシーだけではなく、それはルーク達にまで広がるからだ。


 ルキシール国は発展途上の新興国であるのに、神の国ミラと対等であろうとする。

 教えを請い、よりよい国造りを模索しているわけではなく「奪え」が当たり前のルキシール国の概念。


 ミラの穏やかな国民性と違い、家族や友人に対しても基本ドライで家族愛なんてものは初めからない。

 自分以外の人は全て自分が生きていく〝駒〟であり協力者共存者、そして言動が驚くほど荒々しい国民性。

 見目は逆で、それこそ戦士を思わせる男性が多く存在し、芯が強い女性が最上級の女と言われ、皆がそうでありたいと望むミラ国と違い、ルキシール国は見目は華奢であまり体力もなく狡い男性が多い。

 虎の威を借る狐…まさにこの言葉通り、ルキシール国民は強者につくものが多い。

 いかに強い相手に付けるかが、ステータスなのだ。だからこそ、より強者が現れれば鞍替えする。

 実の家族にもドライなルキシール人に忠誠心なんてものはなく、また己に信念がある訳ではないので簡単に見限るのだ。

 常日頃から裏切りが繰り返されるルキシール国からすれば、古い信仰がある強国ミラはいいカモだった。

 この大国ミラのアラを探し、対等になれるよう模索している父と母、そして姉達(イレーヌは除く)。

 フェリシーのこの失態を嬉々として生かし、チャンスとばかりに何か仕掛けるだろうと思ってしまう。

 ミラの上級貴族と繋がりたい「あわよくばこの大国も我がルキシール国の配下にしたい」などという恐ろしい会話を笑いながら世間話のように話す、父と母。



 いい意味で似た者夫婦のルキシール国の国王夫妻。上昇気質が高く、より高みを目指す姿勢は純粋に凄い。

 国のあり方を少しおかしいとフェリシーが思った所で、一方的に言及は出来ない。

 一国をおさめている父も、それをサポートする母も、尊敬はしている。ルキシール国民の考え方が そう であるのに、一度も暗殺事件が無いのは、歴代のルキシール国の王が文句無しに〝強い君主〟でその側が心地よいとされてきたから今がある。
 強ければ絶対に裏切らない…それがルキシール国だった。


 フェリシーの考え方と間逆だがそれも国の特色。まだいないが夫や子供がいれば、抱きしめたい。

 毎日飽きるほど抱きしめて頬ずりしたい、などというフェリシーの考えはルキシール国では決して口に出来ない。常識を逸脱しているフェリシーはそれこそ変人である。

 ルキシール人が思う常識がフェリシーには常識でなかった。しかし色々な考え方があってこその国なのだ。


 フェリシーが見つかって本当にヤバイのはイレーヌではなく、父 ジャコブ、母 アガット、そしてエディスとファニーだ。



「えっと……。イレーヌ様が良いと言ってくださっても、部下の失態は上司の失態に繋がります。
 心優しいイレーヌ様がそう思われるのは心外ですので、舞踏会に行き料理を並べる手伝いだけはご勘弁を」


 フェリシーは角が立たないように、必死にお願いする。オリーブに目を向けると一応分かったような雰囲気ではあったが、まだ納得はしていない。


「……では、深く帽子をかぶり、伊達眼鏡も用意する。配膳も舞踏会の入口側だけにしてもらうし、常に私が側にいる。
 フェルが見えないように私の身体で隠す。だから少しだけほんの少しだけ…手伝って欲しい…」


 いつもの姉御的なキツい物言いではなく、まるで我が儘をいう幼き子供のようだ。


  何故そんなに舞踏会に行かせたいのか?? 舞踏会への配膳係がいない…とは思えない。
 現に沢山の方が羨ましいそうにオリーブやルーク、カートの前に立つ方々を見ている。フェリシーが手伝う理由がない。

 フェリシーの身分が引くく、舞踏会に参加出来ないと言ったから慰めかとよぎるが…それにしては、懇願のようで。

 わざわざ変装までして行く意味がフェリシーには理解出来ない。

 これだけ必死にお誘いを受けたなら、感謝し、有り難く行くべきと感じ、フェリシーはまだボソボソと言い訳を並べているオリーブの手をギュッと握り、笑顔で承諾する。



「オリーブさん、分かりました。是非連れて行ってください。申し訳ございませんが、帽子とメガネも貸して頂けますでしょうか?」


 フェリシーの台詞に、オリーブは本当に嬉しそうに頷く。それを目にし「やはりオリーブさんは可愛いし、思わず抱きしめたくなります」そうフェリシーは思った。

 黒縁伊達眼鏡に、ミラ国の侍女専用の帽子を少し大きめにしてもらい耳まで隠れるようにし、フェリシーの身だしなみは整った。

 オリーブと、フェリシーを見て妙にハイテンションなルークに軽く引きながらも、案内されたカートの前に立ち。舞踏会への突入を待つ。

 美しく磨かれた銀色のカートはさながら鏡だった。

 フェリシーはそこに映った自分を見て、ドレスよりも侍女の仕事着が似合っていると「ふと」思い、笑ってしまう。


  用意された服はフェリシーに似合っていた。完璧。
 もうどうせなら、王女の身分は返上して、本当にイレーヌの侍女にしてもらい、このままミラ国に残っては駄目かと……。

 長く王宮で働いていれば、黄金の獅子様に会えるチャンスがあるかもしれない。

 自信の考え方があざとく汚い……。ルキシール国の考え方は好きになれないフェリシーも、やはりルキシール国の王女なんだと。

 自分の考え方がルキシール国よりで、嫌悪してしまう。考え方には嫌悪するが、黄金の獅子を思い浮かべている自身の顔は自惚れなく綺麗だと思った。

 これから長い時間を生きていても、黄金の獅子以外の人を好きになれる気がしない。そう迷いなき心が身体中に巡る。

  しかしあの黄金の獅子様ともう一度会えるなら、全てを投げ打っても後悔はしない。

 それこそ、あの素晴らしい鬣に触れれるなら、その後に待っているのがミラ神からの天罰であっても本望だと。

 ドクッ ドクッ と早鐘を打つ胸に手を置き、冷静になるべく深呼吸をした。

 気持ちを落ち着かせようとしても、あの美しい黄金の姿を思い出すたび、身体が熱を持ち酩酊した感じを引き起こす。


  恐れ多くもフェリシーは黄金の獅子に恋をしている。恋とはこんなに息苦しくなるものなのか。

 ほかに経験がないので比べようもないが、思い出だけで呼吸困難になっていては、もう一度会おうものなら心臓破裂しそうである。


 銀食器が並ぶカートに自身を映しながらの妄想は、何故か楽しくて仕方なかった。


 料理長の聞き取りやすいテノールの声とともに、カートが動き出す。

 フェリシーは列の後方な為すぐは動かないが、歌声のような音を奏でながら進む銀色のカートを、かつてない程の穏やかな気持ちで見つめた。



 舞踏会の間からは、優雅な音楽が奏でられている。


 フェリシーは後方のデザートと果物部隊だったので前菜やメインディシュはすでに並び終えており、引き返すカートとすれ違う。

 運び終わったカートの侍従や侍女らに笑顔で会釈しながら、先に進む。

 フェリシーにとって舞踏会はさして珍しくもないし、楽しい場とも思わないが、神秘の国ミラの舞踏会は気になる。オリーブやルークに行かないと言ったが、フェリシーだって歴とした女性だ。未知なる舞踏会に心は高鳴っていた。


「フェル、次は我々の番。先ほど言われた通り、カートに並んでいる状態が仕上がりになる。そのまま置いていく。分からないとこはないか?」


 オリーブの心配そうな声を聞き、安心感を与える為にあえて大きな声でハキハキと話す。


「はい。皆さん、とても分かりやすく説明して下さったので大丈夫です。気にかけて下さって、ありがとうございます」

「当たり前の事。気にするな」


 ぶっきらぼうな中に照れがあるのか、ふいっと視線を外すオリーブが可愛くて堪らない。

 フェリシーからすると、オリーブは歳も上でしっかりしているのでお姉様だ。しかしどうしてかオリーブの一挙一動にキュるんとしてしまい、抱きしめて頬ずりしたい感覚に陥る。

 不思議な感覚を胸にフェリシーは舞踏会の間に足を踏み入れた。



「ま、まぶしい!!」もうこの第一声に尽きる。

 今が夜だという感覚が奪われるほどの光が、舞踏会の間を優しくそして煌びやかに包んでいた。

 見上げるほど高い天井には、数えるのも憚れるほどのシャンデリアが垂れ下がっており、その全てが光り輝くクリスタル。その純度の高いクリスタルが沢山の光を吸収し放つ光景はまさしく楽園であった。



(綺麗だわ…なんて素敵…)


 舞踏会の華やかさに圧倒されながらも、フェリシーは言われた通りの手順で、美しく盛られた果物や、プティング、シフォンケーキ、チョコレート、などを並べていく。


 そして一番気になっていた姉であるイレーヌを探す。

 銀カートにのせられたデザートを丁寧に並べながらもチラッチラッと横目で見た世界に溜め息が出る。


(…みんな、美しいです……)


 出会いを求め渾身の力で磨き上げられただろう、年頃の女性達をフェリシーは暖かな気持ちで見つめた先、円の中心辺りに、目的の人を見つけて心踊った。


 本当はフェリシー用だった薄いピンクグラデーションのドレスは、裾にいくほど濃い色合いになっていて、イレーヌのイメージにぴったりだった。

 そのデザインが、幼い可愛さと大人の妖艶さを同時に合わせ持つように見え、見事な雰囲気を作り出し、他を寄せ付けない美となっていた。

 微笑み合いながらダンスを踊るイレーヌとダリウスは、今日会ったとは思えないほど息ぴったりだ。互いが互いしか見えておらず、何とも微笑ましい光景だった。

 目的を達成したフェリシーは、もう用は無いとばかりに広間から視線を外し、最後のデザートをカートからテーブルにそっと置いた。

 満足気にテーブルを見つめていたフェリシーの耳に、聞いたことがないほどの、甲高い叫び声、甘ったるい吐息、きぬ擦れの音。

 オーケストラの音をかき消すほどの、女性達の悲鳴や雰囲気を身に感じとり、フェリシーは自然に…本当に自然に…顔を上げた。

 理由が分かった瞬間、ほぼ同時にフェリシーの全機能が停止する。



 フェリシーが視線を向けた先には、…神々しい……嫌、その言葉が失礼にあたると思える姿。

 まさに〝神〟そのもの。

 神が人の型に収まっていると感じる、人知を超えた存在がゆっくりと階段を降り広間に足を踏み入れていた。


 黒いトラウザーズに覆われた下半身は見事に引き締まっていて、大理石を荒々しく削りとったような男性特有 圧巻の筋肉が浮かびあがり、その全ての筋肉の筋がハッキリ見える。

 絞り込まれた下半身から続く上半身は、人が想像する域を超えており、優雅にくびれた腰から厚さのある胸板、その素晴らしい骨格に合わせたように形勢された筋肉が最早 神の領域。

 一見派手だと思われる、金モールやら憲章やらが付いた真っ白な上衣に肉体が負けていない。

 本当にこれ以上素晴らしい姿を脳内で再現するのは不可能と思われる姿。

 しかしその美しく高潔な肉体は、まるでタダの飾りと言わすような顔面は神そのもの。

 筋肉で盛り上がる力強い肩からつながる太い首。その首からはシャープに削り取られた形良い輪郭に細い顎。太い首に細い顎のギャップが妖艶で生々しい。



 シミひとつないシルク肌には、これ以上美しく彫るのは無理だと、芸術家がノミを投げ出し逃走するであろう鼻梁に瞳、そして唇。

 その恐ろしいほどの美貌の顔面を緩く覆っているのは、まさに黄金の鬣。

 腰まで長さがある黄金の髪は宝石を砕いたように光り輝き、一歩 歩く度に、その表情を変えていく。



 全ての人の思考を吹っ飛ばす威力を持つ、リュシアンの姿からフェリシーは目を離せない。

 自身の意識から外れた身体は震えだし、悲鳴を上げる。身体と心がバラバラに砕け散ったようで、もう…指一本動かせない。




 フェリシーはリュシアンの姿に、完全に意識をもっていかていた。

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