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13部 番外編
みてみて
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ゆりがハロルドとラーズを相手に儀式をした夜のことである。
ゆりは蛇霊神を体に入れるとそのまま気を失ってしまった。
「じゃあ後はよろしく」
ラーズは去って行き、ハロルドは残ってゆりの様子を見守っていた。
(人間の女をこんなに好きになってしまうとは……この女が死ぬ時は、かなりショックを受けるだろうな)
おそらくは今後、これほどまでに好きになる人間の女は現われないだろう。神の生は長いだけに、かなり長い間悲しむことになりそうだ。だからといってもう会わないという選択をすることはできない。たとえその後に深い悲しみが待っていたとしても。
などとちょっとしんみりと考えていると、ゆりに異変が起こった。なんとゆりの髪が少しづつのびているではないか。
(な、なんだ? なんだなんだ?)
人間にはありえない速さである。
(なんだ? 大丈夫なのか? 起こした方が??)
ハロルドが困っていると、ゆりのお腹のほうからふっと白いもやっとしたものが現われた。
「なんだ?」
―トー
(なんか話してる。赤ん坊か?)
もやもやの形が赤ん坊っぽい形をしている。
―へびきた。へびきたよ
赤ん坊はなんだかうれしそうだ。
「よかったな。ところで、お前のママの髪がすごく伸びてるが、平気か?」
ハロルドはこの際と思って赤ん坊に聞いた。
―へーきへーき
「そうか。平気か」
ゆりの気の力は安定していたので、ハロルドは大丈夫そうだと判断した。
―マーすき? ねえ好き? かわいい?
「え?」
―かわいい? ねえねえ
「あーまあ、かわいいな」
「どこがかわいいんだ」などと子供にいうのも大人げないので、ハロルドはそう言った。
―トーみて、かっこいいでしょ
「ん?」
赤ん坊がハロルドに背中を向けた。真っ白な背中に、色が現われた。
様々な色の蛇が2匹、交差するように赤ん坊の背中にひっついている。
「おー綺麗な蛇がいるな」
ハロルドは赤ん坊の背中をなでなでした。
―かっこいい。かっこいい
「かっこいいな」
赤ん坊はこちらに顔を向けていた。笑っているような感じである。
―よしよしして
「よしよし」
ハロルドは赤ん坊の頭をなでなでした。白い赤ん坊はゆりのお腹に消えてしまった。
(しまった。あまりになつかれると、加護をやりたくなってしまうじゃないか。耐えろ)
ハロルドの加護は人間の力の限界を超える力を与えるすごいものだが、加護というものは、神の力の一部でもある。つまり、ハロルドはずっと加護を与えた者達に力を与えているということなのだ。百人でも二百人でも加護をやれるものではない。あまりこの国ばかりもひいきするわけにはいかない。一人に加護をあげたので、それで終わるべきである。
(子供は男の子だな。そうだ。加護はだめだが、この子が大人になったらこっそりいい剣でも贈ろう。それくらいならいいかな)
ハロルドはあれこれ想像しながらゆりの横に寝転んでいたのだった。
ゆりは蛇霊神を体に入れるとそのまま気を失ってしまった。
「じゃあ後はよろしく」
ラーズは去って行き、ハロルドは残ってゆりの様子を見守っていた。
(人間の女をこんなに好きになってしまうとは……この女が死ぬ時は、かなりショックを受けるだろうな)
おそらくは今後、これほどまでに好きになる人間の女は現われないだろう。神の生は長いだけに、かなり長い間悲しむことになりそうだ。だからといってもう会わないという選択をすることはできない。たとえその後に深い悲しみが待っていたとしても。
などとちょっとしんみりと考えていると、ゆりに異変が起こった。なんとゆりの髪が少しづつのびているではないか。
(な、なんだ? なんだなんだ?)
人間にはありえない速さである。
(なんだ? 大丈夫なのか? 起こした方が??)
ハロルドが困っていると、ゆりのお腹のほうからふっと白いもやっとしたものが現われた。
「なんだ?」
―トー
(なんか話してる。赤ん坊か?)
もやもやの形が赤ん坊っぽい形をしている。
―へびきた。へびきたよ
赤ん坊はなんだかうれしそうだ。
「よかったな。ところで、お前のママの髪がすごく伸びてるが、平気か?」
ハロルドはこの際と思って赤ん坊に聞いた。
―へーきへーき
「そうか。平気か」
ゆりの気の力は安定していたので、ハロルドは大丈夫そうだと判断した。
―マーすき? ねえ好き? かわいい?
「え?」
―かわいい? ねえねえ
「あーまあ、かわいいな」
「どこがかわいいんだ」などと子供にいうのも大人げないので、ハロルドはそう言った。
―トーみて、かっこいいでしょ
「ん?」
赤ん坊がハロルドに背中を向けた。真っ白な背中に、色が現われた。
様々な色の蛇が2匹、交差するように赤ん坊の背中にひっついている。
「おー綺麗な蛇がいるな」
ハロルドは赤ん坊の背中をなでなでした。
―かっこいい。かっこいい
「かっこいいな」
赤ん坊はこちらに顔を向けていた。笑っているような感じである。
―よしよしして
「よしよし」
ハロルドは赤ん坊の頭をなでなでした。白い赤ん坊はゆりのお腹に消えてしまった。
(しまった。あまりになつかれると、加護をやりたくなってしまうじゃないか。耐えろ)
ハロルドの加護は人間の力の限界を超える力を与えるすごいものだが、加護というものは、神の力の一部でもある。つまり、ハロルドはずっと加護を与えた者達に力を与えているということなのだ。百人でも二百人でも加護をやれるものではない。あまりこの国ばかりもひいきするわけにはいかない。一人に加護をあげたので、それで終わるべきである。
(子供は男の子だな。そうだ。加護はだめだが、この子が大人になったらこっそりいい剣でも贈ろう。それくらいならいいかな)
ハロルドはあれこれ想像しながらゆりの横に寝転んでいたのだった。
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