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13部 番外編

ねえ見て見て

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「ねえ、見て見て、どう?」
神の国にて、女神ガーベラは下着姿でポーズを取っていた。ここはラクアの神殿、ラクアとラーズがいる。
二人は「おー」とパチパチ手をたたいていた。

ガーベラが今着ている下着は人間が着ている下着で、いわゆるブラジャーとショーツである。どちらも純白で、フリルがついていた。

「また妖精に作ってもらったの?」
ラクアが聞いた。ガーベラは以前、妖精にショーツを作ってもらっている。ちなみにこれを作ったのは男の妖精である。妖精の中には神々の服を作る専門の者達がいる。彼らは日夜神々を引き立たせる衣装を考えているのだ。
「これは着てみてってもらったの。着てみせてあげたら失神しちゃった」
「そりゃするだろう」
とラーズ。ラーズはガーベラの髪をあげて背中はどうなっているのか見ていた。ブラジャーの背中部分は紐でしばられていた。
「これ、どうやって着るんだい?」
ラーズが聞いた。どう考えても自分で着るのは無理だろう。
「女の妖精に手伝ってもらったの」
「それって人間の下着なんだろう? 人間はなんのために着るんだろう」
ラクアは首をかしげている。
「さあ、わからないけど、かわいいでしょ」
「作った妖精も本望だろうな。胸のサイズもよくわかってる」
とラーズ。
ガーベラの胸を覆っている部分もぴったりだ。
「前にサイズを計らせてあげたから。その時も失神したけど」
「失神しまくりだな」
ラーズは笑っている。
ガーベラはその格好のまま椅子に座っていた。

「あ、そうだ。ルチア、昨日泳ぎに来てたけど、すっかりうちの子並に泳ぐようになっちゃって、すごいね。あの子」
ラクアが言った。
「ここにも来てるんだ?」
とラーズ。
「ルーちゃん、うちには全然来ないのよ。女の子らしいことにまったく興味がないんだから」
ガーベラは残念そうである。
「ルチアの行動は日によって変わるから、どこにいるやらさっぱりわからないよ。毎日夕方にはサラディンの神殿にいるけどな」
ラーズが言った。
「どうして?」
ラクアが聞いた。
「お風呂に入りに行ってるんだ。ルチアは熱いお湯が気に入ったんだと。サラディンがルチアの世話をしてるらしい。想像すると笑えるだろ?」
ラーズは笑いながら言っている。
「サラディン、すっかり父性に目覚めちゃって、かわいい♪」
とガーベラ。
「変われば変わるもんだね。泣く子も黙る火の神がさ」
ラクアも微笑んでいた。

外から子供達の大きな声が聞こえてきた。
「あ、ルチア来たんじゃない?」
とラクア。
「え? ほんと?」
ガーベラは下着姿のまま神殿の外に出た。神殿の外の湖を泳いでいる女の子が二人いる。
「がんばれー」
と声援を送っているのは双子の一人、ユリアナである。イオナはルチアと一緒に泳いでいた。
しかもかなりの速さで泳いでいる。
「速い!」
「あ、同じ泳ぎ方してる!」
ガーベラがそこに気がついた。二人が泳いでいるのは、ゆりが以前教えたクロールだった。ゆりがもしここにいたら感動して拍手するに違いない。

「そうそうルチア覚えちゃったんだよ」
とラクア。
「すごいな」
ラーズは二人を目で追っている。二人はすぐ視界からいなくなってしまった。
二人は猛然と神殿の周りを泳ぎ、2周すると、ユリアナは「イオナの勝ち!」と言った。イオナの方が速かったようだ。だがたいした差はなかった。
「やった!」
イオナは喜んでいる。
ルチアは悔しそうだった。
「ルーちゃん明日も勝負」
ルチアはオーケーとばかりにうなずいていた。

「こればかりは負けたくないよね。水の神だからさ」
ルチアは裸のまま湖からあがり、ラクアの元に近づいてきた。
ラクアは持っていた布でルチアの体をふいている。どうも毎日しているような慣れた感じだったので、ガーベラとラーズはつい何もせずに見ていた。
ルチアはラクアに体と髪を拭いてもらうと服を着て去って行った。

「……毎回こんな感じ?」
ラーズが聞いた。
「そうだよ。どうかした?」
とラクア。
「いや、別に、ありがとう」
「?」
「ルーちゃんはいっぱいパパがいるみたいでいいわね。うふふ」
ガーベラは微笑ましげに言って、ルチアを見送ったのだった。
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