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やらかしちゃってる二人
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僕はルーク。
ランダの町でロロドって言う両親の店を手伝ってる。
ルークって名前は、領主様の末っ子の名前で。
手習所の同級生にもあと3人いた。
だから僕は"店のルーク"って呼ばれている。
あと鍛冶屋のルークと、薬師のルークと、兵隊のルークがいる。
皆んなこの街が好きで、仲がいい。
ランダは山の上の街で、温泉がある。
アガードにも近いから、結構ケガした人とかが湯治に来て賑やかなんだ。
ジャスワン様だってくるんだぜ。
僕は本家本元のルーク様だって見たことがあるんだ。
ロロドは宿屋と食堂をやってる。
僕はそこの手伝いをあれこれしてるんだ。
徐々に帳簿を付けたりも教えてもらってる。
ランダの街は魔獣もあんまり出ないし、周りは山と川しかない田舎だけど、のんびりできるって都会の人には人気なんだ。
街も道沿いの家には出窓に花を飾って植えたり、建物は丸太風に統一したりして、都会の人を呼ぶ努力をしているよ。
僕はこの街が大好きさ。
あの二人はちょっと目立ってた。
ロロドは一応上級の宿屋だから、それなりの人しか泊まれない。
2メートル近いマッチョで、フードをとったら豊かなヘイゼルの髪と高い鼻筋。
ちょっと薄い唇はかっこよくてドキッとした。
もう一人は黒い髪ですらっとした細マッチョで、綺麗だけど逞しいってカンジ。
店に入る時、細マッチョがドアを押さえてマッチョを招き入れた。
手を差し出して、エスコートせんばかりのその態度で、騎士と従者だと思った。
いいなぁ。
マッチョなご主人様。
宿帳も細マッチョが書いたし、荷物も持ってる。
しかも部屋へと先導していく。
いいなぁ。
あんな召使いがいたら、至れり尽くせりだ。
バックヤードでそう言ってたら、コックのトーラがあの細マッチョはカイン様だと言った。
えっ‼︎
カイン様って、アガードの領主の御子息様だよね。
ルーク様に会う為にこっちにいるって聞いてたけど…。 なんでっ⁉︎
きっとなんか凄い情報でも掴んで、護衛がてら来たんだよ。ってトーラが頷いた。
ホール係のサグルが、あのマッチョは第三騎士団にいたブルム様かもしれない!
って色めきたった。
なんでもブルム様ってあっちが凄くて、でも上手くて優しいうえにチップをすんごくくれるんで、モテモテだったんだって。
サグルも王都に居た時に一度お相手したことがあって、そりゃもう良かったんだって。
しかもチップが一ヶ月分の給料と同じくらいだったんだって。
いきなりお化粧とか始めたサグルに、ちょっと呆れた。
~~うん。無理だと思う。
だって、なんかあの二人。甘い。
食事をする時に、テラス席だと外の景色を見てたりするのに、あの二人、なんか微笑みあって互いしか見てないカンジで。
ブルム様(仮)なんか、カイン様にスプーンを差し出されてスープ飲んでる…。
ほんのりピンクに頬を染めて。
でかマッチョがもじもじと赤くなるのって、キモ可愛いカンジ?
サグルが水のおかわりとか、替えのスプーンとか、千手観音のように背後に居てもブルム様(仮)は見えてない。
その瞳の中にはカイン様がいて。
カイン様もうっとりと見返している。
この砂糖を吐きそうな甘さに、どうして皆んな気が付かないのぉ‼︎
この店のテラスは二階にあって、坂道の途中だから実質三階位に高い。
街の向こうで歓声が打ち上がった。
人が声高に何か言っている。
足元の道もざわざわして、人はダチョウ牧場のダチョウのように一斉に向こうを見ている。
声は歓声だ。
怒号じゃないから、怖い事じゃ無くて楽しいことだよね。
その楽しい声が弾けて、近づいて来る。
何⁉︎
何⁉︎
僕は見に行きたくて、走り出したくて、足がムズムズした。
よく見えるテラスから、覗くように伺っちゃう。
テラス席の全員が首を伸ばして覗き込んで…
無いっ‼︎
僕は見た。
カイン様がにっこりと笑って「見える?」と聞いた。
ブルム様(仮)がよく見えない。と答えた。
そしたら、
そしたら。
カイン様がブルム様(仮)の腰をくっと持ち上げて、膝の上に乗せたんだ!
ぜってぇカイン様より二倍はある、そのでかいマッチョな体がぴったりと収まる。
二人はきゃっきゃうふふの甘さで
「何だろうねー」と言いながら、たまにカイン様がブルム様(仮)のうなじにちゅっ♡として、もおぅ‼︎ っとか言ってて…。
…僕は何を見せられているんだろう…。
でかマッチョのブルム様(仮)は受けなのっ!
そんなにもじもじと恥じらって…受けなのっ‼︎
~~口から砂糖を吐きそう。
周りを見渡したけど、何故か皆んなはテラスから外を見ていてこっちを見てない。
もしや結界張ってある?
僕、何故かその中に迷い込んだカンジ?
妙な汗をダラダラ垂らしながら"店のルーク"は、いちゃいちゃな二人を見せつけられたのだった。
********
ちなみにルークは人里に降りる為に認識阻害しております。
そしてモデルをゾルにしてました。
あしからず。
ランダの町でロロドって言う両親の店を手伝ってる。
ルークって名前は、領主様の末っ子の名前で。
手習所の同級生にもあと3人いた。
だから僕は"店のルーク"って呼ばれている。
あと鍛冶屋のルークと、薬師のルークと、兵隊のルークがいる。
皆んなこの街が好きで、仲がいい。
ランダは山の上の街で、温泉がある。
アガードにも近いから、結構ケガした人とかが湯治に来て賑やかなんだ。
ジャスワン様だってくるんだぜ。
僕は本家本元のルーク様だって見たことがあるんだ。
ロロドは宿屋と食堂をやってる。
僕はそこの手伝いをあれこれしてるんだ。
徐々に帳簿を付けたりも教えてもらってる。
ランダの街は魔獣もあんまり出ないし、周りは山と川しかない田舎だけど、のんびりできるって都会の人には人気なんだ。
街も道沿いの家には出窓に花を飾って植えたり、建物は丸太風に統一したりして、都会の人を呼ぶ努力をしているよ。
僕はこの街が大好きさ。
あの二人はちょっと目立ってた。
ロロドは一応上級の宿屋だから、それなりの人しか泊まれない。
2メートル近いマッチョで、フードをとったら豊かなヘイゼルの髪と高い鼻筋。
ちょっと薄い唇はかっこよくてドキッとした。
もう一人は黒い髪ですらっとした細マッチョで、綺麗だけど逞しいってカンジ。
店に入る時、細マッチョがドアを押さえてマッチョを招き入れた。
手を差し出して、エスコートせんばかりのその態度で、騎士と従者だと思った。
いいなぁ。
マッチョなご主人様。
宿帳も細マッチョが書いたし、荷物も持ってる。
しかも部屋へと先導していく。
いいなぁ。
あんな召使いがいたら、至れり尽くせりだ。
バックヤードでそう言ってたら、コックのトーラがあの細マッチョはカイン様だと言った。
えっ‼︎
カイン様って、アガードの領主の御子息様だよね。
ルーク様に会う為にこっちにいるって聞いてたけど…。 なんでっ⁉︎
きっとなんか凄い情報でも掴んで、護衛がてら来たんだよ。ってトーラが頷いた。
ホール係のサグルが、あのマッチョは第三騎士団にいたブルム様かもしれない!
って色めきたった。
なんでもブルム様ってあっちが凄くて、でも上手くて優しいうえにチップをすんごくくれるんで、モテモテだったんだって。
サグルも王都に居た時に一度お相手したことがあって、そりゃもう良かったんだって。
しかもチップが一ヶ月分の給料と同じくらいだったんだって。
いきなりお化粧とか始めたサグルに、ちょっと呆れた。
~~うん。無理だと思う。
だって、なんかあの二人。甘い。
食事をする時に、テラス席だと外の景色を見てたりするのに、あの二人、なんか微笑みあって互いしか見てないカンジで。
ブルム様(仮)なんか、カイン様にスプーンを差し出されてスープ飲んでる…。
ほんのりピンクに頬を染めて。
でかマッチョがもじもじと赤くなるのって、キモ可愛いカンジ?
サグルが水のおかわりとか、替えのスプーンとか、千手観音のように背後に居てもブルム様(仮)は見えてない。
その瞳の中にはカイン様がいて。
カイン様もうっとりと見返している。
この砂糖を吐きそうな甘さに、どうして皆んな気が付かないのぉ‼︎
この店のテラスは二階にあって、坂道の途中だから実質三階位に高い。
街の向こうで歓声が打ち上がった。
人が声高に何か言っている。
足元の道もざわざわして、人はダチョウ牧場のダチョウのように一斉に向こうを見ている。
声は歓声だ。
怒号じゃないから、怖い事じゃ無くて楽しいことだよね。
その楽しい声が弾けて、近づいて来る。
何⁉︎
何⁉︎
僕は見に行きたくて、走り出したくて、足がムズムズした。
よく見えるテラスから、覗くように伺っちゃう。
テラス席の全員が首を伸ばして覗き込んで…
無いっ‼︎
僕は見た。
カイン様がにっこりと笑って「見える?」と聞いた。
ブルム様(仮)がよく見えない。と答えた。
そしたら、
そしたら。
カイン様がブルム様(仮)の腰をくっと持ち上げて、膝の上に乗せたんだ!
ぜってぇカイン様より二倍はある、そのでかいマッチョな体がぴったりと収まる。
二人はきゃっきゃうふふの甘さで
「何だろうねー」と言いながら、たまにカイン様がブルム様(仮)のうなじにちゅっ♡として、もおぅ‼︎ っとか言ってて…。
…僕は何を見せられているんだろう…。
でかマッチョのブルム様(仮)は受けなのっ!
そんなにもじもじと恥じらって…受けなのっ‼︎
~~口から砂糖を吐きそう。
周りを見渡したけど、何故か皆んなはテラスから外を見ていてこっちを見てない。
もしや結界張ってある?
僕、何故かその中に迷い込んだカンジ?
妙な汗をダラダラ垂らしながら"店のルーク"は、いちゃいちゃな二人を見せつけられたのだった。
********
ちなみにルークは人里に降りる為に認識阻害しております。
そしてモデルをゾルにしてました。
あしからず。
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