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学園という社会
10 綺麗な留学生
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並ぶ街路樹には、少し色付いた葉がある。
この国ははっきりした四季がある。
フィルはひらひらと舞い落ちる葉にぼんやりと見惚れ、次に落ちた紅葉を拾った。
路は石畳で半円を描いている。
学園の寮から教義棟へと歩くのはとても楽しい。
バーロイが背後に付き従っている。
この国で専属の従者を連れているのは少ない。
伯爵位以上のもので、豊かな領地を持っているものだけだ。
貧乏貴族や領地無しは共同で従者を雇っていた。
フィルにはもちろん従者がいる。
隣国から来た上級貴族なのは勿論。
身体が弱いと前期を休んだものだから、世話をする者が必須だったのだ。
この時、フィルはあちこちから惚け~っとした物欲しげな視線で見られているのに気が付かなかった。
ぼんやりと紅葉を見上げるフィルは、そりゃもう儚げな美少年で。色付いた葉に同化するようなストロベリーブロンドのおかげか、もう、なんかの妖精のようで。
バーロイは潜む奴等をチェックして、さりげ無く威圧を発してフィルを守っていた。
フィルが入学してから、まぁ大変だった。
前期にいなかった美人が現れたのだ。
幸い"隣国の"と言う枕詞のおかげで、互いに牽制し合ってガツガツ来てない。
そして。
フィルにとってはそんなことより、食堂の昼食の方が大きな問題だった。
はっきり言って、フィルは多少腐った物を食べても腹を壊さない自信のあるボディで、めっちゃ丈夫だった。
ただ幼い頃からの食料事情の所為か、小柄で細い。
骨からして細い。
学園の食堂でちびちびと昼食を食べて。
ああ、お腹がいっぱいですぅ。
を、演じているが、正直大食漢だ!
がっつり三人前のステーキを食べても、余裕でデザートが入る。
病弱設定の為に外で小食でいるが、寮で食べ出すと山盛りだ。大変燃費が悪い。
この大量の食料が、その細い身体の何処へ消えていくのかと、バーロイですら疑問に思っている。外見詐欺だ。
食堂では設定の為に量を食べない。
量がダメなら質‼︎
幸いこの学園の食堂は、コンソメの味一つをとってもあのホテルに負けて無い。
気を紛らわすために外を観ながらゆっくり食事する。
そんな紅葉に見惚れるフィルに、人は見惚れる。
「ご馳走様でした。」
給仕に声かけは欠かさない。
そして微笑みも欠かさない。
バーロイの指示の元、何とか貴族の学園生活を送っていた。
今や流れるように歩く。
バーロイが一挙一動を厳しくチェックしているのを知っているから気を抜かない。
部屋に帰ると毎日指導が入る。
「フィルオード様」
廊下に足音が二つ。
もしやと思ったら、やっぱりカステル様とその従者だった。
ご機嫌よう、と軽く腰を落とす。
「フィルオード様。共に昼食に参りましょうとお誘いしていたではありませんか」
ちっ。
勘弁してくれよ。
スルーしたのを感じて悟れよ。
面倒くせぇなあ。
さり気なく腰に伸ばされた手を、風にのった水の流れのようにふわっとかわす。
この"ふわっと"がキモだ。
露骨にうおっと避けたら、顔を潰すことになるからな。
風に押されてズレた。
と、思わせるのが大事なのだ。
このように。
最近フィルにやたらぐいぐい群がるようになった。
うっかりバレたら大変だ!
フィルは警戒している。
この国ははっきりした四季がある。
フィルはひらひらと舞い落ちる葉にぼんやりと見惚れ、次に落ちた紅葉を拾った。
路は石畳で半円を描いている。
学園の寮から教義棟へと歩くのはとても楽しい。
バーロイが背後に付き従っている。
この国で専属の従者を連れているのは少ない。
伯爵位以上のもので、豊かな領地を持っているものだけだ。
貧乏貴族や領地無しは共同で従者を雇っていた。
フィルにはもちろん従者がいる。
隣国から来た上級貴族なのは勿論。
身体が弱いと前期を休んだものだから、世話をする者が必須だったのだ。
この時、フィルはあちこちから惚け~っとした物欲しげな視線で見られているのに気が付かなかった。
ぼんやりと紅葉を見上げるフィルは、そりゃもう儚げな美少年で。色付いた葉に同化するようなストロベリーブロンドのおかげか、もう、なんかの妖精のようで。
バーロイは潜む奴等をチェックして、さりげ無く威圧を発してフィルを守っていた。
フィルが入学してから、まぁ大変だった。
前期にいなかった美人が現れたのだ。
幸い"隣国の"と言う枕詞のおかげで、互いに牽制し合ってガツガツ来てない。
そして。
フィルにとってはそんなことより、食堂の昼食の方が大きな問題だった。
はっきり言って、フィルは多少腐った物を食べても腹を壊さない自信のあるボディで、めっちゃ丈夫だった。
ただ幼い頃からの食料事情の所為か、小柄で細い。
骨からして細い。
学園の食堂でちびちびと昼食を食べて。
ああ、お腹がいっぱいですぅ。
を、演じているが、正直大食漢だ!
がっつり三人前のステーキを食べても、余裕でデザートが入る。
病弱設定の為に外で小食でいるが、寮で食べ出すと山盛りだ。大変燃費が悪い。
この大量の食料が、その細い身体の何処へ消えていくのかと、バーロイですら疑問に思っている。外見詐欺だ。
食堂では設定の為に量を食べない。
量がダメなら質‼︎
幸いこの学園の食堂は、コンソメの味一つをとってもあのホテルに負けて無い。
気を紛らわすために外を観ながらゆっくり食事する。
そんな紅葉に見惚れるフィルに、人は見惚れる。
「ご馳走様でした。」
給仕に声かけは欠かさない。
そして微笑みも欠かさない。
バーロイの指示の元、何とか貴族の学園生活を送っていた。
今や流れるように歩く。
バーロイが一挙一動を厳しくチェックしているのを知っているから気を抜かない。
部屋に帰ると毎日指導が入る。
「フィルオード様」
廊下に足音が二つ。
もしやと思ったら、やっぱりカステル様とその従者だった。
ご機嫌よう、と軽く腰を落とす。
「フィルオード様。共に昼食に参りましょうとお誘いしていたではありませんか」
ちっ。
勘弁してくれよ。
スルーしたのを感じて悟れよ。
面倒くせぇなあ。
さり気なく腰に伸ばされた手を、風にのった水の流れのようにふわっとかわす。
この"ふわっと"がキモだ。
露骨にうおっと避けたら、顔を潰すことになるからな。
風に押されてズレた。
と、思わせるのが大事なのだ。
このように。
最近フィルにやたらぐいぐい群がるようになった。
うっかりバレたら大変だ!
フィルは警戒している。
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