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学園
5 お詫びの花束
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夕食の為の着替えをしていると、扉がノックされた。
そこには顔が見えないほどに巨大な花束を掲げた侯爵家のフットマンがいた。
赤・白・黄色。
色の洪水だ。
しかも種類も薔薇にチューリップに矢車草といろいろだ。
その、男一人で抱えてよろける程に大きな花束に、レリアは戸惑った。
【今日をお詫びしたします。
騎士として、貴方に誇れる自分である事を誓います。
貴方のロダン・マスティフ 】
「何だこりゃあ!」
カードを読んだレリアは頓狂な声を上げた。
ロダンって、あの三人組の一人だ。
騎士団長のバカ息子の。
シャルアの腕を掴もうとするから、捻り上げてやった、あの赤毛の脳筋マッチョだ。
はあぁぁぁっ!
貴方のってナニ⁉︎
どゆこと⁉︎
レリアのパニックをすがめた目で見ながらも、ベルガーは手早く花を生けていく。
さすがは侯爵家。
花瓶の不足は無いんだな。
ベッドサイドからテーブル。
果ては洗面所まで、花がどっちゃりだ。
「……ざまぁのカケラについて、詳しくお話し願えますか?」
低い。
這いずる声でベルガーが聞く。
いや、それ、主に向ける圧じゃないからね。
やましい事を何一つした訳でも無いのに、おどおどと説明する。
腕組みして、顎をトントンしながら(おいっ、おまえは侍従だぞー)聞いていたベルガーは、ちっと舌を打った。
えっ、空耳⁉︎
ビクッと目を見開くレリアに、ベルガーは麗しい笑みを返した。
「サフィア様へのざまぁは、王子と騎士団長の御子息と財務大臣の御子息の三人が関わっていたと存じ上げております。」
指をぐっと三本立てたその笑。
なんか、超胡散臭いぞっ。
「流石でございます。
レリア様、その一角を崩されましたね。
これで今代のざまぁは、不発。
上手くいくと自爆になるかもしれませんねぇ。」
はあ、今代のざまぁってなんだよ。
あ、シャルア嬢のこと?
う~~ん。
やっぱりあるのかなぁ。
面倒くさいなぁ。
そのまま食堂に行くと、すでにシャルアがテーブルについていた。
侯爵夫妻は夜会に行かれて不在たま。
だから、まぁ、口調はちょっと砕けちゃう。
「私にも、ロダン様からブーケが届いたのよ。」
「ブーケ?」
「そう、小ぶりな感じの。」
手のひらをふわりと動かして大きさを現す。
……違う。
倍。
どころか、3倍以上違う。
レリアのげんなりした顔を見て、シャルアがくすりと笑った。
「もちろんお詫びのカードがございましたわよ。
『レリア様によろしく』と書いてございましたわ。」
「うわあぁっ!」
なんだろう。
あの脳筋マッチョはMなのかっ!
腕を捻られてMに目覚めたのかっ!
思ってる事を口から垂れ流していたらしく、シャルアは笑い崩れた。
「物凄く近くに寄って、触れてたから。
その眼鏡の力があまり効かなかったのかもね。貴方、信奉者を一人手に入れちゃったわね。」
「いらねぇー」
なんだかいろいろ巻き込まれる未来が見えて、レリアはガックリと肩を落とした。
そこには顔が見えないほどに巨大な花束を掲げた侯爵家のフットマンがいた。
赤・白・黄色。
色の洪水だ。
しかも種類も薔薇にチューリップに矢車草といろいろだ。
その、男一人で抱えてよろける程に大きな花束に、レリアは戸惑った。
【今日をお詫びしたします。
騎士として、貴方に誇れる自分である事を誓います。
貴方のロダン・マスティフ 】
「何だこりゃあ!」
カードを読んだレリアは頓狂な声を上げた。
ロダンって、あの三人組の一人だ。
騎士団長のバカ息子の。
シャルアの腕を掴もうとするから、捻り上げてやった、あの赤毛の脳筋マッチョだ。
はあぁぁぁっ!
貴方のってナニ⁉︎
どゆこと⁉︎
レリアのパニックをすがめた目で見ながらも、ベルガーは手早く花を生けていく。
さすがは侯爵家。
花瓶の不足は無いんだな。
ベッドサイドからテーブル。
果ては洗面所まで、花がどっちゃりだ。
「……ざまぁのカケラについて、詳しくお話し願えますか?」
低い。
這いずる声でベルガーが聞く。
いや、それ、主に向ける圧じゃないからね。
やましい事を何一つした訳でも無いのに、おどおどと説明する。
腕組みして、顎をトントンしながら(おいっ、おまえは侍従だぞー)聞いていたベルガーは、ちっと舌を打った。
えっ、空耳⁉︎
ビクッと目を見開くレリアに、ベルガーは麗しい笑みを返した。
「サフィア様へのざまぁは、王子と騎士団長の御子息と財務大臣の御子息の三人が関わっていたと存じ上げております。」
指をぐっと三本立てたその笑。
なんか、超胡散臭いぞっ。
「流石でございます。
レリア様、その一角を崩されましたね。
これで今代のざまぁは、不発。
上手くいくと自爆になるかもしれませんねぇ。」
はあ、今代のざまぁってなんだよ。
あ、シャルア嬢のこと?
う~~ん。
やっぱりあるのかなぁ。
面倒くさいなぁ。
そのまま食堂に行くと、すでにシャルアがテーブルについていた。
侯爵夫妻は夜会に行かれて不在たま。
だから、まぁ、口調はちょっと砕けちゃう。
「私にも、ロダン様からブーケが届いたのよ。」
「ブーケ?」
「そう、小ぶりな感じの。」
手のひらをふわりと動かして大きさを現す。
……違う。
倍。
どころか、3倍以上違う。
レリアのげんなりした顔を見て、シャルアがくすりと笑った。
「もちろんお詫びのカードがございましたわよ。
『レリア様によろしく』と書いてございましたわ。」
「うわあぁっ!」
なんだろう。
あの脳筋マッチョはMなのかっ!
腕を捻られてMに目覚めたのかっ!
思ってる事を口から垂れ流していたらしく、シャルアは笑い崩れた。
「物凄く近くに寄って、触れてたから。
その眼鏡の力があまり効かなかったのかもね。貴方、信奉者を一人手に入れちゃったわね。」
「いらねぇー」
なんだかいろいろ巻き込まれる未来が見えて、レリアはガックリと肩を落とした。
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