17 / 59
城での生活
4 キャットファイト
しおりを挟む
人差し指を揺らすと、ガルゼは礼をするように離れて行った。
いつでもどんな時でもガルゼの動きは美しい。
床に潰れていた金髪は、喚きながら起き上がった。
そしてこっちを指差す。
ぶんぶんと振り回しながら指を指す。
「なんだよ、お前‼︎
僕にこんな事してただじゃすまないぞっ!」
"人を指差してはいけません"キリルはそう教えられた人間だ。怒りをマグマのように内に溜めて、にっこりと金髪に向かう。
「あら、貴方はお偉い方なのですか?」
「当たり前だ!前の領主夫人の弟で、伯爵の家の者だ!それに今の領主の大事な人だ!」
執事長が弟のところで頷き、大事な人のところで首を振った。
「ったく。
ちょっと目を離したら嫌らしく入り込むんだからな。
アルベルトがいないのはわかってるんだぞ。
いない隙に入り込んで、既成事実を作るつもりなんだろうけど、僕がいる限りそんな事許さないからなっ‼︎」
おやおや~。さっきの従者の"5日"といい"入り込む"といい、作為的な匂いがしちゃうよ?
執事長がなんとも言えない情け無い顔でこっちを見ている。
キリルはうんうんと、軽く目で頷いた。
コレが仕組まれたキャットファイトだとしても、貴方達への追求は後ほど。
「ネプラ様。"他家への訪問は使者を送ってから"と習いましたでしょう。学園での勉学が全く無駄になってしまいましたね」
キリルの毒は甘い。
御し易い方から崩していく。
その菫色の瞳に絡められて、ネプラは赤くなった。
金髪がムッとしてキリルに腕を振り上げる。
それを軽く掴むとくるりと後ろへステップを踏む。
ぐぎゃあっ‼︎
腕を捻られて金髪は濁音で叫んだ。
あ、さっきガルゼが固めてたのとは違う方。
優しいからね、僕。
「つまり貴方はアルベルト様の愛人というわけですね」
恋人と愛人。
似ているようで違う。
ぜんぜん違う。
それに気がついた金髪に、ことさら甘く囁く。
甘すぎて、蜜が垂れているようだ。
「はじめまして。
アルベルト様と夫夫になりました、キリルと申します。」
「はあぁぁぁぁっ⁉︎」
夫夫と言う単語に、ネプラも叫んでいる。
「これは本妻へ愛人が殴り込みをかけてきた…という認識でよろしいでしょうか?」
凄いな。
怒りで毛根が立って、髪が逆立ってるじゃないか。
金髪は肩越しに睨みあげながら怒鳴った。
「嘘つくなっ‼︎
まだやって来て5日も経ってないだろうがっ!
アルベルトを堕としてる筈はないっ!?
ここの領主夫人になるのは僕なんだからなっ!」
ふっふぅ~ん。
こぉんな生意気な奴。大好物さ‼︎
しかも目の前に赤い糸の端っこと端っこをくっつけあってる。って、…ハ・ラ・タ・ツ
徹底抗戦しちゃうからね。
"礼儀知らず"
"殴り込み"
という単語にネプラはすでに顔色が青より白い。
しかもキリルが公爵家だったと知っている。
おろおろと
「そ、それは…」とか
「ビーチェ、やめないか」
とか声を出してるのにチラ見もされてない。
そうだぞ。
そうやっておろおろと優柔不断だから、学園でもナンパが成功しなかったんだぞ。
いつでもどんな時でもガルゼの動きは美しい。
床に潰れていた金髪は、喚きながら起き上がった。
そしてこっちを指差す。
ぶんぶんと振り回しながら指を指す。
「なんだよ、お前‼︎
僕にこんな事してただじゃすまないぞっ!」
"人を指差してはいけません"キリルはそう教えられた人間だ。怒りをマグマのように内に溜めて、にっこりと金髪に向かう。
「あら、貴方はお偉い方なのですか?」
「当たり前だ!前の領主夫人の弟で、伯爵の家の者だ!それに今の領主の大事な人だ!」
執事長が弟のところで頷き、大事な人のところで首を振った。
「ったく。
ちょっと目を離したら嫌らしく入り込むんだからな。
アルベルトがいないのはわかってるんだぞ。
いない隙に入り込んで、既成事実を作るつもりなんだろうけど、僕がいる限りそんな事許さないからなっ‼︎」
おやおや~。さっきの従者の"5日"といい"入り込む"といい、作為的な匂いがしちゃうよ?
執事長がなんとも言えない情け無い顔でこっちを見ている。
キリルはうんうんと、軽く目で頷いた。
コレが仕組まれたキャットファイトだとしても、貴方達への追求は後ほど。
「ネプラ様。"他家への訪問は使者を送ってから"と習いましたでしょう。学園での勉学が全く無駄になってしまいましたね」
キリルの毒は甘い。
御し易い方から崩していく。
その菫色の瞳に絡められて、ネプラは赤くなった。
金髪がムッとしてキリルに腕を振り上げる。
それを軽く掴むとくるりと後ろへステップを踏む。
ぐぎゃあっ‼︎
腕を捻られて金髪は濁音で叫んだ。
あ、さっきガルゼが固めてたのとは違う方。
優しいからね、僕。
「つまり貴方はアルベルト様の愛人というわけですね」
恋人と愛人。
似ているようで違う。
ぜんぜん違う。
それに気がついた金髪に、ことさら甘く囁く。
甘すぎて、蜜が垂れているようだ。
「はじめまして。
アルベルト様と夫夫になりました、キリルと申します。」
「はあぁぁぁぁっ⁉︎」
夫夫と言う単語に、ネプラも叫んでいる。
「これは本妻へ愛人が殴り込みをかけてきた…という認識でよろしいでしょうか?」
凄いな。
怒りで毛根が立って、髪が逆立ってるじゃないか。
金髪は肩越しに睨みあげながら怒鳴った。
「嘘つくなっ‼︎
まだやって来て5日も経ってないだろうがっ!
アルベルトを堕としてる筈はないっ!?
ここの領主夫人になるのは僕なんだからなっ!」
ふっふぅ~ん。
こぉんな生意気な奴。大好物さ‼︎
しかも目の前に赤い糸の端っこと端っこをくっつけあってる。って、…ハ・ラ・タ・ツ
徹底抗戦しちゃうからね。
"礼儀知らず"
"殴り込み"
という単語にネプラはすでに顔色が青より白い。
しかもキリルが公爵家だったと知っている。
おろおろと
「そ、それは…」とか
「ビーチェ、やめないか」
とか声を出してるのにチラ見もされてない。
そうだぞ。
そうやっておろおろと優柔不断だから、学園でもナンパが成功しなかったんだぞ。
92
お気に入りに追加
349
あなたにおすすめの小説
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
狂わせたのは君なのに
白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり
攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました
白兪
BL
前世で妹がプレイしていた乙女ゲーム「君とユニバース」に転生してしまったアース。
攻略対象者ってことはイケメンだし将来も安泰じゃん!と喜ぶが、アースは人気最下位キャラ。あんまりパッとするところがないアースだが、気がついたら王太子の婚約者になっていた…。
なんとか友達に戻ろうとする主人公と離そうとしない激甘王太子の攻防はいかに!?
ゆっくり書き進めていこうと思います。拙い文章ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。
ギャルゲー主人公に狙われてます
白兪
BL
前世の記憶がある秋人は、ここが前世に遊んでいたギャルゲームの世界だと気づく。
自分の役割は主人公の親友ポジ
ゲームファンの自分には特等席だと大喜びするが、、、
王子様から逃げられない!
白兪
BL
目を覚ますとBLゲームの主人公になっていた恭弥。この世界が受け入れられず、何とかして元の世界に戻りたいと考えるようになる。ゲームをクリアすれば元の世界に戻れるのでは…?そう思い立つが、思わぬ障壁が立ち塞がる。
王太子殿下は悪役令息のいいなり
白兪
BL
「王太子殿下は公爵令息に誑かされている」
そんな噂が立ち出したのはいつからだろう。
しかし、当の王太子は噂など気にせず公爵令息を溺愛していて…!?
スパダリ王太子とまったり令息が周囲の勘違いを自然と解いていきながら、甘々な日々を送る話です。
ハッピーエンドが大好きな私が気ままに書きます。最後まで応援していただけると嬉しいです。
書き終わっているので完結保証です。
女装令息と性癖を歪められた王子
白兪
BL
レーリアは公爵家の次男だが、普段は女装をしている。その理由は女装が似合っていて可愛いから。どの女の子よりも1番可愛い自信があったが、成長とともに限界を感じるようになる。そんなとき、聖女として現れたステラを見て諦めがつく。女装はやめよう、そう決意したのに周りは受け入れてくれなくて…。
ラブコメにする予定です。シリアス展開は考えてないです。頭を空っぽにして読んでくれると嬉しいです!相手役を変態にするので苦手な方は気をつけてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる