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男神の眩惑
5 竜は伴侶を手に入れる。(グロ表現あります)
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腹から胞衣を引き摺り出したことで、暴力的な程に血の匂いが湧き上がった。
ネティの胸にしがみついていたアキラの頭の中に言葉が瞬く。
(焼き尽くせ!喰え。奴等に渡すな。)
(お願い。僕を奴等に渡さないで。)
(喰え。奴等に渡すな。ネティを迷わせるな)
黒い王が笑う。
「死体でもいい。ソレがあったら何体でも培養してやる。ソイツは俺のものだ。」
(ネティを奴等に弄ばせるな。)
(喰え。骨さえ残さず喰え。)
アキラの腕の中で冷たくなっていく体。
その恐怖が心を蝕む。
たまらなかった。
ネティが。
ネティを。
頬が涙でぐずぐずになり、その塩分でヒリヒリする。
(お願い。)
ネティの柔らかい口元が半開きになって告げる
(僕を渡さないで。)
お願い。
愛を囁きながら、そう言っていたネティ。
もちろんだ。
おまえは俺のものだ。
誰にも渡さない。
血の一滴、髪の一本でさえ渡さない。
誰にも。
誰にも。
俺のものだ。
アキラは大きく口を開けると、思い切り噛んだ。
嫌な感触が歯に響く。
まだ固い果実を噛むような、ガリリという感触があった。
ぎりぎりと顎に力をいれると、厚い布を裂くような、びりりという感触が唇にあたる。
やがて何かを噛み切る時のぶつりという感触が、振動とともに頬を揺らした。
ーーその途端ーー
口の中に脂肪のとろりとした感触と鉄サビのような匂いが一気に広がった。
無理やり嚥下する。
膨らみかけたネティの乳房に顔を埋めると、再び大きく口を開けた。
それは甘く、噛み締めるよりも早く溶けていく。
口の端から垂れる筋や血管を引きちぎりながら飲み込むと、再び噛み付いた。
身体が熱く疼いていた。
頬を涙が止めどなく落ちていく。
俺はもう人間じゃない。
ぐちゅぐちゅと噛み締めながら喰い続ける。
頭の中で声がする。
自分を映す銀の瞳が愛しげに揺れる。
(お願い。奴等に渡さないで。)
アキラの舌が肋骨を舐めあげる。
まだ暖かい体の血溜まりに顔を埋め、腑を噛みちぎり。ずるずると血を啜る。
こつん、こつんと歯が骨に当たる。
呻き声が呪文のように自分の口から漏れ、咀嚼音とともに結界の中を充満していく。
綺麗な顔をそっと撫でる。
いつのまにかふしくれだった手に、爪が硬く伸びていた。
長い舌を、ネティの宙を見ている目に当てる。
もう、この目は自分を映していない。
何も映していない。
ゆっくりと舌を使って目玉を抉り出す。
延びた血管がぷちぷちと切れた。
口の中でその球体を転がす。
甘い。
延髄が痺れるような甘さだ。
満足感が溢れてくる。
いつかこの目でまた俺を見れるように。
この目で俺に微笑みかけれるように。
決して潰さない。
この球体のまま嚥下する。
体温を失っていく頬も、ざくりと噛みとる。
ああ、ネティの匂いがする。
愛してる。
俺の中でひとつになろう。
みしりとした肉の甘さに、うっとりしながら食べ進める。
決して残さない。
髪も、爪も、骨も。
血の一滴も、誰にも渡さない。
ひと噛みづつ、ネティの魔力が体の中に溢れてきて、自分の魔力とぐるぐる回って熱い。
汗が全身の穴という穴から噴き出す。
ぽたぽたと汗が床に当たるたびに、その熱さでじゅっと蒸発していく。
風の結界の中は、蜃気楼が揺らめくような熱さに変じて、自分の呼吸音と咀嚼音だけがする。
熱い。
肉の内側から焙られている。
溶け合う魔力がジリジリ焙っている。
焙られながら、肉がよじれて変貌していく。
ぜひゅっ。
ぜひゅっ。
自分の喉の奥が、骨を擦るような息に変わる。
一緒に行こう。
ずっと離れない。
噛みきれない骨は、風と熱で粉々にして舐めとる。
(奴等に渡さないで。)
もちろんだ。
ぜんぶ奥のものだ。
内包していたネティの魔力が、渦を巻いている結界の風にバチバチと光って反射する。
みしりと自分の体が床を軋ませているのに、アキラは気が付かない。
手と脚の関節がねじくれ、奇妙な角度に伸びていく。
腹のあたりの肉が弾け、みるまに青黒く変わっていく。
背の肉の下からぼこぼこと肩甲骨が尖っていく。
皮膚がめくれ、そこが裂けて血が溢れた。
ああ……。
なんて気持ちがいいんだ。
脳が痺れて、アキラは何度も射精していた。
自分の中にネティの力が染み渡る。
細胞一つ一つが変貌して、二人のものに変わっていく。
これで一緒だ。
もう離れない。
ネティの胸にしがみついていたアキラの頭の中に言葉が瞬く。
(焼き尽くせ!喰え。奴等に渡すな。)
(お願い。僕を奴等に渡さないで。)
(喰え。奴等に渡すな。ネティを迷わせるな)
黒い王が笑う。
「死体でもいい。ソレがあったら何体でも培養してやる。ソイツは俺のものだ。」
(ネティを奴等に弄ばせるな。)
(喰え。骨さえ残さず喰え。)
アキラの腕の中で冷たくなっていく体。
その恐怖が心を蝕む。
たまらなかった。
ネティが。
ネティを。
頬が涙でぐずぐずになり、その塩分でヒリヒリする。
(お願い。)
ネティの柔らかい口元が半開きになって告げる
(僕を渡さないで。)
お願い。
愛を囁きながら、そう言っていたネティ。
もちろんだ。
おまえは俺のものだ。
誰にも渡さない。
血の一滴、髪の一本でさえ渡さない。
誰にも。
誰にも。
俺のものだ。
アキラは大きく口を開けると、思い切り噛んだ。
嫌な感触が歯に響く。
まだ固い果実を噛むような、ガリリという感触があった。
ぎりぎりと顎に力をいれると、厚い布を裂くような、びりりという感触が唇にあたる。
やがて何かを噛み切る時のぶつりという感触が、振動とともに頬を揺らした。
ーーその途端ーー
口の中に脂肪のとろりとした感触と鉄サビのような匂いが一気に広がった。
無理やり嚥下する。
膨らみかけたネティの乳房に顔を埋めると、再び大きく口を開けた。
それは甘く、噛み締めるよりも早く溶けていく。
口の端から垂れる筋や血管を引きちぎりながら飲み込むと、再び噛み付いた。
身体が熱く疼いていた。
頬を涙が止めどなく落ちていく。
俺はもう人間じゃない。
ぐちゅぐちゅと噛み締めながら喰い続ける。
頭の中で声がする。
自分を映す銀の瞳が愛しげに揺れる。
(お願い。奴等に渡さないで。)
アキラの舌が肋骨を舐めあげる。
まだ暖かい体の血溜まりに顔を埋め、腑を噛みちぎり。ずるずると血を啜る。
こつん、こつんと歯が骨に当たる。
呻き声が呪文のように自分の口から漏れ、咀嚼音とともに結界の中を充満していく。
綺麗な顔をそっと撫でる。
いつのまにかふしくれだった手に、爪が硬く伸びていた。
長い舌を、ネティの宙を見ている目に当てる。
もう、この目は自分を映していない。
何も映していない。
ゆっくりと舌を使って目玉を抉り出す。
延びた血管がぷちぷちと切れた。
口の中でその球体を転がす。
甘い。
延髄が痺れるような甘さだ。
満足感が溢れてくる。
いつかこの目でまた俺を見れるように。
この目で俺に微笑みかけれるように。
決して潰さない。
この球体のまま嚥下する。
体温を失っていく頬も、ざくりと噛みとる。
ああ、ネティの匂いがする。
愛してる。
俺の中でひとつになろう。
みしりとした肉の甘さに、うっとりしながら食べ進める。
決して残さない。
髪も、爪も、骨も。
血の一滴も、誰にも渡さない。
ひと噛みづつ、ネティの魔力が体の中に溢れてきて、自分の魔力とぐるぐる回って熱い。
汗が全身の穴という穴から噴き出す。
ぽたぽたと汗が床に当たるたびに、その熱さでじゅっと蒸発していく。
風の結界の中は、蜃気楼が揺らめくような熱さに変じて、自分の呼吸音と咀嚼音だけがする。
熱い。
肉の内側から焙られている。
溶け合う魔力がジリジリ焙っている。
焙られながら、肉がよじれて変貌していく。
ぜひゅっ。
ぜひゅっ。
自分の喉の奥が、骨を擦るような息に変わる。
一緒に行こう。
ずっと離れない。
噛みきれない骨は、風と熱で粉々にして舐めとる。
(奴等に渡さないで。)
もちろんだ。
ぜんぶ奥のものだ。
内包していたネティの魔力が、渦を巻いている結界の風にバチバチと光って反射する。
みしりと自分の体が床を軋ませているのに、アキラは気が付かない。
手と脚の関節がねじくれ、奇妙な角度に伸びていく。
腹のあたりの肉が弾け、みるまに青黒く変わっていく。
背の肉の下からぼこぼこと肩甲骨が尖っていく。
皮膚がめくれ、そこが裂けて血が溢れた。
ああ……。
なんて気持ちがいいんだ。
脳が痺れて、アキラは何度も射精していた。
自分の中にネティの力が染み渡る。
細胞一つ一つが変貌して、二人のものに変わっていく。
これで一緒だ。
もう離れない。
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