囚われの斎王は快楽に溺れる 竜と神話の王国

血の護り人

10 溺れる脳は自分をだます

砂から引き出したルーダガーのとどめを刺してから、イシスは子供達に指示を出した。
見事なフォメーションで、次の獲物へと散開する。
野生の竜達は、イシスをトップに素晴らしい連携で狩をしていた。
成る程、これは人の手を必要としない。
アキラは感心しながら、イシスに乗っていた。
疲れているネティに出来るだけ、栄養をとってもらいたい。
この肉を焼いて、オアシスの木ノ実を添えて。柔らかく叩けば肉もつるりと喉に通るはずだ。


キーンと耳鳴りに似たものが大気を揺らした。

アキラを乗せて走っていたイシスが、いきなり止まる。
動きに押されて、アキラの体が大きく揺れた。


『コロされタ！　さらワレた！』

叫びがアキラの脳を殴りつけた。

命じるまでもなく竜が一斉に反転して走りだす。
早い。
感じたことのない本気の走りに、しがみつくのが精一杯だ。

雪崩れ込むように走り込んだオアシスには、血で染まったまだ暖かい竜だけが転がっていた。
アキラはネティを探して走り回る。
竜はふんふんと音をさせながら匂いをかぐ。

『アノ竜ノだえきダ！』

イシスの叫びが脳を焼く。

『ノレ！イク！』

イシスの怒りと焦りが焼き尽くすほどに伝わる。

「頼む！行ってくれ！」

飛び乗ると同時に竜は走り出した。
我が子を殺された事と、ネティを拐われたことへの怒り。
イシス達は溢れた唾液の匂いと、ネティとの繋がりでひたすら跡を追う。

「イシス。出口を明確にできるなら、転移も使うから！」

そう、今ならイシスの脳内イメージをクリアに追える。
それなら俺の知らない出口へも転移できる。

イシスは沸騰した頭を少し冷ましながら、俺のことばを吟味していた。






自分のふとももよりも細い腰を捕まえて。
その中に飲み込まれて行く事に、ザイルは不思議な感動を覚えた。

そんな他人事な感想も、肉壁が律動をはじめると吹っ飛んだ。
ザイルのものを掴み、摩り、蠢いてる肉壁がぐじゅぐじゅと締め上げる。
その蠢きは初めての感覚で、すぐに飛ばされそうになって抜き出した。

「ああぁぁ……ん……  」

離れていくザイルのペニスを腰が追う。
まるで踊っているようだ。
抽出にあって、激しく揺れ動く。

「あん、アキラ。アキラ。…いぃ、もっと…」

はしたなく叫ぶネティの声に煽られながら、頭の片隅が冷めていく。

この自分を、こいつはアキラと信じている。
だからこの巨大なペニスを受け入れて嬌声をあげている。
妬心が湧き上がって乳首に噛みついた。

あっあっと息を吐きながら、ザイルの頭を抱え込む。
細い指が髪を掻き回すのに、ほとんど放ちそうな愉悦が湧き上がった。

そっと舌で噛み跡を舐める。
……甘い……。
少し膨らみができている胸は乳が出ているのか、うっすら甘いものが舌に溢れる。
ちょっとなのに、その甘さが口中に広がり、心から脳から痺れていく。

なんだこの感情は……。
感じた事の無い幸福感が、足の爪先まで広がっていく。

「アキラぁ、…気持ちい…い…んん…」

ネティの声が耳から脳を浸し、体中を巡る。

甘い、甘いものがザイルを溺れさせていった。