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女神の血脈
21 スノトラ
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深夜、割り当てられている部屋で人の気配を感じた。
無意識のうちに結界を張ってるはずなのに。
目を開けたらスノトラがいた。
スノトラは本当に不思議な人だ。
こんなにキラキラした金髪で翡翠みたいな目で綺麗なのに、気配を完全に殺せる。
いつだったか街でずっと隣にいたのに気がついて、びっくりした事があった。
「誕生日おめでとう。」
囁き声で言う。
「この城の守りの魔法に引っかかるから念話は使えないんだ。神殿の合図を見たよ。
偉かったね、神殿に駆け込まなくて正解だよ」
抱きしめてくれる。
不思議な事になんの匂いもしない。
でも、バーキュライトから取り残されて宙ぶらりんだと思っていた心が、すごく、すごく落ち着いて、涙が出てしまった。
「よく聞いて、ネティ。ゼオライトはいろいろとバーキュライトの秘密を手に入れて来ている。君はこのままナカツクニに隠れていて。隙を見て連れ戻せるようにしているから。」
頷くしか無い。
涙が止まらなくなってしまった。
「ああネティ。成人してしまったから、捕まったら本当に危ないんだ。斎王も、みんなも、心配して祈っているよ。」
涙を拭いてから帰って行った。
どうやって帰ったのかわからない。
城は結界魔法だの、光の檻だの、いろいろあるそうだ。
スノトラは暗部の人間だから。
暗部ってよくわからないんだけど。
とりあえず、僕がここにいる事をわかってもらって安心した。
これで明日からも元気に暮らしていける。
訓練に遠駆けする竜を見送った。
残った竜を運動させていると、また華やかな衣装の集団があった。
仕事中だから無視していると、そのうち行ってしまったが、一人だけ小さな姿が残っている。
その子は僕を睨みつけるんじゃ無く、僕の乗っている竜をキラキラした目でじっと見ていた。
そおっと竜で近づいていく。
心の読めなかった竜の巨体があの時怖かったから、怖がらせないように近づく。
その子は首をもう真上になるくらいに上にして、竜を見ていた。
「竜が好き?」
そおっと聞くとコクリと頷く。
その日居残り組だったルシャナも青鬼竜を連れてきて、その子の前で竜から降りた。
「グンダリ家のお嬢さんですね。」
ルシャナは18歳で柔らかい笑顔の竜騎士見習いだ。
「サヤカです。」
はにかむように女の子が答える。
「竜が大好きなの。」
それからサヤカはときどき遊びに来た。
皆んなにおやつを持って来てくれたりする。
「みんなで意地悪を言う姉様達より、ネティの方がずっと綺麗よ。負けちゃ駄目よ。」
幼いサヤカはときどき絵本の話をしてスイッチが入る。
そんな姿も可愛いと思う。
姉達が習い事でいないときなど、本当に楽しそうにやって来る。
他の竜騎士も可愛がって、抱っこして竜に乗せたりしてくれた。
無意識のうちに結界を張ってるはずなのに。
目を開けたらスノトラがいた。
スノトラは本当に不思議な人だ。
こんなにキラキラした金髪で翡翠みたいな目で綺麗なのに、気配を完全に殺せる。
いつだったか街でずっと隣にいたのに気がついて、びっくりした事があった。
「誕生日おめでとう。」
囁き声で言う。
「この城の守りの魔法に引っかかるから念話は使えないんだ。神殿の合図を見たよ。
偉かったね、神殿に駆け込まなくて正解だよ」
抱きしめてくれる。
不思議な事になんの匂いもしない。
でも、バーキュライトから取り残されて宙ぶらりんだと思っていた心が、すごく、すごく落ち着いて、涙が出てしまった。
「よく聞いて、ネティ。ゼオライトはいろいろとバーキュライトの秘密を手に入れて来ている。君はこのままナカツクニに隠れていて。隙を見て連れ戻せるようにしているから。」
頷くしか無い。
涙が止まらなくなってしまった。
「ああネティ。成人してしまったから、捕まったら本当に危ないんだ。斎王も、みんなも、心配して祈っているよ。」
涙を拭いてから帰って行った。
どうやって帰ったのかわからない。
城は結界魔法だの、光の檻だの、いろいろあるそうだ。
スノトラは暗部の人間だから。
暗部ってよくわからないんだけど。
とりあえず、僕がここにいる事をわかってもらって安心した。
これで明日からも元気に暮らしていける。
訓練に遠駆けする竜を見送った。
残った竜を運動させていると、また華やかな衣装の集団があった。
仕事中だから無視していると、そのうち行ってしまったが、一人だけ小さな姿が残っている。
その子は僕を睨みつけるんじゃ無く、僕の乗っている竜をキラキラした目でじっと見ていた。
そおっと竜で近づいていく。
心の読めなかった竜の巨体があの時怖かったから、怖がらせないように近づく。
その子は首をもう真上になるくらいに上にして、竜を見ていた。
「竜が好き?」
そおっと聞くとコクリと頷く。
その日居残り組だったルシャナも青鬼竜を連れてきて、その子の前で竜から降りた。
「グンダリ家のお嬢さんですね。」
ルシャナは18歳で柔らかい笑顔の竜騎士見習いだ。
「サヤカです。」
はにかむように女の子が答える。
「竜が大好きなの。」
それからサヤカはときどき遊びに来た。
皆んなにおやつを持って来てくれたりする。
「みんなで意地悪を言う姉様達より、ネティの方がずっと綺麗よ。負けちゃ駄目よ。」
幼いサヤカはときどき絵本の話をしてスイッチが入る。
そんな姿も可愛いと思う。
姉達が習い事でいないときなど、本当に楽しそうにやって来る。
他の竜騎士も可愛がって、抱っこして竜に乗せたりしてくれた。
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