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創世神話 バレちゃいました

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あれから三日後、いきなり会議室に呼ばれた。
集められたメンバーを見て、シリンはとうとう来たと覚悟した。

跪くものは、バーキュライトから連れて来られた者達。
しかも研究や飼育者ばかりだ。
壁際には威圧する様に兵がぎっしり立っている。

平静を装ってラグナロワの後ろを歩く。
玉座に座ったラグナロワの隣に腰を下ろす。

ラグナロワは肘掛けにもたれながら、辺りを睥睨するように見渡し、ゆっくりとその視線をシリンに向けた。

「さて、ようやくバーキュライトからの資料を解読し終わったようだ。」

「もうですか。流石ですね。半年はかかると思っておりました。」

新興国のゼオライトではなく、神殿国家は創世神話がある程にその歴史が長い。
じっと歴史の中でうずくまっていた小国の資料は、気が遠くなるほど多い筈だ。

ラグナロワの目は何の感情も現れて無い。
それがとても恐ろしい。

多分もう見破られたのだろう。ただのエロじじいじゃないということだ。


「創世神話は子供の時に読まされた。」
ラグナロワは直球を放つ。

「私が知りたいのは飛ぶ竜の事だ。」

「神話でございます。」

「そうだな神話だ。斎王も竜も。
 空飛ぶ鳥がいるのに、何故飛ぶ竜がいない。」

「さて、神の御心は知れませぬ。」

「心にも無いことを。」
にこやかなラグナロワは威圧する様に目を細める。

「神話に出てくるカナラクニ山。いきなり高いあの山は、何度頑張っても登れなかった。
それこそ神が守っているようにな。
風魔法も土魔法も効かない。結界が張ってあるとも思えない。だが、何故か登れないと兵も魔道士も泣きついてきおったわ。」
紅い目がギラギラしている。
見知らぬものへの興奮が、子供の様に頬を染めている。
それは目の前にいる獲物に、逃げ場がない事を知っているからだ。
秘密の為に全国民を惨たらしいめに合わせることを、自分が躊躇する事を知っているからだ。
敗北感が背骨を這い上る。

「…そうだな、斎王。おまえが知らないのなら、他に聞けばいいな。」
しっかりと視線を絡ませて、情欲にまみれたような目で問う。

「どのくらいの人間に聞いていけば、答えがみつかるのやら。」
さあ、答えろ。
命令が上から下される。

翼竜はどこだ。

あらかじめわかっていた命令だったが、予想より二か月は早い。
シリンは体を硬くした。

「王よ。嘘はつきませぬ。誤魔化しもしませぬ。その答えを出すのに三日の時を頂けませんでしょうか。」

「一日。俺は気が短い。」

「……わかりました。明日の夕刻にお話します。」

満足そうに頷くラグナロワから目を逸らし、シリンは礼をすると、逃げるように部屋から走り去った。
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