28 / 117
創世神話 バレちゃいました
しおりを挟む
あれから三日後、いきなり会議室に呼ばれた。
集められたメンバーを見て、シリンはとうとう来たと覚悟した。
跪くものは、バーキュライトから連れて来られた者達。
しかも研究や飼育者ばかりだ。
壁際には威圧する様に兵がぎっしり立っている。
平静を装ってラグナロワの後ろを歩く。
玉座に座ったラグナロワの隣に腰を下ろす。
ラグナロワは肘掛けにもたれながら、辺りを睥睨するように見渡し、ゆっくりとその視線をシリンに向けた。
「さて、ようやくバーキュライトからの資料を解読し終わったようだ。」
「もうですか。流石ですね。半年はかかると思っておりました。」
新興国のゼオライトではなく、神殿国家は創世神話がある程にその歴史が長い。
じっと歴史の中でうずくまっていた小国の資料は、気が遠くなるほど多い筈だ。
ラグナロワの目は何の感情も現れて無い。
それがとても恐ろしい。
多分もう見破られたのだろう。ただのエロじじいじゃないということだ。
「創世神話は子供の時に読まされた。」
ラグナロワは直球を放つ。
「私が知りたいのは飛ぶ竜の事だ。」
「神話でございます。」
「そうだな神話だ。斎王も竜も。
空飛ぶ鳥がいるのに、何故飛ぶ竜がいない。」
「さて、神の御心は知れませぬ。」
「心にも無いことを。」
にこやかなラグナロワは威圧する様に目を細める。
「神話に出てくるカナラクニ山。いきなり高いあの山は、何度頑張っても登れなかった。
それこそ神が守っているようにな。
風魔法も土魔法も効かない。結界が張ってあるとも思えない。だが、何故か登れないと兵も魔道士も泣きついてきおったわ。」
紅い目がギラギラしている。
見知らぬものへの興奮が、子供の様に頬を染めている。
それは目の前にいる獲物に、逃げ場がない事を知っているからだ。
秘密の為に全国民を惨たらしいめに合わせることを、自分が躊躇する事を知っているからだ。
敗北感が背骨を這い上る。
「…そうだな、斎王。おまえが知らないのなら、他に聞けばいいな。」
しっかりと視線を絡ませて、情欲にまみれたような目で問う。
「どのくらいの人間に聞いていけば、答えがみつかるのやら。」
さあ、答えろ。
命令が上から下される。
翼竜はどこだ。
あらかじめわかっていた命令だったが、予想より二か月は早い。
シリンは体を硬くした。
「王よ。嘘はつきませぬ。誤魔化しもしませぬ。その答えを出すのに三日の時を頂けませんでしょうか。」
「一日。俺は気が短い。」
「……わかりました。明日の夕刻にお話します。」
満足そうに頷くラグナロワから目を逸らし、シリンは礼をすると、逃げるように部屋から走り去った。
集められたメンバーを見て、シリンはとうとう来たと覚悟した。
跪くものは、バーキュライトから連れて来られた者達。
しかも研究や飼育者ばかりだ。
壁際には威圧する様に兵がぎっしり立っている。
平静を装ってラグナロワの後ろを歩く。
玉座に座ったラグナロワの隣に腰を下ろす。
ラグナロワは肘掛けにもたれながら、辺りを睥睨するように見渡し、ゆっくりとその視線をシリンに向けた。
「さて、ようやくバーキュライトからの資料を解読し終わったようだ。」
「もうですか。流石ですね。半年はかかると思っておりました。」
新興国のゼオライトではなく、神殿国家は創世神話がある程にその歴史が長い。
じっと歴史の中でうずくまっていた小国の資料は、気が遠くなるほど多い筈だ。
ラグナロワの目は何の感情も現れて無い。
それがとても恐ろしい。
多分もう見破られたのだろう。ただのエロじじいじゃないということだ。
「創世神話は子供の時に読まされた。」
ラグナロワは直球を放つ。
「私が知りたいのは飛ぶ竜の事だ。」
「神話でございます。」
「そうだな神話だ。斎王も竜も。
空飛ぶ鳥がいるのに、何故飛ぶ竜がいない。」
「さて、神の御心は知れませぬ。」
「心にも無いことを。」
にこやかなラグナロワは威圧する様に目を細める。
「神話に出てくるカナラクニ山。いきなり高いあの山は、何度頑張っても登れなかった。
それこそ神が守っているようにな。
風魔法も土魔法も効かない。結界が張ってあるとも思えない。だが、何故か登れないと兵も魔道士も泣きついてきおったわ。」
紅い目がギラギラしている。
見知らぬものへの興奮が、子供の様に頬を染めている。
それは目の前にいる獲物に、逃げ場がない事を知っているからだ。
秘密の為に全国民を惨たらしいめに合わせることを、自分が躊躇する事を知っているからだ。
敗北感が背骨を這い上る。
「…そうだな、斎王。おまえが知らないのなら、他に聞けばいいな。」
しっかりと視線を絡ませて、情欲にまみれたような目で問う。
「どのくらいの人間に聞いていけば、答えがみつかるのやら。」
さあ、答えろ。
命令が上から下される。
翼竜はどこだ。
あらかじめわかっていた命令だったが、予想より二か月は早い。
シリンは体を硬くした。
「王よ。嘘はつきませぬ。誤魔化しもしませぬ。その答えを出すのに三日の時を頂けませんでしょうか。」
「一日。俺は気が短い。」
「……わかりました。明日の夕刻にお話します。」
満足そうに頷くラグナロワから目を逸らし、シリンは礼をすると、逃げるように部屋から走り去った。
0
お気に入りに追加
103
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる