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4 王子はグレてしまいました。

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ジュノと同じ学年に第一王子がいる。
そう聞いた時、ジュノは思わず大きな声をあげていた。

「第一王子様?…えっ!同じ学年にいらっしゃったんですか⁉︎」

周りは、はぁ。と半笑いでいろいろ教えてくれた。
この学園は平等を謳っている。
だから"王子"というをつける事は無いからね。と。

下級貴族の出であるジュノは危機管理能力が高い。
何人かのお取り巻きを連れ、道に余裕があるにもかかわらず真ん中を歩いて行く奴。
それはヤバい奴だ。
ジュノは上級貴族へ顔つなぎしたかった。
王宮にもできればコネが欲しかった。
でも、唯我独尊子弟に関わると、派閥というものに巻き込まれる。
誰か一人の腰巾着になる訳にはいかない。
だって王宮に就職したいんだもん。

そんな訳でヤバ臭のする人達をかわしていたら、その中に王子もいたという訳だ。
あらあら。

王宮なんて王子の実家だ。
顔つなぎは必須だよねー



そんな時、あれが王子だよ。
って教えてもらった。
ジュノは真っ直ぐに御前に向かった。

「おはよう御座います!」

その屈託ない元気な声に、王子とその仲間達は足を止めた。



アドルは、自分の前でにこにこしている奴を見た。
柔らかそうなダークブラウンの髪を後ろに引っ詰めて結んでいる。
自分で切ったらしい前髪が、ぱつんとおでこを半分出している。
長いまつ毛で縁取られたエメラルドの瞳が、キラキラしながらこっちを真っ直ぐに見ている。
すっとした鼻には、そばかすが少し散っていた。

その迷いの無い目が自分のプライドを折ったのだ。
自分に人生初の挫折を見せつけてくれたのに、コイツはこんなに可愛いらしく笑いかけてくる。
~~畜生。

アドルの心に黒いものが湧き上がったのは無理もなかった。


「そのツラ見たくも無い。引っ込んでろ。」

低い声が出た。
その言種に横にいたヤルターシ達がびっくりしたが、ジュノの驚き具合にはかなわない。

大きな目が見開かれ、桃色の唇が半開きになる。
頬がかっと赤く染まった。

……割と可愛い。
その可愛いらしさが、さらに苛立ちを煽る。

アドルはジュノを追い払った。



こうしてそれ以来
"学園に通う爽やか王子"は
"気難しい上に無気力でサボり魔の王子"
に変身して行った。
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