9 / 16
9
しおりを挟む
『光ちゃんの匂い、判る?』
剛の声が不意に聞こえる。
ピクリと耳が動き、眼を覚ましてしまう。
…誰や…ああ、信と…後は人の足音が聞こえてくる…正広君と拓哉さんかな…
…そういえば信は猫の癖に…犬のような嗅覚を持ってたんだな…
下手したら見つかってしまう…
どうすればいいのかは…簡単な事だ、自分の匂いを消せばいい。
見つからないように湖に一度入ると、背中に激痛が走った。
『うぐぅぅ…』
傷口に塩をつけられたように痛む。
左手で傷を庇うように押さえながら、山のふもとへと向かう。
光が誰にも気付かれずにその場から居なくなった…数分のち…
一匹の猫が、湖の淵でうろうろとしている。
「…信…どうしたんだ?」
正広が聞くと、信はこの池で匂いが消えているという…
多分、池に入って匂いを落としてしまったんじゃないかと…
「あのバカ!
どうして…逃げるんだよ!!」
どこか悲しげな顔で正広は池の周りを見ていた。
それから数日間、ずっと探してても…光の姿は見つからなかった。
「あんなひどい怪我をしてたくせに…
変にカッコ付けたがる癖をお前は小鉄からしっかりと受け継いじまったんだな…
はぁ~でもさ、生きるか死ぬかの瀬戸際の時は…小鉄はもうちょっと生きたいって、頑張るっていうのにな…
光、お前は違うのか?」
正広がポツリと寂しそうに呟いていた。
「そういや、剛は?」
慎の言葉に、ぐいっと涙を拭いて振り返らずに答える。
「剛は剛で、探してるんだよ。
光ちゃんを探し出すのは自分だって…
必死になって探してるのを…光は知ってるのかな…
家にはご飯を食べに帰ってくるだけで…
すぐに出かけて探している剛の事を…」
がっくりと肩を落とす正広に向かって、慎は何度か考え込んでから…
その大きな手で、正広の背中をパーンと叩いた。
にこにこと優しい笑顔を浮かべながら、
「絶対に大丈夫だよ。
こんなにも真剣に探してる人が沢山居るんだから。
光も絶対に見つかって…助かるよ!」
慎のその言葉に、ほんのすこし…正広の顔にも笑みが広がった。
剛の声が不意に聞こえる。
ピクリと耳が動き、眼を覚ましてしまう。
…誰や…ああ、信と…後は人の足音が聞こえてくる…正広君と拓哉さんかな…
…そういえば信は猫の癖に…犬のような嗅覚を持ってたんだな…
下手したら見つかってしまう…
どうすればいいのかは…簡単な事だ、自分の匂いを消せばいい。
見つからないように湖に一度入ると、背中に激痛が走った。
『うぐぅぅ…』
傷口に塩をつけられたように痛む。
左手で傷を庇うように押さえながら、山のふもとへと向かう。
光が誰にも気付かれずにその場から居なくなった…数分のち…
一匹の猫が、湖の淵でうろうろとしている。
「…信…どうしたんだ?」
正広が聞くと、信はこの池で匂いが消えているという…
多分、池に入って匂いを落としてしまったんじゃないかと…
「あのバカ!
どうして…逃げるんだよ!!」
どこか悲しげな顔で正広は池の周りを見ていた。
それから数日間、ずっと探してても…光の姿は見つからなかった。
「あんなひどい怪我をしてたくせに…
変にカッコ付けたがる癖をお前は小鉄からしっかりと受け継いじまったんだな…
はぁ~でもさ、生きるか死ぬかの瀬戸際の時は…小鉄はもうちょっと生きたいって、頑張るっていうのにな…
光、お前は違うのか?」
正広がポツリと寂しそうに呟いていた。
「そういや、剛は?」
慎の言葉に、ぐいっと涙を拭いて振り返らずに答える。
「剛は剛で、探してるんだよ。
光ちゃんを探し出すのは自分だって…
必死になって探してるのを…光は知ってるのかな…
家にはご飯を食べに帰ってくるだけで…
すぐに出かけて探している剛の事を…」
がっくりと肩を落とす正広に向かって、慎は何度か考え込んでから…
その大きな手で、正広の背中をパーンと叩いた。
にこにこと優しい笑顔を浮かべながら、
「絶対に大丈夫だよ。
こんなにも真剣に探してる人が沢山居るんだから。
光も絶対に見つかって…助かるよ!」
慎のその言葉に、ほんのすこし…正広の顔にも笑みが広がった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる