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第6話
しおりを挟む昼休みになると、颯汰たちは図書室に駆け込んだ。図書室の先生が驚いている。
「あら、あなた達珍しいわね。昼休みは必ず外で遊んでいるのに」
「俺たち、しなきゃいけない事があるんだ」
「調べ学習かしら?」
「違う違う。病気を調べなきゃ」
悠雅の事は先生たちの中で共有されている。図書室の先生も知っていたので、少し複雑な表情になった後、医療に関する本がある場所へ案内してくれた。
「ここね」
「ありがとう、先生」
「はい。頑張ってね」
そう言って先生は元の場所へ戻ろうとして、そういえば、と颯汰たちを振り返った。
「あなた達、病気を調べるって言ってるけど、悠雅くんが何の病気か知ってるの?」
「え?いや…」
健悟は颯汰を見た。
「颯汰知ってる?」
颯汰は昨日の会話を思い返す。
「…悠雅のお母さんが、心臓の病気かもって言ってた」
「もう少し詳しい情報はある?例えば、心臓の何処が悪いのか、とか」
「いや…それは知らないなー」
先生は颯汰たちを見て言った。
「あなた達…どうやって調べるつもりだったの?」
「うーん…とりあえず本をかたっぱしから読もうかと思って」
「それじゃいつまで経っても解決策が見つからないわよ?」
颯汰たちは、確かに、と言わんばかりに先生を見る。颯汰たちの表情を見て、先生はばれないように小さくため息をついた。
「悠雅くんの病気が分かってから、またいらっしゃい。でないと、今のままでは何も出来ないわ」
颯汰たちは少し考えるような表情をしてから、先生を見て頷いた。
「分かった。でも、今は何かしたいんだ。じっとしていられなくて」
先生はこの言葉に真剣な顔で頷き、元の場所へ戻っていった。
「まあ、とりあえず本をいろいろ読んでみる?」
「そうだな。遊ぶ気にもなれないし」
「心臓についての本、何冊くらいあるのかな?」
「うーん…10冊くらいとか?」
「今本棚を見てみた方が早くない?」
「確かに」
全員で本棚を見てみると、医療関係の本は沢山あった。しかし、小学生向けの簡単な本ばかりで、颯汰たちが求めているような難しい本がない。本棚の上の方を探すと、十冊くらいの分厚い本が埃をかぶっていた。
「あった!あったけど…」
「なんかちょっと汚くない?」
「あと…分厚すぎない?」
「うん」
「俺たち…今からこれ読むの?一人一冊ずつ?」
海がそう言って全員を見る。ちょうど図書室も人が増え始め、少し騒がしくなってきた所だった。一度、ため息をつく。その後、誰よりも先に颯汰が口を開いた。
「全員で一冊を読むって事にしない?」
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