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⒏緊急事態です

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「そんな事ですの?」

「は、はい」

 メーランド様が信じがたいというような目でこちらを見ます。そんな事って、私はかなり重大な事だと思うんですけど…。

「結構ですわよ。あの方も、少しくらい痛い目を見なくてはね」

 そう言ってふふっと笑います。バレンタ様もメーランド様も態度は違えど、考えることは同じようです。怖いですが。

「この事は他の方にも話したのかしら?」

「はい!お一方は既に了承してくださっています。さらに私の事を手伝っていただけるそうです」

「あら、手伝いですか?それは楽しそうですこと。私も手伝わせていただいてもよろしくて?」

「いいんですか!?」

「ええ。面白そうですし」

「あ、ありがとうございます!!」

 バレンタ様に続いて、メーランド様も手伝ってくれるようです。

「場所や時間は決まってますの?」

「はい!1ヶ月後の学年集会にカミーラお姉様と参加する予定なので、そこで婚約破棄をしようと考えています」

「それなら人も多くていいですわね。やりがいがありそうですわ」

 昨日の夜、決めておいて良かったです。危うく答えられないところでしたわ。

「では、そろそろおいとまするわ」

「はい。ありがとうございます!」

「そういえば…1つ提案してもいいかしら?」

「?なんでしょう?」

「メデラウス様は何人の方とお付き合いされているの?」

「えっと…4人です」

「ではあとお二方残っているのね?」

「はい」

「次の面会に私も同席してもよろしくて?」

「え!?」

「あら、お嫌?」

「いっ、いえっ!そういう訳では…その、メーランド様の時間も限られてますし、迷惑になってしまうのではないかと」

「そんな事はありませんわよ?それに、私がお願いしているのですから迷惑なんて事はありません。私がいたら何かと楽でしょうし」

「で、では…お言葉に甘えてお願いします」

 なんだかんだ、面会に同席してもらえることになりました。何かと楽とは…どういう事でしょう?

「では、本当に失礼します」

「あ、はい!ありがとうございました!」

 とりあえず、今日も上手くいって良かったです。
 明日も頑張りますか!

 私はこの日、明日も同じように了承してくれるだろうと思っていました。次の日の苦労も知らず…。






「嫌ですわ」

「……えっ?」

「ですから、嫌です」

 まさかこう言われるとは思っていませんでした。私もバレンタ様、メーランド様が簡単に承認してくれた事で気がゆるんでいたのでしょう。間抜けな声が出てしまいました。

 どうしましょう!?
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