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アロウスの街2
しおりを挟む「リタ、何かお礼がしたいの…」
「別にお礼とか大丈夫!」
モナからしたら助けられてばかりで歯痒いのだろう。ずっと申し訳なさそうな顔を見るのもやだな。
「モナ、お金を稼ぎたいんだけどこの街で冒険者や商人はどうやってお金を稼ぐの?」
RPGで言えば情報はまず宿屋でだな!
旅の資金を調達するのは冒険者としては当たり前だろう。
この世界は平和だし、この街で稼ぐのは少々難しいかもしれないが…
「冒険者の商売はこの街では出来ないわ。他の街に比べるとちょっと難しいの…近くの村に廃坑の村があるんだけどそこに出稼ぎに行くしかないわね」
この街では諦めるか…
「じゃあ、明日お昼くらいに暇になったら教会に連れてって欲しいな!」
神に会って話したい事もあるし、そもそも神に会うことは出来るのだろうか…
「もちろん!命の恩人だし!明日二の刻の鐘がなったら行きましょう!」
少し元気になったモナは手を振りながらそれだけ言って出ていった。
夕食の準備が出来たと扉の外から小さな子どもの声がした。モナは兄妹が居ると言っていたからな!エルは夕食の時間になっても戻って来なかった。
「今日のご飯はなんだろなっ♪」
歌いながら2階から降りてきて、テーブルの並んだ部屋に入って座ると厨房の方から良い匂いが漂ってきた。
「お待たせしました、リタさん!娘を助けていただきありがとうございます!」
配膳してきたのはモナのお父さんで料理人の格好をした背の高い男性だ。テーブルに次々と美味しそうなご飯が並ぶ。
「凄く良い匂い!モナちゃんを助けたのは偶然だし、大した事してないですから頭を上げて下さい!」
両手で空を描きながら苦笑いする。
「大したもてなしは出来ませんが沢山食べていって下さい!それと、お連れ様は?」
「まだ帰って来てないみたいですね、ありがとうございます!」
「そうですか、別に取ってあるので遠慮なく食べて下さいね!」
そう言うと厨房に戻って行った。
「ふぅ…食べた!」
最後に出てきたカボチャっぽいプリンを食べ終えお腹をさする。少し眠気が出てきたみたいだ、部屋に戻ろう。
厨房と食事室を行き来しているモナの妹っぽい子とお父さんにお礼を言ってその場を去る。
部屋に戻るとまた窓の外が見える位置に座る。夜風が気持ちいい。
「リタ、ただいま!」
「どこ行ってたのさ」
うとうとしていたのか、エルが入ってくる音も聞こえなかった。しかも泥だらけで。
「ちょっと資金繰りに!」
「どうやって?」
「内緒♪お腹空いたからご飯を食べてくるね!」
そう言って飛び出して行った。エルが戻ってくる頃にはもう夢の中だった。
寝ているリタに布団を掛け直す。
ゴーン
鐘が一回鳴り響く。目が覚めて結構寝ていた事に気付く。身支度を整えて昨日食べたパンをフレンチトーストで味わってからモナの所に向かった。
カウンターに座っているモナの肩を軽く叩く。
「リタ、行きましょう!」
椅子から立ち上がり、斜め掛けのバックを掛けてリタの後を歩く。
教会に真っ直ぐ向かい中のシスターに話しをして中に入って行く。1番前の椅子に座ると意識が遠くなる。
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