26 / 41
♡♀ 第十一章 くっつく彼女と見つける彼女 ♀Zzz
25話
しおりを挟む
凄まじい威圧感に声を失った四人の沈黙を、魔法を詠唱するメリランダの声が破る。彼女は解析魔法ですぐさま情報を読み取る。
「これはカースドラゴンロード・・・・。レベル98⁉伝説上の魔物だと思ってましたけど、こ、これは本物の様です。しかも二体とは」
片方のカースドラゴンが首をもたげるとシホ達は危険を感じ取った。
「なんかヤバい気がする!」
四人は脇の物陰へ急いで退避した。
次の瞬間、カースドラゴンの口から一本の紫色の光線が放たれると、当たった地殻は爆風と共に捲れ吹き飛んだ。
ティオはもう片方の脅威を見ると身を乗り出す。
「僕は魔法は使えないけど、力と速さなら自信ある。だからあっちは僕が気を引く」
そう言うと凄まじいスピードで飛び出して行き、その足元で激しい肉弾戦を始めた。シホはそれを見て剣を抜く。
「メリランダ、他の能力は?」
「魔力が特に高めです。固有アビリティに組織修復。それと変なんですが、弱点とスキルがさっきから定まりません」
「常に変動してるって事?」
「何と言うか、全部高い耐性持ちでもあり弱点でもあるのです」
「どういう事なの?とにかく戦って探るしかないか」
エルテも戦闘態勢をとると軽く深呼吸をする。
「シホと気を引く。メリランダは安全な場所で高威力のやつ詠唱して」
「分かりました。お二人とも気を付けてくださいよ?」
シホ達が駆けていくとティオ同様、足元から攻撃を加える。だがその傷は、目の前ですぐに新たな肉に覆われ再生していく。
シホは火属性魔法を発動させる。
「エルテ!炎上させて回復を遅らせよう」
「うん」
二人が地面に生成した赤い魔法陣から爆炎が吹き上がると、カースドラゴンの肉体をじりじりと焼く。だがあまり効いている様子はなかった。
すると今度はシホ達の足元に赤い魔法陣が現れる。シホは咄嗟にエルテをその外へと押し出し、自らも転がる様に回避すると、その瞬間同じような爆炎が上がった。
「え?真似した⁉」
すぐに体制を整え視線を上げると、カースドラゴンの口の中に赤熱する業火が見えた。シホ達は魔法障壁を張り、灼熱のブレスを耐える。
「くっ。こいつまさか食らった属性返してくるの?」
その最中、カースドラゴン達の上に大きな純白の魔法陣が幾重にも生成され始めた。
少し離れた場所でメリランダは杖を両手で構え詠唱の末尾に差し掛かる。
「奇跡よ奇跡、天の声とその威光により罪と穢れを滅せよ。・・・・ティオさん!退避してください!」
ティオが魔法陣の外に出たのを確認するとメリランダは力を解き放つ。
「聖槍は光の雨と成りて貫く。ファティマズ・レイ・・・・!」
眩い幾千幾万もの光の筋がカースドラゴンの体全体を貫く。光が収まると体組織の半分ほどを削られたカースドラゴン達は大きく揺らめき転倒する。その巨体の頭部にキラキラと光っていた宝玉の一つ。白い宝玉が両者の頭部で砕け散ったのをメリランダは捉えた。
「シホさん!エルテさん!頭の宝玉が核かもしれません!あれだけの攻撃で砕けたのは一つでした。恐らくですが、対応する属性を当てる事で破壊できるようです。それと残念なお知らせが・・・・。今ので魔力が尽きました!」
それを聞き二人は体の再生が始まるカースドラゴンの宝玉を狙い、別々に攻撃魔法を放つが壊れる気配がない。メリランダは再び思案する。
「お二人とも、試しに赤の宝玉に火属性を同時に当ててもらっていいでしょうか?」
二人は同時に火球を当てるがまだ壊れる様子はない。更にメリランダは考えた。
「シホさん、上級魔法は習得していますか?」
「昨日覚えたけど」
「先ほど破壊出来た条件と合わせるなら、耐性を突破できるだけの威力で二体同時攻撃ではないでしょうか。対になって結ばれた特殊なギミック持ちなのかもしれません。エルテさんも上級魔法共有できていますか?」
エルテは少し戸惑った。
「使えない・・・・」
「まさかこの期に及んで恥ずかしがってる訳じゃないですよね?」
「違う、ほんとに使えない」
「シホさん、広範囲魔法とかって・・・・」
渋い顔を浮かべたシホ。
「ない・・・・」
「じゃあ今すぐエルテさんともっと絆を深めてください。完全再生されるまで時間がありませんよ」
「今すぐになんて無理だよ!だいたいどうやって」
「前は好き好きアピールしてたじゃないですか」
「そうは言っても友達以上になるにはまだ時間が。それにそれはエルテが決める事だし」
「ああもう、仕方ないですね。ティオさんは少し目を閉じていてもらえますか?エルテさんはよく見ててください」
そう言われたエルテは、シホに歩み寄っていくメリランダを不思議そうに見つめる。するとメリランダはシホの頭を両手でギュッと掴むと、目を閉じ強引にその唇を奪った。
「これはカースドラゴンロード・・・・。レベル98⁉伝説上の魔物だと思ってましたけど、こ、これは本物の様です。しかも二体とは」
片方のカースドラゴンが首をもたげるとシホ達は危険を感じ取った。
「なんかヤバい気がする!」
四人は脇の物陰へ急いで退避した。
次の瞬間、カースドラゴンの口から一本の紫色の光線が放たれると、当たった地殻は爆風と共に捲れ吹き飛んだ。
ティオはもう片方の脅威を見ると身を乗り出す。
「僕は魔法は使えないけど、力と速さなら自信ある。だからあっちは僕が気を引く」
そう言うと凄まじいスピードで飛び出して行き、その足元で激しい肉弾戦を始めた。シホはそれを見て剣を抜く。
「メリランダ、他の能力は?」
「魔力が特に高めです。固有アビリティに組織修復。それと変なんですが、弱点とスキルがさっきから定まりません」
「常に変動してるって事?」
「何と言うか、全部高い耐性持ちでもあり弱点でもあるのです」
「どういう事なの?とにかく戦って探るしかないか」
エルテも戦闘態勢をとると軽く深呼吸をする。
「シホと気を引く。メリランダは安全な場所で高威力のやつ詠唱して」
「分かりました。お二人とも気を付けてくださいよ?」
シホ達が駆けていくとティオ同様、足元から攻撃を加える。だがその傷は、目の前ですぐに新たな肉に覆われ再生していく。
シホは火属性魔法を発動させる。
「エルテ!炎上させて回復を遅らせよう」
「うん」
二人が地面に生成した赤い魔法陣から爆炎が吹き上がると、カースドラゴンの肉体をじりじりと焼く。だがあまり効いている様子はなかった。
すると今度はシホ達の足元に赤い魔法陣が現れる。シホは咄嗟にエルテをその外へと押し出し、自らも転がる様に回避すると、その瞬間同じような爆炎が上がった。
「え?真似した⁉」
すぐに体制を整え視線を上げると、カースドラゴンの口の中に赤熱する業火が見えた。シホ達は魔法障壁を張り、灼熱のブレスを耐える。
「くっ。こいつまさか食らった属性返してくるの?」
その最中、カースドラゴン達の上に大きな純白の魔法陣が幾重にも生成され始めた。
少し離れた場所でメリランダは杖を両手で構え詠唱の末尾に差し掛かる。
「奇跡よ奇跡、天の声とその威光により罪と穢れを滅せよ。・・・・ティオさん!退避してください!」
ティオが魔法陣の外に出たのを確認するとメリランダは力を解き放つ。
「聖槍は光の雨と成りて貫く。ファティマズ・レイ・・・・!」
眩い幾千幾万もの光の筋がカースドラゴンの体全体を貫く。光が収まると体組織の半分ほどを削られたカースドラゴン達は大きく揺らめき転倒する。その巨体の頭部にキラキラと光っていた宝玉の一つ。白い宝玉が両者の頭部で砕け散ったのをメリランダは捉えた。
「シホさん!エルテさん!頭の宝玉が核かもしれません!あれだけの攻撃で砕けたのは一つでした。恐らくですが、対応する属性を当てる事で破壊できるようです。それと残念なお知らせが・・・・。今ので魔力が尽きました!」
それを聞き二人は体の再生が始まるカースドラゴンの宝玉を狙い、別々に攻撃魔法を放つが壊れる気配がない。メリランダは再び思案する。
「お二人とも、試しに赤の宝玉に火属性を同時に当ててもらっていいでしょうか?」
二人は同時に火球を当てるがまだ壊れる様子はない。更にメリランダは考えた。
「シホさん、上級魔法は習得していますか?」
「昨日覚えたけど」
「先ほど破壊出来た条件と合わせるなら、耐性を突破できるだけの威力で二体同時攻撃ではないでしょうか。対になって結ばれた特殊なギミック持ちなのかもしれません。エルテさんも上級魔法共有できていますか?」
エルテは少し戸惑った。
「使えない・・・・」
「まさかこの期に及んで恥ずかしがってる訳じゃないですよね?」
「違う、ほんとに使えない」
「シホさん、広範囲魔法とかって・・・・」
渋い顔を浮かべたシホ。
「ない・・・・」
「じゃあ今すぐエルテさんともっと絆を深めてください。完全再生されるまで時間がありませんよ」
「今すぐになんて無理だよ!だいたいどうやって」
「前は好き好きアピールしてたじゃないですか」
「そうは言っても友達以上になるにはまだ時間が。それにそれはエルテが決める事だし」
「ああもう、仕方ないですね。ティオさんは少し目を閉じていてもらえますか?エルテさんはよく見ててください」
そう言われたエルテは、シホに歩み寄っていくメリランダを不思議そうに見つめる。するとメリランダはシホの頭を両手でギュッと掴むと、目を閉じ強引にその唇を奪った。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる