奇欲

わかったこと

ハムスター事件が起きてから、１週間がたった。私たち１年5組の教室もようやく解放され、ハムスター殺しの犯人は未だにわからないままだ。
  この１週間で、事件についてわかったことはたったの２つ。
 １つは、殺されたハムスターはクラスメートの中里裕介のペットだったということ。私は全然彼と面識はないから、正直それがわかったときにも、あまりかわいそうだとは思えなかった。薄い同情心しか心に残らなかった。
 そして二つ目はーーーー。
犯人は、相当残虐なヤツ、ということだ。
 殺されたハムスターには、何度も何度も刃物で刺した傷があり、その割れた傷口の間から小さな臓器がいくつかとりだされて、黒板やらロッカーやらに突き刺してあったそうだ。
   こんな説明をされて、多くのクラスメートは泣いたり、吐きそうになったりしていたけれど、もちろん私は……。正直興奮してしまった。
「うああああああああ！！！」
飼い主の中里くんは突然泣き叫んで暴れだしてしまったけど。これには私もさすがに、そんなにハムスターを溺愛していたのかと驚いた。
「引き続き、心当たりがある生徒は先生たちのところに来るように。」
先生たちはそう言って、この件をうまくこのまま丸め込もうとしているようだった。
中里くんは結局一昨日から学校にさえ来ていないし、犯人は見つからずじまい。それでも大人たちにとっては、大事になればなるほど、困ってしまう事情というのがあるんだろうな。高校生にもなれば、それは嫌でも心で感じられた。